「時に上杉君。少し、聞きたい事があるのだが。」
「はい、何でしょう?」
☆★☆
ケーキ屋「REVIVAL」。
あの有名レビュワー「May」も来店したことがあり、一部のマニアからは心霊スポットとしても扱われるなど、今非常にアツい店である。
そんな順調に思えた店に、ある災難が降りかかる。
向かいのパン屋、「糞パン屋」である。
「カットー。」
「え、何かありました?」
「んー。僕としては糞パン屋でもいいんだけど、世間がゆるさないからね。流石に普通の名前でね。」
「では、よーいスタート!」
そんな順調に思えた店に、ある災難が降りかかる。
向かいのパン屋、「串パン屋」である。
「カットー。」
「あれ?おかしいなぁ。」
「串パン屋じゃ…無かったかな。」
「じゃあ、草パン屋なんてどうですか?」
「草w」
「ちょっと、店の名前くらいちゃんと答えてくださいよ!」
扉を勢いよく開けて出てきたのは、向かいの店の店長…てんちょう…
「何で名前まで知らないんですか?」
「君、名前あるだけのほぼモブじゃん」
「そんな事無いもん!私がメインの同人誌もきっとあるもん!」
「知らないよそんな事…」
「んで?何でこんなものわざわざ戻ってきてまで撮らせてたんですか?」
「実はだね…。近々、東京に支店を出そうと思っているんだ。」
おぉ、支店。
こんな都会なのか都会じゃないんだかよくわからないような場所のしがないケーキ屋が、遂に東京か…
やべ、涙出てきた。
「君、二乃ちゃんたちと同棲し始めてから感受性が爆発したよね。」
「毎日が幸せなんです。」
「あーそうかい。…だからね、折り入って頼みがあるんだ。」
「そうだったんですか?ケーキ作りなんて無理ですよ?」
「知っている。」
「意外と辛辣…」
そうだよね。あんなアップルパイしか作れないんじゃ、採用は厳しいよね。
「そうじゃなくて、エリアマネージャーとして雇いたいんだ。」
「…こちらとしては大歓迎ですけど。ケーキは誰が作るんですか?」
「二乃ちゃんに頼めないかな?」
☆★☆
「と、言う訳なんだが…」
「えぇ!?支店とはいえ、自分のお店を持たせてくれるのよね!?」
「そういう事になる。開店日は来年の8月、十分に出産に間に合うな。」
「…っ!」
感極まった二乃が、俺に抱き着いてくる。
この可愛い生命体の中に新しい命が宿っていると思うと、何だかむず痒くなってくるな。
「私、自分のお店を持つのが夢だったって、言ったわよね。」
あぁ、そんな事言ってたっけか。
3年前の事だから、記憶も曖昧だな。
「子供の頃の戯言だと思っていたわ。…本当に叶うとはね。」
「人生生きてみる物だろ?」
「別に自殺する訳じゃ無いんだけど…まぁいいわ。」
二乃は俺の胸から離れると、こちらを振り返って笑う。
「絶対本店より繁盛してみせるわ!」
心なしか、昔の懐いてくれなかった二乃に見えた。
☆★☆
「夜ごはーん!夕ごはーん!両方合わせて夜食だー!」
「何言ってんだお前」
「あれ!?夜食って、夕ご飯と夜ご飯のどっちの意味でも使えましたよね!?」
「どっちでも無ぇよ…」
馬鹿丸出しの四葉の意味不明な歌を聴きながら、椅子に座って犬のようにご飯を待つ。
今日の担当は三玖なので、クオリティには期待出来そうだ。
「はーい、今日はカレーだよ。」
「ふむ、カレーなんて久しぶりだね。君はどうだい?上杉君。」
「そうですね…」
あれ、最後にカレー食ったのいつだっけか。
「…って何でマルオさんがいるんですか!」
「来ちゃった。」
「キャバクラか!何当たり前みたいな顔で座ってんだよ!」
「パパも大概変わったわよね…」
「絆された、と言うのが正解だろう。…さて、お話をしようじゃないか。来たまえ。」
☆★☆
「らっしゃーせー」
連れてこられたのは、居酒屋だった。
お父さん、僕と娘さん(達)の結婚を許して下さい!
席に着き、とりあえず何か頼む。
「アイスコーヒーで。」
「かしこまりました。お連れ様はどうされますか?」
「…水で。」
俺、生きて帰れるかな?
「時に上杉君。少し、聞きたいことがあるのだが。」
「はい、何でしょう?」
何だろう、この年で子供なんてやばいって言われるのか?
でも、俺としては不可抗力で済ませる事が出来そうだけどな…
というより、そんな事今更言うか?
