転生チートオリ主による忍界エロ紀行 作:悪道・路線外
何も無い真っ白な空間。
そこで出会ったのは一人の老人だった。
「これをやろう。なぁに、其方の望み通り男のままにしてやろう」
老人はそう言って自分に対しある物を手渡した。
それは紫色の波紋が浮かぶロイコクロリディウムが寄生したような妙な形の二つの眼球だった。
「では、愉しんで来い」
※
気が付いたらモブはおろかメインキャラにも厳しいNARUTOの世界に転生していた。
「ふぁっきゅー」
思わず口から汚い言葉が飛び出す。
失敬、これでもまだ丁寧な方だ。本当ならばもっと口汚く神を罵りたいぐらいなのだから。
それでも罵らないのはその神様に力を貰ったからで、最低限の義理だけは果たしているからだ。むしろここで神を罵って力を剥奪されるのだけは勘弁だ。
それでもまだマシな方か。世の中には力を与えた結果、欲に溺れて自滅する転生者を見て酒の肴にするような神も居るのだから。
「取り敢えず、どうするべきか」
神の特典のおかげと言うべきか、自分にはかなりのチャクラを有している。
と、いうのもこの身体は【Fate/】の朔月美遊のものだからだ。正確に言えばその現身とでも言うべきか。
全てがその通りというわけではない。性別は男だし、何よりサーヴァントのスキルも使用可能だ。
どちらかというと朔月美遊の霊基で転生したといった方が正しいのだろう。
そしてそのついでに輪廻眼もある。これでチートではない方がおかしい。
「それでも油断できないのがこの世界なんだよなぁ」
そもそもとして朔月美遊のクラスはキャスター、そして戦闘をサポートするサファイアは無い。
スキルとして使用は出来るから問題は無いけど、やっぱり人格付きステッキがあった方が良かった気がする。
「独学でやるには色々とキツイしなぁ…………」
残念な事に自分は忍びの家系では無い、それどころか忍び里で暮らしていない一般人だ。
だから今がどの時代なのかもよく分かっていない。噂で木ノ葉の黄色い閃光がとか流れているから多分三代目火影が現役だった頃だろうが。
「取り敢えず今は何とかして忍術とかを何とか覚えないと」
幸いな事にスキルが使える上に輪廻眼もある為、現時点では問題無いと言えば問題無いのかもしれないが、それでも手札は多い方が良い。
そして出来る事なら大筒木一族に対する戦力も確保した方が良い。
「出来る事なら木ノ葉の里が良いなぁ」
一番汎用的な忍術が揃っていて、禁術もある木ノ葉の里から入手するのが一番良いだろう。
と、いうか多重影分身と穢土転生が魅力的過ぎる。飛雷神の術だって使えるなら使いたいし、他にも使えれば有力な術が多い。
「よし、木ノ葉の里に取りに行こう」
禁術の巻物はそう簡単には入手できない。
だけど短時間ならば、輪廻眼とこの霊基のスキルがあればある程度の無茶も可能だ。
「まぁ…………練習をしてからだろうけど」
少なくとも無計画に行動していたら間違いなく失敗する。
だから計画を実行するその時までに自分が何をするべきかをちゃんと考えておこう。
※
先ず、普通にやっても木ノ葉隠れの里に忍び込んでも今の自分では太刀打ち出来ない。
この前提条件がある限り禁術の巻物の奪取は不可能だ。ぶっちゃけこれからやろうとしている事は無理ゲーだ。
だけどたった一回、たった一回だけ機会がある。
――――その機会こそ九尾襲撃の時だ。
「そして、上手くいった」
手の中にある書物に禁術の巻物を写し終え、僕は安堵の息を漏らす。
尤も、今木ノ葉の里に居るのは自分ではない。輪廻眼の能力を使って死体を操ってるに過ぎない。じゃなきゃ九尾に襲撃を受けている木ノ葉になんか危なくて来れやしない。
写した書物を口寄せで本体に送り、内容を読み込む。
二代目火影が作った術だけではない、三代目火影が纏め上げた木ノ葉の里の知識全てが詰め込まれている。
「ここからはボーナスゲームだ」
目的を果たした以上、ここから先は出来れば良い程度の些末事だ。
火影邸を後にし、人目のつかないところにマーキングを施す。さっき見て覚えた飛雷神の術だ。これで一度限りだがもう一度だけ木ノ葉隠れの里に来れる。
今度来る時は次の目的を果たす時。
「じゃあ次は、うずまきクシナのDNAだ」
九尾の人柱力にしてうずまき一族の者、彼女は此方の手駒としても欲しい。
