俺のハーレムはワル女子だらけ 貸出ホステスと暮らす新生活 作:祐。
爽やかな雪景色と、清々しい年の始まり。元旦を迎えた龍明には現在、透き通るような空気感が巡っていた。
昼前の日差しで目を覚まし、床に敷いていた布団から上半身を起こしていく。だが、昨夜の晩酌で飲みすぎた代償として、深刻な二日酔いに悩まされていた。
年越しをホステスのみんなと過ごせた喜び。アウトローな裏社会に身を置いた彼女らと無事に新年を迎えることができた安心感が、自分の気の緩みに繋がったとも言える。
ガンガンに響く頭を押さえ、ボーッとする意識のまま暫し部屋の中を見渡した。
もぬけの殻となった自分の部屋。先ほどまで一緒に過ごしていた、ラミア、メー、ユノ、レダ、ミネ、シュラ、ノアの七人の姿が見えない。それもそのはずであり、ホステス達には休む暇も与えられず、稼ぎ時ということで新年から、同伴の予定がぎっしりと詰め込まれていたものだ。
多忙なスケジュールに、同情してしまう。そんなことを思いながら少しずつ思考を整理した自分は、直ぐにも同情とは何だったのかと言わんばかりに再び寝転がっていった。
……と、そうして横になった時のことだ。
ガチャッと玄関の扉が開かれていく。この音と共にして、玄関からはシュラの声が聞こえてきた。
「ニーチャン帰ったでー。まだ寝とるー?」
「ぁぁ……シュラ。今起きたとこ……」
コンビニのビニール袋を提げて部屋にあがってきたシュラ。緑色のオフショルニットで相変わらず露出していた両肩と、それとは反対に、彼女には珍しくゆったりとした青色のデニムパンツという、脚を出していないコーデがこちらの目を引いていく。
腰のヒモを結ぶタイプのパンツを着用し、緑色のキャップを被っていた彼女が、快活に微笑んでくる。そして提げていたビニール袋を持ち上げるようにしながら、それを喋り出してきた。
「おはよーニーチャン! コンビニでご飯買うてきたで! ツナマヨのサンドイッチに鮭のおにぎり、あとはからあげとかそこら辺の見繕ってきたわぁ」
「ありがとう、シュラ。あれ、でもシュラは今日、同伴じゃなかったっけ?」
「んぁ? ちゃうで? 昨日も言うたやんか。ウチは今日、同伴入れんかったって」
「そうだった……っけ。ごめん、忘れてた」
「ええってええって、そないに気にするもんでもあらへんよ」
と言って、ビニール袋をベッドに置きながら、体を起こしていたこちらと向かい合うように乗りかかってくる。
おもむろに圧し掛かられ、「ぐぉっ」と息が抜ける音を出す。これにシュラは太陽のように笑んでくると、両手を床についてこちらへ寄り掛かり、この懐に頬ずりをする仕草を交えながら言葉を続けてきた。
「ニーチャぁン。ウチ、今日はニーチャンと一緒に居るために敢えて予定空けといたんや。せやから今日のウチは一日中、ニーチャンの傍で付きっ切りやでぇ」
「そうだったんだ。せっかくの元旦だし、一緒にゆっくりしよう」
「なぁなぁニーチャぁン。ゆっくりするのもええけど、ウチ、ニーチャンと一緒に初詣行きたいわぁ。なぁ今から行こぉ」
「いいね。ただ、もうちょっとだけ休ませてもらえるかな……? 二日酔いっぽくて、具合悪いんだ」
犬のように甘えてくるシュラを退けながら、横になっていく自分。これに彼女はついてくるよう覆い被さるように身体を倒し、そのまま密着してじっと引っ付いてくる。
だが、表情はどこか不満げだった。直にもシュラから喋り出してくる。
「えぇー、ニーチャンなんでよりにもよって二日酔いなん?? 酒を自制できるニーチャンが二日酔いなんてありえへんもん」
「ちょっと羽目を外しちゃったのかも。ごめんねシュラ、せっかく休みを取ってもらったのに」
「せやったら、さっさと薬飲んで治しぃや。ウチには時間が限られてんねん、もたもたしとったらウチの休暇が終わってまうわぁ」
「そうするけど、今はもうちょっとだけ寝かせてほしい……」
ムーッと頬を膨らませるシュラを前に、自分は瞼を閉じて眠りの体勢へと移行した。
気持ちも完全に昼寝のそれ。加えて、シュラの体温が掛け布団のように心地良かったことから、沈むように次第と薄れていく意識に身を任せ、自分はゆっくりと眠りについていった。
