俺のハーレムはワル女子だらけ 貸出ホステスと暮らす新生活 作:祐。
ガチャッ。午前零時ちょっと過ぎに、自室の玄関扉が勝手に開けられた。
突然の出来事に、自分は着けていたヘッドフォンを首に掛けながら立ち上がる。そして警戒と共に高まった緊張感で恐る恐ると歩き出していくと、次の時にも玄関からはラミアの声が投げ掛けられてきたものだった。
「カンキさーん、ただいま帰りましたー」
適当な調子が通常運転であるラミアの声。彼女のそれが廊下を通じてこちらの耳に行き届いてくると、その直後にも別の女性の声で「お邪魔しまーす」という言葉が響いてくる。
これに自分は、何事だと思いながら玄関を覗き込んで確認していった。すると、そこにはいつものパーカー姿である私服のラミアと、その隣には同じく私服姿のメーが、コンビニのビニール袋を手に提げながら愉快げな表情で玄関に上がり込んでいたものだった。
百六十五くらいの背丈で、クラブピンクの少し青みがかったピンク色の髪が、リボンのような細い形になって後ろで結われているその髪型。ネイビー色の瞳を光らせながらこちらを見つめる彼女の表情は、どこか勝気で自信に満ち溢れたものを感じさせてくる。
彼女の服装は、袖を持て余しつつダボダボで膨らんだシルエットの黒縁紺色マウンテンパーカーに、白色をベースとしたネイビー色の牛柄ワイドパンツというもの。加えて、前開きのパーカーからは白色のへそ出しタンクトップがチラ見えしており、履いているアイボリー色のヒールはサンダルのような大きな穴飾りが特徴的だった。
アイボリー色のカバンを肩に掛け、メーは「やっほー、来ちゃった~」と言いながら、からかうような表情でこちらを見遣ってくる。これに対して自分は「あぁどうも」と返事していきながら、今もラミアが手に持つ鍵を見ながらそれを口にしたものだ。
「それ、俺がいない時用として渡しておいた予備の鍵なんだけど……なんかもう、普通に使っちゃってるよね……」
この言葉に、靴を脱いでいたラミアが振り返りつつそう答えてくる。
「そーですけど、ナニか問題でも??」
「いや、俺がいない時用として渡しておいたやつなんだけど……」
「別にイイじゃないですか。というかですね、このお時間なモノですから、カンキさんが既にお休みになられている可能性を考慮しまして、今回コチラを使用させていただいただけのコトです。カンキさんはですね、細かいコトをイチイチ気にしすぎです。もっと気楽にいきましょうよー、気楽にー」
「あー……まぁ、それもそうかも」
なんかもう、思考停止しながらそんな返事をしたものだった。
隣には、メーという来客も訪れている。自分はそのお客を待たせるわけにはいかないと思って「まぁ、上がって上がって」と二人を部屋に促していった。そうしてそそくさと部屋に上がったラミアは、すぐにも座椅子の上に黒色のカバンを投げ捨ててはベッドに腰を掛けて「今日も疲れたー」と背伸びを行っていく。
その間にも、勝手に洗面所の扉を開けたメーが部屋の一角に目を通していくと、「うは、本当にラミアの私物が置いてある。ウケるんだけど」と言いながら電気を点けて洗面所を物色し始めたものだった。
いや二人とも自由すぎか。というかここ俺の部屋なんだけど……。
自分は内心でそんなツッコミをかましていくのだが、洗面所から出てきたメーが「あ、そうだそうだ!」と急ぎで部屋まで歩いてくると、時計を確認するなり安心した様子でそんなことを喋り出す。
「あー、良かったー! セーフ! このあと一時に放送するバラエティ番組の録画さ、今日忘れてきちゃったんだよ~。今から帰っても絶対に最初から観られないからさ、だったらカンキ君のお部屋で観ればいいじゃんって話になって此処に来たんだよねー」
あたかも普通のように話すメーの調子に、自分は「そうなんだ……」と渋い返事をしてしまう。しかしメーはこちらを気にすることなく手に提げたビニール袋を突き出してくると、こちらの瞳を真っ直ぐと見つめながらそうセリフを口にし始めた。
「そーそー、これお土産ね。お酒とおつまみ。カンキ君も良かったら一緒にどう? 私とラミアの好みで選んできちゃったヤツなんだけど。あ、でもビールは私のだから、飲むならそれ以外でお願いね。あとさ、カンキ君の部屋になんかおつまみみたいなの無い? 揚げ物系とか。冷蔵庫、漁っていい? へいき?」
「漁るのは構わないけど……」
なんか、既にだいぶ馴染んでいる気がする……。
メーにビニール袋を手渡され、受け取った自分をそのままに彼女は廊下の冷蔵庫に直行し始める。この間にも再起動したラミアが歩き出すと、洗面所に向かいながらメーとそんな会話を交わしたものだった。
「カンキさーん、シャワーお借りしますねー」
「顔落とすの? 私も後でシャワー使わせて! 番組始まる前に済ませたいから!」
「ハーイ、りょーかいでーす」
女子寮か何かかな?
