コロナめ…また増えやがって…。
あれから、随分と時間が過ぎた。
学園祭が終わり、俺たちの受験もつい一週間前に終了した。
もう色々ありすぎた。疲れた。
あいつらの本当の父さんが来たり、なんか皆からキスされるし。
まぁ、それも済んだ事だ。問題なのは…。
「ねぇ、フー君。卒業旅行ってどこに行くの?」
「ま、まだ決めてないのか?」
「おじいちゃんの旅館とかどうかな?」
「それ、いいですね。私は賛成です!」
「私も、賛成です。」
…またあの旅館に行く事になったからだ。
☆★☆
「おじいちゃーん、久しぶり!」
四葉が元気よく挨拶すると、爺さんはニコッと笑う。
同じ顔なのによく分かるわ。
しかし、俺の顔を見るやいなや、とんでもないスピードでこっちに来る。
「_____。」
「え?え?」
「…孫たちの顔は見分けれるようになったか?」
「あぁ…はい。」
「…そうか。________」
「もうちょっと大きい声で喋ってくれよ…。」
山に居る仙人かな?
☆★☆
「ここが俺たちの部屋か…。広いな。」
「6人ですから、特別に大きい部屋にしてもらいました。」
「そ、そうか…。」
今回の旅行の予定は二泊三日。
出来る事は少ないが、充分楽しい思い出になるだろう。
泊まる部屋だが、前に俺が泊まった部屋よりも二倍くらいはあるだろうか。
どっちにしろ、こんなにお高い部屋に泊まるのは人生で初だ。
うっきうきの気分で楽しんでやろう。
「それじゃ、まずは何をするんだ?」
「あれ?風太郎君、プラン考えてくるんじゃなかったの?」
「あ。」
「…もしかして、忘れちゃいました?」
「…すまん」
「えぇ!どうするんですか!」
まずい。このままでは日記に『今日は何もない素晴らしい一日だった』って三日連続で書かされる羽目になる!
「風太郎君、それってもしかして夏の話じゃない?」
「なんで的確に当ててくるんだよ。」
「お、風太郎君に褒められちゃった。」
「褒めてねぇよ!」
「そ、その話は一旦終了です!今は、この三日間をどうするかの話し合いをしましょう。」
「そうね。じゃあ…」
☆★☆
「あーっ!三玖、亀甲羅当てましたね!?」
「五月、この世は弱肉強食だよ。」
「そんな戦国時代みたいな事言わないでください!ちょ、ボム兵が…あぁぁぁぁ!!」
一日目の午前は、何故かマリオカートに決定した。
なんで?
「いや、風太郎君が考えてくれなかったし。」
「お前らだって考えてくる事は出来ただろう?責任転嫁がお上手な事。」
「うっ…そ、そんな事言ったら、風太郎君は私達のプランに合わせてくれるの!?」
「努力はする。」
「ほら合わせる気無いじゃん!」
「うぐっ…」
「待って、三玖待って!待って!青甲羅だけはぁぁぁ!」
「発射。」
「いやぁぁぁぁ!!」
「四葉にも、これだったら勝てる。」
「お前らいつまでマリオカートやってるんだ!」
☆★☆
「お客様、お料理をお持ちいたしました。」
「あ、ちょっと待ってください。」
部屋に散乱していた物を片付け、料理を受け入れる準備をする。
そしてそんな中、無意味の塊のような服の山に一際異端な物を発見する。
「ん?…これ、一花の下着か?」
「う、上杉君は見ちゃ駄目です!」
「何だよ、お前の下着は見てるのにか?」
「うぅ…じゃあいいですね。」
「いや駄目だよ!?ちょっと、なに人の下着で遊んでるの!」
「俺としては男の目に届く所にこんな無防備に下着晒す方がおかしいと思うのだが?」
「ひ、否定できない…。」
そんな感じの事もありつつ、何とか部屋を片付けた俺たちは、運ばれてくる料理を見る。
「うわぁ!おいしそうですね!」
「お、刺身か。いいなそれ。」
「上杉君も食べるんですよ。」
「あ、そっか!」
久しぶりのごちそうを前にして、思考が凝り固まっている気がする。
「いえ、上杉様のお料理はこちらです。」
「え?」
旅館の従業員さんが、そそくさと鍋の用意をしてくれる。
これは、男専用料理か!?
