※この作品はR-18です。

俺のハーレムはワル女子だらけ 貸出ホステスと暮らす新生活   作:祐。

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第22話 Un service passionné 《熱烈なサービス》

 燦々と輝く太陽の下、一台の白い車が海沿いの道路を颯爽と駆け抜ける。

 

 そこに乗車する自分は、助手席に座って“彼女ら”の旅に同行していた。

 

 運転するユノを始めとしたいつもの面子。八人乗りのそれにはラミア、メー、レダ、ミネの四人が乗っており、特にラミアとメーの二人は真ん中の席で、高揚感のままに騒ぎながら他愛ない会話を行っていたものだった。

 

 この場にいる全員が夏服という、季節に合わせたその格好。それぞれ、ラミアは裾を結んだ赤と青のボーダーTシャツに紫の短パン、メーは白色のへそ出しショート丈トップスに七分丈で紺色のパンツ、レダはいつもの赤みがかった鼠色のノースリーブワンピースで、ミネは茶色のTシャツに青色のオーバーオールというファッションをしている。

 

 ユノも、いつもの赤色のシャツに黒色のバイクパンツという外見で、自分もまた黒と白とオレンジが入り乱れる半袖のアウターに白色のTシャツ、そして暗い青色のボトムスに腹部に巻き付けたベルトのような黒色のアクセサリーという一式をしていた。

 

 そんな一同は今、Le goût du péché(ル・グー・デュ・ペシェ)の新規スタッフの歓迎会となる特別なイベントでバカンスに訪れていた。

 

 季節によって行き先が変化する、給料も発生する長期休暇。まるで夢のようなそのイベントに、マネージャーとして強制的に参加させられた自分も混じることによって、この日にもバカンスの初日を迎えていく。

 

 走る車の中では、真ん中の席で外の景色を撮影するラミアとメーが大はしゃぎ。ずっと窓に張り付いてスマートフォンを構えている彼女らの傍らには、後ろの席で逆ナンパの教えを説くレダとそれを聞いているミネという図が展開されている。

 

 各々が既に休暇を満喫しているその手前の席にて、助手席にいる自分は運転席のユノへとそれを話し始めていった。

 

「なんだか、見慣れたメンバーでのバカンスになりましたね。事前の話によれば、こちらの歓迎会はどうやら成果を出しているホステスが選ばれるとうかがっていたものなんですが……」

 

「えぇ、そうよ。売り上げの記録を鑑みて、ラミア、メー、白鳥レダ、そして私の四名が同行メンバーの候補に挙がったわ」

 

「なるほど。普段から俺と関わっているから……というわけではなく、お店での成果を考慮した上で選ばれたメンバーということなんですね。だとしたら、みんなって本当にすごいホステス達なんだな……」

 

 ひいきとかではなく、きちんと選考した上での今回の面子らしい。特にメーはこの歓迎会に参加してみたそうな様子だったため、選ばれた時の喜びようは凄まじいものでもあった。

 

 そんな、彼女らの努力に見合ったご褒美の景色が流れ往くこの中で、自分はユノへとそれを訊ね掛けていく。

 

「普段もこうして、ホステスの皆さんでお出掛けとかなされたりするんですか?」

 

「いいえ、こんな機会は滅多に無いわね。私達は罪人である以上、残る余生を全て社会の貢献に注ぎ込むつもりでLe goût du péché(ル・グー・デュ・ペシェ)に勤めているわ。それが私達なりの贖罪になるの。そういった関係上、普段の私達には贅沢なんて許されないわ」

 

「俺は部外者なんで、あまり偉そうなことは言えない立場にあるものですが……。もちろん、お店の信念や本人達の覚悟があることだと思います。ただ、ユノさん達も贖罪としてお店に尽くされていますから、たまにはこうした息抜きもいいんじゃないでしょうか」

 

「心遣いに感謝するわ。私から言えることは一つだけ。それは、柏島くん。貴方は、誰に対しても温もりを分け与えることができる青年であるということよ。日頃から、私達のようなろくでなしにも親身になってくれて、本当にありがとう」

