薄い被膜がくるくる降りて、徐々にペニスを覆っていく。
……ゴムを着けられているだけの今も、気を抜いた途端、気恥ずかしさと快感が意識をぺろりと飲み込んでしまうのではないか――なんて思ってしまう。
――小さな手指で触れられる度、否応無しに身体が跳ねる。
細い指先で撫でられる度、たまらず声が漏れ出てしまう。
これでよく達してしまわずに済んでいるな、と我ながら不思議で仕方が無い。……いや、つる子を想うからこそなのか。
「よし、きれいに収まったね」
……今、もしかしなくてもゴム越しに口づけられた?
……ああもう! 照れ屋なくせに、こういうことを平気でしてくるあたり根が純粋というかなんというか……!
「その……じょ、助手くん」
口をシーツで拭ったつる子に、上目遣いで見つめられる。
……頬の色こそ真っ赤なものの、彼女の蒼い瞳からは、決意と覚悟が伝わってくる。
「あのね……――『検証』、おねがいします」
◆
スキャナーの操作は簡単だ。
まず専用器具のスイッチを入れ、エコーの要領でスキャンしたい場所を上から撫でる。
――すると、データがペアリングしたスマホに送信され、アプリを通して表示される。
断面の形状、膣のサイズ、予測される感触……その情報のどれもが、僕を煽るには充分だった。
「うぁ……助手くんのおちんちん、またおっきくなってない……?」
枕に頭を預けたつる子が、今にも「はわわ……」と声を上げそうな表情で言う。
「……正直、とても興奮しています。『検証』そっちのけで抱き潰してしまわないか、なんて思ってしまうくらいには」
つる子は一瞬きょとんとして、それからくすりと微笑んだ。
「やさしくしてね? ……下手したらワタシ、ほんとに潰れちゃうもん」
その表情はとても穏やかで、まるで慈母のようであり、あるいは無垢な子供のようでもあり……。
――『検証』なんて名目抜きに、今すぐこの人を抱きたい。
そう思わせるだけのものがあった。
「つる子さん、愛してます。……こんな形で交わる前に、もっと素直になるべきでした」
自嘲気味に言いながら、つる子の脚をそっと広げる。
――つるつるぷにぷにとした、ピンク色の秘所が顕わになる。
既に充分すぎるほど濡れているけど、念の為軽く慣らしておいた方がいいだろう――そう思って、指をゆっくり挿し入れていく。
「んっ……」
――温かくとろとろとした液体に、指先が沈み込んでいく。
とてもなめらかで、それでいてやわらかい未知の感触。ともすればこの世のどんな物質よりも柔らかいのではないかと錯覚してしまいそうなほどだ。
「……少し動かしますね」
「うん……」
浅いところの内壁をなぞるように、そっと指を動かしてみる。
「ん……っ」
アプリによれば、つる子の入口付近はヒダが多く、強めの刺激が得られるということなのだが――なるほど、確かにこれは……。
ごくり、と唾を飲み込んでしまう。
「……つる子さんは大丈夫ですか? 気持ち悪いとか、痛いだとか……」
「うん……大丈夫。このくらいなら、自分で触ることもあるから……」
「そ、そうですか……――まあ、ですよね……」
こんな見た目をしてはいるけど、つる子だって成人だ。となれば、一人でそういうことをしていても何らおかしいことはない。
でも……彼女が一つ屋根の下、この小さな身体で自慰に耽る姿を想像すると、なんとも言えない感情が湧いてくる。
「助手くん、ほんとは早く入れたいんでしょ」
例のスマートウォッチはもう外しているはずなのに、つる子が僕の心を読んだかのように言う。
「……それとこれとは別です。ちゃんと解しておいた方が、受け入れやすくなりますから」
「ふふ……。ワタシ、助手くんのそういうとこ、好きだな」
――安心しきったような声色。
この人は本当にずるい。……そんなことを言われてしまえば、否が応にも
「……つる子さん、奥まで挿れたら『本番』に移りますから、そのつもりで」
――再び指を進めていく。
さっきよりも、奥へ、深くへ。
ゆっくりと呑み込まれるような感触。もし、これが指ではなかったら……?
