俺のハーレムはワル女子だらけ 貸出ホステスと暮らす新生活 作:祐。
昼下がりの龍明。曇り空の穏やかな風を受けながら、自分は七名程度の集団に混じって駅前を歩いていく。
ちょっとした趣味の集まりである男女が、会話に花を咲かせていく和やかな空間。集まった男女の皆がマニアックな話にのめり込むその中で、自分はスマートフォンを確認するなり彼らへと一言掛けていったものだった。
「それじゃあ事前にも話してあったように、このあと待ち合わせがあるから俺は先に失礼するね。また呼んでくれると嬉しいな。じゃあまた」
振り返る彼らに快く送り出される自分。その際に「彼女との待ち合わせか~?」と茶化されたりして苦笑しながら歩き出していくのであったが、そうして自分は彼らと離れるなり、既に視界に映っていた勝負服姿のラミアへと真っ直ぐ歩みを進めていったものだった。
駅前の柱の前で、紫色のスマートフォンをたぷたぷ操作していたその彼女。いつもの病み系ファッションで、カールを掛けたヴァイオレットカラーのロングヘアーという身なりのラミアが可憐に佇んでいる。
下に着ている白色のフードが顔を出した黒色のパーカー。それと、黒と白のチェック柄ミニスカートに、黒色のルーズソックスと黒色の厚底ブーツという彼女の格好。
そんなラミアを目指して歩いていると、こちらの靴音に気が付いた彼女が顔を上げて確認してくる。そしてラミアもこちらへ歩き出してくると、スマートフォンを持つ手を軽く振りながらその言葉を掛けてきたのだ。
「どーも、カンキさん。お疲れ様でーす」
「お疲れ様、ラミア。待たせちゃった?」
「すこーしだけ待った程度ですよー。まー、カンキさんをお待ちしている間に、三回くらいナンパされたくらいです」
「人気者だね。でも彼らの気持ち、俺にも分かるかも」
メイクとコーデをバッチリ決め込んだ、地雷風を装うあどけない乙女。そんな印象を受けるラミアの格好に自分は感想を口にしていくと、この言葉を聞いた彼女は後ろに両手をやりながら、甘えるような上目遣いで覗き込むように近付いてくる。
「おや?? おやおや?? カンキさんも、このラミアちゃんにメロメロですか??」
「否定ができない自分がいるよ」
「ははーん?? それじゃー、カンキさんもラミアちゃんのイチファンとして、ウチがとっても喜んでいるお姿をトーゼン見たいモンですよね?? それでしたらウチ、現在お腹が空いておりましてですねー」
「隙があれば奢らせようとしてくる……」
「なんですか?? 本来でありましたらコチラ、同伴案件のお出掛けなんですよ?? それなのに今はですね、お店のノルマと何にも関係の無い貴重なプライベートのお時間を割いてまでしてココにいるんですから、カンキさんはそんな頑張り屋のウチにご褒美を与えるべきなんですよ」
「いやまぁ、どちらにしても奢るつもりではあったけどさ。そもそもとしてこのお出掛け、ラミアが夏に向けたコスメを選ぶにあたって、現地で男性視点の意見をうかがいながら選びたいってところから決まった計画だったよね……?」
「ムムッ。なんですかー、ウチに文句でもあるんですかー」
本気ではない逆ギレ。困り眉を見せながら敢えて突っ掛かってくるラミアの絡みに、自分は「いやいや文句はないけど!!」と返答しながら行動を促していく。
「それで、お腹が減ってるんでしょ? ラミアもさっきまで同伴だったもんね。お疲れ様。今日頑張ってきたご褒美で、なんか美味しいものでも食べような」
「えへへ、カンキさんってウチらに対してトコトン甘いですよね。ホント、ウチらにとって都合がイイ存在なのでいつも助かりますよー」
「否定はできないけど、言い方よ……」
「あー、ウチお寿司食べたいです!! 今日頑張ってきたご褒美で、ちょっとお高めなお寿司が食べたいキブンです!! お寿司食べましょうよー!!」
「人の奢りになった途端に昼飯のグレードを上げてきたな……」
ラミアの調子に、汗を流しながら呟いていく自分。その間にも彼女はご機嫌な足取りでこちらに近付いてくると、そのまま腕にしがみついてからおもむろに見上げてきたものだ。
そして、おねだりをするような甘い声と表情で「ダメですか……??」と訊ね掛けてくる。これに対して自分は、内心で「ずるい……」と思いながら渋々と承諾した。