ここ、俺の部屋なんだけど……。という内心を他所にして、ビニール袋をミニテーブルに置きながら座り込む自分。そこにメーが歩いてくると、着用しているマウンテンパーカーをおもむろに脱ぎ出しながらハキハキとした調子でそう喋りかけてきたものだった。
「ふぅ……。それにしても、急に来ちゃってごめんねカンキ君。こんな夜遅くに、迷惑だったでしょ」
脱いだマウンテンパーカーを、部屋の隅に置いてこちらの隣に腰を下ろしてきたメー。上着を脱いだことによってその上半身はへそ出しタンクトップのみとなり、非常に露出の多い格好となって隣に座ってくる。
かつ、心なしか胸を覗き込める角度でこちらににじり寄ってくると、戸惑う自分の肩に右肘を乗せて寄り掛かりながらも、メーはそれに頭を乗せつつそうセリフを口にし始めた。
「お世辞は抜きにして、本当に助かってるんだよ? こんな時間にお店から家まで帰ることが、どれだけ怖いものなのか。カンキ君も分かるよね?」
「龍明だから、何が起こってもおかしくないもんね。そう考えると、お店の近くに避難場所があるってだいぶ心強いのかなって俺も思うよ」
「理解してくれて、どうもありがと。これ、私からのささやかなお礼」
と、次にも自分の頬に、唇が触れる感覚を覚えていった。
一瞬ながらの柔らかな感触に、自分は思わず「うおっ!?」と声を上げながら仰け反ってしまった。この反応にメーは左手の人差し指を口の前で立てていくと、からかうような表情と共に「私達だけのヒミツだよ?」と甘く囁いてきたものだった。
これが
この様子を見て、自分は頬に手をあてがいながらそんなことを訊ね掛けていく。
「……メー、もしかしてかなり酔ってる? お客とお酒を飲むお仕事だから、既に向こうでもだいぶ飲んであるんじゃないのかな……?」
酔っているのだとしたら、先ほどの行為にも納得がいく。そう考えた自分の問い掛けに対して、メーは持ち上げたビールの缶を軽く振りながらそう答えてくる。
「残念でした。今の私は完全にシラフでーす。でも、気にしてくれてありがとカンキ君。まずね、向こうじゃ滅多にお酒を飲まないから、その心配には及ばないよ」
「ん? じゃあ、俺が来店した時にも飲んでいたあのカクテルって……」
「あぁーごめんね! あれ、ジュースを炭酸で割ったやつなんだ」
「なるほど……」
それじゃあシラフで頬に……という、余計にドキドキする結果となってしまった。
そうして一足先にビールを飲み始めたメーは、「ぷはぁ」と喉ごし爽やかな声でそれを堪能し、サラミや豆などのおつまみを袋から取り出してはテーブルに広げていたものだ。
それと共にして、メーに「テレビつけてもいい?」とリモコンをねだられた。これに自分はリモコンを手渡していくと、既に顔を赤らめていたメーはこちらの目を見据えながら短く「サンキュ」とお礼を告げ、彼女はまるで自宅のように部屋でくつろぎ始めたのであった。
ラミアとメーが部屋に訪れてから、少し時間が経過した時のことだった。