 

「いえ、そんな。俺だって皆さんから命を守ってもらっていますから……」

 

 尤も、今も運転してくれているユノさんは無免許らしいが……。

 

 同乗している以上は、自分も同罪になるんだろうなぁ。なんという懸念を持ちながらも、同時にして“彼女ら”と親密になることは即ち、自分もまたアンダーグラウンドの世界の仲間入りを覚悟しなければならないことを自覚していく。

 

 そして、彼女らと共に歩む道を選んだのもまた自分だ。

 主に、彼女らの誘惑に負けて落ちたこの世界。色欲にまみれ、それを悦びとして覚えたこの身体は既に、彼女らがいない生活に恐怖さえも芽生えるようになってしまっている。

 

 自分はもう、彼女らを抜きにこの人生を歩むことはできない。

 ……結局は本能に抗えないということか。以前の生活からは想像できないほどの、性欲に侵食されたこの思考。だが、そんな堕落の道を歩き出した自身の運命に対して、不思議と後悔は湧いてこなかった。

 

 何故か納得してしまえるのだ。

 それは、Le goût du péché(ル・グー・デュ・ペシェ)をつくった親父の血筋を継いでいるように、自分もまた“こちら側”に招かれし人間なのかもしれない、なんて思えてしまっていたものだったから。

 

 

 

 

 

 夏と言えば海。満場一致の旅行先に皆が心を躍らせたそのビーチでは、休日の真っ昼間という時間帯から多くの客で賑わいを見せていた。

 

 透き通ったコバルトブルーの水面。波打つ景色に向かって駆け出していくラミア、メー、ミネの後ろ姿を見守りながら、自分はユノとレダに挟まれる形でその足をゆっくりと歩み進めていく。

 

 一同は皆、ビーチに相応しい水着姿に着替えていた。

 早速と浜辺で無邪気にはしゃぎ始めたラミアは紫と白のチェック柄Vネックタンキニという姿であり、メーは膨らみのあるモスグリーンのショートパンツに紺色のオフショルダービキニという格好をしている。

 

 また、ミネは大きなフリルとリボンが特徴的な白いビキニを着けていた。そして、レダはフリル付きの三角タイプ黒ビキニ、ユノはホルターネックの黒ビキニという双方きわめて露出度の高い格好で堂々と佇んでいたこの状況。

 

 特にその二人のプロポーションが際立っており、レダの女性らしい体つきは見る者を誘惑して、ユノの身体の黄金比は絵画の女神の如く完璧に整っている。

 

 なんだか、一緒に並んでいる自分が情けなく思えてくるほどの美女達だ……。

 それを証明するかのように、ラミアもメーも、そしてミネも美女と言える逸材であったことから、既に彼女らをナンパする男の集団なんかがちらほらとうかがえていたものでもあった。

 

 そんな、皆が声を掛けられている様子を横目に自分はビーチパラソルを地面に刺していき、折り畳みの椅子やシートなどといった彼女らの休める空間を用意してから、一足先に腰を下ろして彼女らを眺め遣っていく。

 

 それと共にして、ナンパされていたメーが護衛役としてこちらに戻ってきた。これにお互いが「お疲れ様~」と声を掛けていく中で、こうして自分らが落ち着いた頃には既に、他のホステス達は二手に分かれて各々の休暇を満喫していたのだ。

 

 それぞれ、波打ち際でビーチボールを打ち上げて遊んでいたラミアとミネ。それと、浜辺で男性を逆ナンパしていたレダ……と、一緒になって女性をナンパしていたユノというその構図。

 

 特に、本日の主役とも言えるだろうミネの動向を、自分は見守るように遠くから観察していった。

 

 

 

 

 

 海水浴を楽しむ人々に混ざり、ラミアとミネはビーチボールを交互にトスする娯楽を楽しんでいく。

 

 今まで満足に青春を堪能することができずにいたミネは、これまで見せてきた不機嫌そうな表情からは考えられないほどの、キラッキラしたハツラツな笑顔でビーチを駆け回っていたものだ。

