※この作品はR-18です。

俺のハーレムはワル女子だらけ 貸出ホステスと暮らす新生活   作:祐。

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第50話 Désir et bleu foncé 《欲望と紺》

 レストランのLe goût du péché(ル・グー・デュ・ペシェ)から出てきた自分は、真昼の日光を全身に浴びながら、満腹感のままに青空を仰いでいった。

 

 段々と陽気な温もりを帯び始めたその光。季節も出会いと別れの時期を予感し、世間では新生活に向けての忙しない様子が目立っていく。

 

 この店に来てから、おおよそ一年が経過した。

 初めて来店し、キャバレーも兼ねた煌びやかな大人のレストランに圧倒されたあの感動から一年。そこから自室にユノが来訪し、ラミア、メー、レダと出会うことで、自分は肉欲にまみれた裏社会の深淵へと一歩踏み込むこととなる。

 

 親父が死に、身に覚えの無い因縁をつけられたことで自分も狙われるようになった日々。無縁だった脅威に晒された恐怖で毎日を怯えながら過ごしつつも、この恐怖心を和ませるようにホステスと共にしたひと時の数々は、自分にとってかけがえのない時間になっていたこともまた事実。

 

 今となっては、彼女らと出会えたこの運命に感謝さえしてしまっている。

 危機感が無いと言えば、それまでだろう。だが、自分はホステス達の思惑にまんまと乗せられるように彼女らの虜となってしまい、もう、彼女らのいない生活が考えられない程度には、自分はLe goût du péché(ル・グー・デュ・ペシェ)のホステス達に依存し切っていた。

 

 ……悪い事が降りかかると、同時にしてそれ相応の良い事も降りかかってくるんだなぁ。

 悟ったように内心で呟き、自分は店を後にしたその足でアパートへと向かい始めていく。そうして歩き出した自分が、春の陽気でボーッとした意識のまま道を辿り出していくと、直後にもどこからともなくと、メーの声でそう呼び掛けられていったのだ。

 

「カンキくーん!! おーい!!」

 

 お店で忘れ物でもしたのだろうか。でもメーは今日、仕事は休みのはず……。

 今日、初めて聞いた彼女の声に、自分は辺りを見渡していく。すると、直にも後ろから来た白色の乗用車が自分の真横で停車するなり、運転席に座っていた私服姿のメーが、サングラスを頭の上に着けたその状態で、開いた窓から覗き込むようにしながら勝気に喋り掛けてきた。

 

「あは、私を探す動きが挙動不審すぎてめっちゃウケるんだけど~」

 

「め、メー??? まさか、車に乗って来るとは思わなかった……」

 

「なに、そんなに意外?」

 

「意外も何も、メーが車を運転できるだなんて初めて知ったよ。というか、その車は……?」

 

「この車は借り物~。てか、話してなかったっけ? 私が“運び屋をしてた”こと」

 

「え、運び屋?」

 

 運び屋。あまり良い印象は持たれないだろう、裏の配達人を指し示す言葉に自分は唖然としてしまう。

 

 で、こちらの反応を見たメーは、天井を仰ぎながら「あー、そっか。カンキくんには喋ってなかったかー」と言葉を口にする。それから彼女は何事も無かったかのように、切り替えるようにこちらへ振り向いてくると、次にも左手の親指で助手席を指しながらこう尋ね掛けてきたものだ。

 

「ま、せっかくこうして会ったんだからさ~、カンキ君もちょっとだけ付き合ってってよ」

 

「付き合うって?」

 

「決まってるじゃん。ドライブだよ、ドライブ」

 

 

 

 

 

 訪れた春を全身で迎える、車の窓を全て開け放った解放的なドライブ。場所は黄色く淀んだ都会の中から一転として、緑色の山々を一望できる岬の有料道路へと移っていた。

 

 整備された道路は鮮やかな灰色で彩られ、若干と霧がかかった晴天の景色には、悠然と佇む富士山の姿も垣間見える。そうして、今まさに色濃い緑で染まる山道を突っ切るこの車は、霧をもぶち破る勢いでなだらかに走行していたものだ。

 

