俺のハーレムはワル女子だらけ 貸出ホステスと暮らす新生活 作:祐。
ピンポーン。昼間のアパートに響き渡ったインターホンの音を聞き、自分はヘッドフォンを首に掛けた状態でその映像を確認していく。
そこには、やはりとも言うべきだろうラミアの姿が映し出されていた。
あの日にも彼女と夜を共にして以来、店から近いという理由でラミアはこのアパートに通いつめるようになっていた。彼女は仕事終わりにこの部屋へ立ち寄ると、その度に私物を洗面所に置いていってはそのまま仕事に出ていったりと、非常にラフで気まぐれな行動が目立っていたものだった。
なんか、日に日にアパートが侵略されているような気がする……。そんなことを思いながら毎朝と目につく洗面所の一角には、ラミアの私物を入れておくための物として自分は専用の籠を設置してあって、持ってきたものはそこに収納するよう彼女に言い聞かせてある。
そんな成り行きで、山積みになった美容グッズがてんこ盛りという状況が繰り広げられていた。それらは実に多種多様な姿を見せており、値段高めの化粧水からマイドライヤー、美顔器から様々なボディソープなどのあらゆる女性向けグッズがうかがえる。
客商売のためとはいえ、美を保たなければならない故の陰の努力に自分は感心さえしてしまえたものだった。尤も、そうして視界に入る彼女の私物を前にして、ラミアからは「勝手に触らないでくださいよー」という謎の注意を食らっていたものだったから、その度に「いやここ俺の部屋なんだけど……」というツッコミを行うまでがワンセットのやり取りみたいになっていたものだったが。
そして、今日も彼女は部屋に訪れた。いつものパーカーという服装で、しかし見慣れない黒色のボストンバッグを背負うようにして佇んでいるその姿。
どことなく、急いでいるように見えたものだった。腕時計で時間を気にする彼女の様子に自分は足早に玄関の扉を開いていくと、「いらっしゃい」と迎える言葉を喋るこちらを遮って、ラミアは急ぎ足で駆け込んでくる。
「あー!! カンキさんちょっとジャマです!!」
「え、ええぇ」
脇を通るラミアと、彼女が背負うボストンバッグにドカッと押し退けられる自分。そして慌てた様子でラミアは部屋に上がってくると、ボストンバッグを洗面所へ投げ入れながらこちらへ言葉を掛けてきた。
「洗面所、使わせてもらいますからっ!! 自由に出入りしてもいいですけど、ウチのジャマだけはしないでくださいよ!! いいですね!?」
バタンッ!! その言葉を最後にラミアは勢いよく洗面所の扉を閉めていって、奥で慌ただしく物音を立てながら浴室へ駆けこんでいく。
だいぶ忙しそうにしていたなぁ。そんなことを思いながら洗面所の前まで歩いてくる自分。その間にもシャワーの水を出す音が微かに聞こえ始めてきたこの中で、自分は頭を掻きながらそう呟いたものだった。
「……いや、ここ、俺の部屋なんだけど……」
洗面所の忙しない物音がだいぶ止んできた。
テレビのチャンネルを回していく自分が、手に持つリモコンをベッドに置きながら様子をうかがいに洗面所まで歩いていく。その間にも収まった音に自分は不思議と思って扉をノックしていくと、奥からは「どーぞー」という適当な調子が返ってきたものだったから、自分は扉を開けて彼女の様子をこの目で確認したものだ。
するとそこには、綺麗におめかしした見慣れない雰囲気のラミアが存在していた。ヴァイオレットカラーの髪にはカールをかけてあって、キラキラと光るヘアピンを無数と付けてばっちりメイクを決め込んだ彼女の眩しい姿。黒色のパーカーからは白色のフードが顔を出していて、黒色と白色のチェック柄のミニスカートに、黒色のルーズソックスというコーディネートがイマドキ風を演出している。