――瞬間、全身の血流が激しくなる。
自分のモノが、ぬるりと温かい粘膜に包まれていく。すっぽりつる子の膣内に収まって、ひたすら甘く熔かされて……。
「……っ」
……そんなことを想像して、脳にぞくぞくとした痺れが走る。
「ん……助手くんの指、長いね……」
どうやらつる子自身では届かない場所まで、既に到達していたらしい。
……僕の指を飲み込んだままのそこは、彼女の呼吸に合わせて、ゆっくり収縮を繰り返している。
心地良い温もりと柔らかさは、ずっとこのままでいたいと思うほどに気持ちいい。
「……もう少しだけ動かしますよ」
――くりゅくりゅとかき混ぜて、あるいは前後に出し入れして。
少しずつ着実に、つる子の膣内をほぐしていく。
シーツをぎゅっと掴んだ手も、撫でて緊張を解きほぐして――そのまま安心させるように、指を絡めてしっかり握る。
「ぁ……助手……くん、えへへ……」
つる子の表情がふにゃっと緩んで、身体から力が抜けていく。……心做しか、指への抵抗感も弱まったような。
「つる子さんが大丈夫ならそろそろ、と思うのですが……」
「……うん」
つる子が、繋いだ片手を握り返してくる。
……柔らかくて、あたたかくて、とっても小さな可愛い手。
その温もりと感触に、胸がきゅうっと甘く疼く。
……ずっとこうしていたい。けれど、早く先へ進みたくもある。そんな相反する気持ちを抱えながら、ゆっくりと指を引き抜いていく。
「ん、っ……」
――指先から、徐々に温もりが消えていく。
ちゅぽっと音を立てて引き抜かれたそこが、つる子の呼吸に合わせて小さく収縮を繰り返す。
「なんていうか、その……すごくドキドキします」
ひくつく膣口から透明な蜜が溢れて、シーツに絶えず染みを作る。
……情交の準備が整ったと、つる子の未成熟な肉体が告げている。その事実が、僕をこれ以上なく昂らせた。
「……つる子さん」
繋いだままの片手をとって、そっと指先にキスをする。
「なるべく……ゆっくり、優しくするつもりです。……でも、僕も初めてですし……それに」
――つる子の瞳をまっすぐ見つめて、言葉を紡ぐ。
高鳴る心臓を懸命に無視して、努めて冷静に、慎重に。
彼女にとっての最終通告。
自分の正直な気持ちを、飾らず、誤魔化さず、ありのまま伝える。
「……ずっと我慢してきたので、果たしてどこまで理性が保つか……正直なところ分かりません。だから――」
「ワタシだって、もう大人だもん」
ぷくっと頬を膨らませて、つる子が言う。
その声色はいつものように可愛らしく、僕を見つめる表情はどこまでもあどけない。
……けれど。
その眼差しは僕を射抜くようにして、まっすぐ突き刺さってくる。
「……一緒にオトナの階段を昇る相手くらい、ワタシ……ちゃんと選べるもん」
……奥手な彼女が、初めてのセックスに挑む決意をした。
一生懸命僕を誘って、この段階まで持ち込んだ。
その時点で、答えなんて明白じゃないか――。
「……つる子さんは、本当に立派な大人ですね。僕みたいなお子様とは大違いです」
彼女の額にキスを落として――握りっぱなしだった片手を、シーツの上にそっと戻す。
「つる子さん――痛かったり辛かったりしたら、遠慮なく言ってくださいね」
「ふふ……助手くん、お医者さんみたい」
くすりと微笑むつる子を見たら、緊張が少し和らいだように感じる。
「じゃあ……『検証』、始めますね」
◆
――つる子の腰を持ち上げて、そこに部屋のクッションを差し込む。
「すみません。少し恥ずかしいかもしれないですけど……」
「べ、別に恥ずかしくなんかないもん。……大丈夫だよ? 大丈夫だもん。大切なことだもん」
赤面しつつも、つる子はそう答えてくれる。
「……ありがとうございます。ええと……つる子さん、脚をもう少し開いてくれますか?」
「ん……」
ゆっくりと開かれたそこは、相変わらずのつるつるすべすべ。
幼児特有のぽっこりとしたおなかに連なる、ぷにぷにとした可愛らしい恥丘。そのほとんどが包皮に隠れた、慎ましやかなクリトリス。
そして――。
「じょ……助手くん、そんなにじっと……うぅ……」
小さな穴から覗かせるピンク色の内壁が、僕の興奮を掻き立てる。
……指ならまだしも、本当にここへ自分のモノが?
