あれは嘘だ(最低)!
はい。全然書けなかったんです。
どれもこれも感情表現が難しい四葉が悪いです。
「しかし、どうしたものか…」
風太郎は、今起きている異常事態を冷静に分析して…る訳が無かった。
第一、十代で子供なんてありえない、タブー中のタブーだろう。
三玖は料理の専門学校にも通っているが、あと数か月もしたら休まなければいけなくなるだろう。
その場合、退学にはならないのだろうか。
自分が理性を抑えられなかった事が原因で、三玖の夢は終わってしまうのだろうか。
「フータロー、そんなに悩まないで。」
「三…玖?」
「私だって、危機感が無いわけじゃないよ。でも、それ以上に嬉しいんだよ。私の中に、フータローと私の子供が、私たちの新しい家族がいる事が。命を育む事が出来るのが。」
「…みくぅ。」
「不安も大きいけど、お父さんも応援してくれるって言ってるし。ね?」
「そうか…そうだな。またお父さんに菓子折り持って謝りに行かなくちゃ…待って?」
「ん?どうしたのフータロー。」
「何でお父さんが知ってるんだ?」
「私が連絡したわ。」
「はい。私はもうらいはちゃんにも連絡は済んでいます。」
「お、お前らぁ!」
その時、電話がかかってきた。
…らいはだ。
☆★☆
「うっははははははは!やべぇなお前!最ッ高だな!うははははははは!」
「笑うなウゼェ!こっちは真剣に悩んでるんだぞ!」
「え…フータローは、私達の事ウザいの?」
「そんな訳ないだろ?(イケボ)」
「…大好き。」
「おう、嬢ちゃんチョロいな。」
「だろ、ここがいいんだ。」
「もう、フータロー!」
心が落ち着いた所で、俺はこれからの事を相談すべく実家を訪ねた。
らいはは学校なのでいなかったが、電話しながらさんざん怒られた。
「もう!どうしてお兄ちゃんの口から教えてくれなかったの!?何なの、そんなに赤ちゃんの事が気に食わないの!?何なの、ドメスティックなの!?家庭内暴力が横行してるの!?通報しました」
「ちょっと待てぇ!なんで俺が通報されなきゃいかんのだ!」
「だって、ドメスティックバイオレンスなんでしょ?」
「一言も言ってないぞそんな事!なんだよ、分かり切ってった事だろうが!動揺すんなや!」
「動揺するに決まってるでしょ!?お兄ちゃんまだ大学生なんだよ、お金は!?」
「俺たち、一花の女優業とか俺の奨学金とかで意外と稼いでるぞ?」
「そうじゃなくて!」
「いやぁ、何をそこまで…」
「いや、らいはが言ってる事は正しいと思うぞ…」
親父が呆れたように言う。
ボサボサの髪をガリガリと掻きながらこちらを見据える目は、いつになく真剣だ。
「既に起きちまった出来事だ。否定するつもりも無いし、協力もする。」
「…」
「だが、お前らはまだ学生だ。子供を養うだけの金、環境、覚悟、本当にそろってるのか?」
…覚悟、か。
「あぁ、そんなもん、とっくに出来ている。」
「そうかよ。なら、親のうるさい口出しはここまでだ。せいぜい気張れ。」
「おうよ。」
「あと、この封筒受け取れ。ゼ〇シィと子育て入門書の欲張りセットだ。」
「い、いらねぇ…」
「ちなみに入門書は俺の書いたものだ。」
「暇人かよ」
やっぱこの親父駄目だ。
☆★☆
東京に戻った後、家族会議が始まった。
これは俺たちが定期的に開催している物で、日々の愚痴、今夜のプレイ、家の予算など、一回につき平均10個以上の議題が出る大型会議だ。
「さて、本日一発目の議題を、三玖さんからどうぞ。」
「フータローと私の、赤ちゃんの名前です!」
パチパチと拍手が起こり、そのままの流れで会議がスタートする。
「では、まずは一花からどうぞ。」
「男の子だったら『救太』、女の子だったら『玖瑠美』かなー」
「男の子の方酷いわね…その心は?」
二乃が顔をしかめながら話す。
確かに、俺としても救太なんてダサい名前お断りだ。
「いや、三玖の『玖』って、九って意味でも使えたでしょ?後は、風太郎君から一文字。」
「迷走してますね…」
「…と、とにかくそんな感じ!はい次!」
五月にツッコまれ、露骨に話題をそらす一花。
こいつ、名づけの才能無いな。
