イリヤちゃんと立香くん 作:□リ
でも、本来はそんなことしないような(でも耳年増の)子が、年下相手にお姉さんぶって偉そうにエロ教育しちゃう話からしか取れない栄養素もあるんだと、強く主張したい所存であります。
わたし、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンは、今、温泉に入っています。立香お兄さん……ううん、じゃなくて、同じ年頃の男の子になった立香くんと、一緒に。
うう……さっきからチラチラと見られてるよう。恥ずかしいぃ……。
どうして、こんなことになっちゃったんだろ。
最初は、そう。ダ・ヴィンチちゃんに呼び出されのが始まりでした。
「やあ、よく来てくれたね。イリヤスフィール君」
ダ・ヴィンチちゃんです。
前はモナリザそっくりな綺麗な大人の人だったんだけど、今ではわたしと大差ないくらいの女の子になってしまいました。中身はだいたい前と同じだって本人は言うけど、でもやっぱり見た目相応に子供っぽくなっている気が……あれ? ダ・ヴィンチちゃんの後ろにいる子、誰だろ。
私と同じくらいかな? カルデア制服を着た、男の子。ちょっとマスターさんと似てるかも…………まさかね?
一瞬、ギルくんと英雄王さんのことを思い浮かべたわけですが、このときのわたしは、カルデアは気軽にそういうことが起きる場所だってことをすっかり忘れていました。
「ああ、彼のことが気になるかな? そうだね、まずは自己紹介といこうか」
ダ・ヴィンチちゃんの影に隠れるようにしていた男の子が、ずい、と前へと押し出される。
照れ屋さんなのかな? こういうときは、私の方から挨拶しないとね!
「わたしはイリヤ、イリヤスフィール・フォン・アインツベルン。小学5年生です。よろしくね?」
「あ、う、うん。僕は、藤丸立香。えっと、小学4年生、です」
うんうん、よくできました。わたしより1つ下なんだね、藤丸立香くんは。
ん? 藤丸……立香?
「え、ええぇぇぇーーーっ!! やっぱりマスターさんだったの!!??」
「あ、ご、ごめん。僕、その、マスターとかいうのはよくわからなくて……」
「うん、ここからの説明は私が請け負おうか。最初に気づいたのは、彼を起こしに行ったマシュだったんだけど。まあ、何と言うか……仔細は省くけど、頼光君がちょっと大変なことになっていてね?」
「えっ! 大変なことって、大丈夫だったんですか!?」
「ああ、大丈夫大丈夫。ちょっと問題が起きただけで、彼女は無事さ。それ以上は深く追求しないでくれたまえ。頼光君の名誉のためにも、そこの彼のためにもね」
見れば立香お兄さんは顔を青くして震えていました。余程怖い目にあったみたい。
頼光さんはとっても穏やかで優しい人だけど、こと戦うことに関してはすごく強くて、厳しい人です。そんな頼光さんがついていながらいったい何が起きたのか、心配だなぁ……。
「それでね。ちょっと小さくなってしまった立香君の面倒を見てくれる人を探していて、君に白羽の矢が立ったというわけさ」
「なんか途中がすっ飛ばされてる気がするんですが……なんで小さくなってるの、とか。大変なことも全然わからないし」
「その疑問はもっともだ。立香君が若返っている理由については目下調査中。なんせここには原因の候補が多くてね。英雄王の薬しかり、鬼一法眼の打ち出の小槌しかり……ただ、そっちはまだいいんだ。問題はもう一つの方だ。時にイリヤスフィール君。君は、立香君を見て何か感じないかな?」
え、何かって言われても……。
立香お兄さんの方をジッと眺めてみる。
すごい、目線が同じだ。いつも見上げてたから、何かすっごく新鮮な気分。あと改めて見ると、やっぱり立香お兄さんそっくり。同一人物なんだから当間なんだけど。でも顔立ちはずっと子供っぽくて、ちょっと可愛いかも。
あ、目を逸した! それとさっきより顔が赤くなってる。どうしたんだろう、風邪でも引いたんじゃなければいいんだけど。
「うん、その様子なら大丈夫そうだね。実はね、この姿になってから一部サーヴァントは立香君の姿を見ると、ちょっと変になってしまってね」
「変、ですか?」
そういえば、さっきも頼光さんが大変なことになったって言ってたけど……。
「そう、そこが一番の問題なんだ。彼もちょっと怖い目にあったことだし、大人の女性より同年代の子の方が安心できると思ってね。それで君を呼んだってわけさ」
本当に、いったい何があったんだろう……?
あ、そういえばさっきからマシュさんの姿が見当たらないのはもしかして。
「ああ、マシュも『今の先輩の姿を見ていると、未だかつてない未知の衝動に襲われます。きっと自分もおかしくなっているに違い有りません! ちょっとレオニダスさんに活を入れてもらってきます!』と、飛び出して行っちゃってねー」
「それって、マシュさん大丈夫なんでしょうか……?」
「一応レオニダス三世にも様子を聞いてみたけど、多分大丈夫じゃないかな。マシュの考えすぎじゃないかって気もするしね」
どうやら、本当に大変なことになっているみたいです。これは、わたしも気合を入れて頑張らねば!
「わかりました! それじゃあ、美遊やクロと相談してマスターさんをお預かりしますね!」
「おっと、待って欲しい。申し訳ないんだけど、ここは君一人にお願いしたいんだ」
ガクッ。
さっそく立香お兄さんを連れて部屋に戻ろうとしたら、止められてしまいました。
「今の立香君を見ておかしくなるサーヴァントが他にもいないと限らないし、君には彼を連れて、かねてより緊急避難用に用意してあった微小特異点にレイシフトして欲しい」
「なんか思ったより大事になってきたー!?」
「君一人に限定したのも、なるべくこの話を広めたくなかったというのもあるけど、それ以上に、今の状態では用意できる魔力に限りがあったからなんだ。君ならカレイドステッキによる魔力供給もあるし、マスターからの供給は最小限で済むだろう?」
はー、なるほど。さすがダ・ヴィンチちゃん、色々と考えてるんだなぁ。
「そういえば、カレイドステッキはどうしたんだい。今日はやけに静かなようだけど」
あれ、言われてみれば。いつもだったら絶対にもっと騒がしくしているはずなのに。
そう思ってルビーを見てみると、口? のあたりからレジのレシートのような紙切れを出してきました。
「どれどれ……『ルビーちゃんが出ると話が進まなくなるので、この小説では基本喋りませーん☆ ファンの皆さんには申し訳ないのですが、今回はイリヤさん一人で頑張ってくださいね♪ あ、でもちゃーんと美味しいシーンはバッチリ全部録画してるので、ご安心くださーい!』……だってさ」
ルビぃ……いったい何を言ってるのか、わたしには全然わからないよ……。
ちなみに、立香は肉体と精神がまるっと当時の状態に戻ったというわけではありません。
……ということにしておけば、色々な不整合を気にしなくてもよくなりますからね! 不自然に知識が不足してたり体ができあがったりしていても、それは仕方ないのです。そういうことでお願いします。