 

 そんな少女に付き合うよう、ラミアはトスのやり方を教えながら「いきますよー」と適当な調子でビーチボールを打ち上げていく。これをミネは子犬のように無邪気に駆け回って追い掛けるのだが、空を見上げたところで燦々とした日差しが目に入り、これに目が眩んだミネは手をかざしてボールを海に落としてしまう。

 

 この一連の出来事に対しても、ミネは無邪気に笑ってみせていた。

 本当に楽しいんだろうなぁ。遠くから眺めていても分かるほどの、とびっきりの笑顔。内心で「菜子ちゃんってこんな顔もできるんだな……」なんて本名を呟いていく自分の視界の中では、ミネに駆け寄ったラミアが様子をうかがうようにそう喋りかけていった。

 

「ミネさーん。そろそろ泳いだりもしてみませんかー?? 浮き輪に乗ってプカプカ浮かぶのも乙なモノですよー」

 

「あぁそれいいね! やってみたい! アタシ、ホント夢だったんだ! 誰かと海に来ることがさ!! 今ホントに楽しい!! 生きてて良かった!!」

 

「まー、コチラは今まで頑張ってきたミネさんへのご褒美のようなモンですからねー。よく頑張ってきましたねー。エライエライ」

 

 自身より背が高いミネの頭に右手を伸ばし、少女の頭を撫でていくラミア。これにミネは反発する様子もなく微笑んでみせると、直にして「あぁ、じゃあボールを回収しなきゃ」と思い出すように付近へと視線を投げ掛けていく。

 

 ……だが、そこに落ちていたはずのボールは姿を消していたのだ。

 慌てるミネが「あれ、無い?」と付近を見渡していく。共にして、遠くにいる自分はボールが沖へと流されていくのを目撃していた。

 

 それもあってビーチパラソルのところから立ち上がり、これを伝えようと彼女らの下へ駆け寄ろうと走り出した時のことだった。

 

 流されたビーチボールの存在に気が付いたラミア。今もプカプカ浮きながら沖へ向かっていくそれを見つけると同時にして、その先で軽快に遊んでいた三名程度の男性の集団を彼女は発見する。

 

 とても爽やかで、中々にイケメンな彼らの存在感。これをラミアはボーッと眺めていくと、ふとその視線をミネへと戻してそれを問い掛けていったのだ。

 

「あの、ミネさん」

 

「え? なに? ボール見つかった!?」

 

「ミネさんって男性経験あります??」

 

「え?? …………えッ?!」

 

 突然どうしたの!?

 というセリフがうかがえる、ミネのギョッとした表情。共にして顔を赤らめてきたその様子から、ラミアは「あー、ナイんですねー」と口にしつつその言葉を喋り続けていく。

 

「ウチらの店で働く以上は、ミネさんにもお客さんの性のはけ口になってもらう必要がありますからねー。その関係上、未経験ですと先が思いやられるというモノですよ」

 

「え、ぁ、いや。でも、だって……し、仕方ないじゃんかッ!!! ど、どうせアタシは処女ですけどッ!? それが何ッ!? 悪い!?」

 

「あーいやいや、ワルくなんかありませんよ。ですけど、どーせなのでイマの内に男性諸君らの視線に慣れておきましょーか」

 

「え……?」

 

 顔を赤らめたままのミネが不思議に思っていったその矢先、ラミアは男性グループへと向かって、適当な調子で「あー、ボールが流されちゃいましたー」と言葉を投げ込んでいく。

 

 この声に、男性諸君は振り返ってきたものだ。

 それと共にしてちょうど、彼らの下に流されてきたビーチボール。この様子からある程度の察しがついた三名の彼らがミネ達に振り向いていく中で、声をかけ辛そうな顔をしていたミネの背後に回ったラミアは次の時にも、ミネの白いビキニへと手を伸ばしていったのだ。

 

 ミネの胸辺りに巡ったラミアの両手。そして瞬間にもラミアは、ミネのビキニのトップスを盛大に上へずらしていく……。

 

