退治じゃなくて浄化って感じになってきてるので……ネ……
汝、隣人を愛せよ……かの聖人、キリストが遺した言葉。
無償の愛とも言うべきか、余裕ある物が抱く自然な感情とも言うべきか……
私が今の妖魔に向けている感情はそのような物である。
あまり意識した物では無かったが……かの聖人の足跡を辿っているのかも……否、違うか。
何度滅しようかと考えがよぎっている、俗人たる私がそう思うのは烏滸がましいと言う物か。
「ほ、本当にこれ私が参加しなくてはいけませんの……?」
「お部屋に引きこもってぐーたらするのもここまで、と言う事です」
「そぉんなぁ……指揮官、本当に……ぅぷ」
「……酷な事をしているとは思うが、授乳だけでも良い」
今宵は餓鬼の群れの救済と言う事で私は大鳳とフォーミダブルを引き連れ向かっていた。
当然、二人とも難色を示している……フォーミダブルは特に。
そも、私がこうして受け入れていると言う事にも割と難色を示している。
……まぁ無理もない、虫が良すぎるというのもあるし、自分たちには靡いてくれなかったのに……というのもあるだろう。
「私は……この世界に居着くつもりでな……元の世界に未練が無いと言えば嘘にはなるが……」
「だからと言って害虫風情に指揮官様が身体を捧げずとも……乗り気なイラストリアスに任せればよろしいのでは?」
「上の者やってみせねば誰が付いてこよう? それに……やらず嫌いというのはな……」
「……絶対にイヤになるだけですわ」
大鳳は不承不承ながらにもう言う事は無いと切り替えた様子。
フォーミダブルは子供みたく頬を膨らませている……同じ装甲空母でも違う物だな。
総じて言えるのは、我が身を案じてくれている事……
「……それでも、こちらのワガママに付き合ってくれる事感謝する」
「当然ですわ、大鳳は指揮官様の為でしたら例え汚泥を啜る事になっても喜んで♥」
「……今回だけですわよ、ロイヤルレディがこんな……」
餓鬼は主に生殖よりも……母乳を好むだろう。
比較的マシな部類でこの始末であるからな……反応を見て適材適所に振り分けていくしかあるまい。
そも……無理に私と同じ道を歩ませなくとも……しかしなぁ……
考え事は多く山積していく……指揮官という立場、動き出してしまった神格……どちらか一方だけであれば……楽だったかもしれん。
まぁそれも……たらればの話、今はこの世界に根差し双方に歩み寄り……落とし所を捜す他にない。
私がやっているから……ではなく、皆がしたい事を後押ししていきたいしな。
「あれがその巣穴でしょうか……臭いますわねぇ……」
話し込んでいる間に件の場所へついていたようだ。
まぁ、今は献身に励む他ない。思い悩むのは後で出来よう。
巣穴はさほど深くもなく、人里からもあまり離れた物ではなかった。
故に認識されて消されるという憂き目を避けられたのかもしれない。
また、飢餓という感情は人の中に根強くこびりつく……これも要因の一つかもしれんな。
「ほ、ほんとに来てくれた……!」
中に入ってみれば街で見た餓鬼が出迎えてくれた。
こうして見ればただの男子よな……うむ……
意識を向けてみれば数は20程度か……どれも衰弱していて襲うなんて事は出来そうにないな。
ともすれば生殖も出来た物では無かろうな……
「フォーミダブル……あまり警戒する事は無い……あの餓鬼を除いて床に伏している様子だ」
「……そう、ですの?」
「指揮官様がそう仰るなら間違いないのでは? まだ大鳳は数の把握程度しかできませんわ」
半ばくせになっているのかもしれぬが……流れで滅する為の札を取るのは……まぁ、身に染みついてしまっているのだろうなぁ。
すっと手で抑えてみれば……ようやく収める。
「助けに来てくれた……ん……だよな?」
うむ、まぁこう心配されてしまうだろうな……私はともかく連れてきた二人は……な……
安心させるべく少しばかり……肌を触れさせる必要もあるか。
「違い無い……さて、何方に向かえば良い?」
「ぉ、おぉ……こ、このまま真っ直ぐ入って行けばいい……ぅぉ……柔らかい……」
さて……巣穴の奥はどうなっているか……余り入り組んでいなければ良いが……
どうしても胸に埋める形になるが……抱っこしてずかずかと入り込んでいこう。
餓鬼の体臭はまぁそこそこ……獣臭さを感じるが、酷い物でもない。
……邪気が薄れて見てくれから目を背ければ幼子の様にも感じれる。
後ろの二人が殺気立ってるが……
「……私の顔を立てると思って、な?」
「うっ……そう、ですわね」
「……」
「ちょっと私より先に気絶しないでくださいまし!?大鳳さぁん?」
……一度だけでもこの始末、大丈夫であろうか。
選択を大いに誤ったかも知れぬな……
中に入ると……これは酷い地獄があった。
下手に易々と死ねないが故に苦しみに喘ぐ餓鬼が並べて寝かされていた。
簡素な藁敷きの布団に身を横たえて……今にも消え去りそうな物だった。
「ふぅぅぅ……こうも弱音の呻きでうるさいと毒気抜かれますわね」
「……す、少しだけですわよ?犯そうとしたら張り倒しますからね……?」
「自分で吸いに立てる余裕がある者は後だ、伏している者を優先しよう……」
私が説くよりも先にこの惨状に大鳳もフォーミダブルも嫌がってられない……と思ったのか乳房をさらけ出して……うむ。
私もまた動く……ふんわりと加護を与えつつ……よく力を込めて母乳を与えていこう。
セックスをする余裕はまずない……うむ……フォーミダブルも臆することはない。
さて、さて……こうも世話をせねばならぬとなると……赤子のようだな。
「育児の予行と思えば悪くなかろう?」
「あぁ坊やたち、大鳳ママのミルクのお時間ですわよぉ♥」
大鳳……なんという変わり身の早さか……
伏した餓鬼は調度良く6人と来た、3人の両胸に抱けば事足りるが……油断は出来ぬな。
餓鬼はその下地故に常に飢える……満たされることは無いのだ。
「よ、良かった……これでオラ達助かる……」
「ん……はふ……♥溺れるほどに乳はでる……心ゆくまで、飲むが是……♥」
弱々しく吸う餓鬼めの顔が初めて……苦悶から和らいだ安堵の表情へと変わっていく。
ん……うむ……こういう時ばかりは馬鹿げた巨大さに育乳された我が身が便利よな。
地に横たえた子に授乳するのは少し背もたれを用意してしまえば良いのだからな……
首が据わっている事が前提ではあるが……事、妖魔に分け与えるのであれば……
「こうしていると確かに赤子に乳を与えてるみたいですわね……指揮官との子をどうにか迎えられたら無駄ではありませんのに……」
「……私に生やすでもよし、ソチラに生やすでも」
「「それ詳しくお聞かせくださいまし??」」
……かえった後少しばかり大変な事になるやもしれんなぁ。
こうして指揮官一行が妖魔に肩入れし、人間と取り持つ様になって……
より指揮官の信仰という物は強固になり……
例え敵であった存在であれ助けようとする慈愛の精神は一部の人間にとても関心されていた。
面白くない……その信仰は我が物だ。
重い腰が上がっていった……