……つもりだった。
ごそごそ。腹の上で這うように移動するシュラの感触。
なんだか忙しなく動き始めた彼女の感覚に気を取られていく自分。それも、心なしかデニムの感触がアイマスクのようになっており、彼女のオフショルニットの感触が自分の腰辺りに伝わっている気がする……。
と思っていた次の瞬間、寝間着として着用していた自分のスウェットが、彼女の手によって勢いよくずり下ろされていったのだ。
股間部分がスーッとする感覚。それも、ただのスーッではない。完全に“ソレ”が解き放たれた解放感のスーッである。
元気よく起き上がったもう一人の自分に、思わず目を開けた。そうすると目の前の視界にはデニムの股間部分が映り込んできて、それに二度目の衝撃を受けていく。
シュラの丘がドアップに映る光景と共にして、元気に起き上がった“ソレ”に頬ずりと思われる行為を致してきたシュラ。彼女の健康的で柔らかな頬が先端から根本まで伝う中、自分は困惑混じりの声音で言葉を投げ掛けていく。
「しゅ、シュラ……!!」
「ニーチャンの、おニーチャン…………。ニーチャン……ニーチャン……」
「シュラ! シュラ……!! ちょっと、ちょっと!!」
反射的に、彼女のお尻を軽く叩きながら呼び掛けた。だが、シュラは頬ずりを止めるどころか、少しずつ昂ってきた興奮で荒げた吐息を、優しく、包み込むように、何度も何度もソレに吹き掛けてくる。
彼女の心臓の鼓動が、腰辺りにしっかりと伝わってきた。この状況に何度もシュラのお尻を叩いて呼び掛けたものの、これでは埒が明かないと察した自分は次の強硬手段を講じたものだ。
今も目の前にある、彼女の丘。デニムパンツではあるものの、その先の想像を掻き立てる魅惑的なそれをじっと見遣ってから、自分は己の顔面をぶつけるようにそちらへ突っ込ませていく。そして、彼女の大切な場所と思われる箇所へと食らいつき、その部分のデニムを優しく咥えてから、思い切りと引っ張っていった。
これにはさすがに、シュラは頬を離すように顔を上げた。尤も、快活な彼女が上げた、「ひぁんっ」という艶めかしい声音も伴われたものだったが。
今まで冗談でも聞いたことがなかったシュラの声に、心臓が跳ね上がるような高揚感を覚えた自分。その感情が自分のソレにもムクムクと影響を与えただろうが、彼女は今、それどころではない。
咥えたデニムを少し引っ張り、そして離していく。これによってデニムパンツは引っ張られた輪ゴムのように戻っていき、パツンッという衝撃が彼女の丘に直で伝わっていく。この直撃でシュラは「ぁんっ」という更なる甘い声を上げると、まるで腰が抜けるようにしてその股をドカッとこの顔面に落としてきた。
項垂れるように倒れ込んだシュラ。現在もそそり立つソレを横目に力無く伏せる彼女へと、自分は呼び掛けていく。
「シュラ、気が済んだ?」
「…………」
「このまま退かないのなら、まだ続けるけど。どうする? 退く?」
「…………」
無言ではあったものの、首を横に振る動作が伝わってくる。
……ならば、お望み通りにするまでだ。
彼女の股間越しに、「それじゃあ、シュラが退くまで続けるから。そのつもりでいてね」と声を掛けていく。そして容赦なく両手で彼女のお尻を鷲掴みにしてから、この口元に押し当てるように引き寄せて、シュラの“ソコ”へと舌を伸ばしていった。
デニムの硬い舌触り。だが、心なしか女性のフェロモンと思しき独特なモノが香ってくる。今もボトムスにかぶりつくよう口を動かす自分は、もはや悪戯の範疇を越えたその先の行為の気分でシュラに舐めかけていたものだ。
受け身のシュラもまた、先ほどまでの快活なサマから一転として、まるで萎縮したように大人しくなってこちらにしがみついてきている。まるで意識を自身のソコに集中させているかのような。柔らかな熱を帯びた感触を自ら求めるかのような。この行為を始めてからというもの、彼女の股は一層とこちらに近付いたような気がする。
彼女の気持ちに応え、自分は口を今よりも広げて、大きな一口で咥えるようにして彼女のソコへとかぶりついた。
口全体で、彼女の聖域を包み込む。お尻を掴む両手にも力が入り、もっと引き寄せて、がっついて。何度も、何度も、味わうように、咀嚼するように、口を開いては閉じてを繰り返す。