そうしてラミアが満足気な微笑を見せてくると、次にも彼女は「ハイ決まりです!! それじゃー早速お寿司を食べにいきましょー!!」と言ってこちらの腕を引っ張り出してきたため、それに合わせて自分も歩き出したことで、腕に引っ付くラミアと二人で駅前を歩き出したものであった。
昼食を済ませた自分らは、当初の目的であるラミアのコスメ探しのために近くのデパートに立ち寄っていた。
店内の化粧品売り場で、ラミアと一緒に品物を眺める自分。
まるで宝石のようにキラキラと光る容器が、辺り一面と展開されているその光景。同時にして、男である故に謎の禁忌に触れているかのような気分を味わいながらこの領域に踏み入れていると、隣にいるラミアがアイシャドウのパレットを手に取りながら喋りかけてきたものだった。
「カンキさん、コレ見てください。南国の砂浜をイメージしたアイシャドウみたいです。清涼感ある透き通った白色の浜辺から着想を得たって謳っているだけはありますねー。どーですか?? コチラ、ウチに似合うと思います??」
「なんか、見るもの全てが同じに見えちゃってなぁ……」
「ナニ言ってるんですか?? どっからどー見ても違うじゃないですか。ホラ、コチラの着物と合わせるコトを想定された和風チックなパレットと見比べてみてください。コチラは雅とも見受けられる落ち着いた色が揃っておりますよね??」
「あー……なんか、美味しそう。アイシャドウのパレットってチョコレートみたいだよね」
「……カンキさんと一緒に来たのは間違いだったみたいですね」
ラミアから蔑みの目を向けられる。これに自分は「ごめん……」と謝ってしまったものだった。
とは言え、彼女もそこまで本気に怒っているわけではなかった。
こちらの謝罪に、ラミアは「まー、オトコのヒトには分かりませんよねー」と言葉を掛けていく。それから、自身が今も付けているアイシャドウのことを説明した上で、ラミアは手に持つ商品の色について熱く語ってくれたものだった。
そういったやり取りを行いながら、ラミアと共にアイシャドウ以外の様々なコスメを見てきたものだ。その結果としてラミアは、暗い赤色ながらも煌めいたツヤを放つリップを購入したことで満足気に化粧品売り場を後にしていく。
こんな調子で自分は、成り行きでラミアとのデートを楽しんでいた。
今もこちらの右腕に引っ付く彼女は、前方を指差しながら「アチラでショーをやってますね。見に行ってみますか??」などと言葉を投げ掛けてきてくれる。ラミアも何だかんだでノリノリなサマを見せていたことに自分は安堵していくその中で、ふと目についた帽子売り場の前で立ち止まるなり彼女は不思議そうな顔で訊ね掛けてきた。
「どーしましたー?? なにか気になるモノでもございました??」
「あぁ、ちょっとピンと来たものがあって。寄っていってもいい?」
「構いませんよー」
そう言ってラミアは、こちらの腕にぎゅっとくっ付いてきた。
こちらに全てを委ねたスタンス。自分の歩みに従うよう彼女も足並みを揃えてくれるラミアの気遣いに、内心で感謝しながら自分は目的の場所を目指していく。
そして、一つの帽子コーナーの前に到着した。
動物の頭部や耳を象った帽子が何とも特徴的である、ちょっと風変わりな帽子を取り扱うその一帯。ここで自分は不思議と惹かれていったとある帽子を手に取っていくと、それを持ちながらも隣にいるラミアと見比べるようにして、暫し思考に耽っていく。
……猫耳がついた、ちょっと膨らみのある黒色キャスケット。それを、今も腕に引っ付く彼女と交互に見遣っていく中で、ラミアが「カンキさん、ソレ被るんですか??」と適当な調子で喋り出してくる。
すぐにも自分は、「いや、そういうわけではないんだけどね」と返答した。
且つ、好奇心のあまりにラミアの頭部をまじまじと見つめてしまう。そんなこちらの視線に彼女は何かを察していくと、次にもラミアは上目遣いのまま、受け入れるかのように頭を差し出してきて……。
……自分は、猫耳の黒色キャスケットをラミアに被せていったものだった。
「…………ラミア」
「…………なんですか??」
「…………とても似合ってる」
「…………ソレ、褒めてます??」
「…………正直な感想、言っていい?」
「…………イイですよ」
「…………めっちゃ可愛い」
元々の可憐でいたいけな風貌とマッチしている上に、今の地雷風コーデが合わさることで絶妙な可愛さを発揮しているその格好。これを目撃して、思わず本音が漏れ出てしまった本気のトーンをラミアは耳にしていくと、次にも彼女は「……どーも」と言うなり恥ずかしそうに俯いたものだった