「っ…………」
一気に押し込んで、ぐちゅぐちゅに中をかき混ぜてやりたい――そんな衝動を追いやりながら、つる子の脚をそっと支える。
「……大丈夫です。ちゃんとゆっくり進めますから」
――つる子の秘所にペニスをあてがう。
軽く深呼吸をすると、わずかにラベンダーの香りを感じた。
頑張れ僕の副交感神経。今は我慢だ交感神経。
「……挿れますね」
狭い入口にゆっくりと、先端だけを沈めていく。つる子が痛そうにしていないことを確認しつつ、慎重に、慎重に。
少し進めて、引き返して。……焦れったくはなるけれど、ちょっとずつ擦れていくヒダが気持ち良くもあって。
「そういえば入口の方、細かいヒダが多いって……」
スキャン結果を思い出す。
予測通りなら挿入部近くは刺激が強めで、ジョリジョリとした感覚が得られるとか――。
指で触れた時にもそれらしき触感はあったけど、いざこうして
「ん……――おちんちん、びくってしたかも」
ジト目のつる子に指摘される。
……眉毛と口元の動きが、なんとも複雑な心境を物語っている気がしてならない。
「……つる子さんは天才です、とだけ」
「〜〜〜〜っ……」
片手で口を覆いながら、恥ずかしそうにそっぽを向くつる子。
……その姿を見下ろしながら、再びゆっくり腰を進める。
つる子の呼吸に合わせるように、ゆったりしたペースを心掛けつつ、先端だけを何度も出し入れしていく。
「痛み、とか……今のところ平気そうです?」
「……うん。ちょっとむぎゅって感じだけど……痛い感じとは、違うかも。……助手くんがちゃんと、準備……してくれたおかげ、かな……」
ふふ、と穏やかに微笑む顔が、とても大人っぽく見えて――性的な興奮とは違うドキドキとした感覚が、心臓から昇ってくる。
「あ、照れてる」
「世界一可愛い女の子からお褒めの言葉を賜ったので」
声にならない声を上げながら、つる子が両手で顔を覆う。……本当に可愛らしい。あとで嫌というほどキスしてやる。
「……ふふ、そこのお姫様、どうかされましたか?」
「うぅ……」
指の間から覗く視線が、僕をじっと見つめている。
羞恥に顔を赤らめながら、それでも逸れる事はなく――「いいから早く」と訴えてくるようで、 思わず苦笑してしまった。
「すみません……もう少し奥に進めますね」
「……うん」
つる子が息を吐いたのに合わせて、若干ながら腰を押し込む。
――押し返すような抵抗感。その度ゆっくり後退しつつ、また少しずつ中へと侵入していく。
寄せては返す波のようだ――なんて陳腐な表現しか思い浮かばないが、 つる子の呼吸に合わせるようにゆっくりと、確実に飲み込まれていく感覚に、そんな感想を抱いてしまう。
「……助手くん、ワタシの真ん中のほう……予測通りで、やっぱ……ぎちぎち?」
「うーん、『狭くて締め付けてくる』というよりは、抵抗感といいますか……ちゃんと評価を下すためには、もう少し馴染ませる必要がありそうです」
「ん、そっか……――早く慣れてくれるといいな」
――つる子が困ったように微笑みながら呟く。
痛みこそ生じていなくても、やはり辛さはあるのだろう。
「……あんまり苦しいようであれば、また後日改めてチャレンジしましょう。検証結果の提出は、早いに越した事はないかもしれないですが……それでも、つる子さんの身体が第一ですから」
つる子のお腹を優しくさする。
……絵画に描かれた天使もかくや。くすぐったそうにする彼女の姿は、とびきり無垢で愛らしい。
「ありがとう。……えへへ、ワタシのはじめての人が、助手くんで本当によかったなぁ……」
「――――……っ」
この人はどうして――こう、僕の心をかき乱すんだろう。
……これ以上僕を惚れさせて、一体どうするつもりなんだ?
