塹壕を掘るIl-10M。
「皆さんにはこのシールをARMSに、そして……」
「この腕章を左腕に付けるように。」
「この腕章とシールを自動タレットが認識して誤射を防ぐようになっている。」
私のような人間にはオーバーキルだけれど、KV-85やマウスのような重装甲なDOLLSには痛くも痒くもないだろうとは思う。
『塹壕の構築が完了。』
T-34達が通行できるように幅を広くとった塹壕。きちんと姿が隠れるくらいには深く掘ってある。
「こちら、
「コマンダー了解。ありがとう。」
「……
「……お父さん?」
「ヒャイ」
「まったく……女誑しなんですから……」
演習まで残り数日。
切り札が到着。上層部自らARMSを装着しての演習に参加してくれると聞いていたが……これはこれは心強い味方が来てくれたもんだ。
「礼!」
全員を招集し、彼女に礼をする。
返礼が帰ってくる。彼女が手を下げる。
「直れ!」
「あー……代理人、堅苦しいぞ。これから一緒に肩を並べる仲間だろう?」
「失礼いたしました。」
「そういうところだぞ、代理人。えーと、私はヤークトティーガー"プロトタイプ"。またの名を……夜玖虎子と言う。短い間だがよろしく頼むよ。コールサインはフラットボウだ。」
「こちら、T-34-85……オーガ。」
「よろしくた……お願いする。」
「そしてKV-85……マストドン。」
「よろしくお願いします。同志ヤークトティーガー。」
「偵察部隊のT-70……バジャー。」
「会えて光栄であります!同志閣下!」
「続いて航空部隊。」
「TB-3……ホワイトファング。」
「よ、よろしくおねがいします!同志!」
「IL-10M……スノーグース。」
『よろしくおねがいします。同志ヤークトティーガー。』
「Yak-9K……ムーンモス。」
「よろしくおねがいします。同志。」
「La-7……ドラゴンフライ。」
「よろしく……お願いします。同志。」
「こちらは同志TB-3が指揮するため、定数外となります。」
実際に私が指揮するのは四人で構成される陸上部隊だけ。ルールは簡単で、攻撃側の目標は司令部を制圧し、敵司令官(DOLLSかもしれず、人間であるとは限らない)を探し出して無力化する。防御側は援軍が駆けつけるという想定の元、今回は3日耐えれば勝利となる。下手な話、私を攻撃側が殺害もしくは気絶させればそこで演習は終わりである。常識と良識のある仮想敵だとそんなことはしてこないとは思うけれど。
火薬庫に弾薬が集積された情景はとても緊張する。何かしら火種があれば大爆発を起こしてしまうので、外からの攻撃に耐えられるよう重装甲で保護することがほとんど。地中に埋めてしまうのがここでは定石。
ちょっとだけ時間は進み……
「同志代理人、明日が開戦だ。」
「ええ。わかっています。」
「その割には……落ち着いているな。」
「彼女たちを信じていますから。」
開戦は次回をお待ち下さい。