いつになく、助手くんが積極的だ。
普段はきっちりしてて、優しくて紳士的で、少しいじわるだけど頼りになる、そんな助手くんが――今は、いつもと違う表情で、すごく余裕なさそうに息を荒くしながら、ワタシの胸に首にと顔を埋めて、ちゅーしたり、やさしく噛んだり舐めたりしている。
その事実に、頭がクラクラして……心臓がドキドキしてきてしまう。
……助手くんの様子は、どこか甘えているような感じもする。
しっかり者の彼だからこそ、心のなかに幼い部分を封じ込めて、ずっとワタシに見せないようにしてきたんだと思う。
だから今、こうして本当の気持ちを垣間見ることができたのがとても嬉しい。
……同時に、今まで自分がどれだけ彼に甘えて生きてきたのかを思い知らされた気がして、申し訳ない気持ちにもなる。
夜中にホットミルクが飲みたいと言えば、助手くんが朝のコーヒーに入れるはずだった最後の牛乳を譲ってくれて。
なんだかお腹が空いたと言えば、食べようとしていたパンを半分割って分けてくれて。
寒いと言えば毛布をくれて、眠いと言えば抱っこしてくれて、高い所に手が届かないと言えば、ワタシを両手で持ち上げてくれて……。
……助手くん、『雨ニモマケズ』みたい。
「んふふ……」
「あ……すみません、くすぐったかったですか?」
「ううん、違うの。なんでもないよ?……なんでもないもん。ふふ……」
おかしなつる子さんだな、というような顔で助手くんが見つめてくるものだから、余計おもしろく思えてしまう。
「あのね……助手くん」
「は、はい」
……恥ずかしくてたまらないけど、しっかり目を見つめて。
ワタシの素直な気持ちが、助手くんに伝わるように、
そう願いながら言葉にする。
「ワタシね、優しい助手くんが……大好きだよ」
助手くんは一瞬目を丸くしながら、ワタシの身体を強く抱きしめてたくさんキスをしてくれた。
……ワタシも背中に腕を回して、精一杯抱き返す。
「……ん」
唇を離すと、助手くんはとても真剣な表情をしていた。
そっと彼の胸に指先を置くと、からだが少しだけ震えている。
助手くん、緊張してるんだ。
……安心させてあげなくちゃ。
どれだけしっかりしてても、ワタシよりずっと身体が大きくても、先にハタチになってても……ワタシと同じで、ぜんぜん大人じゃないもんね。
「助手くん、えっと――……コンドーム、つけてあげる。ほら、ひざ立ちになって?」
「……え、あ、はい……」
このあとワタシがしてあげることを考えるだけで、だんだん顔が熱くなってくる。
服のポッケから必要な道具を取り出して、ズボンを脱がせてあげて、パンツも下ろしてあげて、それから……。
「うぅ……」
「……つる子さん? えっと、恥ずかしいなら――」
「べ、べつに恥ずかしくなんてないもん……!」
これもワタシが大人になるための試練だ。
恥ずかしさも不安も、ぜんぶ飲み込む。
だって……助手くんと一緒に、ワタシは大人になるんだもん!
◆
助手くんのパンツをそっと下ろすと、立派に勃起したおちんちんが現れた。
……初めて間近で眺めるそれに、思わず息を呑んでしまう。
紙でもデジタルデータでもない、本物の男性器。
正直ちょっとグロテスク。……でも、助手くんのって思うと、不思議と怖さは生じてこない。
「先っぽ、カウパー出てる」
指でつんと触ってみると、びくっと震えてちょっと面白い。
……何度かつついているうちに、透明な液体が指先にまとわり付いてきた。
「おぉー……」
これがカウパー、もとい尿道球腺液……。ねとねとしてて、びよーんって伸びて……すごいな、人体。鼻水とかもそうだけど、からだの中から粘性の液体が分泌されるのって仕組みを知っててもなんだか不思議に――……。
「つる子さん、その、恥ずかしい、です……」
助手くんに声を掛けられて、ハッと意識が現実に戻る。
「あ、ごめんなさい……! そうだよね、おちんちん丸出しにして、ワタシに、じっと……見られて、て……?」
そうだ。
……おちんちんを出してもらったのは観察するためじゃなくて、『検証』として、……あと、いろんな理由から……ワタシと……助手くんが、セックスをするためで……。
「はわわわ」
全身がカーッと熱くなってきた。
これからワタシ……男の人とセックスするの?