「あのね……助手くん、続きして? ……大丈夫だよ、ほんとにダメって思ったときは、助手くんにちゃんと教えるから。ね?」
子供を安心させるような口調で、つる子が僕の目を見つめて言う。
そんなふうに言われたら、僕は何も言えないじゃないか。
「……絶対に約束ですからね。嘘ついたら針千本……は無理なので、そうですね――……あ。貰い物の、それは大層エキゾチックな風味の……有り体に言えばエグくてヤバい味のお茶が実は冷蔵庫の奥にあるんですけど」
「ウソツキマセン、ツルコ、トッテモイイコ」
球状ロボットのようなトーンの返事に苦笑しながら、つる子の髪をそっと撫でる。
――甘えるような声を漏らすと、彼女は僕の手にすり寄ってきた。
「えへへ……――ねぇ助手くん、このままぎゅーってしながら奥まで挿れて? そうしたら……きっとね、おたがい安心できると思うの」
「……分かりました」
ペニスを軽く引き抜いてから、つる子の華奢な身体を抱き寄せつつゆっくりと挿入していく。
――ゴム越しにも分かる熱さとぬめり、そしてつる子の甘い吐息。
――背中に回された細い腕、体温、そして重なる唇。
どれもこれもが心地良くて……そして、とても愛おしい。
「……つる子さん、……多分、可能な限りは……」
「うん。……さっき指、このへんまで来てたもん。……助手くんのおちんちん……奥まで、ん、……ちゃんと、入ったね?」
――つる子の深い呼吸に合わせて、膣内が収縮を繰り返す。
温かくて、やわらかくて――なんだか涙がにじんでしまう。
……それもそうか。だって誰より愛する人が、全身で自分を抱きしめてくれているんだから。
「なんていうか……動きたくなくなっちゃいますね。スキャナーの精度、ちゃんと確かめなきゃいけないのに……」
「……ふふ。助手くんの声、こたつにいるときみたいだね。ワタシの中、そんなに気持ちいい?」
ミルクのような甘い香りと、優しく髪を撫でられる感覚に、頭がくらくらかき混ぜられて――駄目だ、でも、いや……。
「……もっとぎゅーってしていいよ」
促されるまま、彼女の身体を強く抱きしめる。
……そのまましばらく抱き合っていると、静かに音が聞こえてくる。
とくん、とくん、とくん、とくん――……。
メトロノームのように規則正しく、穏やかなリズムで鼓動が鳴る。
……つる子の小さな心臓の音。それが僕の身体の中に、響いて、溶けて、広がって……ああ、今この瞬間ほんとうに、彼女と一つになっているんだ……。
「助手くん、その……キス、したいかも……」
恥じらうような声とともに、つる子が背中をさすってくる。
……可愛らしいおねだりを受けてようやく、身体を離す決心がついた。
「はい。……ふふ、今日だけで、一生分のキスをしてしまっているような気がします」
「……明日もいいよ。明後日も、しあさっても、その次も……ずーっと」
「そ、それは流石に恥ずかしいです」
「ワタシは別に恥ずかしくなんかないもん」
――お互い顔を見合わせながら、くすりと笑う。
ちゅっと軽く口づけて、そこから徐々に、ゆっくり深く。
……甘い唾液が舌に絡むと、ぴりぴり頭が痺れてくる。とろけるような心地良さが口いっぱいに広がって――その感覚を受けて身体が、ぴくりと無意識に反応して……。
「……ぁ、助手くんの……んっ、ふあぁ……」
熱っぽく吐息を漏らしながら、つる子も腰をびくつかせる。……そろそろ頃合いかもしれない。
「つる子さん、少し……動きますね」
「うん……。――んっ、〜〜〜〜……っ」
再び小さな入口からゆっくりと、奥を目指して進み始める。
馴染ませるように、慎重に――……その度カリと裏筋が、つる子のヒダに引っかかれる。
……この快感だけで射精してしまうんじゃないかと思うくらいに、刺激が強くて気持ちいい。
なんとか快感を堪えつつ、次はつる子の中腹へ。
……さっきの刺激に比べれば、この辺りはわりとおとなしい。
しかし、ゆるやかに包まれる感覚は、これはこれでと思えるもので――いや、個人的な感想はともかく、一度つる子に伝えておこう。
「つる子さん……スキャナーの予測データ、まだ正確とは言い難そうです」
「そう……なの? ……具体的には……どのあたりかな」
呼吸をやんわり乱しながらも、研究者としてのつる子が臆せず僕に問うてくる。
