フェラから始まる異世界召喚。巨根とエロチートでヤリまくります。 作:白田まろん
「ローラさん、僕と付き合って下さい!」
「エレインさん、まずはお友達からはじめましょう!」
「うふふ」
「ありがとうございます。でも……」
「「ごめんなさい」」
がっくりと肩を落とし、スープを汲んでもらって離れていく隊員たち。実は夕食の提供を始めてから、こんな光景がずっと続いているのである。
日本円で一杯千五百円もする肉と野菜のスープ。しかし最初のベックとドラドの話に始まり、スミルバッハさんの『王城で出された味』という売り文句のお陰で、食券は飛ぶように売れたそうだ。
遠征で温かい物が食べられるというのも、彼らにとっては非常に価値のあるものだということらしい。火があれば肉や野菜は焼けるが、それでは体が温まらないからな。
しかも料理を作ったのが元王城に仕えていたメイドで、さらに超がつく美少女とくれば、普段から女の子にあまり縁のない隊員たちが色めき立つのも無理からぬことだった。
「ローラさん、僕が必ず貴女を幸せにしてみせます!」
「私、今がとても幸せですので」
「エレインさん、私と一緒に温かい家庭を作りませんか?」
「ありがとうございます。でも……」
「「ごめんなさい」」
二人の人気は同じくらいで、スープを待つ列の長さもほとんど変わらない。中にはローラがダメならエレインと、列を変えて並ぶ不届き者もいたが、誰も彼女たちのハートを射止める男はいなかった。
仕方ないさ。決して君たちに魅力がないわけではないと思う。ただ自分で言うのも何だが、二人が惚れているのは何を隠そう勇者の俺なのである。
最初から勝ち目なんてないのさ。悪いが早々に諦めて、スープで体を温めてくれ。そして俺を睨むのはやめろ。
結局かまどと寸胴鍋は当初の予定通り二セット用意した。料理の作り手が二人しかいないのに、それ以上造っても無駄だと考えたからだ。
また、かまどの周囲には簡易的な屋根を設置した。雨足こそ弱まったものの、相変わらず降っていたので二人が濡れないようにするためである。
ちなみにおかわりに次ぐおかわりで、スープはすでに二周目に突入していた。
「スミルバッハさん、ちょっといいですか?」
「はい、どうしました?」
「彼女たちなんですが、スープを作ってよそってだと疲れると思うんですよ」
「ああ、なるほど。分かりました」
それからすぐに、食事を終えた隊員が交代に入ってくれた。二人が離れたことで隊員たちから不満の声が上がったが、寒い中に立ちっぱなしで働かせてもいいのかとスミルバッハさんが言うと、納得してくれたようだ。
「お疲れさま」
「あ、ミナト様」
「「お疲れさまです」」
「今のところ二百杯くらい売れたらしいぞ」
「そんなにですか!?」
「一杯の量があまり多くないからな。それにしてもこの数は驚きだけど」
「皆さん、たくさん食べて下さって嬉しいです」
二人とも楽しそうでよかった。スープの方は今出ている分で売り切れとしよう。使えなかった食券は返金するか、次回があればその時に出してもらえばいい。
スミルバッハさんとはそんな感じで合意を済ませておいた。
さて、食器は彼らの自前だから洗う手間はないので、これで俺たちも食事を摂れる。
晩飯は何を作ってくれるのか楽しみだ。肉を出してほしいと言われたのでステーキにでもするのかと思ったら、ミンチにしてるからハンバーグだろうか。
野菜も玉ねぎを始め何種類か頼まれたし、卵やらパン粉なんかも出した。うん、ハンバーグだな。
ちなみに何の肉かというと、高級食材として知られるラッシュベアの肉だ。魔王討伐の往路でたまたま見つけて狩ったヤツが、丸々一頭
熊肉だが臭みは全くなく、ステーキで食べるのが最も好まれる食材だった。
血抜きは魔法で済ませてあったので、百グラムくらいの大きさにしてから三つ渡そうとしたら、一つでいいとのこと。
二人にはそれがラッシュベアの肉だとは伝えてないから、美味さに驚いてくれるといいな。
そして生野菜と共に盛りつけられて出されたのは――
「肉団子か」
「はい」
「あとはお昼のスープにお野菜を足しました」
「ありがとう。美味そうだ」
「えへへ。さあ、頂きましょう」
手作りの肉団子は子供の頃、母親がよく作ってくれたっけ。家族は醤油をかけて食べていたが、俺は何もつけなかった。それ自体にちゃんと味がついていたからだ。
そして今、俺は久しぶりに手作り肉団子を口に入れた。まだ幼いと言える頃に母親が病気で死んでから、我が家の肉団子はいつしかレトルトのミートボールに変わっていたのだ。
「ミナト様……あの……」
「どうされましたか?」
「え?」
「もしかしてお口に合いませんでしたでしょうか……」
「泣くほどお嫌だったなんて……申し訳ありません! すぐに別の物を作りますので」
「あ、いや、違うんだ。ごめん……」
自分でも気づかないうちに、母親のことを思い出して涙を流していたらしい。二人が作ってくれた肉団子は、母親のそれとは味も食感も異なっている。
それでも母を、そして家族を思い出すのには充分だった。
日本に戻ったところで、父も弟も事故で亡くなっていたから、俺には身寄りらしい身寄りはもういない。
家族に会いたい……
召喚されて以来、こんな気持ちになったのは初めてだった。
二人にそう話したら、彼女たちにも泣かれてしまった。優しい子たちだよ。
しばらく重苦しい雰囲気になっていたので、せっかくの料理が冷めてしまった。さすがにそれは申し訳ないので、スープは火にかけてもらうとして、肉団子は魔法で温め直した。
そしてその夜、俺は二人に頭を抱かれて眠りについたのである。
「ミナト様、私たちはずっとお傍におりますからね」
ローラの言葉は、すでに眠りの中にあった俺に届くことはなかったが、心は安らぎで満たされるのだった。