それからラミアは、付近の鏡を見つけるなりその前まで移動して、しばらく自身のコーデと見合わせていく。
本人としても、満更ではなかったのかもしれない。猫耳がついている帽子に彼女は抵抗が拭えない様子ではあるのだが、一方で脱ぐのも名残惜しそうに暫し被り続けていると、ふとラミアはおもむろにこちらへ振り返りながら、反応をうかがうかのような視線でそれを訊ね掛けてきたものだ。
「…………あの。コレ、ヘンじゃないですか……??」
「変じゃない。なんか、奇跡的にラミアと噛み合ってるよ」
「……そーですか。コチラを被っていても、同伴相手からはヘンに思われたりしませんかね……??」
「少なくとも俺は見惚れちゃうな。だから、むしろ同伴の依頼が増えると思う。ナンパも増えちゃうかもしれない。それくらい、その帽子はラミアに似合ってるよ」
「……そーですか」
チラッ。期待の目を向けてきたラミア。
あと一歩の踏ん切りがつかない。そんな様子の、どこか助けを乞うかのような彼女の目と自分は向き合っていくと、その意図を汲み取るなり自分は大きく頷いてみせながらその言葉を伝えていった。
「買うだけ買っておいてもいいと思うよ。帽子に関しては買わずに後悔するより、買って後悔した方が良いと思う」
「!! ……まー、カンキさんがそこまで仰るのでありましたら、今ココでコチラを購入してもイイのかもしれませんね……!!」
どうやら、ラミアの背中を押すことができたらしい。
ひとりでは踏み出せずにいたその一歩を手助けしたことによって、ラミアは何かを誤魔化すような上ずった声音でそれを口にしながらも、被っていた帽子を手に持って足早と会計へ向かっていった。
その時の彼女の駆け足がまた、小動物のようにトコトコとした足取りであったためなのだろうか。この時にもラミアの背を見送っていた自分は、不思議と彼女のことを愛らしく思えてしまって仕方が無かったものだった。
場面は変わって、龍明の駅前から少し離れた公園に訪れる自分ら。購入した帽子をさっそく試したい! というラミアの意思の下、自分らは付近の公園で散歩をしようという話になって今に至る。
夏が近いこの季節。どこか怪しい雲行きの空の下。デパートの駅前から歩いてきたこの公園は、周囲の木々に辺り一面の芝生が生い茂る、大自然を思わせるほどの解放感に満たされた緑の空間によって成り立っていた。
今もこの公園では、小さな子供からリードを着けていない犬までの様々な生き物が走り回っていたものだ。
とても和やかな空間だなと感じる一方で、空の様子が様子なだけに人の数は少なめであるこの状況。それでもラミアの帽子デビューを優先したこのお出掛けであったのだが、草木によって囲まれた暗がりの細い道に差し掛かったところで暗雲が立ち込め始めたものだった。
駅前からずっと手を繋いで歩いてきた道のり。それでいて、アパートへの近道である一方通行の細い道を辿っている時にもポツポツと感じられ始めた、湿り気のあるこの空気感。
次第に、雨が降り始めてきた。これを受けて自分とラミアは互いに傘の有無を確かめ合っていくのだが、共に持ち合わせていない事実と直面するなり二人で真っ青になりながら走り出したものだった。
しかし、ラミアの履いている厚底ブーツが運動に不向きな形状をしていたため、これに自分は急ぎで周囲を見渡して雨宿りできる場所を探していく。
そこで見つけたのが、田舎のバス停で見受けられるような小さな小屋というものだった。
今も繋いでいた手を引っ張りながら、急ぎでそこに駆け込んでいく自分ら。それとほぼ同時にして滝のような勢いで雨が降り出してくると、それは一瞬にして豪雨となって龍明に降り注いだのだ……。
……小屋に備え付けられたベンチに座っている、自分とラミア。隣にいるラミアがこちらの手を一切と離さずにいるその脇で、自分は通話を終えたスマートフォンを上着のポケットにしまいながら彼女へそれを伝えていく。
「ちょうど俺の部屋にいたメーが、傘を持って俺達を迎えに来てくれるって。だから、それまで俺達はここで雨宿りをしていよう」
「……わかりました」
ちょっとだけしょんぼりとしたラミアの声音。これに自分は彼女へと振り向きながら訊ね掛けていく。
「どうしたの? 具合でも悪い? 急な雨で冷えちゃった?」