――彼女に敬意を表すためにも、率直な意見を返すべきだろう。
「全体的に強めの締め付け感が得られる、というようなことが言われていたはずなんですが――入口こそ狭いものの、奥に進むにつれて……そうですね、ゆるやかな圧迫感と言いますか……。思っていたほど、ぎちぎちぎゅうぎゅうとはしていない――という印象です」
「ん、そっか……。まだ改善の余地ありだね。……AIのデータが不十分なのかな。 ワタシみたいな体格だと中身もちいさいから、そのぶん狭いイコール締め付けも強いって解釈に至りやすい……?」
僕の目なんかまるで見ずに、顎に手を当てながらぶつくさと呟くつる子――『性行為の最中』として見れば、情緒もへったくれもない行動だろう。
でも、これはあくまで検証行為。建前的な部分はあれど、それでも開発中の道具に対して『性能検証』を行っているのというのもまた事実に他ならない。
……僕は無邪気で素直でちょっぴり幼い、可愛いつる子を愛している。
だけど、つる子の魅力はそれだけじゃない。
興味に対してとても真摯で、探究心があって、努力家で――そんな彼女の姿にだって、昔からずっと惹かれてきたんだ。
「つる子さん、もしもし」
――もちもちとした頬をそっと撫でて、意識をこちらに呼び戻す。
やってしまったというような顔で、つる子が「はわわ」と声を上げる。
顔を真っ赤に染め上げて、眉を大きく下げながら、唇はぷるぷると震えていて――嗜虐心をくすぐられながらも、ぐっと抑えて頭を撫でる。
金色の髪を梳くようにしていくと、身を捩らせながらも気持ちよさそうに目を細めてくれた。
「また後で、落ち着いてから一緒に検討していきましょう。一番奥も残っていますし……」
つる子はこくりと小さくうなずいてから、恥ずかしさを誤魔化すように両手を僕に差し出してくる。……ゆっくり身体を近づけていくと、そのままむぎゅっと抱きつかれた。
「……その、ええと……――つる子さんさえ嫌でなければ……続きはキスしながら、とか……」
「……うん、いいよ。ふふ……助手くん、ちゅーするの大好きになっちゃったね?」
彼女はからかうように言って、僕の頬をそっと撫でる。
「ワタシも。助手くんが『つる子さんだいすきー』っていっぱい思ってくれてるのがね、ワタシにたくさん伝わってきて……ふわふわーって嬉しくなるもん」
照れくさそうに笑うつる子の顔に、心臓がきゅんと跳ね上がる。
ずっと想いを寄せていた相手が、好意を喜んで受け取ってくれる――これ以上の幸せは、今の僕には思いつかない。
「えへへ……最後までよろしくね」
返事の代わりに唇を重ねる。――同時に、いよいよ腰が最深部へと沈み始めた。
「ん……――ぁ、ふあぁっ、んっ、あ――……」
キスをするたび、腰を進めるたび、つる子の身体がぞくぞくと震える。
安心感から来ているのか、快感がそうさせているのか――あるいはその双方か。弛緩しきったつる子の身体は、もはや僕を受け入れるだけでも精一杯のようだった。
「つる子さん――もう少しだけ、頑張ってくださいね……っ」
ヒダに優しく促されながら、奥へ奥へと誘われていく。
……うねうねと絡みつく温かな感触が心地よい。
つる子が呼吸をするたびに、僕のペニスに彼女の体温がじわっと染みこんできて――なんというか……他人と交わるってこういうことなんだ、と妙に納得させられる。
「気持ちいい……です。温かくて、やわらかくて――つる子さんが、今ここに生きてるんだって……」
「……うん、ワタシも……。ぽかぽかしてて、きもちくて……んっ……ぁ、助手くんの……奥、きたぁ……っ」
ついに再び到達することができた、事実上の行き止まり。これ以上ペニスを沈めていくことは、少なくとも――僕が相対している現実では、困難であると言えるだろう。
……それでも少しだけ押し込むように動かして、最深部の『検証』に入る。
「つる子さん、しばらく少しこうするので……痛いだとか、滲みるだとか……そう思ったら、……すぐに、伝えてほしいです……」
押し寄せる快感を堪えながら、慎重に内部を探っていく。
ゴム越しだからか、予測されていた『イボのような刺激』というのは少し控えめな気もするけど、もう一つ出ていた『亀頭へのホールド感』……なるほど、この吸い付いてくるような感覚だろうか。激しくはないものの、射精感を煽られる。
