※この作品はR-18です。

HA尺様   作:破邪

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前編

俺のじいちゃんとばあちゃんは団地暮らしだ.

俺は団地の雰囲気が好きで,高校に入ってバイクに乗るようになると,よく一人で遊びに行っていた.

じいちゃんとばあちゃんも「こんなところによく来てくれた」と,喜んで迎えてくれた.

でも,最後に行ったのは高校3年に上がる直前.もう10年以上行っていない.

決して「行かなかった」じゃなくて「行けなかった」んだ......

 

 

春休みに入ったばかりのこと,いい天気に誘われてじいちゃんの団地にバイクで行った.

まだ寒かったけど,団地はぽかぽかと気持ちよく,しばらく駐輪場でくつろいでいた.そうしたら,

 

「HAHA,HAHAHA,破邪ぁ!」

 

と変な音が聞こえてきた.

何だろうと思っていると,駐輪場の屋根の上に帽子が置いてあるのを見つけた.

いや,置いてあるわけではない.帽子はそのまま横に移動し,一人の女性が現れた.帽子はその女性がかぶっていたのだ.

女性は白っぽいTシャツとジーンズを来ていた.

 

まて,駐輪場の屋根の高さは2メートルくらいある.その屋根から頭を出せるとは,どれほど背の高い女なんだ......

「ば,化け物......」

おれが声を漏らすと,女はぐるりと振り向いた.

「貴様ぁーーっ!」

女は大声で叫ぶと俺に向かってきた.

「う,うわああああああ」

俺は走って逃げだした.なんなんだあの化け物は!

「HAHAHAHAHA」

女は後ろで奇声を発しながら追いかけてくる.俺は振り向かずに全速力で逃げた.

俺はじいちゃんのいる棟に逃げ込むと,いつのまにか女の姿は消えていた.うまく撒けたようだ.

 

 

そのあと,リビングでお茶を飲みながら,じいちゃんとばあちゃんにさっきのことを話した.

「さっき,大きな女を見たよ.」

「駐輪所の屋根より背が高かった.帽子をかぶっていて,「HAHAHA」とか変な声を出してた.」

そのとたん,2人の動きがぴたりと止まった.

 

じいちゃんは焦ったような顔で

「いつ見た」「どこで見た」「屋根よりどのくらい高かった」

と質問を浴びせてきた.

じいちゃんの気迫に押されながらも答えると,じいちゃんは急に黙り込んで廊下に行き,どこかに電話を掛けだした.

「わしの孫が......」

「......正義魔に......」

「......もうおしまいじゃ......」

なにを話しているのかはよく分からなかった.

ばあちゃんはがくがくと震えていた.

 

じいちゃんは電話を終えて戻ってくると,

「今日は止まっていけ.帰すわけにはいかなくなった」といった.

何かとんでもなく悪いことをしてしまったんだろうか?

あの女は,勝手に現れて勝手に追いかけてきたわけだし.

 

じいちゃんは

「ばあさん,後は頼む.わしは管理人さんを呼んでくる.」

と言い残し,どこかへ出かけて行った.

 

ばあちゃんに恐る恐るたずねてみた.

ばあちゃんは震えながら

「あんたは正義魔ショウダに目をつけられてしまったんだよ.

でも大丈夫.じいちゃんが何とかしてくれる.

何にも心配しなくていいから.」

といった.

ばあちゃんは,じいちゃんが戻ってくるまで,ショウダについてポツリポツリと話してくれた.

 

 

この団地には,「ショウダ」という変態人妻がいる.

ショウダは,八尺ほどの背丈があり,「HAHAHA」や「破邪ぁ」といった奇声を発する.

日によって,Tシャツを着ていたり,ダサいセーターを着ていたり,ぴちぴちの全身スーツを着ていたりと見た目は違うが,奇声を発する点は共通している.

ショウダはこの団地に封じ込められており,よそへ行くことはない.

ショウダに目を付けられると,数日のうちに乳首を舐められてとり殺されてしまうらしい.

最後にショウダの被害が出たのは一週間ほど前だそうだ.

 

後から聞いたことだが,ショウダが団地に封印されているのは,夫の稼ぎが少なく,いい家を買うことができないためらしい.

 

俺はばあちゃんの話を聞いて体の震えが止まらなくなった.

いやだ!化け物に乳首を舐められて殺されたくない!

そのうちじいちゃんが管理人のYさんを連れて戻ってきた.

 

「げっ!また変態人妻ですか!」

管理人のYさんはそう言って,「バニシング」と書かれたお札をくれた.

それからじいちゃんと何か話していた.

ばあちゃんは俺と常に一緒にいてくれた.

トイレに行くときですら一緒についてきて,ドアを完全に閉めさせてくれなかった.

 

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