 ポップな音楽を掛けた車内にて、メーはハンドルを握りしめながら、全ストレスを発散するように腹の底から「あーーーーーーっ!!!!」と大声を上げていく。その表情は実に満天の笑顔であり、天真爛漫とドライブを楽しむ彼女の様子は、まるで子供に戻ったかのようにハツラツとしていた。

 

 メーって、こんな顔もするんだ。

 今まで、勝気で、悪戯で、小悪魔のような微笑みを見せ続けていた彼女。だが、こうして隣に存在していたメーは、相手をからかうようなそれではなく、しがらみから解放された純真からなる笑顔を見せてくれているようにも感じられた。

 

 アクセルを踏み、疾走感ある風を浴びてマウンテンパーカーをなびかせる彼女。そんなメーの横顔を眺めていると、次にもメーは心から微笑んだままそれを喋り出してきた。

 

「あっははは!!! やっぱこれだよ、これこれ!! こういうのが私、大好きなんだ!! ね、カンキ君もドライブ楽しめてる!? 楽しいよね!! ドライブって!!!」

 

「そうだね! 今まで車は何気無く乗ってきたもんだったけど、こうしてメーと一緒にするドライブは格別だ! 俺も今、すごく楽しめてる! まるで子供に戻ったかのように、心からそう思えるよ!」

 

「だよね!! さっすがカンキ君、私が見込んだだけはあるぅ!!」

 

 流しているポップな音楽にノっていたメー。首を左右に揺らしながら鼻歌を歌い、ご機嫌な様子で道路を辿りながらも彼女はそんなことを喋り出してくる。

 

「ねぇカンキ君。さっき言ってた運び屋のこと、聞きたかったりするー?」

 

「まぁ、気になるっちゃ気になるよ。でも、他人の過去はあまり詮索したくないから、メーの気が向いた時にでも話してもらえると嬉しいな、って思う程度かな」

 

「んー、じゃあ今話そうかな~。私がまさにそういう気分だし、たぶん、今しか話す機会が無さそうだからね~」

 

「それって、どういう意味?」

 

「あぁいやいや、そんな深い意味は無いって! お仕事が忙しい中でそんな話をするのも気が重いから、今がちょうどいいタイミングだなーって思っただけ! それに、私も伊達に裏社会を渡り歩いてないから、実は、いつ始末されてもおかしくない立場でもあるんだよねー」

 

 気分の良い調子で、そのような話をし始めたメー。彼女のそれに自分は真剣な面持ちを向けていく中で、本人はお気楽な声音で言葉を続けてくる。

 

「私に何かあった時は、カンキ君、君が語り草となるのだよ。……と、いうわけで、これから語るのは、とある一般的な家庭で生まれた、至ってフツーな女の子の物語。特にこれといった不自由のないフツーの家庭環境で育ち、家族や友人に愛されながら生きていた一人の女の子が、突如とその平穏な人生を投げ出すなり波乱を追い求めて、周りの愛情を悉くと踏みにじってみせた、なんとも稚拙で自分勝手なお話だよ」

 

 軽快な音楽が鳴らされる車内にて、語るように喋り出したメーのそれが入り混じった。

 

 彼女の言葉は、すぐにも音楽で上書きされるように掻き消されていく。この余韻にどこか虚しさを覚えた自分の視線を受けながらも、メーは前方を真っ直ぐと捉えた眼差しで、何気無いサマを見せながら自身の過去を語り出していったのだ。

 

「両親は、アパレル業界の大手に務めるエリート男女。裕福と言うには程遠い生活だったかもしれないけれど、生きていく中でこれといった不自由はしたことがなかったかな。で、私には歳の近いアニキもいた。アニキは文武両道のテンプレみたいな学級委員で、女子にもモテモテで、私の自慢のアニキだったのだ~」

 

 気楽に話すメー。顧みるような眼を正面に向けながら、話を続けてくる。

 

「家庭の環境も悪くなくて、新築の一軒家に住める程度には恵まれていたかな。で、私共々、家族は健康体そのもので、世間で基本とされる生活習慣をとにかく徹底する、模範となる善良な市民だっただろうねー。そんなかんじで、まず健康においては風邪すらもひいたことが無かったし、幼稚園や保育園、小学校なんかでも私は周囲の人間や環境に恵まれていて、常に囲まれては取り合いをされる程度に、私は引っ張りだこの人気者だったのだ」