「うわ、フータローのお重の中身、ウナギだ!」
「なにこれ、凄くニンニク臭いんですけど!」
「…鍋の中身、スッポンですね。」
何故だろう、凄く嫌な予感がする。
「あなた方のおじい様から、言伝を預かっております。」
「はぁ。…なんですか?」
「一言、『話は聞いた。今夜はお前たち以外誰もいないから、楽しめ』と。」
「…」
あのクソじじぃ!
こんな気遣いいらねぇよ!
「…その、今日は、頑張りましょう!」
「これ旅行だよな?なぁ!」
☆★☆
少し混乱してきたので、取り合えず風呂に入る事にした。
…駄目だ、体が火照って長時間入れない。
誰がこの決壊ギリギリのやばい関係の事漏らしたかは分からない。
お父さんか?それだったらあり得るな。
親父では…無いだろう。
五つ子の誰かか?それが一番妥当な考えだが、じゃあ一体誰が、何のために?
謎は深まるばかりだ。
…まぁ、今さら深く考えても無駄だろう。
どう考えても役得でしか無いのだから、状況に甘えて存分にイチャイチャさせてもらおう。
部屋に戻ると、四葉がいた。
「…お前だけか?」
「はい、私は来てすぐに入りましたし。」
「そうか。」
テレビを付けると、何か月か前に変わった憲法についてまだ報道している。
余程アンチが多いのだろう。
「…四葉は、今回の憲法改正についてどう思う?」
「そうですね…私としては、5人全員がめでたく上杉さんと結婚出来るので、満足です。」
「…まぁ、そういう意見もあるよな。」
「ん?どうしました?」
「俺は、本当は反対だったんだ。」
「あれ?そういうのって言っていいんでしたっけ?」
「本当はな。…多重婚は、男の方は幸せかもしれんが、女性は違う。単純に、受ける愛情の数が減るからな。ましてや、俺の場合は五つ子だ。もちろん、最大限努力はするつもりだが、やはり難しい物がある。」
「…なるほど。」
「俺は正直、全員を平等に愛せるか自信が無い。」
「何だか、らしくありませんね、上杉さん。」
「…そうかもな。」
「そうです、あなたはもっと自分に自信を持ってください!知らないかもしれませんけど、私達は、あなたと一緒に入れるだけで幸せなんですよ?学園祭の時だって、あなたが無意識に私達に与えてくれた影響は計り知れないほど大きいんですよ?」
「…そうか。俺は、そんな事も、出来ていたか。」
「えぇ。」
ふいに四葉が、右腕に抱き着いてくる。
「上杉さんは私の、みんなの希望なんです。だから、絶対に放しません。」
「だから、俺も放すなって事か?」
「はい。」
「もちろんだ。絶対に放すものか。」
俺だって、お前らからどれだけの物を与えてもらったか。
☆★☆
そしてしばらくした後、一花たちが部屋に戻って来る。
電気を消して、寝る準備をする。
もちろん寝る気は誰も無いが。
「…風太郎君、今日は私達五つ子を、よろしくお願いします。」
「あぁ、任せとけ。」
言葉を言い終わった途端、一斉に抱き着いてくる。
ちょ、苦しい!胸の圧が!
「順番はどうする?」
「ここは一番最初にフー君と繋がった、五月先輩のお手本をみましょう?」
「うぇ!?な、なら、三玖がいいかと…。」
「いいの?ありがと。…フータロー、朝まで楽しもうね!」
「タンマ!やっぱり私からがいいですぅ!」
いやぁ、求められるっていいね!
でも、明日生きてる気がしねぇ!
もうUAが4000を超えました。
感謝感謝です。
感想など書いて下されば、一日一万回感謝のケーキ作りを忘れません。
それでは!