やっと書き上げられたので投稿します!
2話目に書いたのが10000文字超えちゃってたので、2話にわけたりしていたら遅くなってしまいました。
1話だけしか載せてないのにお気に入りが400件超えててびっくりしました。ありがとうございます!
今回短いですがエロシーンがあるので、苦手な方はひとつ目の☆とふたつ目の間を読み飛ばしていただければと。
『……ごめん。比企谷の気持ちは純粋にうれしい』
胸の奥で、あのトラウマが蘇る。
『けど、あたしは比企谷の事をそこまで考えてないんだ。今のあたしに彼氏はいないけど、あたしはやっぱり比企谷をそういう目で見れない』
俺は確かに彼女のことが好きだった。間違いなく、そう思っていた。
『恋人同士が付き合うきっかけってさ。お互いが相手に何か特別な想いを抱いてる時だけになるんだよ』
だが、告白をした彼女の言葉で俺の中の何かが変わった。
『片想いとか「告白された!嬉しい!」って衝動的な感情で付き合い始めたカップルは、元々2人の間に「行き来するもの」が何もないから、付き合っても、なあなあでなし崩しになって、最後はお互いの傷になる』
……彼女が今までに得た恋愛の経験か。ただの方便では片付けられない重みが、彼女の言葉にはあった。
『だから、ごめんなさい。
彼女の言葉が俺の心に響いたのもあると思う。告白を断られた事に対する執着も湧いてこなかったし、だからこそ俺は彼女と付き合えないのだと考えてしまった。
あの時は、罰ゲームじゃなかった。
ただ、自分の本心で動いたつもりだった。
だからあの時、心から思ったんだけど。
『……やっぱ、俺には恋愛はムリだ』
彼女が居なくなり、1人残った屋上で俺はしみじみと感じた。
告白は初めてじゃない。だから、恋をするという気持ちも最初ではない。
あの時に読んでた小説のラブコメが羨ましくて、思い立ったが吉日精神で動いてしまったけれど。
彼女が最後の告白相手で、良かった。
勢いで付き合い始めたところで、それは美しい恋にはならない。
誰かの傷になるくらいなら、最初からやらなけりゃいい。
『根暗ぼっち陰キャジト目メンヘラカタツムリの比企谷が■■に告白したぞーっ! 結果は敗北だ!』
周囲に告白の事が知られた時にだって、彼女に傷が行くことがなくてよかった。
彼女がまじめに答えてくれて、逆に嬉しかったくらいだし。
……あぁ、でも。
黒板にデカデカと結果を書き込んだやつ。誰かはわからんがそいつだけは絶対に許さん。
☆
——夢か現か。
そんな事は今の俺にはわからないが、ただ、間違いなく心地の良い世界であることに間違いはない。
「っ、せんぱい、胸舐めすぎ……んあっ!」
「んれ……ん……ぁむっ……ちぅ……」
一色いろはの胸を吸う。
……今の状況を簡潔に把握する必要があるのなら、こう纏めるべきだな。うん。
場所は……たぶん、何処かの室内。
壁際に置かれたベッド。
壁に背中を預けた、上半身ハダカの一色。
形の整った乳房は、ブラも外してぷくりと膨らんだ乳嘴までもが空気に晒されている。
柔らかさと未成熟な果実を思わせる彼女の乳房に、俺はしゃぶりつく。
味は殆どしない。彼女の皮膚に滲む汗を舌で舐めとり、彼女がつけてきた香水などの匂いを吸い込んで、何か満たされる気がする。
殆ど麻薬だこんなの。
「何故一色いろはと比企谷八幡が不純交遊を?」という疑問はさておき、
「なんでこんな、……せんぱい、よだれでちゃう……っ」
震える両手で俺の頭を挟み込むように触れる一色。しかし既に快楽に身を委ねている彼女の力は弱々しく、まさに「添えるだけ」状態。
「…………っ?」
彼女の声を無視して胸を吸い続けていると、ぺちゃりという水音と共に何かが上から垂れてきた。
「……あ、すみませ、……んっ……ぁはぁ」
視線を上げて確認すると、それはどうやら彼女の口から垂れてきた唾液のようで。