シャワーを済ませたラミアとメーが、双方ルームウェアの姿で晩餐会を開いていくその光景。それぞれ、暗い赤と暗い青のボーダーというラミアのそれと、紺色の薄いTシャツに黒色のワイドパンツのようなルームウェアを身に付けるメーが、酒の力で今日の業務についての愚痴をぶつけ合っていくやり取りが目の前で展開されていく。
やっぱり、裏ではそういう話をしてるよね……。なんていう、覗いてはならない禁忌の領域に踏み入ったような肩身の狭い思いをしていくその最中。ふと、ピンポーンとインターホンが鳴らされたことで、途端として自分に緊張が走り出したものだった。
さすがに、こんな時間じゃ近隣の迷惑になるか……! 住民の苦情を覚悟して、自分は恐る恐るとインターホンの映像を覗き込んでいく。だが、予想を裏切るようにしてそこに映し出されたのは、こんな時間にも関わらず訪れていた、凛々しいサマで佇む私服のユノというその姿。
黒色のライダースジャケットに赤色のシャツ、そして黒色のバイクパンツに膝丈までの黒いブーツ。肩に掛けた黒色のカバンを含めて、画面越しからでも分かるクールビューティな人だなぁ、と。そんなことを思いながら自分は玄関に向かって、その扉を開けていく。
すると、次にも佇んでいたユノが柔らかく微笑みつつもそう言葉を掛けてきた。
「こんばんは、柏島くん。夜分にごめんなさいね」
「いえ、お気になさらないでください。それより、こんな夜遅くにどうかされましたか?」
「いえ、特にどうもしないのだけれども、灯りが点いている様子だったものだから、ついでとして立ち寄ってみただけのことよ。そうね……強いて言うなら、先日の礼を兼ねての様子見といったところかしら」
「先日の礼、ですか?」
不思議に思って訊ねていく自分。これにユノは、軽く腕を組んだ凛々しい表情で淡々と喋り出す。
「先日、キャバレーとしての
「いやそんな、むしろ俺がお礼を言わなければならない立場と言いますか。俺のことを気に掛けてくださって、本当にありがとうございます。おかげさまで、少しだけでも立ち直ることができました。それに俺としましても、お店にはたいへん楽しませてもらいましたものですし、またそちらにお伺いするつもりでもあります。俺はもう、立派なリピーターなもんですよ。はい」
「あら、そう言ってくれると嬉しいわね。ありがとう柏島くん。……あら」
何気無く会話を交わしていくその最中、ユノは足元の靴に気が付いていく。
玄関に並べられていた、ラミアとメーの靴。女性ものである二人分のそれらに自分は「あ、これは」と若干焦っていくと、直後にも部屋から覗き込んできたラミアとメーが、アルコールで顔を赤くしながらユノへと言葉を投げ掛けてきたものだ。
「あー、ユノさんじゃないですかー。どーもー、お疲れ様でーす」
「ユノさんお疲れ様でーす! 良かったらユノさんもご一緒にどうですか~? お酒もおつまみもありますから、今夜は景気よくやっていきましょうよ~!」
いや、ここ俺の部屋なんだけど……。というか、ホステスが男の部屋に上がりこんでいるって店の人に知られたら相当マズくない……?