 コバルトブルーの光景に晒された上半身。同時にミネの絶叫が響き渡ると同時にして、少女は顔を真っ赤にしながら咄嗟に屈み込んでしまった。

 

 混乱する思考で、目をグルグルにしていたミネ。一方でラミアは、何事も無かったかのように見遣る男性諸君へと手を振っていくものであったから、ミネは怒りや呆れを通り越した困惑のままにラミアへとそれを喋り出していく。

 

「ななな、ななななななにすんの急にッ!!? なんでっ、なんでこんな酷いこと。み、みら、見られたっ、見られた……見られたじゃんかぁ……ッ!!!」

 

「ウチらはもー見せ慣れちゃっていますから、ウチで働くホステスとしてミネさんにも慣れてもらおうかと思いまして。それで、どーでした?? カッコイイお兄さん達に見てもらえた感想とかあったりします??」

 

「な、なっ、な……し、信じられない……ッ。さいあく、ホントに最悪。これじゃあもうお嫁にいけない……っ」

 

「まー、でしたらカンキさんに娶(めと)ってもらえばイイんじゃないでしょーか?? 親戚であれきっと、快く迎えてくださると思いますよー」

 

「そこでどうしてアイツの名前が出てくるのぉ……」

 

 涙目で見上げてくるミネに対し、ラミアは悪気の無いサマで適当にそう返してくる。

 

 挙句には、ラミアは「まーイイんじゃないですか。ミネさんの愛嬌あるオッパイがイケメン達の記憶に刻まれたんです。これで今夜からミネさんも、イケメン達のオカズの仲間入りですねー」と追撃を食らわせてきた。もちろんそれを耳にしたミネは声にならない絶叫を上げて、より一層と真っ赤にした顔を両手で隠しながら、暫しその場に留まっていたものだった。

 

 

 

 

 

 各々が海を満喫した後は、期間中に宿泊するホテルに移って荷物を置いていった自分達。そして夜の時刻を迎えたこの時にも、焦げ茶色を主としたシックな雰囲気の食事処で乾杯していった。

 

 川沿いの野外席にて、ラミア、メー、ユノ、レダ、ミネの五人の美女と食事していた自分。皆が私服姿で和気藹々と夕食を堪能する中で、ふとユノはおもむろに席を立つなりどこかへ歩き去るのを見送っていく。

 

 尤も、ミネはともかく残る三人は全く気にしない素振りで食事を進めていたものだ。

 これに自分とミネが目を合わせて、互いに抱いた不思議な思いを共有し合っていく。……つもりでいたのだが、ミネはミネでこちらと目を合わせるなり顔を赤らめて、口を尖らせた様相でプイッとそっぽを向いてしまった。

 

 あれ、自分ミネに変なことでも言っちゃったかな……。

 まるで心当たりがない。この不安が巡ってきた内心にちょっと気まずい空気が流れ出したところで、自分はこちらに戻ってきたユノの存在へと振り向いてその姿を確認していった。

 

 そんな彼女の傍には、見慣れない一人の女性が一緒に付き添っていた。

 しかしどこか面影を感じたことで自分は記憶の中を遡っていくと、直にもその女性は、ユノがビーチでナンパしていた人物であることを思い出していく。

 

 爽やかな白色のドレスを身に纏った、とても小柄なその女性。特にユノは百七十九という高身長を誇っているが故に、女性との身長差が歴然とも言えたことだろう。

 

 そんな女性と親しげに会話していたユノは、次の時にも左腕で女性を抱き寄せていった。

 かつ、右手で女性の手を優しく取っていくなり、身長差による覆い被さるような口づけを公衆の面前で披露してみせたのだ。

 

 これには思わず、周囲はざわついていった。

 ただでさえ人目を引くその美貌。女神の如きその存在感が常に周囲を釘付けにするユノという人物は、その凛々しく気高い風格から一転として、時には平然としたサマで大胆な行動を起こしてみせるのだ。

 

