Arcadeからサーヴァントが出てきた件について 作:ボルメテウスさん
「なんだか、今日は騒がしいな」
そう言いながら、訪れたゲームセンターで何時もとは違う雰囲気という事もあって、気になり見てみる。
そこはいつも俺が遊んでいるコーナーだと分かり、俺はそこに向かう。
「ほら、さっさと金を寄こせよ」
「でっでも」
そこには何やら派手な格好をしている男が対戦相手である少年から金をむしり取ろうとしていた。
「何をやっているんだ、お前は」
その状況が気に食わない事もあって、俺はそのまま少年の前に出る。
「あぁ?誰だてめぇ?」
「通りすがりの大学生だよ」
男の言葉に答えるように言うと、男は睨みつけるような目でこちらを見る。
だが、そんな事は関係ない。
「いい年してこんな事をしているなんて恥ずかしくないのか?」
「おい!ガキ!」
「なんだ、図星だったか」
男の表情を見て察した俺はため息交じりに言う。
「てめぇ……ちょっと強いからって調子に乗りやがって!」
「はぁ~……」
まさか本当にそうだとは思わなかったな……。
少し呆れている間にも男は何かを言っていたようだったが、よく聞こえなかった。
まぁ、大方文句なんだろうけどな。
「お兄さん、もう良いよ。僕なら大丈夫だから」
「気にするな。
ただ単に俺がこいつの事を気に食わないから、やっているだけだから気にするな」
『はぁ』
そうして話している間にも、奴の背後に人影がいるのが見える。
見てみると、その容姿は明らかにエミヤである事も分かり、そのまま奴を睨む。
「お前のクズ加減にエミヤも呆れているぞ」
「っ、へぇ、てめぇサーヴァントを持っているのか」
俺の一言に気づいたのか、笑みを浮かべる。
「てめぇのサーヴァントはなんだ」
「二人いるな」
その言葉と共に俺はマーリンとスカサハを見せる。
「おぉ、最高レアリティの二人かよ!」
その言葉と共にその2枚を見つめる。
「ならば、そのカードを俺に寄こせよ」
「嫌だね」
「……はぁ、そうかい。
だったら、勝負で決めようぜ。
俺が勝ったら、その二枚を貰うぜ」
「分かった。
ただし俺が勝ったら、てめぇがここで巻き上げた金、全部返せ」
「けっ、良い度胸じゃねぇか。
言っておくが、俺はこの辺では名の知れたプレイヤーだ。
そいつを倒したら、もっと有名になれるんじゃねえか?」
「なるほど、それは楽しみだな」
こうして俺達は互いに睨み合う中、そのまま機体に座る。
同時に俺はスカサハをセットし、そのままレバーを握る。
今回のフィールドとなるのは、七つの丘の都。
ローマの美しい町並みが舞台となっている。
比較的開けた東側と入り組んだ西側に分かれており、全体的にはかなり狭めとなっている。
また、背の高い建物により周囲が見渡し難く、特に中央の井戸がある付近は北へ抜ける細い道が一本伸びており、遠距離攻撃・宝具から身を隠すポイントとして使いやすいだけでなく、奇襲や障害物を貫通する宝具の隠れポイントとしても使われやすい。
『さて、マスター。
対戦する以上勝つつもりでいるが、油断はするなよ』
そう画面にいるスカサハの声が響く。
「分かっている」
相手がここで金を巻き上げてるという事実を考えても、その実力は高いと考えても良い。
スカサハはランサーという事もあり、クラス相性はこちらが有利だが、問題は今回のフィールドだ。
遠距離攻撃が行いやすい事もあり、アーチャーであるエミヤはかなり有利だ。
「行くぞ!」
そして開始の合図と同時にレバーを倒す。
それと同時に一気に加速し、そのまま中央にある井戸を目指す。
『ほう、いきなり仕掛けるか!』
「まずは小手調べだ」
相手も俺の動きを見たのか、同じように動き始める。
エミヤの方もスカサハに気づくと同時に、その手に弓を構えて攻撃を仕掛ける。それに対してスカサハは弓による攻撃をギリギリで回避しつつ、接近すると共に槍を3回突き刺す攻撃を行う。
それに対し、エミヤも同じように回避と共に弓から夫婦剣へと切り替えて、上段の構えから、二刀で大きく振り下ろす。スカサハの方は回避しながら、その攻撃を防御するが、エミヤはそのままスカサハの体勢を崩すべく、蹴りを入れるが、それに反応したスカサハの肘がそれを防ぐ。
そこから互いに距離を取る。
「なるほど、遠近はある程度いけるのか」
互いの武器の性能を考えると近距離の方が強いが、それでも距離を詰められない訳ではない。
加えて言えば、エミヤはアーチャーなので、近接よりも中距離からの攻撃が得意であり、今のスカサハは槍による近接しか対応できない。
「くくっ」
それと共にエミヤを操作する奴は笑っていた。
「この流れは」
その戦いの中で感じた違和感。
それはこの前戦ったシャルル戦によく似ているという事。
「確か、エミヤの宝具は広範囲攻撃」
自身の周囲、円状範囲へ放たれる攻撃宝具。
効果範囲ならば、建物などの物陰から発動しても攻撃が届くのが強みだ。
その証拠に、奴は先程まで近距離で行っていた攻撃を、徐々に後ろに下がりながら、弓による牽制を行っていた。
『どうする。
このままでは、宝具が放たれるぞ』
このフィールドでは物陰が多い事もあって、隠れられたらすぐに放たれる。
