最強の常識改変チートを手に入れた僕VSどんな常識改変も通用しないけど同調圧力によわよわな想い人 作:うみねこ06
「お、おはようございます、升くん」
「おはよう、姫川さん」
翌日。心なしかそわそわしながら、それでも姫川さんは登校してきた。正直あんな辱め(姫川さん主観で)を受けたのだから、今日は学校を休んでも仕方がないとは思っていたのだが、思ったよりメンタルはタフらしい。
「あ、あの、升くん?」
内心で今日行う悪だくみのことを考えつつ、努めてのんびりしながら授業の準備をしていると、姫川さんが意を決したように話しかけてきた。
「どうしたの? 姫川さん」
「あ、あのですね。その」その後もあのとかそのとかを何個も組み合わせて散々言い淀んでから、姫川さんが続けた。「げ、下校するときに、ぱ、パンツを、皆さんに、その、見てもらうじゃないですか」
「うん、そうだね」
来た、と思いながら、僕は努めて平常心で頷いて見せた。姫川さんがどこかほっとしたように息を吐いた。
「そ、それって、その、あ、当たり前、の事なんですよね」
「そうだね。多分、全世界どこの高校でもやってる常識だと思うよ」
心に決めていた返答をすると、姫川さんがやっぱりそうなんだ……と何かを噛み締めるように頷いた。そのまま、ぎこちなく会話を終わろうとする。うーん、ここはちょっと追撃すべきかな。
「でも、突然どうしたの? いきなり下校時にパンツを見せることについて聞いてくるなんて」
「ふぇ!?」
何もかもをすっとぼけた僕の質問に、姫川さんの頬に赤みが増す。少し冷や汗も出てきたようだった。
「え、えぇとですね。実は今、その、げ、下校時にパンツを、見せるってで、伝統が、何時から始まったのかを、調べてまして、あの」
「へぇ。やっぱり姫川さんは勉強熱心なんだね。凄いや。僕はそんなこと調べようとも思ってなかったよ」
嘘だ。実際は、恐らくパニックになった姫川さんがそんな意味不明な常識の真偽を調べるだろうと予測して、こっちも既に生えてきたであろうこの意味不明な常識の由来を調べている。ネットによれば、2000年前の古代ローマあたりが発祥らしい。ちなみに、分かりやすいが誤っている俗説も同時に生えてきていて、『偽情報にご注意を!』というサイトまで出現していた。万能すぎるだろ常識改変ノート。
姫川さんは、そんなことないですよ、と真っ赤になりながら俯いてしまった。そんな様子をちらちら鑑賞しながら、僕は二時限目の終了まで心ここにあらずで過ごすことになる。勉強内容? 『僕は高校三年間の学習内容を完璧に身に着けている』って常識改変すればそれで終わりだから問題ない。それに、三・四時間目は皆がお待ちかねの体育なんだ。心ここにあらずで当然だろう?
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
二時間目が終わり、ついに待ち望んだ三時間目の準備――つまり、着替えの時間がやってきた。朝に比べて幾分か元気を取り戻してきた姫川さんが、いそいそと体操着の入った袋を取り出した。多分、友達と一緒に更衣室に向かおうと思っていたのだろう。
だけど、そんな姫川さんをしり目に、かちゃり、と教室のカギが締められる音がした。
「…………?」
姫川さんが、固く閉ざされた教室の扉を不思議そうに見つめている。当然、座ったままでぴくりとも動いていない。だから、僕は書き加えた常識に則って、さも不思議そうに姫川さんに聞いてみた。
「どうしたの、姫川さん。早く着替えなきゃ、怒られちゃうよ?」
「へ? い、いえ、升くん、何言って――は?」
姫川さんが僕を見て――いや、正確には、僕越しに廊下側の席のクラスメイトを見て、固まった。そこでは、机を並べた男女のクラスメイトが、いそいそと制服を脱ぎ、下着を脱いでいく姿が見える。いや、そこだけじゃない。教室のいたるところで、男女の別を問わず、クラスメイト達が全裸になっていく。
「み、みんな、なにして」姫川さんがかすれる声でそれだけを絞り出した。
「何って、着替えだよ?」僕が、心底当然という口調で言った。「『着替えは男女問わず自分の教室で同時に行い、最後の一人が着替え終わるまで待つこと』『体操着は下着なしで着用すること』。常識でしょう?」