 目前の麗しき女性に、本人は我慢できなくなってしまったのかもしれない。

 自身の気持ちに素直な彼女は、その女性と名残惜しく別れるなりこちらのテーブルに戻ってきた。そして何事も無かったかのようにイスに腰を下ろしていくと、隣の席にいたレダからそんな言葉を掛けられていく。

 

「あらぁ、一夜限りのラブロマンスに突入しないだなんて、あなたらしくもないんじゃない?」

 

「私にも、自身に課せられた使命を優先する程度の理性は備わっているわ。このバカンス中は柏島くんと同室である以上、私は彼の命を最優先にする義務があるのですから」

 

「とか言っちゃって、あのコとは既に“済ませて”あるんでしょ~?」

 

「フフッ、貴女に隠し事は通用しないわね」

 

「どこで済ませたのかしらぁ? わたしもナンパしたオトコとシたいから、参考程度に聞かせてちょうだ~い?」

 

「ビーチの木陰とシャワールーム、トイレの個室にホテルの非常階段、あとは茂みや海の中で彼女と戯れたわ」

 

「うふふ、相変わらずの絶倫具合ねぇ? でも、まだまだ足りないんじゃないの~? カンキ君の面倒ならわたしが見ててあげるから、あなたはあなたで、せっかくの余暇を満喫してきたらどうなのかしら?」

 

「柏島くんを任せてばかりでは、私の面子が保てないわ。この休暇中は主に私が、彼の保護を受け持つと決めているのですから」

 

 テーブルに肘をついて艶やかに話すレダ。一方でユノは、脚を組んだ状態でシャツの胸ポケットから電子タバコを取り出していくと、それを咥えてからふかしていき、凛とした表情の口から煙を吐き出していく。

 

 その、凛々しいサマで行われた悠々とした姿。本格的なタバコではないにしろ、それを吸っている彼女の姿を目撃したことによって、ヤクザの経歴も持つ女帝の如き威厳を再認識させられたような気がしたものだ。

 

 それにしても、なんて大人な人物なんだ……。

 怖いとか、ろくでもないとかの次元を通り越した、かっこいいの一言に尽きるその存在感。男である自分でさえも憧れてしまうそのクールビューティな生き方に、思わず見惚れるような視線でユノというホステスを眺めてしまっていた。

 

 ……尤も、この数時間後にも、彼女とあんなことをしてしまうとは夢にも思っていなかったが。

 

 

 

 

 

 この日の夕食が済んだことで、ユノから現地解散を言い渡された面々はそれぞれのホテルの部屋へと引き返していく。

 

 その流れで自分もまた、ユノと同室という関係で彼女と共にホテルの部屋に戻ってきた。

 既に荷物が置いてあるこの室内。優しい照明に照らされたこの空間において自分は、ベッドに腰を掛けてスマートフォンを操作していたユノへとその言葉を投げ掛けていく。

 

「あの、先にシャワー使っちゃってもいいですか? すぐ済ませますんで」

 

「えぇ、構わないわ。柏島くんの心行くままに満喫してちょうだい」

 

「ありがとうございます」

 

 ユノと二人きりという空間は、いつになっても緊張してしまえる。

 そんな、拭えないプレッシャーに自分は逃げるように浴室へ駆け込んでいくと、身に纏っていた全ての衣類を脱いだその状態でシャワーの水を出し、お湯となったそれを頭から浴びながら、今日の思い出を脳裏によぎらせることで当時の満足感を噛みしめていく。

 

 今日も充実した一日だった。特に、ミネがすごく楽しそうにしていた姿がとても印象的だった。

 

 彼女が、あんなにも純粋で無邪気な笑顔を見せてくれるだなんて、思いもしていなかったな。……なんていう悦に浸っては、ひとり微笑を零していくこの空間。

 

 我ながら、不気味すぎる。これに自重するよう微笑を真顔に戻していくその最中に、次の時にも突如と、背後の扉がおもむろに開かれたのだ。

 