「じゃ、次は私ね。『
「なぜ?」
「風登の方は、逆境、向かい風にも負けずに人生と言う大きな山を登るって意味よ。」
「おぉ、それっぽい。」
「美麗は、単純に三玖の名前を使ってみたかっただけよ。ま、読み方違うけど。」
「いい…凄くいいぞ二乃!流石俺の彼女!」
「それ、普通に見たら最低よね。」
そう言いながらも、こちらに向かってウインクを返してくる二乃。
プロ。二乃は俺を扱うプロだ。
「じゃあ、次は私だね!『
「なるほど…歌舞伎役者みたいだね。」
「あー、一花!そういう事言っちゃ駄目ぇ!」
「事実じゃん。」
「まぁまぁ、女の子の方は良いと思いますし。」
「むぅ、扱いが雑だよ。…上杉さん、慰めてください。」
「お、おう。」
望み通り四葉の頭を撫でてやると、ゴロゴロと喉を鳴らしながら胸に顔をうずめてくる。
「では、最後は私ですね。『
「ほう。」
「『勇吾』の方は、勇ましく、力強い子に育つようにとの願い。『昴』の方は…ちょっと女の子っぽい名前じゃないかもしれませんが、まぁいいでしょう。無限の可能性って意味だそうです。」
「いいね、五月はやっぱり普通だ。」
「捻り張り倒しますよ?」
「誠に申し訳ございませんでした。」
☆★☆
あれから季節も変わり、冬も終わりかけの2月になった。
三玖の予定日も後一週間という事もあり、家の中は三玖がいつ陣痛が来てもいいように限界態勢だ。
ちなみに、検査によると女の子だそうだ。
危なかった。男の方の名前は碌な物が無かったからな。
ソファに座っている三玖を見つけ、隣に座る。
「もう、十か月も経ったんだな。」
「うん。なんだかあっという間だったよ。」
「あぁ、色々あったしな。」
「五月が事故った時は、心臓が止まるかと思ったよ。」
「全くだ。あんな事故、生きてるだけでも奇跡だというのに…」
「愛の力だよ、きっと」
「もう何でもありじゃねぇか」
リビングに、二人の笑い声が響く…とその時。
「…うっ。」
突然三玖が苦しそうな声を出した。
流石にそこまで無知ではないので、急いで車のカギを取り、他の五つ子にも連絡する。
こんな時の為に、車の免許も取ったのだ。
最初に来たのは二乃だった。
授業の先生に説明し、急いで来たそうだ。
二乃は三玖を玄関まで連れていき、お腹の赤ちゃんに気を使いながら車に乗せてくれた。
☆★☆
病院へ連れていき、何時間経っただろうか。
吐きそうな程の緊張感の中、俺と二乃は部屋の外で手をつないで祈っていた。
どうか、無事に生まれますように。
すると、大きな叫び声と共に、聞きなれない産声が聞こえてきた。
ドアが開き、中から助産師が出てくる。
「おめでとうございます。元気な女の子ですよ。」
その鳴き声は天使からの祝福のようだった。
生まれたばかりの、未熟で、幼くて、愛しい、子供。
何だかむず痒くなって、三玖の方に向かい、手を握ってみる。
すると、照れくさくなったような三玖が、
「ほら、抱っこしてあげて?」
と言った。
言葉通り、恐る恐る抱き上げてみる。
その体は、今まで触れてきたどんな人よりも軽く、柔らい感触だった。
「あ、あぁぁぁぁ…。」
これ程の幸福が、今までにあっただろうか。
こんな気持ちを体験させてくれた三玖に、礼を言わなければ。
「その…ありがとう、な。」
「え?そこは。『よくやった』とかじゃないの?」
「戦国武将かよ。」
「そうかもね。」
☆★☆
「じゃ、まずは名前だね。フータロー、決めた?」
「あぁ。…この子の名前は」
「ちょっと待ったぁ!」
病室に、一花たちが滑り込んできた。
「あら、遅かったじゃない。」
「うん。…命名式、ギリギリセーフだね。」
「私の名前、選ばれるといいなぁ…」
「いえ、ここは私に譲ってもらいます。」
「分かった、分かったから落ち着け。三玖が困ってるぞ。」
「いや、いいんだけど…ほ、ほら、早く発表して!」
「お、おう。…コホン。えーそれでは、発表いたします。」
この子の名前は___
はい、じれったいんで考えちゃいました。
詐欺に次ぐ詐欺ですみまそん。
感想など頂けましたら、一日一万回感謝のツンデレを忘れません。
それでは!