彼女の横には、厚底ブーツが置かれていた。なんだか歩きにくそうだなという印象を抱きながらも自分はラミアへと視線を投げ掛けていくと、そこで鏡と睨めっこしながらまつ毛にカールを作っている彼女が向いてきて、目が合うなりふとイタズラな笑みを見せられながらそんなことを言われたものだった。
「あー、もしかしてウチに見惚れちゃってましたー?? ムフフフフ、この格好カンキさんにはちょっと刺激が強すぎてしまいましたかねー??」
からかうような調子で、ラミアはこちらに近付いてくる。
「どーです?? 似合ってます??」
「とてもよく似合ってる……」
「病んでる雰囲気は出てますか??」
「正直に言うと、確かにそれっぽいファッションに見えるかも?」
「そーですか、それなら安心ですねー。別に、ウチが好きでこの格好をしたいワケではないんですけど、コチラのファッションはお客にたいへん人気がありまして、よくこの格好で“同伴”をさせられるんですよ。ホント、準備が大変なので困ったモンです」
同伴。その言葉を聞いて、自分は納得しながらそう訊ね掛けていく。
「同伴かぁ。キャバ嬢とかにはノルマでそういうのがある、みたいな話は聞いたことあったけれど、あの店も同伴によるノルマとかあったりするもんなの?」
訊ねている間にもせかせかと準備を進めていくラミア。ブランド物の小さなカバンを肩に掛けて鏡の前で最後のチェックを行っていきながら、彼女は鏡に映る自身を眺めながらそう答えてくる。
「ノルマと言いますか、ウチらの店は“ホステスの貸出”を売りとしているキャバレーですからねー」
「ホステスの貸出……?」
「そーです。要は、便利屋ですよ、便利屋。ウチらの店、レストランのスタッフとしても働かされますし、ホステスとしても働かされますし、それに加えて常連さんに貸し出される便利屋としても働かされる、傍から見ればチョーブラックな会社ですから」
「ホステスを便利屋として貸出……ってものにピンと来ないんだけど、具体的に言うとどんなことをするお仕事だったりするの……?」
おそるおそると聞いてみる自分。すると、ラミアはこちらに振り向きながらそう答えたものだ。
「ホントに、何でもするんです。システム自体はカンキさんの知るキャバ嬢の同伴とほぼ同じようなものでありまして、お店の外でお客さんとお会いして、そこで美味しいモノを食べたり一緒にショッピングしたりなどの疑似的なデートを楽しみます。ただ、ウチらの店が売りにしている貸出というものは、その“同伴の範囲をより拡張したもの”になっています」
「同伴の範囲の、拡張?」
「ホステスに、何をやらせてもいいんですよ。とは言いましても、人道に反する行いや犯罪ぐるみの行為はNGです。しかし、それ以外でありましたら、ホントに何でもイイんです。ホステスをどこに連れていってもイイですし、ホステスに何を頼んでもキホン許されます。具体的に言いますと、ウチはお店の常連さんと二泊三日の旅行をしたことがありますし、家政婦の代わりとして常連さんのご自宅にしばらく滞在したことだってありますし、何ならエッチしたコトだって数えきれないくらいありますよ」
「……なんか、すさまじいシステムだね」
「あとは庭の草取りをお願いされて、一緒に草むしりをしたコトもあります」
「本当に同伴の範囲が広いな……」
彼女の言葉通りの意味なのだろう。彼女らが務めるあの店は、ホステスを自由に借りることができる特殊な同伴のシステムがあるということらしい。
今日のおめかしも、その同伴によるものなのだろう。そして今日中にも約束があるのなら、ラミアが慌てて帰ってきたことにも頷ける……。
とか考えている内にも、こちらの懐にもぐりこむよう迫っていたラミア。これにぎょっとして自分は驚いていくと、次にも彼女はイタズラな表情を見せながらそう囁いてきた。
「ガッカリしちゃいましたか?? ウチが、いろんなオトコのヒトと濃密に接触しているコトに」
反応をうかがうようにして、からかう声音でそれを口にするラミア。そして上目遣いをしてくると、ラミアは後ろに手をやったあざとい仕草を交えながら、甘い声でそのセリフを喋り出したものだった。