とろっとした彼女のよだれは、ほんの少し香りがして、いい匂いがした。
服の上からでは自己主張をあまり感じられなかった柔らかな膨らみが、一色の口端から零れ落ちる唾液に濡れてらてらと光沢を魅せる。
「……っ、……〜〜!?」
胸に垂れた唾液を塗り広げるように、舌で乳輪に沿って小さく撫でると、色艶の乗った声とぴくんっ、と震える体で彼女は返事をしてくれた。ちなみに言語化は不可能なり。
恥ずかしがる彼女の体が顔と呼応しているのか、肌の朱色と相まってりんご飴のように美味しそうだ。
「……っ」
浅くて早い呼吸の音がする。顔を上げると一色と視線が合った。彼女は恥ずかしげに視線をそらし、後頭部、頬に当てていた手を下げて俺の肩をきゅっとつまんだ。
……好きにしろ、という事だろうか。
まぁ確認が無くても、俺が彼女に「何をするか」はもう決まっていて。
「……」
下腹部のワレメに指を這わせ、彼女の乳嘴に強く吸いつく。
「……んっ、……あっ、————!」
すると一色は、悲鳴とも嬌声とも区別がつかない声を出して————
☆
夢。ドリーム。人は心の奥底で求めているものを夢に見るというが、それは間違いだ。
実際に人が夢に見るのは記憶の整理をしている途中で合成された『存在しない記憶』。
人は普段、情報を視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚の五つから得ている。夢はそのどれとも接続されていない記憶から作り上げられるもの。観る夢の完成度がどれだけ現実値に近かろうと、あくまでも「夢」として造られるそれは、その人の記憶に存在しない100%の偽物だ。
つまり、夢で何を見ようとどれだけ現実に似通っていようともそれは嘘なので、現実に何か影響があるわけではない。
それを踏まえて、今の状況を考えるべきだ。
「…………何考えてんの俺」
夕陽が差し込む午後の病室。
本気で戸惑う声が出た。
……えー。なんで昼寝でそんな夢みられんの、俺……。
そもそも「どこかの室内」って思ってる時点で気づけ俺。
ああ、そうだ。右腕があるなんて普通おかしいもんな。それに俺は胸だけしか触ってないから一色が顔を赤らめているのもおかしい。
「んあっ」ってなんだ「んあっ」って。
……いや、そんな体験なんて生まれてから(妄想の中でだけしか)してこなかったから知らんけど。
大体、4ヶ月寝たきりの上半身起こすのがやっとな俺にそんな余裕あるわけ無いだろばーかばーか。
何より。
「べき」とか「仕方ない」とかを言い訳にして、状況に流されているという事に1番納得できない。
いや……うーん? 死ぬか?
……皆さんは「唐突に壁に頭を打ち付けたくなる瞬間」って、ありますか? ちなみに俺は今です。
嫌悪感すら抱いた相手に対してあんな気持ち悪いことができるって、俺相当疲れてるか溜まってるかのどっちかなんだよ。まぁそれを自覚した時点で死にたいんですが。
突然獣の巨人の叫び声を聞いて無垢の巨人とかにならないかなー。思考を放棄したい。……自殺願望と一緒か、やめよ。
そんな事をボケた頭で考えてたら、なんかほっぺたに冷たい感触。
「……? うわ」
右手で触ろうとして無いことに気づき、左手で右頬に触れてそれが涎だと気づく。……最悪だ。
今更気づいたのだが、俺はシーツを咥えて眠りについていたらしく、口元が涎でびっちょりと濡れて汚いし臭い。
あと、マジで夢を見たという記憶を消したい。だから現在進行形で五感に働きかけてくる嫌な感触をなんとかしてくれ。
それに、見た夢が最悪中の最悪だった。どうせ見るなら、なるたけとかの美味いものとかの夢の方が何倍もマシだったのに。
しかも、よりにもよって。
「……なんで、夢に出てくるのが一色なんだ。しかもあいつの胸を舐めるとか、エロいことなんて」
場合によってはパンツの替えも——
「……はい?」
「…………」
ちょっとまって? なんか声しなかった?