次第と、湿気を帯び始めたシュラのデニムパンツ。これは果たして自分の唾液によるものなのか、それとも別のものなのかは分からない。ただ、昂った気持ちに素直になり、自分はひたすらとシュラを堪能するのみだ。
……段々と、愛おしく思えてきた。
妹のようであり、犬のようでもある属性を持つホステスにトキメキを覚え始めた自分。この高揚感に身を委ねて口を動かすこと数分、直にも腰を上下に動かしてきたシュラは小刻みに吐息を漏らしていき、そして全身に力を入れてしがみつきながら、数度に渡る痙攣を起こしていった。
ギンギンとそそり立つソレに髪を擦り付けるシュラ。声は抑えているものの、かすかに聞こえてくる「ぁ、ぁ」という甘い声が彼女の快楽を想起させてくる。
伸ばしていた舌を離し、そこにこもるよう漂っていたフェロモンで自分は頬を赤く染めていく。そうしてずっと眺めていたい光景を直視しながらも、頃合いを見た自分はデニムパンツ越しにその言葉を投げ掛けた。
「まだ退かないかな? これ以上退かないようなら、俺も本能的に加減ができなくなるけれど、それでもいい?」
「ニーチャン…………ッ。分かった、分かったから。……退く。退くわ。今から退くから堪忍してっ……」
「うむ、よろしい」
頭の代わりにお尻を撫でていく自分。これにシュラは一瞬だけ腰を浮かせて反応し、そうして浮き上がった腰を持った自分は、そのまま脇へと彼女の身体を退けていく。
ゴロンッと仰向けになり、左腕で目を隠すように転がったシュラ。荒くした息で呼吸を行う彼女へと視線を投げ掛けて、めくれたオフショルニットから覗く腹へと手を伸ばしてから、犬を撫でるかのようにわしゃわしゃと撫で掛ける。
これにシュラは陽気な笑みを浮かべていくと、隠していた目でこちらを見遣り、ニッと笑いながら快活な声音で喋り出してきた。
「ちょお、ニーチャンやめてぇや。そないにサービスされてもうたらウチ、もっとその気になってまうわぁ」
「違うの? 急にズボンを下げてきたもんだから、てっきりその気なのかと思っていたよ」
「ちゃうてぇ、あれはただの出来心やったんやって。……まぁでも、ニーチャンがええならウチはいつでもええよ? 気持ちも、身体も、ニーチャンを受け止める準備の方はいつでも万端や」
「するならいずれね。せめて二日酔いになってない日がいいな。その方が俺としても、シュラに集中できるから」
前屈みになって、シュラへと顔を近付けながら言葉を口にした自分。これを見たシュラは一瞬だけ唖然とする表情を見せてから、次にもプフッと堪え切れない笑いと共にそんな返答を行ってくる。
「ウチに集中できる?? すまし顔で何言うとんねんジブン。ほんま、ニーチャンにそないな言葉は似合わへんわぁ。これも全部、ホステスのネーチャンらで女慣れした影響っちゅうことかいな?? なぁ、どうなんや」
「さぁ、どうだろうね」
「なんやそれ。このヤリ〇ンが」
「こらこら、女の子がそんな言葉使わないの」
じゃれつくように絡まり合い、冗談を交えた言葉で和やかに会話する自分ら。そうしてしばらく穏やかな時間を過ごしたところで、自分は二日酔いの薬を飲んだ後に支度をして初詣へと駆り出されたものだった。
カーペットが如く降り積もった雪を踏み、足跡を付けながら龍明の駅前まで移動する自分とシュラ。ここから電車に乗って神社へと向かうその道中では、駅前で同伴中のメーとたまたま出くわしていく。
紺色のコートと、アイボリー色のマフラーで身を包んだ冬服のメー。サラリーマンのような男性と一緒に歩くその道すがら、こちらに気が付いた彼女は勝気に微笑みながらピースを行ってくる。
仕事に勤しむメーを見て、手を振る動作で応えた自分。そうして歩き去るメーの背中を見送ってから駅へと向かい、シュラと共に神社のある町へと移動を終える。
視界一面に広がる人の海。初詣でごった返す人混みを前にして、自分はシュラと手を繋ぎながら、掻き分けるように人混みを進んでいく。
その最中にも、同伴中のレダと目が合ったものだった。