「近づけば、近づく程、危機的状況になる」
『ならば、反対に考えれば良いんじゃないか?』
「っ!」
スカサハの言葉と共にミニマップを見る。
「なるほど、その手があったか!」
俺はその言葉と共にスカサハを操作し、エミヤ達から離れる。
「なっ、待ちやがれ!!」
スカサハが離れた事で慌てて、それをエミヤはそれの後を追う。
『待て、これは「お前は黙ってろ!」っ』
エミヤからの忠告を無視し、奴はエミヤを無理矢理操作する。
「はぁあああっ!!」
そして追いついたエミヤはすぐに宝具を放つ準備を始める。
「いや、明らかに罠だろ」
「なっ」
そのままスカサハは瞬く間にエミヤの背後を取り、瞬時に宝具の発動準備を行う。
それに気づいて、奴はすぐに動きだそうとするが、こちらは広範囲ではない限り、単体攻撃という事もあって、その発動スピードはスカサハの方が速い。
『───刺し穿ち。突き穿つ!ゲイ・ボルク・オルタナティブ』
二本の槍により、刺し穿つ死棘の槍に似た演出と共に敵の動きを止め、突き穿つ死翔の槍を思わせる槍の投擲によって突き穿つ連続攻撃。
それを真っ直ぐとエミヤに直撃させ、そのまま貫通させる。
それにより、エミヤは消えていく。
【You WIN】
「嘘だろ」
その言葉と共に敗北が信じられないのか、奴は眼を点にしていた。
「さて、約束を守って貰おうか」
そう言って俺は近づいていく。
「……」
「おい、聞いているのか?」
「五月蠅い!!
そもそも、俺にはこんなサーヴァントは似合わないんだよ!」
その言葉と共にエミヤをそのまま投げ捨て、走り去った。
「おいっ、ちっ」
その態度に気に食わず、俺はそのまま捨てられたエミヤを手に取る。
「さて、どうする?」
俺はそう言い、エミヤに眼を向ける。
『さぁな。
私としては、あのマスターから離れて良かったがな』
そう、エミヤは皮肉そうな笑みを浮かべる。
「とりあえず、これであいつからは金を巻き上げられなくなった訳だが」
このままエミヤをどうするべきか、悩んでいると、ふとエミヤが何か気になっているように見つめていた。
それは先程、金を巻き上げられた少年であった。
「・・・エミヤ。
あいつから金を巻き上げられなかった代わりに頼みがあるんだが?」
『なんだ?』
「あいつを助けてやってくれないか?」
『さっきは自己満足だと言っていたのにか?』
そうエミヤは呆れた表情で俺を見る。
「まぁ、あれだよ。
結局、俺は何もできなかったからな。
そういう意味では、お前がその代わりになれば良いと思っただけだ」
『何とも身勝手な理由だな』
「それで、どうする? 駄目なら別に構わないが」
正直言えば、ここまで来たのだから最後まで付き合って欲しいとは思うが、強制はできない。
『ふんっ、いいだろう。
貴様の提案に乗ってやる』
「そうか」
そう言いながら、俺はそのまま少年の元へと向かう。
「おい」
「えっ」
俺の言葉に気づいて、少年はこちらを見てくる。
「これ、やるよ」
そう言い、エミヤを少年に差し出す。
「こいつの持ち主もいなくなったし、好きにしていいぞ」
「えっ、でも」
戸惑いながらも、それでも受け取る事に躊躇しているようだった。
「良いから、持っておけ。
そいつもそれが良いらしいからな」
「そいつ?」
その言葉に少年は後ろを見る。
そこには丁度エミヤが立っており、少年を見ていた。
『先程は、元マスターがすまなかった』
「あっ、いえ」
エミヤが現れた事に驚きを隠せないが、なぜか少年は笑っていた。
『どうしたんだ?』
「いや、なんだか本物のエミヤと話せて、嬉しくて」
そう少年はエミヤを見ながら微笑んでいた。
『・・・そうか』
そんな様子にエミヤはどこか照れ臭そうにしながら、ゆっくりと構える。
『いきなりの提案で、申し訳ないが、少年。
私の、マスターになってくれないか』
「えっ僕が!?」
突然の申し出に、少年も驚いていた。
『ああ、私は君が気に入った。
だからこそ、君のサーヴァントになりたいと思っている』
「でっ、でも僕は未だにFGOアーケード下手だけど」
『ならば、私と共に強くなって欲しい。
それでは、駄目だろうか?』
「・・・分かりました。
貴方のマスターになります」
そう言うと、少年の手の甲に令呪が浮かぶ。
『ありがとう』
そうエミヤは笑いかける。
「これからよろしくお願いします。
エミヤさん」
『いや、できれば名前で呼んでくれると嬉しいのだが』
「じゃあ、僕の事も士郎と呼んでください」
『分かった。
では、改めて宜しく頼む。
我がマスター』
その様子を見ていて、上手く行った事に笑みを浮かべる。
「さてと、じゃ、さっそく対戦するか」
「えっ、今すぐですか!?」
「あぁ、こういうのはとにかく戦いまくれば上手くなるからな」
『それもそうだな』
俺は笑みを浮かべながら、スカサハも同意するように出てくる。
『マスター、さっそく試練となるが、覚悟はできているか』
「うっぅ、がっ頑張る!!」
そう言い、少年は気合を入れるように声を上げる。
「よし、じゃあさっさと始めようぜ」
そう言って、俺たちは筐体の方へと歩いて行く。