私にかけられた呪いというのはかなり厄介なものだった。
一度定着してしまえば除去するのは大変むずかしい物で抵抗力さえあれば何てことはなかった物だ。
本来は妊婦に対して掛けられる呪いの一つだった……円満に子供が産まれてくるようにという物。
それが妖魔によって捻じ曲げられた物を私は受けてしまっていた。
退魔巫女が掛けられる事案は私が始めてらしく……事態は深刻だった。
人妖問わず妊娠した場合はいかなる手段を用いても中絶はできないというもの。
一度妊娠した後に追加で孕むことは無いが……絶対に中絶が不可能というのはヘビーだ。
そして、私は昨日たっぷりと老人の精液を受けている……生殖能力があるとは思い難いが……
検診を受け、暫くは綾波が護衛に着くことになった。
幸いにしてハズレてくれていたおかげで数カ月後に離脱という憂き目を見ることはなくなった……
「指揮官の身の安全は綾波が守るです、安心すると良いです」
「頼もしい限りだ……」
「……むふー」
組織としては火力だけは一線級の退魔巫女を遊ばせる訳にはいかない。
何か私に職が与えられるとは思うが……なぜだろう、嫌な予感がする。
胸中渦巻く不安をかき消すように……自分の腕で綾波を抱っこして過ごしている。
妖魔のネットワークというのはかなり独特ではあるが伝達が早いらしい。
退魔巫女の中に孕ませれば必ず種を残せる巫女が爆誕したのも伝わっている事だろう。
そしてその巫女が類稀な霊力と魔力を持った私であるということも……
なんとしても種を残したい妖魔は血眼になって私を探し攫い……そして犯して苗床にすることだろう。
純然たるパワーのみの妖魔であれば何ということも無いが……
少しでも術でコチラをどうこうするタイプであれば私は……
「指揮官の胸は人をダメにするです……」
「……そういうなら綾波のその顔も人をダメにするな」
悲しきことを考えていたが胸元に頭を預けている綾波のなんと緩んだ顔……
見ていればそんな悲観も露と消えるというものだ。
何より綾波は相当強い……抵抗力も高ければ霊力もずば抜けて高いレベル。
そして術はそこそこに自前の大剣で妖魔も淫霊も細切れにしてしまうフィジカルモンスター……
綾波もこちらに来た当初はそれなりに辛酸を嘗めたそうだが……
「今日のお仕事のメールですよ、信濃指揮官」
「……信濃か指揮官かどちらかだけで言って欲しいな。私は信濃であって信濃では無い」
「ふふ、ちょっとしたイタズラですよ♪綾波ちゃんもお元気そうで」
「ぅわっぷ」
惚けていた綾波の顔面に翔鶴の胸が……信濃と翔鶴のおっぱいサンドか。
すこし第三者視点で撮ってくれたりはしないものか……
「窒息してないか?」
「ふぇーきです……幸せ、です……」
……まぁ良いか。仕事のメールとやらを見てみよう。
古風な手紙でのやり取りは嫌いではないが……面倒だとも思わなくもない。
ふむ、今日の仕事は妖魔に食い殺された人々の慰霊か。
妖魔により食い殺された人間の霊は恨み辛みを抱えてしまっている。
そうでなかったとしても死んだことを受け入れられず霊としてさまよい続ける事になる。
それが妖気、淫気を吸い込んで怨霊や淫霊に化けてしまうケースがある。
そうなる前に霊力をもつ退魔巫女が慰霊をしてやり……成仏させるのも必要なことだ。
基本的には念仏を唱えてあげて……葬式に近いことをするんだと。
衣服は私の基本衣装である着物で良いとのこと……
「仕事に出るぞ、シャキッとする」
「ふぁーいです……」
帰ったらゲーム、付き合ってやろう……綾波がプレイしているゲームも気になると言えば気になるな。
ずらりと並んだ骨壷……皆妖魔に殺された後物言わぬ帰宅する前の状態だ。
私達が守りきれなかった命とも言えるな。やるせなさが胸を締め付ける。
「始めよう」
綾波は2歩下がった所に着いている、有事の際に直ぐに前に出れる位置だ。
念仏というのを唱えるのは始めてだが……霊たちに届いているだろうか?
耳にかすかに聞こえてくるのはあるが言葉として明瞭なものではない。
ただ感じるその感情の色とも形容できるソレは……悲しみと憎しみだ。
死んで悲しい、なぜ守ってくれなかった……そんな所だろう。
これらが強くなればなるほど霊は力を持ち……そして生きている人間を妬み羨み……
そして襲って操って……再誕を画策するものだ。以前対峙した淫霊もそう。
あの言霊もそうだ……理不尽に殺されたからこそ理不尽を尽くしてでも再び生をもぎ取ろうとする。
干渉する能力は乏しく……おそらくは念仏を捧げる私に纏わり付いているのだろう。
ほんのりと肌を撫でられる感覚がある、頬や首筋……胸や腹、太腿の付け根など……
集中を途切れさせるほどではないが霊に好き勝手されるのはあまり心象が良くないな。
背後の綾波も少々殺気立っている。見えているのだろう。
唇になにか触れる感覚もある、キスをされているのだろうか?