そう、今発動している常識改変はこの二つ。当然、僕が姫川さんの裸を見るためだけに加えた常識だ。
「そ、そんな、だ、だって、裸、だ、男子に、見られちゃ、う」
「? 体育の着替えなんだから当然でしょう?」
「ひゃ、ひゃあ!? ま、升くん!?」
僕は当たり前のことを言っているだけ、そういう風を装いながら、自分も服を脱いでいく。……まぁ、想い人の前でストリッププレイとかあんまりそそらない方なんだけど、姫川さんを追い詰める一歩としては安いものだ。何しろ、男女混合での着替えなんて、昭和の昔には実在していた代物なわけだから、博識な姫川さんなら知識として持っていてもおかしくは無い。あり得ないんだけど絶妙にあり得そう。それが着替えは同じ部屋でなんて常識を追加した理由だ。だから、自分の親友が何の躊躇もなく男子の前で服を脱ぎ始めたって、おかしくは無い。
「と、鳥居さん、真木ちゃんまで……」
「ん、ちょっと陽菜? 早く着替えてよ? 体育館に行くの遅れたら先生がうるさいし。それに着替えが遅れて最後の一人になったらちょっと恥ずかしいことになるよ?」
当然でしょ、とばかりにたわわな胸を揺らす真木さん。姫川さんに目を奪われてて全く意識してなかったけど、この人結構胸あるな。閑話休題、とにもかくにも、こうして外堀は完全に埋まった。
「ほら、姫川さんも早く着替えなきゃ。皆着替えなくちゃ、この教室からは出られないんだよ?」
「……ぁぅ」
全裸のまま、そう姫川さんに促す。周りでは、少なくとも過半数のクラスメイトが既に裸になって、体操着に手を掛けていた。この言葉は姫川さんには効くはず。何しろ昨日だって、後ろを待たせているという圧力もあってパンツを衆目に晒したのだから。
「……そ、そうですよね。そうなん、ですよね」
姫川さんはやはり同調圧力に対してよわよわだった。確認するように、強がるように僕の言葉に頷いて見せる。震える手が、姫川さんの制服のボタンを外し始めた。
「ま、升くん、その、あ、あんまり、見ないでください……」
「何で? ただ着替えてるだけじゃん」
「うぅ……」
想い人が、不本意ながら脱衣していく。その異常すぎるシチュエーションに鼻息荒くなる僕の前で、姫川さんの服が一枚ずる剥がれていく。僕の目の前で、姫川さんが下着姿になった。
姫川さんの下着は、昨日と打って変わって――と言っても、昨日はパンツしか見なかったけど――大人っぽい。少なくとも子供じみた印象は無い、白いレース付きのパンツとブラだった。たぶん、着替える時友達に見られても構わない用なんだろう、と昨日のどうぶつパンツと比べて想像してみる。もちろん、下校時はともかく、こんな風にクラス中に見られるとは思ってなかったのだろうけど。
「ほら、はやく皆みたいに下着も脱がなきゃ。体操服着れないよ?」
「…………」
姫川さんがブラに手をかけたまま、はっはっはっと犬のように浅く息をする。見開かれた目が、僕とクラス中を行き来した。なおもたっぷり一分ほど固まってから、きゅっと目が瞑られる。ホックが外れる音が、僕の耳にやけに響いた。はらり、とブラが床に落ちる。
「お、お願い、見ないで……」
姫川さんのか細い懇願は、けれどもがやがやとした教室の騒音にかき消されて僕の耳には入らなかった、そういうことにした。
姫川さんのおっぱいは、僕の想像していた極上のおっぱいのさらに先を行っていた。控えめな乳輪に、小さくぷっくりと尖った桃色の乳首。前に巨乳ではない、と表現したけども、実際には着やせするタイプだったのか、余裕でDはありそうな張りのある乳房。これが、衆目に晒された恥ずかしさからか震えながら僕の眼前にある。血がたぎっていくのが分かる。
「ま、升くん、そ、それ」
そんな可愛らしい胸を隠そうとしていた姫川さんの腕が、そのまま自分の顔へと向かった。理由は単純。僕は全裸で、血がたぎっている。つまり、勃起した肉棒が隠されることなく目の前にあるというわけで。
「ん、あぁ、勃起ちんちん?」常識改変で演技力MAXにしといて良かった、と思いながら平静な声で応えた。「そりゃ、『体育の着替え中なんだから、勃起するのは当たり前』じゃん。ほら、皆だって」