 これに自分は、素っ裸の状態で振り返っていく。それでいて自分は、あまりもの衝撃で思わず唖然としてしまったものだった。

 

 開かれた扉の先。そこには、躊躇いもなくヒタッと足を踏み入れてきたユノの姿が存在していた。

 

 しかも、彼女もまた全裸という格好でこちらの前に現れていた。これに自分は「え、あの、ちょっと」と困惑のあまりにドン引きしてしまうのだが、一方でユノはお構いなしと浴室に入ってきて、それも、いつもの分厚いポニーテールをほどいたロングヘアーの姿でそれを凛々しく喋り出してきたのだ。

 

「邪魔するわよ、柏島くん」

 

「え? あの、マジですか……??」

 

 既に数名のホステスと親密な関係になっていたことから、以前までの動揺は感じられなくなっていたこの現状。

 

 だが、今こうして相対しているのは、ユノという女神の如き美貌を持つたいへん恐れ多い存在。加えて、彼女もまた全裸であることからその黄金比の全身に目が行ってしまい、自分は不可抗力のままにソレを“直立”させてしまう。

 

 あの、絵画から出てこられました?? 人類が思い描く限りの理想に近しい究極のプロポーションが眩しすぎるんですが……??

 内心で訊ね掛けたその言葉。かつ、自分は「女神は存在したんだな……」と納得していくその中で、ユノは自らの裸を晒しながらもなお悠然としたサマでこちらへ歩み寄ってくる。

 

 そして彼女はあろうことか、その言葉を掛けてきたのだ。

 

「柏島くんのプライベートを邪魔することは憚(はばか)られると考えていたわ。けれども、深夜という時間帯に貴方から目を離すこともまた、些か不安が生じるというもの。ならば、シャワーも入浴も二人で同時に済ませてしまいましょう。そうすれば、私の憂いや懸念は綺麗に解決するわ」

 

「いやいやいや!! だからって声も掛けずに急に入ってくるのもちょっと違うと思うんですけど!?」

 

 彼女のぶっ飛び理論に思わず突っ込んでしまった。これにユノは「やっぱりお邪魔だったかしら。だとしたらごめんなさい」と言うなり、彼女は浴室から出ようと踵を返し始めていく。

 

 その瞬間にも巡ってきた、己の穢れた欲望。

 眼前の光景に自分は、「あ、いえ! 別に嫌というわけではないんで、ユノさんが気にしないのでございましたら俺は構いませんが……」と、本能に敗北する形でユノを引き留めてしまう。

 

 振り返る彼女と、今も自己主張が激しい己のソレというこの構図。これにユノは「それじゃあ、一緒に済ませてしまいましょう」と、ソレに対する嫌な素振りも見せずに凛々しいサマで答えてきたものであったから、自分は背徳感を抱いてしまいながらも「じゃあ、まぁ……どうぞ」とシャワーの半分を譲るように退いていったのだった。

 

 

 

 ……それにしても落ち着かない。気持ち的にも、身体的にも。

 一つのシャワーヘッドから出てくるお湯を、二人で被っていくこのシチュエーション。加えて、互いに全裸であるこの格好から、互いの素肌が触れ合っている現状にひどく興奮してしまっていた。

 

 しかも、ユノは男であるこちらの身体を全く気にしていない様子でもあった。

 同性に恋愛感情を抱くという彼女は、今までの経験から男の身体にも慣れていたのだろうか。尚更とユノという人物がよく分からなくなってきた自分が困惑気味に佇んでいく中で、ユノはこちらを抱き寄せるようにしながらそれを口にしてくる。

 

「柏島くん、お湯が掛かっていないわ。貴方の身体を冷やして風邪を引かせてしまったら、私は柏島オーナーに顔向けできなくなってしまう。さぁ、こちらにいらっしゃい」

 

「は、はい……」

 

 抱き寄せられると共にして、彼女の美乳がこちらに触れてくる。

 自分が百七十五という背丈で、ユノは百七十九というこの身長差。自分が彼女を見上げるその状況から、ユノの包容力も含めて自分は安心感と高揚感の狭間でもみくちゃにされていた。