と、後ろからの声に自分が変な汗を流しながら見遣ってしまう。だが、それに対してユノはあろうことかそんな返答をしてきたものだった。
「随分と楽しそうね。それならお言葉に甘えて、少しだけお邪魔しようかしら」
「え? ウソでしょ?」
思わず口にした言葉。これにユノは「本当よ」と返してくると、玄関に上がり込んでブーツを脱ぎ始める始末。
……彼女が近くで動く度、香水などではない女性の香りが鼻に届いてくる。これに自分は顔を赤らめつつ視線を逸らしてしまうのだが、その間にもユノは「お邪魔します」と一言告げて通りすがると、そのまま部屋に直行してラミアとメーの二人に迎え入れられていった。
あーもうめちゃくちゃだよ。三人のホステスが、人の部屋で晩餐会を開いている。目の前の様子に自分は頭を抱えてしまいながらも、それでも悪い気はしてない自分自身にただただ頭を掻きながら、自分もその晩餐会に合流したものだった。
黒色のジャケットを脱いだユノが、赤色のシャツの袖を捲り上げた状態でベッドに腰を掛けていた。彼女は若干と前のめりになり、膝に肘を置きながら右手にチューハイの缶を持ち、柔らかくも凛とした表情でラミアの愚痴に付き合っていたものだ。
隣では、床に座ってベッドに寄り掛かるメーがゼロ距離でテレビに張り付いている。観たいと言っていたバラエティ番組が放送されているものだから、メーはそれに集中しているようだった。
その脇で、ラミアの愚痴は一向に止まる気配を見せなかった。態度の悪いお客に対する怒りや苦情を延々と愚痴り続けるその勢いに、自分は次第と疲れてきて意識が遠のき始めてくる。
だが、そのラミアの愚痴に対しても、ユノは親身であり続けた。その姿勢もまた、聞く時は口を閉ざして静かに耳を傾けて、喋る時は淡々とした受け答えや相槌で頷いていくというもの。そんなユノの対応を間近で見ていた自分は、確かに頼れる姉御だなぁと、前にもメーが言っていた言葉を思い出してその顔をついつい眺めてしまう。
と、ユノの顔をじっと見ていると、その彼女がふとこちらに視線を投げ掛けながらそう言葉を口にした。
「どうかしたかしら? 柏島くん」
「あぁ、いや……」
本当に綺麗な人だな……。そんな言葉が脳裏をよぎる最中にも、酔ったラミアがチューハイの缶を片手にこちらへ絡んでくる。
「ウィー、何でもないワケがないですよねー?? カンキさんもどーせ、ユノさんに見惚れていたんですよーだ。オトコのヒトもオンナのヒトも、みーんなそーです。結局はですね、器とおっぱいが大きなおねーさんがみーんな大好きなんですよ!! カンキさんもそーなんですよどーせ!! それと比べましてウチは、器もおっぱいも大きくなんかナイですよ!! だからお客にもなめられるんです!! なーにが『貧乳の方が好きだよ』ですか!! ウチだって好きで貧乳してるワケじゃないんですからね!! 貧乳が好きって言葉はですね、貧乳で悩んでいるヒトに掛けるような言葉じゃないんですよ!! ホント、放っておいてくださいってカンジです!! なんでもかんでも巨乳巨乳!! どーせバスト七十一のウチには人権なんてナイんですよーだ!! ムキー!!」
こわ……。
圧倒されてしまう自分。だが、ラミアも色々と抱えていて苦労しているんだなという気持ちに同情してしまう。これに対してユノは苦笑を見せていくと、ラミアをなだめるようにそう言葉を口にしたものだった。
「貴女には、貴女の魅力があるという証拠よ。伸び悩む業績に貴女は苦悩しているようにうかがえるけれども、それでもお店全体で見たら、貴女は常に売り上げ上位をキープしている、お店側が安心して業務を任せられるとても優秀な人材であることに代わりはないわ」
「そーいうユノさんは、ずっと売り上げ一位を記録しているじゃないですかー!! そりゃあですね、女性客のみにターゲットを絞ったスタンスはれっきとした戦略ではありますよ!! ですけど、そんなヒトからお褒めいただいても、ショージキ嫌味のようにしか聞こえてこないってモンですよ!! どーせウチが捻くれているだけナンでしょうけれど、なんかユノさんにフォローされるとチョー悔しいです!!」
「それだけ貴女は、今の仕事に対して真剣に取り組んでいるという証拠よ。だとしたら、私は尚更、貴女に負けてなんかいられない」
目の色が変わった。ユノの黒い瞳に力強さが出てくると、これには卑屈になるラミアも静かに息を呑んでいく。