そういって、周りを示す。姫川さんの赤面が悪化した。何しろ今全裸の男子はみんながみんな勃起しているのだ。いや、着替え終わった男子だってズボンの一部分が大きく張り出している。そう、これも常識改変の結果。着替え中なんだから勃起して当たり前。間違いなく僕は勃起するだろうと考えると、他の誰も勃起していないのはあまりにも不自然、そう思って付け加えた常識だ。勃起ちんちんを隠すなら勃起ちんちんの中。我ながら言ってて頭悪いな。
「はっ、はっ、はっ」
姫川さんの上気した肌を汗が伝っていく。まぁ、姫川さんの気持ちになれば、いくら誰も襲われていないとはいえ、ちんこを勃起させた男どもの中でストリップするのだ。少し、乳首の尖りが大きくなった気がする。もしかすると、本人も知らない性癖があるのかもしれない。
「んっ……」
とはいえ、胸をさらしたままこのままでいるわけにも行かない。体操服を着るには、いったん全裸にならねばならない、そういう常識なのだから。頭の中でそんな逡巡があったんだろう。姫川さんが、可愛らしいパンツに手をかけた。少し前かがみになったおっぱいがたゆんと揺れる。そのまま、姫川さんを守っていた最後の布がずり降ろされた。
姫川さんの秘部は、無毛だった。産毛はあるのかもしれないが、奇麗な黒髪と同じような黒い陰毛は何処にもない。お陰で、一瞬の間で姫川さんのおまんこ、その全てが露になってしまう。と言っても、身体の姿勢的に、見えるのはきちっと閉じた筋、その上の方と、それから大きくなったと思しきクリトリスだけ。おっぱいと比べて丸見えというわけではないけれども、それでも煽情的には違いない。
パンツを脱いだ姫川さんだったが、けれどもその全裸を拝めた時間は一瞬に近いものだった。大慌てで体操着を手に取った姫川さんが、脱いだ時の十数倍の速さでそれを上下に着てしまったからだ。息が上がっているのは、羞恥のせいか、それともいきなり身体を動かしたからか。
尤も、着替え終わった瞬間に恥ずかしそうに席に座り、縮こまって俯いてしまった姫川さんは、体操服を着てさえ飽きるところがない。何しろ、体にフィットした体操服は、ノーブラになってしまった姫川さん、その胸のポッチを鮮明に浮かび上がらせていたのだから。お陰様で、僕の方はズボンをはくときに酷く苦労する羽目になってしまった。
さて。着替え終わった僕は、教室を見まわした。予想通り、姫川さん以外はほぼ全員が着替え終わっている。そりゃ、散々抵抗するだろうというのは織り込み済みだったんだから当然だ。だから、姫川さんが最後に着替え終わることにならないよう、僕も先手を打ってある。
「お、今日のビリは冷泉じゃん」
体操服姿の真木さんが指を指した。姫川さんが、それにつられてそちらの方へと視線を向ける。そこには、未だ下着姿の女子生徒――
「じゃあ、応援しないとだね」
僕が、やれる限りで大声を上げた。姫川さんが不思議そうに僕を見る。大丈夫、すぐに何が起こるか分かるよ。
「仕方ないわね……」
如何にもクール系、と言った容姿をした眼鏡美女。そんな冷泉さんが、僕の言葉にため息を吐きながら頷くと、隣の席の模部を促して二人で教室の中心へと進む。他のクラスメイトは、それを丸く囲むように教室の中を移動しはじめた。
「ほら、姫川さんはこっちでしょ」
「へ、あの、これ、いったい何が」
僕に促されるまま立ち上がりつつ、姫川さんが目を白黒とさせる。まるで状況がわからないらしい。これは、きちんと教えてあげなくちゃ。
「何って、冷泉さんは着替えが一番遅かったからね。着替え終わるまで、皆で応援しなきゃ。常識でしょ?」
姫川さんが僕の言葉の意味を租借し、次の瞬間真っ赤になった。
そう、この着替えに紛れ込ませた常識改変。その最後のピースが、『着替えが一番遅くなった女子生徒は、皆に応援されながら着替えなければならない。その時、隣の席の男子に補助を受ける』だった。つまり、先ほどまでのいうなれば『通常の着替えがおかしくなった』に過ぎない状況から遥かに逸脱して、『明らかに皆から注目されながらストリップ』しなければならないのである。
