一面に湯気を出しながら僕はシャワーを止める。
そのまま体をゆっくりと湯船につけていく。体に溜まった悪いものが抜けていく気がする。
「ふう・・・」
霧切さんと一緒に寝ることが決まった僕はお風呂に入ることにした。
シャワーで済ませてもよかったけど、霧切さんがいる部屋では羞恥心の方が勝った。
(なんだか一気に色々なことがあったな・・・)
霧切さんが部屋にやってきて。楽しく話をして。突然、告白してしまって・・・。
・・・キスをして・・・。
右手の人差し指をそっと唇にあてる。ついさっきまで触れていた霧切さんの温もりが、まだ残っている気がする。
(告白が成功したのもびっくりだけど・・・。まさか霧切さんからキスしてくれるなんて・・・。)
霧切さんも僕のことが好きだと言ってくれた。そのことは勿論だし、何より霧切さんと両想いだったのが何よりもうれしかった。
(・・・霧切さんと一緒に寝る・・・)
ベッドに二人で寝ているところを想像してみる。なんというかとめどなく邪な気持ちがあふれてくる。他のことを想像しようにもやっぱり僕も男なんだと自覚する。
(き、霧切さんってやっぱり大胆だよな・・・)
両手でお湯を汲み顔を洗って立ち上がる。
(のぼせる前に上がろう・・・)
自分の部屋の前に戻る。
中に霧切さんがいると思うと、部屋に入ることでも緊張してくる。
ただ、誰かに見られるのも恥ずかしいので意を決して扉を開ける。
中に入ると霧切さんが椅子に座って本を読んでいた。
僕が入ってくると本を置き笑顔を向けてくれた。
「いいお湯だったかしら?」
「うん。やっぱりお風呂は最高だね。」
ごみ溜めに落とされて丸一日過ごした僕は、改めてお風呂の良さというものを実感していた。
「それはよかったわね。」
そう言うと霧切さんは再び本を読み始めた。
読書の邪魔をするのも悪いと思って僕はベッドに寝っ転がった。
しばらくして心地の良い静寂が訪れた。
霧切さんは本のページをめくる音がはっきりと聞こえる。
最初の頃に会話もせずに横にいたからか、沈黙が苦にならない。
ただ、これから霧切さんと一緒に寝るんだなと思うと胸がドキドキしてくる。
霧切さんの方を見るのは恥ずかしいので背中を向けて布団を抱き寄せる。
やがてパタンと本を閉じる音がした。
その後、部屋の明かりが消された。
霧切さんがベッドに近づいてくる。真っ暗になったせいかさっきよりも敏感に音が聞こえる。
「・・・」
そして何も言わないまま霧切さんは僕のベッドに入ってきた。
背中越しに霧切さんの温もりを感じる。シングルベッドだから体の所々が触れ合う。
そのわずかな感触すらも意識してしまう。
「えと・・・、やっぱり二人だと狭いね。」
返答は返ってこない。
また沈黙が流れる。でもさっきの時よりも段違いで、霧切さんの存在を感じる。
「・・・」
「・・・」
その状態が何分も続いてさすがに気まずくなった僕は、霧切さんの方に顔を向けるようにした。
霧切さんにあまり当たらないように気を使いながら寝返りをうった。
そうすると、僕の目の前に霧切さんの顔があった。
「・・・あ・・・。」
何か気の利いた言葉を言いたかったけど、彼女の顔を見て考えていた言葉が消えてしまった。
それ位、目の前にいる霧切さんは可愛くて、魅力的だった。
霧切さんは何も言わずじっと僕を見ていた。ほんの数秒目が合ったけど、僕は照れ隠しで目線をそらした。
そうすると顔にひんやりとした感触が伝わる。
「あ・・・」
「・・・」
霧切さんは何も言わずに指先で僕の頬をたどる。
「・・・女性がここまでしているのに何もしてこないの?」
僕にだけに聞こえる位小さな声で囁いた。
その言葉に心臓が高鳴る。
僕は頬を触っていた手をとってそのまま霧切さんの上にまたがる様に覆いかぶさった。
彼女の両腕を抑える。他の人が見たら襲っていると思われるような態勢に、今まで感じたことのない興奮に頭がショートしそうだった。ただ、僕の体が霧切さんに触れないように気は遣った。
そして、そのまま顔を近づけた。彼女も抵抗することなく唇を受け入れてくれた。
少し触れて、離れて。また触れて。
上手なキスがどんなものかは分からないけど、好きな人とするキスがこんなにも幸せな気持ちになるんだと感じた。
何度目かのキスの後、改めて霧切さんの顔を見る。
薄い暗がりの中でも顔が火照ってるのが分かった。
「・・・そうまじまじと見る物ではないわ。」
「ご、ごめん。すっごく可愛かったから、つい・・・。」
そう言うと息もつかぬ間に僕の体が霧切さんに押し返された。
今度は僕が下で、霧切さんが上の態勢に変わった。霧切さんは僕と違い、体全体を密着させてきた。
そうして霧切さんは僕の左耳を舐め始めた。
「!!っあ・・・!」
感じたことのない刺激に背中がぞくぞくする。
「はむ・・・ちゅく・・・」
「き、霧切さん!」
押し返そうとするも手を払いのけられ、そのまま腕を抑えられる。何とかしてほどこうにも女の子とは思えないほど力が強い。
「抵抗しないで。」
耳元で色っぽく囁く。心なしか吐息が少し荒い気がする。
「苗木君は何もしなくていいの。」
そう言ってまた耳を舐められる。
「はむ・・・くちゅ・・・んっ・・・」
頭の中に水音が響き渡る。余りにもいやらしいその音が脳を溶かすんじゃないかって思える。
霧切さんは僕の反応を伺いながら時折口に含んだり、甘嚙みをしたりしてくれる。
抵抗出来ないので彼女にされるがままにされてしまう。
「い、一回止めてくれないかな・・・?」
「・・・それはできないわ。それに・・・」
霧切さんの左手が僕の下半身に触れる。
「そ、そこは駄目だよ!」
「人に硬いものを押し付けておいてよく言うわね」
ズボンの上からさすられる。嫌でも下腹部に力が入る。
「・・・ここは男の子ね。」
「それはまぁ・・・」
恥かしくてそれしか返せなった。
「ふふふ・・・。どうして欲しいの・・・?」
いたずらっぽく聞いてくる。
「・・・触ってほしいです・・・。」
「・・・素直で可愛いわね。」
それは誉め言葉なのか・・?