「君、結婚式はどうするつもりなんだい?」
あ、思ってたより軽い質問だった。
「そうですね…俺としては、もっと収入と貯金、生活が安定してからと思っていたのですが。」
「それじゃ君は、あと4人は子供が出来てしまうだろう?」
その厳しい言葉とは裏腹に、マルオさんの目は笑っていた。
「…返す言葉も無いです。」
「なに、気にする事は無い。彼女達も、子供は欲しいだろうしね。」
「何だか、一つの村みたいですね。」
「違いない。」
お互い、思わず吹き出してしまう。
「ふふふっ…分かったよ。だが、もう話は進んでいてね。」
「え?進んでいる?」
「あぁ、いくつか候補を選んでいてね。…そこで、下見に行ってきてくれないかい?」
☆★☆
「おぉ、ここが!」
~式場候補①「チャペル・nanndeyanenn」~
・王道の内装は、見る者に感動を与える事でしょう。最大60人入れるので、「この人呼びたいけど、人数いっぱいだしなー。招待送んなくてもいいか!」と誘わなかったが最後、「何で誘わなかったんだ!」となって喧嘩になり、そのまま絶縁…も避けられます。
「おぉ~。これは、ベットがフカフカです!」
「お客様。ここは救護室です。」
「…」
四葉が、そそくさとベットから体を起こす。
おいおい、あいつ顔が真っ赤だぞ!
その後も、いくつか式場を巡った。
最初の普通の式場、「チャペル・nanndeyanenn」
海辺の式場、「splash・mountain」
なんとまさかの「東京大神宮」
どれも予算を見てみたが、物凄かった。
これ、何泊付いてるんだ?
「私は、教会式がいいかなぁ。」
「フータローの袴が見たいから、神宮。」
「爽やかな風が良さそうなので、海がいいです!」
おうおう、皆さん興奮してらっしゃる。
楽しいなら何よりですよ。
☆★☆
「さぁ、今日も子作りの時間ですよ!」
「お前、恥ずかしい事言ってる自覚ある?」
ぐずる未来を何とか寝させる事に成功した午前3時。
すでに式場を周ってへとへとだった他の4人は既に寝てしまった。
「私だって、風太郎君の赤ちゃんが欲しいんだよ?」
最近の五月は、俺と二人きりになるとこのしゃべり方になる。
昔は何だかイメージと違うと却下していたが、何だか可愛く思えてきた。
「あれ、風太郎君のココ、おっきくなってるよ?」
「おい、もう知ってるだろ?俺の理性が死んだらどうなるか。」
「だから、死んでほしいんだよ…♡」
ヤンデレみたいな事を言う五月に、若干引いてしまう。
「ちょっと!なんで引いてるの!」
「今お前が言った事、捉えようによっては殺害予告だからな?」
「そんな!…ふぅぅぅぅぅぅぅ」
「あー分かった分かった。よしよし、俺はいなくならねぇよ。」
「…本当に?」
「あぁ、死ぬんだったら、せめてお前たち全員の死に顔を拝んでから死ぬ。」
「うふふ、そのぐらい長生きしてくださいよ?」
「もちろんだ。」
☆★☆
「あ、風太郎君の、硬い…」
「こっ恥ずかしいから、あんまり見ないでほしいのだが。」
「いいでしょ?5日に一回しか見れないんだし。」
「それはすまん。」
「はい。ちゃんと謝ってくれたので、許してあげます。」
「じゃあ」
俺はすぐさま五月の股に手を伸ばし、可愛らしい割れ目に触れる。
「んあっ!」
「なんだよ、もうこんなに濡れてるのか?」
「だってぇ!風太郎君に見られると思ったら…興奮しちゃって。」
あれ?もうこんな関係になってから3年経つよな?
何、そういうプレイなのか?
これが冗談なら済むのだが、一回気づけなくて怒られた事もある。ややこしや。
「も、欲しい…好きって、言ってほしいな。」
「好きだ。」
「ひゃい!…んっ。」
歴戦の女とはとても思えないような初々しい反応。
でも、こっちを見つめてくる辺り、プレイじゃなく素だな。
「動いていいか?」
「うん。」
何度繰り返しても慣れるようには思えない動きが、何度繰り返しても飽きない快感と幸福感を連れてくる。
五月と目が合い、手を繋ぐ。
果てるのに、そう時間は掛からないだろう。
「私、んっ、時々、思うんです。」
「…何が?」
「私が、女で…風太郎君の精を、出してもらえる体で、良かったなって。」
「受け売りか?」
「本当にムードのかけらも無いですね…」
「嬉しさの裏返しと思ってくれ。」
「もう、素直じゃないんだから…」
五月も限界なのか、締め付けが強い。
「なぁ、五月…」
「はい、何でしょう。」
「…一緒に、イくか?」
「はい、一緒に。」
最後はお互いに抱き合い、体全てを絡ませた。
びゅー、びゅー。
濃厚な命の元が、五月に注がれていく。
不器用な愛の伝え方だが、今はこれでいい。
☆★☆
「…赤ちゃんの名前、何にします?」
「二乃のか?」
「私のです!」
「ははっ、気が早いんじゃないか?」
「…んむぅ。」
「怒るなって。」
「怒ってませんよーだ。…えへへ。お休みなさい。」
「あぁ。」
心地いい疲労を感じながら、五月と抱き合いながら眠りについた。
この小説、寝て終わるの多くない?
あと、一番エロ描写書かれてるのが五月なんですけど、一人だけずば抜けてますよね。そんな便利なあなた。