次にもユノは、ラミアをしっかりと見据えながらそれを話し始めたものだった。
「私の言葉をどう受け取ろうが、それは貴女の自由よ。ただ、どんなものであろうとも私は常に、自分に正直であることを大事にしながら生きているの。そんな私から言わせてもらうとね。ラミア、私にとって貴女は、警戒すべきライバルの一人であるとそう認識しているわ。それだけ貴女の業績に、私は注意を払っている。優劣が明確になる勝負事においては特に、私は絶対に誰にも負けたくないの。それはお店の売り上げに関しても言えることであって、私はそんな貴女のことを、要注意人物として意識してしまっている節がある」
真剣な声音は、テレビを観ていたメーを振り向かせる。このユノの言葉にラミアは黙りこくっていくと、次にもユノは微笑を見せながらそう〆たのだ。
「この言葉をどう受け取るのかも、貴女の自由よ。ただ、私は本心を口にした。それだけのことなんですもの」
「……むぅ、ユノさんって時々イジワルですよね……」
遠回しに褒めてくれていた。少なくとも自分はそう受け取っていて、これに対してラミアも怒ろうにも怒れないような感情でムスッと頬を膨らませていく。
それにしても、ユノは負けず嫌いなんだなぁ。それを思いながら彼女を眺めていると、またしてもユノと目が合っては、余裕のある微笑みでこちらへとそう言葉を投げ掛けてきたものだった。
「そうね。柏島くんなら同伴してもいいのかも。ねぇ貴方、同伴のシステムは既に把握しているかしら」
「この前、ラミアから聞きましたが……」
「話が早くて助かるわ。なら、スマートフォンを出しなさい」
「え?」
チューハイの缶をテーブルに置いて、右手で催促を行うユノ。これに自分は端末を手渡していくと、ユノは尻ポケットにしまってあったスマートフォンを取り出しては、両手の端末で手早く操作してこちらにスマートフォンを返してくる。
「同伴用の私のアカウントを登録しておいたわ。だから、いつでも私を同伴に誘ってちょうだい」
このセリフに、思わず反応を示したのはラミアとメーだった。
「えええぇーーー!! あのユノさんが、オトコのヒトに同伴を許したんですか!? 一体ナニがあったんですか!?」
「ちょっとユノさん本気!? だって、女の子としか同伴しないって決めてるじゃん!? それ、他の子とか大丈夫なの? 裏切られたとか思われない?」
そう言えば、ユノは生粋のビアンだとラミアが言っていた。
二人の反応を見てそう思っていく最中にも、ユノはこちらに喋るようそれを口にし始める。
「同伴と言っても、柏島オーナーの息子さんを面倒見る程度のものよ。だから、一線を越えるとかの過度なサービスはしてあげられないのだけれども、私としても活動の範囲を今以上に広げていきたいと考えていたところだったから、柏島くんとの同伴はその先駆けとしてちょうど良さそうと思えたの。それに、うかうかしていたら、ラミアやメーに売り上げを越されてしまうかもしれない。だから、私も現状に慢心せず少しずつ変わっていくの。今よりも一歩前進できるよう、試行錯誤を繰り返しつつね」
と言って、ユノは二つほどボタンを外したそのシャツでこちらに前のめりとなっていく。
とてもよく見えてしまう。魅惑的な色白の谷を意識的に腕で寄せてくる大胆なアプローチ。それと共にユノはこちらの顔を覗き込むようにしてくると、色気を放つ大人の表情でそうセリフを放ってきた。
「だから、いつでも待っているわよ。柏島くんからのお誘い……」
これが
本日二回目の鼻血案件。これに自分は「ぐはっ」と仰向けに倒れ込むと、共にしてラミアからは「そんなのズルいです!!」という言葉と、メーからは「成長し続けるタイプの人だ……」という畏怖が聞こえてきた。
尤も、ユノのスタンスは変わらずとして、女性を優先とした付き合いを尊重している。つまり自分は、男性とはまぐわうことのない範囲での男の人との同伴を開始しようとしている彼女の、その新たな試みの実験台的なものなのだろう。
各ホステスには、本人の意思に沿った同伴の範囲が決められているのだろう。そして利用者は、彼女らの意思を尊重しつつ便利屋として一時的に雇っていく。それが、
何であれ、ラミアに続いて同伴できる相手が増えた。まだ同伴をしたことが無い身として、そろそろこれを試してみてもいいのだろうかと思う一方で、こうして部屋に上がり込んでいる時点で実質同伴のようなものなのでは? という疑問も思い浮かぶ、そんな一夜を過ごしたものだった。