「耳より情報ですけれど、特別なお客としてカンキさんもお店の子と同伴オッケーですからね?? 何なら、ウチを指名します?? イイですよ?? ウチとしても、その分ノルマに近付けますからね。そーいうワケでどんな同伴でもウチはオッケーなものですから、暇を持て余していましたらぜひ、ラミアをご指名くださーい。ね??」
「……け、検討しておきます」
あざとい。
これが
厚底ブーツを置いて、それを履いていく彼女の背。せめて見送ろうと自分はそこに佇んでいると、玄関の扉に手を掛けたラミアはふと思い出したかのように喋りながら振り返ってくる。
「そーいえば、カンキさんって他の子とお会いしたコトあります??」
「お店のホステスの子? いや、ユノさんくらいかな?」
「と言いますか、カンキさんってあのお店に通ってませんよね??」
「まぁ、一人で行くのにも勇気がいる場所だからなぁ……」
「ふーん、そーですか」
自分から聞いておいて、素っ気ない返答。
かと思えば、ラミアは部屋を出る前にそんなことを口にしてくる。
「カンキさん、あのお店ではけっこう特別扱いされていますから、名前が旬の内に通っておいた方がお得だと思いますよ。もちろん、コチラは売り上げのために提案している商業的な催促ではあるんですけれど、あのお店ってキホンお客をひいきしないので、柏島オーナーの息子さんというせっかくのネームバリューが純粋に勿体無いです」
「そ、そういうもんなのかな……?」
「そーいうモンです。あのユノさんだって、カンキさんを気に掛けてくださっているんですよ。もー、ホントに意外でしたよ。あのヒト、オトコのヒトに見向きもしない生粋のビアンなんですけど、そのユノさんにさえ柏島オーナーの息子さんという名義がまかり通っているんです。それにお店の皆さん、柏島オーナーが亡くなられたコトにたいへんショックを受けておられます。なので、その息子さんにサービスを提供できるというコトがですね、柏島オーナーに対するウチらなりのせめてもの恩返しにもなるんですよ。なので、そのために一度でもイイので顔を出してあげてみてください。イイですね??」
真剣な声音でそれらを口にしたラミア。彼女の催促に自分は「分かった」と返事をして頷いていき、それを確認するなりラミアは微笑を見せて、玄関の扉を開けていった。
「じゃー、そーいうワケなんで行ってきまーす。明日には戻ると思いますので、お店の感想なんかをお聞かせくださいねー」
流れでラミアと約束し、これはもう店に行かないわけにはいかないという気持ちに突き動かされるようにして支度を済ませていく。
そして、午後七時という時刻を目安にアパートを出発すると、徒歩十五分という道のりの最中にも自分はある思考をぐるぐると巡らせていたものだった。
……親父のやつ、俺の知らない所でラミア達の面倒を見ていたんだな。
つい最近と知った素性に憤りを感じていた自分は、ユノやラミアの口ぶりを介することでその印象を覆しつつあったものだった。だが、それと同時にして巡ってくる感情は、だったら自分をかまってくれても良かったんじゃないのか、という非常に複雑なものであったことも確か。
そんなことを考えている内にも、自分は目的地の前に到着していた。
夜を迎えつつある龍明の街。その中にひっそりとネオンの輝きを放つ、
思えば、キャバレーの姿であるこの店に訪れることは今回が初めてだった。今まではレストランとしての姿しか見たことがなかった自分にとっては、ネオンの看板から既に新鮮味を感じられてしまっている。
だが、ここからが本番だった。自分は意を決したように踏み出すと、店の入り口である両開きの扉を目指してその階段をコツコツと下り始め、そして扉を開いてエントランスへと踏み入れていく。