 

 ……かつ、ちょっとした気の緩みから、自分が最も恐れていた不純な出来事が起こってしまう。

 今もそそり立つ己のソレ。興奮が収まらない状況に一層と猛ったモノが直立を続けていくと、ふと抱き寄せられた衝撃でソレがユノの下腹部に直撃してしまったのだ。

 

 これには、彼女も思わず下を向いて確認していく。

 

 ……背丈の関係上、第二の自分はユノの下半身をウロウロとうろついていた。

 何ならもう、既に限界が近い。しかし、女性一筋の彼女を穢すことは、本人に限らず、彼女と共に過ごした女性達を悲しませることにもなりかねないと考えて、それだけは絶対にできないと決意を抱いた自分は、理性を振り絞って必死に堪え続けていく。

 

 だが、そんなこちらの努力に対して、ユノはそれを口にし始めてきたのだ。

 

「私は女性しか愛せない性(さが)にあって、男性との行為とは無縁の人生を送ってきたわ。けれども、私もまた人の子に過ぎないということかしら。男性との接点は無くとも、その身体については興味が尽きないと感じていたものよ」

 

「あの……それはどういう意味でしょうか……?」

 

 ガシッ!!!

 

 突如、ユノに象徴を掴まれた。

 

 あっ。あかん。

 内心で情けなく響かせた声。しかし彼女はそれをまじまじと眺めつつ、手加減するどころか、容赦しないと言わんばかりに手を動かし始めたのだ。

 

 滑らかな手。潤い帯びた肌。弾力のあるハリと柔らかな手のひら。

 ありとあらゆるすべての要素が、男を瞬殺する。それに加えて、こちらが静かに頑張っていることなど知らない彼女は、興味を持った現象に釘付けとなりながらそれを喋り出してきたものだ。

 

「へぇ、しっかりと強直するのね。人体に備わる筋肉の中でも特に、感触の変化が実感できる部位なんじゃないかしら。とても興味深いわね」

 

「ぁ、あの、だ、だからって、愛でるようにされると、俺、っ」

 

「柏島くん、この状態から萎(しぼ)ませることは可能なのかしら。できるならば、この現象の前後の変化を直で観察してみたいわ」

 

「ぁ、ッ、むりですッ」

 

「そうなのね。なるほど……。それじゃあもう少しだけ、この強直した肌触りを堪能してもいいかしら」

 

「ぁぁぁぁ、それはちょっとやばいですッ」

 

 もう、ダメかもしれない。

 彼女の下腹部とその周辺をうろつくソレ。コレを堪能されることでこちらまでもが高揚感に満たされていくと、何かに掴まりたい一心の下、自分は堪え切れない思いのままに両手を伸ばしてしまい、ユノの身体に回していっては軽く抱き付いてしまう。

 

 そして、視界に映った美乳と美顔を前にして、ソレの感覚も伴う自分は「ゆ、ユノさんっ、すみませんっ……!!!」と口にするなり最高潮を迎えてしまったのだ。

 

 ……溢れ出す脳内麻薬。共にして生じた罪悪感が、後戻りのできない後悔の念へと誘(いざな)う。

 目の前には、若干と驚いた顔を見せるユノの姿があった。それでいて、彼女の下には自分の成果がしっかりと残されてしまっている。

 

 やってしまった……。

 快楽に勝(まさ)った、背徳の念。これに自分は頭を抱えるようにして俯いていくのだが、ふと目の前の動きを感じたことで顔を上げてみたものだ。

 

 するとそこには、凛々しいサマで自身の手や指先を嗅いでいくユノの姿が映し出されていた。かと思えば次の瞬間にも彼女は、自身の手を興味深そうにペロッと舐め始めていく。

 

 これには思わず、「なにやってんですか!?」と声を荒げてユノの手を引っ張ってしまった。

 尤も、こちらの反応に対しても彼女は、ケロッとした表情で「知見を広げることは重要よ」と口にしてみせたものであったのだが……。

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