姫川さんを何としてでもビリにしなかったのはこれが理由だ。前者はともかく、流石にこれは初見では拒否されてもおかしくない。もしやってもらえたとしても、明日学校に来てもらえるかは分からない。だから、姫川さんがこの異常に慣れるまで、ビリにさせるわけにはいかないのだ。
「そ、それじゃあ、始めるわ」
冷泉さんが頬を赤らめながら宣言した。性感、とは実は違う。着替えが遅いのは、マラソンが遅いのと同じ程度に恥ずかしいこと。そういう常識だから恥ずかしがっているのだ。だから、応援されるのも恥ずかしい。
「冷泉さん頑張れ!」
「あとちょっとよ本香!」
「模部もぶ! ちゃんと本香ちゃんをサポートしなさいよ!」
「お、おう、分かった」
と頷いて見せたのは、冷泉さんの隣席の男、模部だ。いや、実は僕の認識としては、模部の隣の席の女の子が冷泉さん、という感じなのだが。何しろ模部は、このクラスで唯一の僕の男友達。で、実は冷泉さんに気が有ったりする。つまり『常識改変ノート』なんてチートを手に入れたご祝儀だ。
「じゃあ、脱がすぞ」
「うん、はやくね」
だが、悲しいかな。好きな子の手助けをしているという認識はありこそすれ、好きな子の恥ずかしい姿を堪能しているという自覚は無い模部は、僕からすればあっさりと冷泉さんの下着を脱がせていく。冷泉さんの裸体がクラス中に晒された。
冷泉さんは、姫川さんとは違ったベクトルの美人さんだ。姫川さんが美少女だとすれば、冷泉さんは美女、と言った形である。スレンダーな長身には、控えめだが奇麗なおっぱいが存在感を示しており、陰部は茂った陰毛で隠されている。姫川さんが両手で真っ赤な顔を覆った。
「姫川さん? 駄目だよ、ちゃんと応援しなきゃ」
姫川さんがびくり、と反応した。が、がんばれ、と蚊の鳴くような応援の声が聞こえる。だけど、僕としては姫川さんの視線が冷泉さんに集中しただけで目標は達成したから問題なし。
模部は相変わらず好きな子に良いところを見せるため、手助けに精を出している。つまり、体操服を着せるので手一杯だった。方足を目いっぱい上げさせて、冷泉さんのおまんこを目の前にしながら下をはかせ、おっぱいに引っ掛かった服をおっぱいをずらして調整しながら上を着させる。
「き、着替え完了しました」
冷泉さんが恥ずかしそうに宣言すると、クラス中から暖かな拍手が送られる。おめでとう、がんばった、よくやった。おおよそクラス全員に恥ずかしいところを全て晒したあととは思えない言葉が送られ、冷泉さんが照れている。模部もよくやった、との声も少しはあって、俺を見つけると得意げにドヤっていた。
だけれども。僕の意識は姫川さんの方に向いている。何しろ、僕の隣で、顔に赤いものと青いものを混ぜながら、周りに合わせる程度の拍手をしつつも心ここにあらずなのだから。
「ふー、やっぱり皆に応援されながらの着替えは感動するよね、姫川さん」
声を掛けると、姫川さんが恐怖に震えるかのように首をこくこくと頷かせた。
「だよねー」僕は努めてのほほんとした声で続けた。「でも、姫川さんだってビリになったら皆から応援してもらえるんだからね?」
姫川さんはその越えには無反応だった。けれども、その瞳が冷泉さんと模部、それから僕を行き来しているのがよくわかる。
うん、姫川さん。次の着替えからは頑張らないと、クラスのど真ん中で僕に手伝われながら着替えしなくちゃいけなくなっちゃうからね? だって、今見てもらった通りで、これは常識なんだから。
登場人物紹介:常識改変ノート
チートofチート。『宇宙人がいるのは常識』と書けば宇宙人が生え、『宇宙は不変であるのは常識』と書けば宇宙の膨張が止まる。しかも副作用無し。まるでゲームのように世界を弄れる、と言いたいが、ぶっちゃけ日本語を書くだけでその通りの仕様実装&バグなしとか全プログラマーが奪い合いを始めると思う。
が、そんなチートも升のようなエロサイコパスに拾われたのが運の尽きで、今後はひたすらド下ネタを書かれ続けることになる。尤も、誰かが冗談めかして『地球が明日滅びるのは常識』とか書いてたら人類滅亡不可避だったため、実際は升が世界を救ったと言っても過言ではないのかもしれない。