「あー、いえ。そーいうワケではないんですけどー……。ただ、ウチのワガママでカンキさんを大雨に巻き込んでしまったモンなので、ついつい浮かれちゃって失敗したなーって反省していたトコロでした」
「気に掛けてくれてありがとう、ラミア。心配には及ばないよ。俺としては、買った帽子を被っているラミアを間近で見ることができて楽しかったし」
繋いでいた手を離して、ラミアの肩に手を回しながらトントンと叩いていく自分。これに彼女は「そう仰っていただけますと、何だか嬉しくなっちゃいますね」と口にしてくると、次にもラミアはこちらに寄り掛かり、そのままべったりとしながら落ち着いてきたものだった。
今も被っている猫耳の黒キャスケット。それを抱き抱えるようにしてラミアの頭を優しく撫でていく。
雨がザーザー降り続ける空間の中、ひと気の無い小屋に取り残された二人の男女。この空気で高揚感が昂らないはずもなく、次の時にもラミアはこちらをじっと見つめてくるなり、彼女はベンチに座るこちらへと覆い被さるように勢いよく乗りかかってきたのだ。
突然の行動に、自分は思わず声を上げて驚いていく。
だが、そんなこちらの反応もラミアはお構いなしだった。その両腕をこちらの肩に回してきた彼女は、スカートという格好で向かい合うように乗りかかりながら、甘えるような可憐な声音でそれを喋り出してくる。
「カンキさん。一つ、ウチからお訊ねしてもよろしいでしょーか??」
「え? あ、いいよ……?」
あまりにも急すぎるラミアのアプローチ。
首の後ろに回してきた腕でぎゅぅっと抱きしめてきた彼女。それでいてラミアは、意図的に顔を近付けながら猫なで声でそれを訊ね掛けてくる。
「カンキさん基準ですと、ウチとカンキさんってまだ親しくない関係だったりするんでしょーか??」
「親しくない関係……?」
「以前、ウチと同伴した時のコトを覚えておりますか?? ウチはですね、ソレを理由にされて一度、カンキさんにフラれちゃっておりますから」
「フラれたって、そんな……」
ラミアとの同伴で水族館にお出掛けした日の夜。彼女から夜のお誘いを受けた際にも自分は、互いの関係を理由にしてラミアのお誘いを断っていた。
たぶん、彼女はそのことを言っているのかもしれない。
突然の問い掛けに困惑が勝るこちらの心情。だが、そんなこちらへ追撃をかますように、ラミアは乗りかかるその身体を一段と密着させてきたものだ。
これによって、自分の股付近には悶々とした感覚が生じ始めてしまう。
スカートであるラミアが、こちらの“ソレ”に押し付けるよう自身の下半身を密着させてきた。そうして意図的にくっ付けてきた彼女の大胆な行動に、自分は思わずラミアの背に手を回してしまいながら言葉を掛けていく。
「待って。さすがにそれはやばい……!」
「どーしました?? ナニがそんなヤバいんですか??」
「いやいや、ラミアも分かって言ってるでしょ!?」
「あ、またおっきくなりましたね」
「こんなの不可抗力だ……!!!」
こちらの生理的な現象を、自身の股で事細かに感じ取ってくるラミアのアプローチ。
強い……。あまりにも強すぎる……。これまでにも受けてきた彼女からのアプローチの中でも、特に破壊力の強い誘惑に自分はラミアを抱き抱えるようにしてしまう。
彼女のショーツを意識してしまうだけでも限界なのに、更にそれを上回る欲望を駆り立ててくるラミアの攻撃。これで自分の思考がぐちゃぐちゃにかき乱されていくと、彼女は追撃として鼻先が触れ合う距離まで顔を近付けながら、甘い声音でそれを囁いてきたものだ。
「カンキさん。イイ加減、紳士を気取るのはやめませんか?? カンキさんもそろそろ欲求を受け入れるべきだとウチは思うんですけど、その辺いかがなモンでしょーか??」
「でも……でも……。ラミア達は同伴でそういうことをしているから……俺といる時くらいは、そういうしがらみを忘れてもらいたくて……!」
「そりゃー、相手によってはウチらも渋々ってトコもありますけど、キホンはウチらも好きでやっているコトなんですよ?? なので、カンキさんが勝手にそう勘違いされているだけなんですから、ガマンする必要なんかナイんですよ??」
息が掛かり合う至近距離。潤ませた魅惑的な目と、今にも触れ合いそうな互いの唇。