「……あうぅ、……助手くん、くりゅくりゅしすぎ……」
ぴくん、と腰を震わせて、つる子が甘い声を上げる。……嫌がる様子は無いけれど、ここで図に乗る道理もない。
少しだけ腰を引きながら啄むようなキスをすると、つる子の顔にふにゃりと微笑みが広がった。
「えへへ……はずかしいよぉ」
……つる子の誕生日をサプライズで祝った時も、同じ反応をされたっけ。
つまり今、それに匹敵するほどの嬉しさをつる子は感じてくれているわけで――。
「……可愛すぎる」
キュートアグレッション、という言葉もあるくらいだ。つる子に対して沸き起こる攻撃的な欲望や衝動は、その是非はともかく――ある程度は『生じて当たり前』とも言えるのだろう。
……しかし、それを表に出すべきではないという理性はある。だから僕はなるべく紳士的に振る舞おうとしていたのだけど。
「……もうおしまい?」
――潤んだ瞳をまっすぐこちらに向けて、そんなことを言うものだから。
「つる子さん……どうしてあなたは、こう……!」
吹けば飛ぶような理性の壁は、既に崩落寸前だ。
越えてはならない最後の一線。それを侵してしまった時、僕はきっと取り返しのつかない後悔をするに違いない。
「――だいじょうぶだよ」
……なのに。
「大丈夫じゃなくても……ぜんぶきみのせいにしてあげるから」
なのに……。
「えへへ……助手くん、がんばってくれてありがとう。
――いいよ。もう、すきにして?」
本当にこの人は……!
「…………」
よし、落ち着け。まず一旦落ち着こう。
――深呼吸。
……ほんのり枕からラベンダーの香り。おさなげな体臭や汗が混じった、つる子の身体の甘酸っぱい匂い。
――眼鏡の位置。
……お気に入りの伊達眼鏡。つる子に似合うと褒めてもらった、僕の大事な宝物。
よし。……ついでに体勢も整えて、あとは軽くコーヒーでも――――……。
「………………飲めない!!?」
「ふふっ……助手くん、おもしろーい」
目の前のつる子がくすくすと笑う。
……事後ならともかく、してる最中にコーヒーって。いたって自分は冷静です落ち着きましたというような素振りをしておきながら、どれだけ現実から目を背けたいんだ僕は……。
「あのですね、つる子さん……意味分かって言ってます?」
「……――ううん、ぜんぜんわかんない。つる子、見てのとーりコドモだもん。えー、どーいう意味かなぁ〜?」
露骨が過ぎるすっとぼけフェイス。……就職先に困ったら洋菓子店のマスコットキャラクターとして店先に置いてもらえるんじゃないだろうかというほどの、見事なまでのテヘペロ顔だ。
「つまり……その、こういうことですよ?」
――唇を重ねて、すかさず舌を差し入れる。
つる子の小さい口腔内は、すぐに僕のものでいっぱいになってしまう。少しだけ無理やり押し込むように舌をぐにぐにと絡ませて、二人の唾液を混ぜ合わせて――。
「んぅ! ――えへ、……んー、ふふふ……」
比較的激しいキスにもかかわらず、はしゃぐような声を漏らしながら、僕のキスに応えてくれるつる子――くそ、なんて愛おしいんだ。こうなれば口の中だけじゃなく、髪もわしゃわしゃかき混ぜてやる。
「もー、ぼさぼさになっちゃうよぉ」
「ふふ……また整えてあげますから。なんならあとで洗ってあげます」
「ほんと? ……じゃあ二人でお風呂入ろ? ワタシも助手くん洗ってあげる」
他愛もない会話をしながら、啄むようにキスをする。そうしているうちに、気付けば互いに抱き合っていて――。
◆
「んっ、……ふぁあ、助手くん、助手くん……っ」
つる子の小さな身体を抱きしめて、その中に自身を埋め込む。……なんて背徳的で罪深い、しかし幸福に満ちた行為だろう。
この上ない多幸感に包まれながら、やがて訪れる快楽の頂点へ向けて、最後のストロークを繰り返す。
――互いの息遣いと粘膜の擦れ合う音が、静かな部屋に響いている。
ぱちゅん、ぱちゅんと水音が鳴るたび、つる子が切なげに身を捩る。
つる子の小さな膣穴に挿入されたペニスが、そのたびにキュッと締め付けられる。
その刺激がたまらなくて、同時にとても愛おしくて――。
「……好き、好きです…………つる子、好きだ……!」
『助手』の自分が剥がれ落ちる。