その領域に至るや否や、入り口の女性スタッフに「ようこそ」と迎え入れられた。彼女の服装はやはりタキシード。凛とした大人の美を思わせる格好とスタイルで、しかし日中のレストランとは全くもって異なる魅惑的な立ち振る舞いによって、来客を大人の世界へと招き入れていく。
すぐにも、女性スタッフから「柏島オーナーの息子さんですね」という言葉が掛けられた。これに自分は「あはい……」と気の抜けた声で返答を行っていくと、そんな客に対してもスタッフは「お席まで案内いたします」と手で促されながら、彼女に席まで案内してもらったものだった。
店のメインとなるホールに立ち入ると、その瞬間にも圧のようにして降りかかった煌びやかな世界の空気に自分は圧倒されてしまった。
レストランの時とは異なる、ギラギラとした照明が頭上から降り注ぐその光景。それは金塊を思わせる金色が滲むようにして空間に漂っており、通路の赤い絨毯やくどくないアルコールの匂いが高級感を醸し出している。
まるで異世界に迷い込んだかのような感覚だった。そんな自分は女性スタッフに促されるまま、二人用の席に案内されて腰を掛けていったものだ。
そこが奇しくも、以前にもユノに連れてこられた際と同じ場所であったために、キャバレーとしては初めての空間であるにも関わらずどこか安心感も覚えたものだった。
案内してくれた女性スタッフが、「ごゆっくり」と一言を残して入り口へと戻っていく。代わりとしてタキシード姿の男性スタッフが一礼と共に現れると、優雅な動作でおしぼりやコップなどをテーブルの上に用意してくれた。
その間にも、自分はキャバレーの内装をくまなく眺めていく。
今も流れているサックスの音色は、ホールの奥から聞こえていた。どうやらそれは七名ほどの吹奏楽による生演奏であるらしく、ホールの奥にあるステージから柔らかい音色を響かせていたものだ。
その付近では、王子様を彷彿とさせる男装した女性キャストの姿があった。まるで直にも歌劇が始まるのかと思わせるメイクも施しているその様子から、客に向けたステージのショーなんかも行われているんだなとひとり納得していく。
また、周囲の客層に自分は意識を向けていった。
キャバレーと言えば、懐に余裕があるおじさまという偏見じみたイメージを抱いていたものであったが、そのイメージ通りであるスーツ姿の男性客が主としてうかがえる。しかし、それに混じるようにしてある程度と見受けられたのは、割と一般的な印象を受ける女性客の存在だった。
OLから家政婦のような女性まで、幅広い範囲でうかがえた女性客の存在感。おひとり様から四名ほどの団体でキャバレーに訪れている光景に自分は最初こそ目を疑ったものだったが、彼女らに対応するホステスもまた凛としたタキシード姿という引き締まったカッコよさを誇るもの。
このキャバレーは、キャバクラなどではあまり見られない凛々しさが特徴的だった。そのシャープな雰囲気が女性客を呼んでいるらしく、加えてこの店は昼間にオシャレなレストランとしても十分に機能している。このことから、男性もまた人を選ぶだろうが、周囲の大人向けサービスではあまり見られない凛々しさを売りとしている店なんだなと、そんな感想を抱いたものだった。
それを思いながら、二名の女性客の間に入ってお酒を振る舞うユノの姿を眺めていく。大人というグレードの一つ上のような風格は無条件に安心感を与えてくれて、さらには絶世の美貌も持つそのホステスは女性客からたいへん人気な様子をうかがわせる。
双方から腕に引っ付かれて寄り掛かられているユノも、満更じゃない顔を見せながら何かを話していたものだった。それを遠くから観察していると、いつの間にかいなくなっていた男性スタッフのボーイの代わりとして、一つの靴音がこちらに近付いてくる。
そして次にも、明るい調子ながらもハキハキとした声音の”彼女”に言葉を投げ掛けられた。