「つる子さん、落ち着いて」
助手くんがやさしく頭を撫でてくれたおかげで、少しずつ理性が回復してきた。
……そうだ、誰ともつかない『男の人』じゃない。ワタシは助手くんと、ワタシの意思で一緒に『する』んだ。
「……だいじょうぶ。ありがとう、助手くん」
そう言って笑いかけると、助手くんも優しく微笑んでくれた。
「よかったです。……えっと、ゴムは」
「――ちゃんとつけてあげる。……助手くん、もう一度ひざ立ちになってくれる?」
つい割り込んでしまった。……だって「自分で付けますから」とか言い出しそうな顔してたんだもん。
「……無理はしないでくださいね?」
「ちょ、ちょっと混乱しちゃっただけだもん。もう大丈夫だもん」
改めて、姿勢を直した助手くんと向き合う。
「おちんちん、ちょっとへたってきちゃったね」
このまま触って大きくしてもいいけど……そうだ。
――着たままだったキャミソールを、思いきって脱いでしまう。
「ほ……ほら助手くん、助手くんの大好きなワタシのおっぱい、だよ……?」
どきどきしながら、自分のそれを助手くんのおちんちんに押し当てる。
「むぎゅーっ」
腰に手を回して抱きつくと、ぴくりとわずかに反応があった。
「んっ……」
そのまま、ゆっくり押し込むように胸へおちんちんを押し当てていく。
ぐにゅぐにゅ、むにゅむにゅ。……ちょっと硬くなってきたかも?
「助手くん、どう? ……おっきくできそう?」
「せ……せめて手で……お願いします……」
「えー」
面白くなってきたところなのに……。
でも、すっごく恥ずかしそうにしてるし……やめといてあげよう。意地悪は子供がすることだもん。
「……わかった。じゃあ、今度はなでなでしてあげるね」
自分のからだをそっと離して、おちんちんをしっかり支えて……。
「よしよし……もう少しだよ。がんばれ、がんばれ……」
優しく上下にさすってあげたり、先端を手のひらで包んでみたり、指先でなぞったり、えーと、あとは……。
「っ……! つ、つる子さん、ちょっと……!」
ぺろっと一瞬なめただけで、助手くんが腰を引こうとする。
「あっ、逃げちゃだめ!」
……すかさず腰に手を回して、抱きつくみたいに捕まえる。
そのまま、おちんちんをはむっと咥えて――。
「…………っ」
「ふふ……じょしゅくん、びくってひひゃうね」
ワタシの舌が当たるたびに、腰もおちんちんも小さく跳ねて――それがなんだかうれしくて、もっと舐めたくなってしまう。
「れーっ……」
ゆっくり全体を舐めてあげると、助手くんの腰が反り返って、おちんちんがぴくっと震える。
「っ、駄目です、つる子さん……っ、これ以上は、本末転倒っていうか、んっ」
「もーひょっとらけー」
口にしょっぱさが広がってきたけど、やめようとは思わない。……むしろ、もっとしたくなる。
舐めるだけじゃなく、キスしたり、ちゅうっと吸い付いたり、唇で軽くはむはむしたり……。
そうするたびに助手くんのからだかびくびく震えるのが楽しくて、それに――。
「んっ、だから……つる子さん、そろそろ止めて……」
甘い声を漏らしながら弱々しく抵抗してくる助手くんが可愛くて、やめどきが分からない。
でも、このまま続けていたらじきに射精しちゃうのも時間の問題だろうし……物足りないけど、この辺で止めておこう。また今度じっくり触らせてもらえればいいもんね。
「――ぷぁっ」
口を離した瞬間、助手くんの体がへなへなと崩れ落ちた。
……あ。唾液、糸引いてる……。
「夢中になりすぎ、です……」
……助手くん、なんかえっちだ。
顔が真っ赤で、息も荒くて、目はうるんでて、汗ばんでて。
……それでも快感を堪えながら、ワタシをしっかり見つめてくれてて……。
「…………」
どきどきする。……ううん、それだけじゃない。
おなかの奥がきゅうんってしてて、頭がだんだんぼうっとしてきて、ちょっとだけ胸が苦しくて、からだがとっても切なくなって……。
「……つる子さん、どうしました?」
「あ、えっと……なんでもない」
「……そう、ですか。
じゃあ……ゴム、付けてもらえますか?」
ベッドの端に寄せて置いていた小さなプラスチック製容器を、助手くんが丁寧に開封してくれる。
使い捨てコンタクトレンズのようにも見えるそれには、しっかり潤滑剤とポリウレタン製コンドームが込められていた。
「……いいですよね、これ。一見ゴムって分からないし、袋と違って下手に破けちゃう心配も無くて」
いつもなら嬉々として話題に乗っかるところだけど、今の助手くんの発言は……なんとなく、ワタシを気づかってくれてるように感じる。
ワタシがまた意識しすぎて混乱してしまわないように、『検証』を少しでもスムーズに進められるように……。
そう思ってしまうのは、考えすぎかな……?
「助手くん、ポリウレタンだよ、これ」
「まあ、俗称といいますか……」
「……ふふ、そのくらいわかってるもん」
サブタイトル「男性器の勃起プロセス」にしようとしてたけど、でも最初から描写してないしな…詐欺では? となり、とりあえず今のやつを当てはめた次第。
投稿時点でまとめて書けてるのがこのエピソードまでなので長いこと続きが出なかったらそれとなく執筆を促してほしい(わがまま)。
ここまで読んでくれてありがとう!