その為には彼女のDNA情報が欲しい。そして、それは今ならば容易に手に入る。
本当、天が自分に味方をしているとしか言いようが無い。まぁ、こうなる事を分かってて狙ったんだけど。
そう考えながらうずまきクシナがうずまきナルトを出産した場所に向かう。
あそこにはDNAが沢山残っているのだから。
※
「――――よしよし、これで準備完了っと」
九尾事件からある程度の日数が経ち、忍術も解析も完了した。
この肉体の性能もあっていくつかの術は発展、改良出来るようになっていた。
穢土転生に関しては薬師カブトのように年齢も弄れる様になっている。ただその分、性能がかなり劣化してしまっているが、まぁ良いだろう。穢土転生の改良はまた今度、今は蘇生の方が先だ。
生贄に関してはこの辺りを根城にしていた盗賊を使う事にした。幸いな事に年齢が近いのも居るから問題なく使う事が出来る。
うずまきクシナを支配下において自分のものにする。
「穢土転生の術」
生け贄が叫び声を上げるとともに塵芥が纏わりつく。
そして塵が剥がれて、中から赤い髪の少女、うずまきクシナが姿を現した。
「うんうん、上手くいった」
年齢に関しては同い年ぐらいだろうか、そうなるように調整したのだけれど上手くいったらしい。
生贄用の盗賊も年齢が近いのが居たから本当に良かった。
「次は記憶の方を封じさせてもらおうか」
穢土転生体のうずまきクシナの頭を掴み、封印術を行使する。
記憶に関しては全て封じさせてもらう。下手に記憶を残したら少しばかり面倒な事になる。だから記憶は念入りに封印させてもらう。
「あ…………ぅ…………」
人格を縛っているうずまきクシナの穢土転生体が呻き声を上げた気がした。
悪いとは思っている。でも、うずまきクシナは一度死んだのだ。
これから蘇るうずまきクシナに記憶が無い以上、元の彼女とは別の人間だ。
そう言う事にしないとこの先やってけない、手段を選んでいられる程自分は余裕が無い。
「ごめんね、波風ミナトの奥さんだったうずまきクシナさん。これからは僕のうずまきクシナになってもらうよ」
クシナの記憶を封印し、安堵の息を漏らす。
さて、次は彼女を輪廻天生するわけなのだがこのまま蘇生させたところで自分が死ぬだけだ。
外道・輪廻天生の術は輪廻眼が有する六道の禁術だ。
発動するには輪廻眼保持者、この場合僕の命を使わないといけない。
当然だがそんなつもりは無いし死ぬつもりも無い。その為に生け贄用の盗賊を用意したんだから。
「痛覚を遮断しても、自分で自分の目を抉るなんて真似。普通はしたくないんだけどなぁ」
それでもやらないといけないのだから辛いところだ。
自分自身の左目を抉り、外道の棒と外道の術で身動きを止め意識を奪っている盗賊の左目に宛がう。
既に左目を抉っておいた盗賊の左目に自分の輪廻眼を入れ、掌仙術で治癒させる。
相変わらずこの世界の医療は凄まじい、間違いなく元の世界よりも発展しているだろう。
そんな事を考えながらチャクラを送信し、輪廻眼を移植した盗賊の肉体を操る。
「あ、ぐぅ…………」
気絶していた盗賊の身体を動かして印を結ぶ。
もし意識があったなら抵抗していただろうが、意識を失っている今は関係無い。
尤も、輪廻眼を片目とはいえ移植したせいでチャクラを大分消耗しているだろうからあまり抵抗は出来なかっただろうが。加えて外道の術で肉体を操作されているからこの結果は変えられなかっただろう。
「外道・輪廻天生の術」
「ぐぅ…………ぅぁああああああああああああああ!!」
盗賊の身体を介して輪廻天生の術を発動する。
外道の術によって発動を強制された盗賊の身体からチャクラが命が失われていく。黒かった髪の毛も真っ白に変色し、術の完成と同時に力尽きた。
まだ呼吸はしているから生きているとはいえるのだろうが、それも時間の問題だろう。
用済みとなった盗賊から輪廻眼を回収し、自分の左目に戻す。
掌仙術で左目を治癒し、元の状態に戻してからうずまきクシナの方に視線を向ける。
穢土転生体だった身体は光に包まれ、人間の肉体に変化していた。
「うずま――――いや、その名は相応しくないか。朔月クシナ。今日からきみは朔月クシナだ」
虚ろな目をしているクシナから額当てを取り、新たに名を付ける。
――――これは僕がこの辛く厳しい忍界にて、出来る限り幸せに生きるお話だ。
尤も、その幸せはあくまで僕だけのものだが。