つる子に、シャツのボタンを外されていく。
楽しそうに鼻歌を歌いながら、ひとつずつ丁寧に――。
「ふふーんふふふふ、ふふーんふふふふ……♪」
「なんで呼び込み君のメロディなんですか……」
大人扱いするとは言ったものの――こういう脈絡のないところも子供っぽいんだよなあ、……なんて、つい思ってしまう。
「……よし。助手くん、ぜんぶ外したよ」
一仕事終えたと言わんばかりの顔をして、つる子が満足そうに見上げてきた。
「もう……だからなんで撫でるの」
……半ば無意識に、つる子の頭を撫でてしまっていたらしい。
つる子はジト目になりながらも、されるがままになっている。……しばらく続けていると、次第にほっぺをふくらませ始めた。
「も、もう! 助手くん!」
「すみません、つい……」
「……撫でるなら、頭じゃなくて……」
そう言いながら、つる子が両手を掴んでくる。
そして、――ぺたん。
「ここ、とか……」
……本日二度目のつるぺたおっぱい。キャミソールこそ隔てているが、その上からでもじんわりと温かさが伝わってくる。
「ほ、ほら……助手くん」
促すように、つる子が僕の目をじっと見つめてくる。
「……助手くん」
「……はい」
「あの…………や、優しくしてね?」
「……勿論です」
正直、理性はだいぶぐらついている。
くりっとした可愛いおめめに見つめられてなお平静を保てるほど、僕は出来た人間じゃない。
……でも、つる子を想う気持ちだけは、誰にも負けない自信がある。
どれだけ不埒な気持ちが生じようと、衝動に任せて一方的に犯すようなことは本意ではない。
そのことさえ忘れずにいれば、きっと大丈夫だ。
――そう自分に言い聞かせて、つる子の胸をさすり始める。
「痛かったら、すぐに言ってください」
「うん……」
下から上へ、円を描くようにゆっくりと。
つる子の表情に苦痛の色がないことを確認しながら、慎重に愛撫を続けていく。
「んっ……」
――もどかしそうな表情に、息遣い。
艶のある吐息に、否応なく情欲が高まってしまう。
「つる子さん……」
……唇を重ねて、そっと舌を挿し入れる。
つる子の小さな舌に触れると、ぴくりと一瞬身を強張らせた。……それでも、拒絶されることはなく、僕の舌を受け入れるように絡めてくれる。
――体温に柔らかさ、そして唾液の甘ったるさ。
どんどん舌がしびれていく。
あたまのなかがとろけていく。
「すき……じょしゅくん、……んっ、すき、すきぃ……」
とろんとしたつる子の声に、ますます意識が溶かされていく。
……ただひたすらに気持ちが良くて、ひたすらに幸せで。
頭の中が真っ白になってきて、何も考えられなくなってしまう――。
「――ぷはぁ」
つる子の小さな舌と自分のそれが、透明な糸を引いて繋がっている。
……頭がくらくらしておかしくなりそうだ。
「はー、はー、はー……」
焦点の定まらない目。荒い息遣い。
顔も身体も、どこもかしこも火照って赤く染まっている姿が、無性に愛おしい。
……好きだ。
好きで、好きで、仕方がない。
つる子が愛おしくて愛おしくて――気が狂ってしまいそうになるくらい好きだ。
「……つる子さん」
たまらず強く抱きしめてしまう。
「好きです。つる子さん……昔から、ずっと」
「……うん、知ってるよ」
そう言って、つる子が優しく頭を撫でてくれる。
……涙が溢れて止まらない。
恥ずかしさと情けなさと、嬉しさとが入り混じった感情がこみ上げてきて、そこからまた胸が詰まって……。
「ふふ、よしよし……助手くんは本当にお子様だなぁ」
からかうような口振りが、今はとても心地良い。
「本当に……ごめんなさい、つる子さん」
……つる子に言った『大人扱い』の意味が、これではすっかり変わってしまう。
「ううん、いいんだよ。
……あのね? 助手くんが『好き』ってちゃんと言ってくれてね……ワタシ、すごく安心したの」
互いが歳を重ねるにつれて、僕はつる子に対して少し突き放すような態度や、距離を取るような接し方をするようになった。
――つる子にとって、僕は『助手』だ。
彼女が自分を慕ってくれるのは、あくまで僕が『助手』として振る舞ってくれるから。……そう自分に言い聞かせて、つる子の良き『助手』であり続けようと努めてきた。
大学生になってからのルームシェアも、つる子の肉体にかかる負担を思えばこその提案で。
……気持ちを打ち明けられないならば、彼女を支え続けよう。それこそが僕にできる唯一の愛情表現だと、ずっと思ってきた。
けれど、今は――。
「……つる子さんに、もっと触れたい。触れさせてほしいし、触れてほしい……です」
つる子の手を取ってそう言うと、彼女は目を丸くして、顔を真っ赤にした。
「は、はわわ……」
……すっかりいつもの調子に戻ったつる子の姿が、なんだかとても微笑ましい。
――つる子が恥ずかしそうに目を伏せて、僕の手を握り返しながら呟く。
「……じゃあ、その…………『検証』の準備、続けてくれる?」
◆
つる子がころんとベッドに寝そべる。
無防備におなかを晒した姿は、撫でられ待ちの仔犬のようだ。
――キャミソールの裾から、そっと手を差し入れる。
おへその周りや脇腹を優しくさすってあげると、つる子はくすぐったそうな表情を浮かべて身をよじった。
……つる子の肌はすべすべのもちもちで、どこに触れても気持ちがいい。
――少しずつ上へと指先を滑らせていくと、やがてふにふにとした感触に行き当たる。
控えめで愛らしい、つる子のAAカップ。
手のひらサイズ未満のそれを、ゆっくり優しく揉みほぐしていく。
「んぅ……」
鼻に抜ける甘い声が、麻薬のように脳を溶かす。
……つる子をもっと味わいたい。
そう思った瞬間、気づけばキャミソールをめくり上げ、つる子の上半身を露わにしていた。
――白くてやわらかいおなかにキスをして、舌先でなぞっていく。
「〜〜っ……」
つる子の身体が小さく震えて、吐息が漏れる。
ゆっくり舌を這わせていくと、やがて小さな蕾に行き当たった。
「ひゃ……っ」
ちゅ、と音を立てて吸い上げると、つる子がびくっと反応する。
飴玉のように転がして、唇でそっと食んで……。
なんて甘くておいしいんだろう。……味なんてしないはずなのに、頭がそう錯覚してしまう。
「んん……助手くん、赤ちゃんみたい……」
つる子の言葉で我に返る。
……夢中になって舐めていたせいで、口元まですっかり唾液まみれの状態だ。
「……すみません、つい、……おいしくて」
訳のわからない言い訳をしながら顔を上げる。
すると、つる子は耳まで真っ赤にして目を逸らしていた。
「〜〜〜っ」
……恥ずかしそうに顔を覆って身をよじる姿がとても愛らしい。
覆いかぶさるようにして抱きしめると、つる子の小さな肩がびくっと震えた。
――つる子の匂いが鼻腔をくすぐる。
甘い香りにくらくらしながら、首筋に口づける。
……目の前のつる子が愛おしい。
――そう思った瞬間、彼女の白い首筋に噛みついていた。
もし自分が吸血鬼であったなら、そのまま血を吸っていたことだろう。
もぐもぐと甘噛みを繰り返しながら、ゆっくり舌を這わせていく。
「ん……っ」
……このまま食べてしまいたいくらいだ、なんて言ったら、流石に引かれてしまうだろうか。
そんな事を考えながら、僕はつる子への愛撫を続けた。