「さすがだよね。ユノさんはお客様にとって憧れのような存在で、私達ホステスにとってもすごく頼りになる姉御って感じの人だから、ついつい目で追っちゃうのもよく分かるよ、うん。……でもね、今夜は私だけを見ていてくれると嬉しいな」
テーブルに手を乗せて、こちらの視線を遮るかのように現したその姿。黒色のタキシード姿に紺色のシャツという服装の”彼女”は、見下ろしたその視線で微笑しながらこちらを見つめてくる。
百六十五くらいの背丈であり、クラブピンクの少し青みがかったピンク色の髪がリボンのような細い形になって後ろで結われている。瞳はネイビー色で落ち着いた雰囲気を醸し出していて、しかしどこか勝気で自信のある表情が、彼女の明るくハキハキした調子を生み出しているのかもしれないと思わされた。
彼女は向かいの席に腰を下ろしてくると、こちらから一切と目を離さない一途な瞳を向けつつ胸ポケットから名刺を取り出して、そうセリフを口にしながら手渡してくる。
「
彼女から名刺を受け取って、自分はそこに綴られた名前を見遣っていく。
メー。あまり聞き慣れない響きの名前に自分は「よろしく、メー」と答えていくと、次にもメーは若干と乗り出してきながらそんなことを話し出してきた。
「お噂はかねがねと聞いているよー。なんでも、ラミアに随分と気に入られているみたいじゃん。ラミアったら、カンキ君のことを都合の良い男としか見てないよ」
「それ、あまり本人に言わない方がいい情報なんじゃ……?」
「あは、いいっていいって。そんなんで人を嫌いになるタイプじゃないでしょ君は。ラミアからそう聞いてるし。それにしてもまぁ、他人に甘いねーカンキ君は。そういうところがさ、まるで柏島オーナーみたい」
メーの言葉に、自分はドキッと心臓を掴まれたような感覚を覚えていく。
それでいて、不意にズイッと顔を近付けてきたメーに自分は驚くと、そんなこちらの顔を見てメーは愉快げに微笑みつつ、しっかりと目を見ながらそう喋ってきたものだった。
「ね、私も君のお家に行っていい?」
「え? いいけど……」
「あは、いいんだ。本当に? 家さ、ここから近いみたいじゃん」
「家って言ってもアパートだよ」
「そこで住んでるんなら、家でしょ。なに、十五分くらいで着いちゃうみたいじゃん。いいなぁ、私もラミアみたいに君の家を拠点にしちゃおうかな。その方がラクそうだし」
「え?」
人、増えるの?
あまりにも急な展開に思考が追い付かない自分を見て、メーは勝気で自信のある表情でニッと微笑んだものだ。
そして、テーブルに肘をついた手に顎を乗せて、自身のネイビー色の瞳を見せ付けるよう至近距離で見つめ出してくる。このキラキラとした視線に自分は無言の圧力を感じると、彼女の甘えに仕方なく頷きながらそう返答したのだった。
「とりあえず、来るだけならいつでもいいよ……」
「本当? やったね! それじゃあ近い内にでもお邪魔しようかな。豪華なおもてなしを期待してるから、その辺どうぞよろしく~」
「豪華な? いや俺そんな金ないよ!!」
「あっははは、冗談だって冗談。本気で焦ってて面白いなぁカンキ君は。弄り甲斐があるね」
両腕をテーブルに乗せ、その上に頭を乗っけて必死なこちらの顔を覗き込んでくるメー。そうして身を乗り出すように急接近を果たしてくると、メーは人差し指でこちらの頬を「えい、えい」とツンツン突っついてくるなど、タキシード姿でなんともフレンドリーな姿勢を見せてきたものだった。
冗談でからかうのが好きな人なのだろうか。そんな、ラミアとは異なった方向性でアプローチを掛けてくるメーというホステスを相手に、自分は冷や汗を流しながらも彼女と乾杯を交わしていく。
それからは、メーとたわいない会話を弾ませる穏やかな時間を過ごしたものだった。尤も、表情から言動までのすべてにおいて人の顔色で楽しんでいく彼女のペースを前にして、自分は終始とそれに呑み込まれていただけの時間だったものだが……。