腕に刺繍を入れた筋肉質の男性にくっついているレダ。彼女は誘惑するような声音で会話を行っていく最中、目が合ったこちらに対して艶やかな微笑を浮かべながら手を振ってくる。
レダに対しても、手を振り返す動作で応えていった自分。そうしてすれ違うようにレダと離れてから、隣にいたシュラと「ホステスといっぱい出会うねー」といった他愛ない会話を交わしたりしていた。
本当に、いつもお疲れ様です。
多忙なホステスに対する、せめてもの労り。この内心は今夜にでも言葉にして、本人達に伝えてあげよう。
……それなら、神様には『
……といった具合に、彼女らへと抱いた感情は参拝にも反映されたものだ。
鳥居をくぐり、大蛇のように続く列をシュラと一緒に並んでいく。そして神社の前まで移り、自分らの番となった二人は、参拝の手順に従ってお祈りし、静かに願いを込めていく。
これにて初詣というミッションは完了し、やり切った気持ちで神社を後にした自分とシュラ。そこで、せっかく遠出したんだから少し遊んでいこうという話になり、自分らはしばらく神社前の広場をうろつくことになった。
手を繋ぎ、その握りしめた手を軽く前後に振りながら歩いていく。少し凍える気温の中、シュラの快活な温もりが常に伝わってくる柔らかな安心感が、とても心地良く感じられたものだ。
二人で白い息を吐き、ここぞとばかりに展開された屋台の数々を見て回る。そこで見かけた、たこ焼きやお好み焼き、焼きそばやイカ焼きといった温かい食べ物や、神社のお守りや地域名物の石などが売られている屋台を見て回るその最中にも、上機嫌な様子のシュラは太陽のように微笑みながらそれを喋り掛けてきた。
「なぁなぁニーチャン!! ニーチャンはお参りで何をお願いしたん? ニーチャンの願い事、ウチめっちゃ気になるわぁ」
「そうは言うけれど、初詣の願い事は人に喋らない方が良いみたいだから、敢えて秘密にするね」
「えーーー、ええやろ別にー。そないなもん迷信に決まっとるやさかい、ウチに教えてくれてもええやんかー」
「どんだけ俺の願い事を知りたいんだ……」
「ええやんかぁ。ニーチャンのことは何でも知りたいお年頃なんやー」
拗ねるような言い方とは裏腹に、ものすごいご機嫌な彼女に自分は汗を流しながら苦笑いしていく。そんな中で、シュラはふと目についたテント張りの建物を指差しながら声を上げていった。
「あ!!! ニーチャンおみくじ!!!」
「俺はおみくじじゃないよ」
「ニーチャンあそこ、おみくじやっとるで!! 行こぉ!!!」
「いいね、行こ行こ」
駆け出したシュラに合わせて自分も走り出し、二人で快活に駆け抜けながらおみくじ所に立ち寄った。
人が群がるその様子と、ちょうど順番が空いたタイミングの良さ。建物の前で、おみくじの紙を持つ人々が和気藹々とするサマを他所にして、自分とシュラは並ぶことなく料金を支払っておみくじを引いていく。
筒のようなおみくじの箱。それを自分達で振っていき、細い穴から丸まった紙を落としていく。それを二人分行い、金棒のような形をして出てきた紙を受け取っておみくじ所を離れてから、自分とシュラはいっせーのでそれを開いて中を確認したものだ。
結果は…………『小吉』。
まぁ、可もなく不可もなく。ちょっと可寄りの良い結果であろうその文字に、自分はホッと息をつきながら胸を撫で下ろした。
で、隣のシュラも結果はどうだったんだろうと思い、自分はチラッと目で追うように彼女の手元へと視線を投げ掛けるのだが……。
そこには、呆然と佇むシュラの横顔と、手元からわずかに見えた『大凶』の文字。
共にして彼女は、隣で振り向く動作を風で感じ取ったのだろうか、手元のそれを隠すようにしながら慌てて振り向いてきて、誤魔化すような調子で喋り出してきた。
「に、ニーチャン!!! どうやった!? 結果!!」
「え? あ、あぁ。まぁまぁだった、かな?」
「そ、そーか!! それなら良かったなぁ!!! あぁほんま良かった良かった!!! ニーチャンは日頃の行いがええやろうし、きっと神様はそれを見てくれとるんやろうなぁ!! ニーチャン今年はツイとるで。あぁほんまツイとるよ。根拠はあらへんけど今年のニーチャンも安泰や!!」
「そ、そうだね……?」
