ダメダメな妻が優しい夫に離婚を申し出た結果… 作:hapihapi
「……離婚して下さい」
午後十時。夕食を終えてゆったりとコーヒーを飲んでいた夫に消え入りそうな声で離婚を申し出た悠香の心は今にも張り裂けそうだった。結婚して一年と半年。夫、修の事は結婚する前と変わらず「修さんと出会えた事は人生で一番の幸福だ」と豪語出来るほど大好きだ。しかし……自分はあまりにも修の妻に相応しくない。そのことをこの一年と半年で痛いほど思い知った悠香は気を抜くと震え出しそうになる手をギュッと握り締め、今度はハッキリとした声で「離婚して下さい」と言った。すると、それまでジッと黙って悠香の話を聞いていた修が徐ろに立ち上がり、
「……理由を聞いてもいいかな?」
と、突然離婚を突き付けられた夫として至極当然な質問をしてきた。悠香は修の質問に戸惑いがちにコクリと頷き、ポツポツと離婚に思い至った理由を話し始める。
「……私、ダメなんです……本当にダメで……ダメなんです……」
「悠香、もっと具体的に言ってくれないと分からないよ」
「……。……オ、オーダーメイドのスーツを洗濯機で洗った上にアイロンを掛けてテカテカにしてダメにしちゃったり……」
「あれはそろそろ買い替えようと思っていたから気にしなくて大丈夫だよ」
「……お義父さまから貰った年代物のワインをワインセラーに入れずにダメにしたり……」
「あのワインは父さんが無理矢理押し付けた物だから気にしなくてもいいよ」
「……よ、よく調べずに高額なエステサロンに入会しちゃったり……」
「悠香が綺麗になるならいくらでもお金を使って貰って構わないよ」
「……あ、ぅ……買ったばかりの鍋を焦がして……」
「……ごめん、悠香。さっきから無理やり理由を言っている様に感じるんだけど……もっと他に大きな理由があるんじゃないのかな?」
「うっ」
図星である。確かに他にもっと大きな……それこそ離婚を決意した決定打となった理由がある。しかし、それを言ってしまえば確実に修に嫌われると思っている悠香はグッと口を閉じ、本当の理由を答える事を拒否する。だが、惚れた弱みと言うべきかな。頑なな悠香の態度に露骨に悲しそうな顔をした修の表情に耐え切れず、悠香はダメだと思いながらも口を開いてしまった。
「あ、うぅ……み、見ちゃったんです……」
「……見た?何を見たんだい?」
「しゅ、修さんが……しているところを……」
「何をしているところを?」
「だ、だから……修さんが……を……しているところを見ちゃって……」
「……ごめんね、悠香。もうちょっとハッキリ言って貰えると助かるんだけど……」
「……だ、だから……その……しゅ、修さんが…………修さんが一人エッチしているところを見ちゃったんです!!」
「え?」
悠香の言葉に修は虚を突かれた様に大きく目を見開く。