可憐な顔で、こちらを堕としに掛かっていた。そうして陥落寸前の理性で見遣るこちらの視線を彼女は受けて、猫耳キャスケットを被るラミアはトドメと言わんばかりに猫なで声でその言葉を掛けてきた……。
「カンキさん。気取っているだけではモテませんよ?? せっかくヒトとしてのイイトコロを見せてきたんですから、お次はカンキさんのオトコらしいトコロ、ウチに見せてくれてもイイんじゃないですか……??」
あっダメだっ。
ラミアを支える自分の手が、彼女の身体を抱き寄せる。且つ、一層と猛ったソレを彼女のに押し付けていくと、ラミアもまたキュッと身体を縮こまらせながら、ニッと静かに微笑んで期待の眼差しを向けてくる。
お互いの大切なところがくっ付くシチュエーション。そこから受ける熱と感覚に心臓を打ち鳴らし始めた自分はそのまま、吸い寄せられるかのようにラミアの唇を塞いでいったものだった。
……
こちらの肩に回していた彼女の両腕が、直にも力が加わって抱擁となる。そして、二人で抱きしめ合いながらキスを交わし合うという構図が生まれたその瞬間にも、自分はラミアの頭を手で優しく押さえ付け、理性のブレーキが壊れたかのように彼女の柔らかな唇を求め出してしまった。
降りしきる雨の中、ひと気の無い小屋の中で熱烈に交わし合う欲望。
軽いキスを繰り返すアプローチから、一回の口づけが長いディープキスへと移行していく。それと共に自分は、ラミアの腰を一層と押さえ付けてソレに強くあてがっていき、ラミアもまたこちらの期待を上回るかのように深く座り込んでくることで、上でも、そして下でも熱を共有し合っていく。
もう、戻れない。今までの友達的な関係では収まり切らなくなった彼女への想いが、タガが外れたかのように胸の内から溢れ出してくる。
目の前では、蕩けるような表情で恍惚としたラミアの顔が映り出している。しかし優位に立っているが故の余裕も思わせる微笑みを彼女は見せてくると、次はラミアから近付いてきては何度も軽いキスを交わし合っていくのだ。
唇を重ね合わせる度に巡ってくる、その先へ向かいたいという次なる渇望。その想いを体現するかのように自分のソレが苦しみ始めてくると、これを発散させたいという欲求から余計にラミアを求めて抱きしめてしまう。
彼女の温もりを、自分は忘れることができなくなるのだろうか。
キスを終えて、二人で暫し目を合わせていくこの空間。これによって、ようやく満たされたとも見受けられるラミアの微笑に自分はまた理性を失っていくのだが、それと同時に視界の隅に移った“その存在”に、一気に血の気が引いていく感覚を覚えながら声を出してしまったものだった。
「……メー!? 来てたの……!?」
雨の中、二人分の傘を手に提げて佇んでいた私服姿のメー。共にして、彼女のからかうような悪戯な微笑みが、新ネタを手に入れたと言わんばかりの表情を生み出していて自分は複雑な心境となってしまう。
こんな自分とは対照的に、ラミアは平然と振り返るなりメーへとその言葉を投げ掛けていったものだった。
「あー、どーも。もーいらっしゃったんですね??」
「なにさ~、雨の中私を呼んでおきながら、お二人さんはイチャイチャお楽しみタイムってこと? 私、やっぱりお邪魔だったかな~。傘だけ置いて先に帰ってるから、お二人さんは満足いくまで愛を育みなー?」
メーを呼んでいたことを忘れていた……!
すぐにも自分は、「いや、帰るとするよ!! メー、わざわざ来てくれて本当にありがとう!」と言いながらラミアを下ろしていく。その時にも彼女を小動物のように持ち上げたことで、ラミアは「うにゃー!!」と言いながら脇に下ろされていったものだった。
メーの介入が無かったら、今頃はもっと取り返しのつかない所にまで至ってしまっていたのかもしれない。
理性を失って事に及んでしまった自分自身に、反省しろと言わんばかりの罪悪感が圧し掛かってきた。一方で、純粋すぎる自分のソレは未だ猛ったままであったことから、不完全燃焼な気持ちでこの高ぶった心のやり場にたいへん困ってしまっていた。
その間にも、この脇で交わされていたラミアとメーの会話。メーが「なんか良いの被ってるじゃん! なにこれ超カワイイ~!!」と言葉を掛けてきたものだったから、ラミアは若干と照れたサマで口を尖らせながら「ど、どーも……」と返答していく様子が展開されていたものだ。
ともあれ、自分はメーにお礼を告げながら傘を差し、ラミアとメーの三人で雨降りの龍明を歩き出していったのであった。