まずいことになっているな……ふと正気にもどった時だった。
私の腹で育っていた卵が生まれ落ち……幾分落ち着いているとは思った……だが。
身体の落ち着きに対して回りの空気は随分と……沸き立っていた。
見上げるは夜空、星々の動きから私が気絶してそう経っていないのは伺える。
救助の後発隊が来るのはまだ先であろう……
「……間違いねぇだ、このドスケベ狐女……信濃だべ」
流暢な言葉ながらに訛りが見える。
高位の妖魔か……くぅ、乳房が邪魔をして見えぬが……
川辺に潜む人語を話す妖魔と言えば……河童であろうか?
「ぅぉ、気がついただか……う、動くんじゃねぇべ!」
「……河童の……小童か?」
「うるせぇだ!おめぇの乳さ吸ってオラも立派な河童になるだ」
抑え込む力もあまり強くはない、しかし人間を抑え込むには十分か。
乳房の谷間から覗くのは……随分と可愛らしく思える小さな小童。
腹はもう引っ込んでいるからか乗り掛られてもあまり苦しくはないな。
……キュンキュンと子宮が疼くのは避けられぬが。
緑の表皮、頭の皿……ボサボサに生えた髪等からしても妖怪、河童であるのは間違いない。
……大人への憧れを持った子供と何かの欲が混ざりあった結果か?
否、再び具現化した妖魔達が繁殖した結果だろうか?
ここら一帯は綾波が一度滅して回ったと言う……その際に生き残っていた……か?
「止せ……と言っても聞かぬか?」
「う、うるせぇだ!オラが立派な河童になって人間共全部飼って……そんで……」
主体性は無い、否、その後のビジョンが無いのだろう。
子供が大人へのふわっとした憧れ……それも格好良いから、自由だから……
何をしても怒られないから……そんな所からくる憧れに近い。
成長しきった後のことはまるで決まってないのだろう。
人間を全て飼育すると言うが……それも無理がある。
河童もどう頑張ろうがその手は2つ、雄蕊も一つ……囲える数にも限りがあろう。
「……乳を吸いたければ吸うが良い、情けだ」
妖魔の退治にはいくつかある、つい最近知り得たものだが……
妖魔の中でもその欲望を満たしきった場合……成仏ではないが、自然消滅する事がある。
……あの魚人も恐らくその類だろう。
幸運だったのが……生殖に関する事であったことか……
「こ、後悔すんなぁ!」
「ぁっ♥♥この……甘えん坊め……♥♥」
じくじくと……この青臭い子供の癇癪が……私の母性というものをくすぐる。
大見得を切っていながら……ビクついて、一挙一動が子供のそれ……
乳房に吸い付くも……舌も使わず、ただただ……その嘴ではさみ、吸い上げるばかり。
もどかしい……♥快楽を感じるが、絶頂には至れない……♥
満たされるようで、満たされない……あぁ、もどかしい……!
信濃の身体にはもう魚人の産み付けた卵は無い。
そう、卵は……無数の子となり母胎となった信濃の霊力を吸い上げた後に川へと消えていった。
もう数時間としたら無数の魚人がこの川に出没するようになることだろう。
胎内には魚人の精子で見事受精、着床してしまっていてこちらもそう遠くなく腹が膨らみ陣痛代わりの快楽を与えることだろう。
だが今はそれに気を回す必要も無いだろう……
ちゅっちゅっ♥きゅぽんっ♥ちゅぅぅっ♥
むにっむにぃっ♥むにゅ……ばるんっ♥
「ほっ♥ぉっ♥♥あっ♥♥は……んっ♥♥」
信濃の……力はいらぬ身体を組み敷いて爆乳に身体を預け、吸いたてる存在がある。
河童の子供、まだ尻子玉を引きずり出し、喰らい……成長するという事を識る前の子供。
ベースとなった欲望もまた子供の無垢な大人への羨望……そして甘えられずに死んだ子供達の嘆きだ。
今は信濃という女体……妖魔達の母とも言えなくはない女に甘え……その身体を急成長させようとしていた。
乳腺の奥から吹き出る妖魔達を強く強く育て上げる魔性の母乳は過剰なまである……
河童一人では吸いきれず溢れては川へと流れ落ちていく。
搾乳調教をされつづけた信濃の乳房は……拙い乳吸いであっても容易に感じていく。
乳を揉まれもしたら……ようやくと絶頂に到れるだけの快楽が来る。
抵抗するだけの力が残っていたとしても……こうなれば結果は同じだろう。
信濃という女にはもう妖魔にとって都合の良い下地が整いすぎている。
ある意味妖魔から都合の良い……より上へ昇華できる苗床としての"信仰"が集まっているとも言える。
「うめぇ……」
「ほっ……ほっ……♥♥どう、した……もう腹一杯か……?」
啜れば啜る程に身体に妖力が滾っていく。
それだけじゃなく味覚的にも腹にも満ちていく……信濃の方は不本意な始まりであっても……
この河童の根底を為す欲の一つが癒えていく、当然それは妖魔自身の瓦解にも繋がる。
甘え、癒やされ……その身は急速に大人へと近づいていく。
「ならば今暫しは眠るが良し……」
「……かあちゃん」
信濃の甘やかしも打算あってのこと、責め手が止めば回復に努める事もできる。今の信濃に動くだけの余力はなく……
霊力も祓う為の物はからっけつ、ともすれば如何様にも出来やしない。
押し返すだけの余力も無い……救助が来るのもまだ先……
仕方なく、仕方なく……そう言い聞かせて河童の小僧を甘やかしていく。
願わくば人間側と寄り添ってくれればとは思うが……そうは問屋が卸すであろうか?
「……ふぅ、やはり囲まれては居るか」
川の水が不自然に盛り上がる……そこからは何も出ては来ない……
しかしながらその水自身が蠢き、信濃に這い寄ってくる。スライムと呼ばれる魔物だ。
信濃の霊力に反応し……母乳に誘われ集まってきたのだろう。
万事休す、また何時間かは苗床と堕ちるか……と諦めの嘆息が出る。
「下郎、疾く失せよ……!」
力強い、凛とした声と共に……紫の色を帯びた霊力の塊が薙ぐ。
スライムを尽く焼き払い……跡に残るのは信濃と……その胸に抱かれる河童。
何事かと驚いた信濃が目を丸くしながら見上げれば……
「何処へ消えたかと思い探し回ったぞ……信濃?」
真ん丸の満月を背に黄色く輝く瞳をした……漆黒の妖狐……
そう取られても可笑しくない見事な美女の姿があった。
「……?」
「何を惚けて……妾の、武蔵の顔を忘れたか?」
「なんと……」
その女の名は武蔵、大和型戦艦の弐番艦。
さらなるKAN-SENが淫靡な世界に迷い込んでしまった。
ちょい無理やり気味ですが武蔵さんの登場。
後で苗床に堕とす