少しばかりやんちゃな海の怪物を御した……それが中々に利いた様で陸地の妖魔で私に反旗をという者は居なくなった。
空に居るモノはそも……人間界に興味が無い、ぼんやりとした子供の信仰で生き延びているのもあるが故に……ふむ。
そして呼び出されたのも気まぐれであり送還を……となっても御しがたいのだろうな。
正直私であっても真っ向から反抗されれば……どうであろうか。
いくつかは御せるとは思うが、うむ……全ては言い切るのは無理だな。
「指揮官様、今よろしいでしょうか」
「ん、赤城か……少し浮かぬ顔をしたが、どうかしたか?」
「いえ……こほん、妖魔と通じて裏から人類を蹴落とそうとしていた狸達をしょっ引くコトに成功しました」
「それは重畳……うむ、どす黒いのがここからも感じれるな」
「指揮官様の権能もあって捕まえるのは容易でしたわ」
赤城の表情に少し陰りが見えたのが気がかりだが……ふむ。
現状、生かして置いても何か問題を起こしそうな連中の捕縛には成功したか。
人の存続よりも金儲けしか考えていなかった自己中心の俗物……
捕らえられているとのコトで少し意識を外に向ければ……見える見える、どす黒い欲望の食指が……
取り押さえているのはオイゲンとベルファストか……それに綾波も背後で金棒片手に睨んでいる……
これはまぁ……なんとも厳重な接待が期待できそうだな。
「何を憂いている?」
「……指揮官様がどれだけ残っていらっしゃるかと」
「……なるほど、な」
表情をみるに嘘では無い、私は元々男であった指揮官……という認識をされていた。
ただゲームの中で愛でていただけではあるのだが……赤城を始めとした皆はそうではない。
たった一人、身を捧げる覚悟をキメた男……その成れの果てが今の私。
だが信濃と混ざりすぎてほぼほぼ信濃の言動に近くなっているのは……否定出来ぬ。
はたしてどれだけ"男"の私が残っているだろうか。
所作や癖、目配せの雰囲気などは男の時のままだと言われていたが……
恐らくはそれすらも信濃のモノに置き換わりつつあるのかもしれぬ。
故に……指揮官という希望を好いている赤城からしてみれば……こんな気持ちにもなるか。
「言動は確かに信濃に寄り……趣向も淫靡に変われば不安にも思うか」
「……もうし」
「謝らずとも良い、至極当然と言えよう……むしろ、素直に申してくれたことに感謝する……」
「……はいっ」
今更信濃と分離することは叶わぬ……戻せと言われても無理というモノ。
さて……どう折り合いをつけたものか……
「まるでスワンプマンだな」
「……何と?」
「いや、何でも無い」
スワンプマンのパラドックス……何をもってして本人とするか、哲学の世界に入る。
我思う故に我あり……なんて言葉もあるが……それで納得しきれるのは本人だけだ。
「……ふふ」
「……?」
「あぁ、いえ……そういった独り言はまだ指揮官様そのままで少しホッとしたんです」
「そう……か……」
思ったよりも深刻そうでさほど……考えるだけ無駄かも知れぬが……うーむ……
「もう少し殿方の側面が残っている内にどうにか……赤城にお情けをとも思ったりもしましたが……」
「…………子を成したいと言うことか、ふむふむ」
「率直に申し上げるとそうですわ、言葉にはしないでしょうけど他の皆も同じ事でしょう」
「手が無いわけでは無い……事が全て終わった後、考えてみよう」
私の権能は生と死……そして快楽の権能、ともすれば考えは二つ浮かぶ。
私の股間から消えて久しいモノを生やしてしまえば良かろう……というものと……
私の子という物をセックス無しに宿らせるという妖魔顔負けの事をしてしまう事。
後者は人の心が無いといわれそうなので却下だろうが……もう戻る事も考えていないが故……
この世界の安定が見えたらぼちぼちと……赤城を始めとした皆と真剣に向き合わねばなるまい。
……ゲームの一キャラクターではない……同じ時を生き、同じ空気を吸う大切な者達だから。
「指揮官様……」
「そのためにも今は日本の……世界の安定存続の為に頑張ろうか」
神は人が増えすぎたとして刈り取ってきた……またぞ人を迫害するやもしれん。
信仰無くして生きてはいけないのが神霊……しかし……そのために生ある物が脅かされるのは看過出来ぬ。
「少し巡回してくる、赤城は……皆が帰るこの場所を頼んだぞ」
「……お心のままに」
クラゲ妖魔との子はまだまだお産の気配が無いが……長く見積もってもあと数日の間に膨れて産み落とす事になろう。
その間に出来る事はしておかねばな……
……少し巡回に出れば……人間相手に平謝りしながら縋り付く妖魔の姿がちらほらと見受けられる。
元は人間の欲望から生れ……そして恐れを上塗りされ……人の敵たれ……と指向されたモノ。
その在り方がそも……穢されていたと言っても良い。
人間側も暴力の化身だった妖魔にこうもされれば気味が悪かろうな……
「そこな妖魔……」
「ひっ……信濃っ!?お、おねげぇだ、何でもするから命だけは……」
「んくっ……♥これ、少し落ち着いて、離れぬか……顔がよく見えぬ……」
飢えを下地とした妖魔、餓鬼か……
……苗床としての側面が疼くが……それをねじ伏せて落ち着く様に諭す。
……人間は……私が声を掛けた途端に逃げていったか、まぁ無理からぬ事か。
「……よしよし、少しは落ち着いたか?」
「……ぉぅ、落ち着いたけどよぉ……オラたちがどんどん薄くなって消えちまいそうなんだ……助けて欲しいんだぁ……!」
「知っておる知っておる……人と共に歩むのなら保護するというのも……聞いては?」
「じゃ、じゃあ……オ、オラ達の巣穴きてくんろ!群れがピンチなんだぁ……!」
餓鬼をはじめとした木っ端とされる妖魔は多い。
……すくい上げるならばここらから……よな。
「少し待て……私一人ではまかないきれぬ可能性もある、少し人手を呼ぶぞ?」
「お、ぉう……誰さ呼ぶんだ?」
「……イラストリアスは慈母活動で出ていて……ふむ、では大鳳とフォーミダブルを呼ぶとするか、ちょうどいいリハビリになろう」
フォーミダブルはトラウマ気味だろうが……いい加減に克服していかねば……な。
それに……慣れてしまえば輪姦される事も悪くは……ないのだぞ?
次がエッチ回の予定、今年はこれの更新で最後かな……良いお年を