――――子を残さず……先立ってしまった
――――親父、お袋……
あぁ、聞こえてしまった。浅ましい訳ではない、女の体にすり寄る原因もわかった。
この今すり寄っている霊はみな親を残して逝ってしまった者達か。
ただ念仏を唱えるだけではその無念は晴らすことは難しかろう。
……現に私にまとわりつく霊は一向に成仏する気配がない。
「指揮官、そいつら強制的に……」
「それでは何処かで遺恨が残る……良い方法を探そう……」
霊を強制的に祓うことは出来る……だがそうした場合払いきれずに残った想いが妖魔と化す。
おそらくこの男の霊たちの想いは祓うことはできないであろう。
子を拵えることはできないであろうが……ふむ、どうしたものか……
結局、その日はそれっきりで綾波とゲームをして……そして就寝することになった。
「……は……?」
ふわふわの布団に包まって寝ていたはずが何処ぞわからぬ牢獄に……
否、見覚えがあるそれはゴブリンの巣穴の奥深く……老魔に呪いを掛けられし場所。
衣服は寝間着ではなく退魔巫女としての信濃、KAN-SENとしての信濃の象徴とも言える着物であった。
夢か?と思えば心当たりもあると言えばある……霊達であろう。
己が無念を私を使って晴らそうとしているのだろう。
ちょうど私は抵抗力が一切ない……付け入るとするならばコレほど良い相手は居ないだろう。
「ふぅ、汝はなんと難儀な事を……」
「……なんと」
隣から自分と同じ声がすると思えば……そこには瓜二つ……私がそこに居た。
否、その儚げな顔は信濃……私の身体の本来の持ち主……!
私が1等好いていたKAN-SENだ……衣服まで一緒ではなく、こちらはドレス衣装に身を包んでいた。
ただ余計なアクセサリーが身体に纏わり付いていた……首枷に手枷……
私の腕にも手枷は着いていたが……
「妾の身体に汝が宿りし時は天にも昇る気分であった……」
「……しかし……なんだ」
「多くは語らなくとも良い……よく存じている」
私の意識の奥底に信濃は居た……これは大変うれしい事だが……
それと同時に1等好いていた女の身体をこんなにも汚してしまった我が不覚……
「それに、この快楽というのを汝と共有できるのは存外良いものだ」
「すまん」
「……汝の子として産まれるのも悪くはないと考える」
は?この信濃今なんと申した?私の子として産まれる……だと?
「雑談はもうお終いか……斯様な時間はすぐに過ぎ去る」
黒く、ぼんやりとした人影が私達の牢に入り込んでいた。
これが私に纏わり付いた霊たちか……触れる手は酷く冷たい。
魂まで凍てつくような気がしてくる。
そして思考が私に流れ込んでくる……犯す、孕ませる……
男として生まれ持った生殖欲が渦巻いている……夢の中でそうしても気休めにしか為らぬと言うのに。
げに恐ろしきは執念というものか。
「ふぁぁぁっ……」
ドロリと溶けて人の形を捨て去った霊達は私の身体に纏わり付いた……さながらスライムのようだ。
私の着物を穴あきに溶かしてゆく……ひんやりとした触感もスライムを彷彿とさせる。
両胸、股座には塊が……それぞれに混ざりあった霊の口が生えていた。
さらに言えば指に近い感覚もそれぞれに……
股座には特別さらにペニスが生えていた……大きさ太さそれぞれ違う4つがせめぎ合うように。
それら全てを合わせて巨大なペニスの体をなしていた。
「かふっ……斯様な、ものを……ぉぉっ♥」
当然のごとく隣では信濃が同じ様な辱めを受けていた。
なれどこれは夢……どうしてこんなにも快楽を感じてしまうのか?
魂に直接作用しているのであろうか?
手枷によって拘束された私や信濃は逃げること叶わず……そのまま霊によって犯され続けた。
両胸は見えぬ手によって弾まされて、見える黒きモヤに絞り上げられ……自分自身でその母乳を味あわされることもあった。
ぎゅっと揉み潰されグイグイと伸ばされ……乳首も噛まれたり舌で弾かれたり……
4種のペニスが合体した巨根はそれぞれがそれぞれ独立して跳ねて私の中を抉っていった。
私以上に性に慣れ親しんでいない信濃は隣で私以上に喘ぎ散らされていた。
無論、私も自分で思い返すにしても恥ずかしく思うほどに乱れていた。
私達の肚に子種が吐き出されるとドス黒いそのモヤは少しずつ……濃度を落としていった。
これが目を覚ますまでの間ずっと続けられた……
揺り起こされた時には私は寝間着姿のまま母乳に愛液……汗に塗れた状態だった。
あの夢の中で感じていた快楽は間違いなく本物……
朝から心配をかけたが……身体には異常はない。それに良いことを知った。
妙にニコニコとしていたものだから逆に心配されたが……
信濃が私の中に居る、それを知っただけでも私はとても嬉しい。
なにかの拍子に対話できれば尚良いのだが……
信濃を産む、それもまた良い手段なのかもしれんな。