「あぁせや!! ウチ腹減ったわぁ!! なんか屋台いろいろあったやろ! そっち行こか!!」
「あれ、でもさっきご飯を食べ……」
「ええから!!! おやつや、おやつ!!」
こちらの手を取り、逃げ出すように駆け出したシュラ。彼女に引っ張られた自分も思わず駆け出していき、神社前の広場を二人で颯爽と駆け抜けていく。
だが、こちらを握りしめるシュラの手はとても力強かった。
絶対にこの手を離さない。そんな意思を感じ取れる握力。たとえどんな災難に見舞われようとも、この手だけは絶対に離したくないという決意をどこか思わせる。
……
公共の丸テーブルと、向かい合うよう設置された二つのイス。そこに腰を掛ける自分とシュラは、完食した焼きそばやイカ焼きのパックをテーブルに置きながら「ごちそうさまでした」と挨拶を口にする。
おやつにしてはボリューミーだったものの、やはり美味しい物はついつい食べてしまえる。それでも少々と食べ過ぎたため、自分は胃を抱えるような前屈みの姿勢で食休みをしていると、不意にもシュラはこれを喋り出してきたのだ。
「なぁニーチャン。ウチと同伴しよ?」
「随分と急だね」
「ええやんか。今しかできひんかもしれんし。な?? ええやろ?」
「いいよ。同伴しようか」
快い返事を聞いたシュラは、パァッと晴れ渡るような笑顔を浮かべてきた。
心なしか、尻尾を振っているようにも見えてしまえる。それほど喜びを表に出してきた彼女の反応に自分まで嬉しくなってくる中で、シュラは乗り出すようにテーブルに肘をつきながらその言葉を口にしてきた。
「せやったらウチ、ニーチャンとショートクルーズに行きたいわぁ!!」
「ショートクルーズ?」
「一日だけの船旅や。数日掛けて旅するクルーズ旅行やのうて、一日の内に行って帰ってする短めのやつ!」
「へぇ、そんなのがあるんだ。いいね、ショートクルーズに行こう。……ただ、今から予約とかすると、結構先にならない?」
こちらの疑問に対して、シュラはチッチッチッと指を振ってから得意げに喋り出してくる。
「甘いなぁニーチャン。ウチのこと見くびってもろては困るわぁ」
「いや、見くびってはいないけれど……」
「実はなぁ、ウチ、ニーチャンと同伴すること前提で、既に二名様で予約してあんねん」
「めちゃくちゃ手際良いな……。これ断られてたらどうしてたの?」
「ニーチャンがホステスのお誘いを断るわけないやん。せやろ?」
「まぁ、それもそうだね」
脳死に近い納得で返答した自分。これにシュラは満足そうな笑みを浮かべてくると、次にもずいっと近付くように顔を寄せてきた。
肩を出したオフショルニット。その胸元がチラ見えする、計算された角度。
豊かな谷間と、それを包む灰色のスポーツブラが非常に魅惑的だった。そうして急に誘惑された自分が困惑気味に見遣っていく中で、シュラはしてやったりに口角を上げ、かと思えばしんみりとした声音でその言葉を口にしてくる。
「ニーチャン、ウチとも楽しいことをいっぱいしよぉな? ウチ、ニーチャンとの思い出をたっくさん作りたいねん。……それが今しかできひんからこそ、時間が許してくれる限りウチは、ニーチャンの傍に居たいと思っとる。せやからニーチャン……ウチともぎょうさん遊んでくれると、ウチ幸せやねん」
思い残すことが無いように、今しかできないことをしておきたい。
万が一の事態があり得るからこそ、シュラの言葉に重みを感じ取れてしまえた。だからこそ自分は彼女と真っ直ぐ向かい合い、彼女の目を見つめながら返答を行っていく。
「俺としても、この先もずっとシュラと一緒に居られたらいいなと思っているよ。ただ、どんな人間であれ、生きている限りは何が起こるか分からないからね。だから、お互いに悔いが残らないように、遊べる内にたくさん遊んで、一緒に居られる内はずっと、一緒に居よう」
「……ニーチャン」
じっと見遣る彼女の眼。目元が震え、素で涙腺が緩んでいるのがうかがえる。
自分は、顔を近付けていたシュラの頭を撫でていった。優しく、慰めるように、温もりと愛情を込めて頭を撫でていく。これを受けてシュラはおねだりするように頭を差し出してくると、とても穏やかな表情をした彼女はしばらくの間、堪能するように頭を撫でられていたものだ。