……これまで抑えつけていた感情が溢れ出す。
「う、んっ……ワタシも、だいすきっ、助手くん……っ」
――つる子も僕を抱き返してくれる。
小さな両手で僕の背中を撫でてくれる。
僕の耳元で囁いてくれる。
――僕のすべてを受け入れてくれる。
つる子とひとつになれた喜びと、つる子を独り占めできる幸せ。
つる子に対する愛情、劣情、支配欲、庇護欲――矛盾するような感情がないまぜになって、身体中を駆け巡る。
「ぁ、ぁ、じょしゅくんっ、ふあぁ、ぁ……!」
擦り付けるようにして互いを刺激し合うと、つる子の膣内がびくびくと痙攣する。
ああ、射精を促すように収縮を繰り返しているんだ――こんなに小さな体躯が精液を搾り取ろうとしている事実に頭がくらりとした瞬間、目の前が真っ白になると同時に熱いものが吐き出された。
「あっ、うあ、あぁ……っ」
つる子も絶頂を迎えたのか、体を震わせて声を漏らしている。
そんな彼女の姿に煽られたらしい。射精しながら無意識に腰が何度も揺れてしまう。
「っ、く……」
――ようやく落ち着いてきたところでゆっくりと引き抜けば、つる子が小さく身震いしながら熱い吐息を漏らす。
局部に目をやれば愛液がどろりと滴り落ちて、洗濯したてのベッドシーツに情交の跡を残している。そのなんとも淫靡な光景に再び欲が首をもたげそうになるのを抑え、ティッシュペーパーに手を伸ばす。
「つる子さん、ちょっと失礼しますね……」
……少し拭き取りづらいな。これなら一旦濡れタオルを用意してくれば良かったかもしれない。いや、それならこのままシャワーを浴びせた方がいいのか? なんなら風呂を沸かそうか……それより水分補給が先か、お互いだいぶ汗をかいてしまったし――。
ああもう、行為を終えた瞬間これだ。我ながら情緒もくそもない。考えなしに口を開けば「ところで明日の夕飯ですけど」なんて言葉が飛び出そうだ。
「……大丈夫ですか、つる子さん」
腰の下に敷いたクッションを回収しながら、彼女に尋ねる。
「ん、ちょっとつかれちゃった……。じょしゅくん……ワタシ、ねむ……」
――程なくして、すやすやと愛らしい寝息が聞こえ始めた。
脳内物質の分泌による眠気の誘発、そして気力と体力を使い果たしたことによる電池切れ。
……標準的な成人女性ですら性的活動の後はこうなりかねないのだから、彼女の小さな肉体で受け止めるには、快楽も疲労も不釣り合いなほど大きな負担だったに違いない。
「……お疲れ様でした。おやすみなさい」
労るように髪を撫でて、そっと毛布をかけてやる。
このまま眠りにつくつる子を見守っていたかったが、そういうわけにもいかない。
さっさと後始末を済ませて、レポートのメモをまとめなければ――。
「スキャン結果」及び「実際の挿入感」の描写に関して参考にさせていただいたページ一覧:
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=289679&uid=381757
※最終部分のあとがきとして投稿した活動報告
原作もとい実物に関して使用・実践(実戦?)が困難な体質というのもあり複数のサイト(レビュー)を色々参考にさせていただきました。
苦情、意見、感想、誤字脱字などの報告や評価などもお待ちしてま〜す
匿名でメッセージ送信する場合はこちら:
https://odaibako.net/u/revosiemit
─────
このパート投稿当時のあとがき:
うわぁ! いきなり続きを出すな!(デスノートコラ)
※約8ヶ月ぶりの更新でした
いつ出せるか分からないので書いておくと、このあとエピローグが入っておしまいの予定。
「お風呂に入りながら昨夜の振り返りと互いのこれからについての話をする助手くんとつる子」というあらすじは決まってるけどほとんど下書きが無い!!!! つらい
あと本編と関係無く作ってたすごく短い短編が2つある(ひたすら二人でちゅっちゅ、酔ったつる子に全身ちゅっちゅぺろぺろされる助手くん)のでおまけとして放出する可能性がある。
ところで自分、世話焼きツンデレ男性好きすぎないか?(今更?)
実物の"使用感"に関して参考にさせていただいたサイトが複数あるのであとで活動報告かどこかにまとめます(まとめたらここにリンクさせます)