本物の寒気ってちょっと暖かいんだ。それで、首筋からつうっと降りていくものじゃなくて、肘あたりからぞわぞわと虫のように登ってくるから気持ち悪い。いや何の話をしているのか俺は。
落ち着け。とにかく落ち着くんだ。
気のせいだと思うけど。多分今の、忌々しい後輩の「はい?」に聞こえた何かは、カーテンが揺れた、とか廊下から聞こえる靴音とか人の声とか——
「……いきなり何を怯えてるんですか、先輩」
……また声が聞こえた。聞こえてしまった。聞き違いじゃなかった。
恐る恐る、横を見る。……そいつは、間違いなくいた。
「こんにちは、比企谷先輩」
にんまりと笑む悪魔。いや違う、一色いろは。俺が片腕を失くし、現在も入院生活を続ける理由を作った、亜麻色髪の少女だ。そして、自分の命を救ってくれた俺の事を本気で好きだと言ってくれた後輩だ。……その真偽はともかく。
「……あ、おう。今日も来たのか」
俺が目覚めるまで毎日欠かさず面会に来てくれていた彼女は、俺が目覚めてから1週間近くが経った今日も、見舞いにやってきていた。
「今日もじゃなくて、今日やっとですよー」
一色は不満げに話す。
まぁ彼女の言う通り、ここ数日間は面会謝絶で締め出してたから会うのは数日ぶりだ。
何故?
決まってる。その理由は——
「……日が経てば飽きると思ったんだが」
一色を俺から遠ざける為。
何故か? 無論、俺が彼女に対して何も思っていないからだ。
恋人同士でもないのに、男女が何回も会うべきじゃない。しかもただの先輩後輩ではなく、ハッキリとした「好き」という感情を向けられている以上は。
「恋に『飽きる』って概念は無いと思いますけど」
「諦めるという事はあるぞ」
「運命を諦めるって、死ぬってことですかね」
「赤い糸は幻覚だから」
顔は見た。会話はした。けれど、比企谷八幡は一色いろはのことを1ミリも理解できていない。告白された事なんて今までに経験ないから知らんけど、こんなグイグイくるなんて聞いてない。告白って振られたら終わりじゃないんすか。
告白を拒絶されて尚、距離を取って尚、一色は俺と話をしたがる。諦めるという言葉が彼女の辞書から抜け落ちているみたいに。
「……まぁそれはそうと」
俺が眠っている間に読んでいたらしい本を閉じて自分の鞄にしまい、彼女は俺の元へとやってくる。一色は、恋する乙女のように瞳を煌めかせていた。
「ずいぶん
……そして吐く言葉がコレである。
俺に対する嫌がらせとか、自分が愉しむ邪な気持ちが混じっていない分、余計に恐ろしい。正直言うと嫌って欲しいくらいだし。
「ここ最近、お前としか話してないから夢に出てきただけだろ。小町とかお袋達よりもお前とは顔合わせ過ぎなんだよ」
純粋な好意ほど恐ろしいものはない。
「安心してください。結婚したら毎日夢に出るつもりなので!」
「祟るつもりなのやめてくんない?」
彼女は自分自身に生じている歪みに気付いていない。吊り橋効果の恋心云々以前に、黄金の右手でも猿の右手でも何でもない
「祟りませんよー。逆に崇めて……あ、でも先輩が事故で死んじゃってたらわたしが『こい!!! 先輩!!!!』とか言ってたんですかね」
何故か特級過呪怨霊扱いの俺である。
「過去の記憶を捏造するな。俺とお前は結婚の約束なぞしていない」
「まぁ、
「…………」
「先輩?」
先輩なので。愛します。
その言葉を聞いた途端。
体が何かに縛り付けられたような、右腕が痛むような、そんな気がした。
彼女が不意に口にした言葉。その言葉の重みを、俺は知っていなくてはいけない。
いいや、忘れてはいけないのだ。
一色という美少女に想い慕われる事を嬉しがっている自分がいる。それは素直に認めるしかない。
だけど、一色が俺に抱いている好意と俺が一色に向ける好意には明確な「差」がある。
一色の好意とは、生涯を通して愛するという誓いを含めた覚悟であり、俺が彼女に向ける「この娘顔が可愛いな」程度の感想とはまるで違う。
結果として俺が得た教訓、俺が自分の体を犠牲にして彼女を助けたという自己満足は、彼女を見殺しにするよりも数倍酷い、いや非道なものだった。
それを再確認する為に、記憶を掘り返してみようと思う。