 

 人気者だった理由は、何となく分かる気がする。少なくとも自分にとっては。

 

 こんな、可愛くてノリが良い子が学校とかにいたのなら、自分はきっと惚れていたことだろう。そう、しみじみと思う言葉を胸に秘め、静かにメーの語り草へと耳を傾けていく。

 

「勉強はちょこ~っと苦手だったけど、その分アニキに教えてもらうことができたから、私は悪びれることなく何度もアニキのお世話になったよ。あと、運動は得意だったかな~。身体を動かすことに関しては、男子も顔負けな才能を発揮してみせたのだ。運動会でもリレーのアンカーに選ばれて、一位になったこともあるよ。だから、中学校でも部活の引き込みで引っ張りだこだった。陸上部、野球部、サッカー部、テニス部、バスケ部。いろんな運動系の部活から、茶道部とかの文化系にも誘われたかなぁ」

 

「すごいね。それで、メーはどの部活に入ったの?」

 

「それなんだけどね、結局どこにも入らなかった。所謂、帰宅部ってやつ」

 

 そうなんだ。

 言葉にすることができなかった返答。だが、こちらの面持ちで返事を察したのだろうメーは、こちらを待つことなく話を続けてくる。

 

「私の人生は間違いなく、順風満帆だったね。中学校では彼氏ができて、私を彼女にした彼はものすごく羨ましがられてた。親も会社の社長になって家庭はより豊かになったし、アニキは超難関の高校に受かって、そこでも優秀な成績を収めて周りからすごい期待されていた。そんな風に私の周囲はとても恵まれていて、私自身も健康や容姿に恵まれているよなぁって実感できる程度には、私の人生、けっこう上手くいっていたと思うんだよねぇ。……少なくとも、中学を卒業するくらいの時期までは」

 

 声のトーンを少し下げ、目も細めた彼女。今も運転する彼女が投げ掛ける、正面へと向けた真っ直ぐな視線を自分は横から眺めながら、次にもメーが口にしてきた言葉へと耳を傾けていく。

 

「高校受験の時期になって、私はアニキとは別の高校を目指すことにした。私の学力じゃあとても入れそうになかったからね。そこで、初めてとも言うべき、挫折のようなものを味わって。そこから、なんだろう……物心ついた時から、今までずっとどこかで突っかかっていた、不満、のようなものを自覚するようになったんだ」

 

「不満? ……その正体は何なのか、判明したの?」

 

「したよ。私の中に突っかかる、その不満のようなものの正体。それはね……“退屈”、というものだった」

 

「退屈……?」

 

 彼女の顔色をうかがう自分。そうして投げ掛けられた視線を、メーは一切と意に介さずに話を続けてくる。

 

「つまんなかったんだよね。生きていてさ。恵まれた環境、恵まれた人間関係。不自由の無い暮らしに、平凡ながらも華やかな毎日。周りからすれば、羨ましい、贅沢だと言えるその生活を、私はただただ、本当に、心から、心底からつまらないと感じてしまえて仕方が無かった」

 

「つまらないと感じて仕方が無い……?」

 

「ね? 私って、本物のバカでしょ? こんだけ、溢れんばかりの輝かしいものを与えられておきながらさ、当の本人はそれを与えられることに飽きてしまって、駄々をこねてんだ。……いや、違うなぁ。恵まれた環境に飽きたんじゃなくて、私は物心ついた時から、その恵まれた環境そのものに嫌気が差していたんだ」

 

 改めて自覚するように言い直したメー。声音も本気であり、彼女は次第と真剣な眼差しを正面に真っ直ぐ向けながら喋り続けてくる。

 

「それでもきっと周りは、『そんなに恵まれておきながら、贅沢を言うな』と口にするだろうね。でもね……言われた当の本人としては、本気でその贅沢を求めていなかったもんだからさぁ。なんか、世の中って噛み合わないことだらけだよね。……そんな感じで私は、退屈という停滞の感情を自覚してからというもの、中学校を卒業する間近の時期に、男との夜遊びやチキンレース、博打やヤクなんかの刺激的な反社会的行動にどっぷりとハマっちゃったんだ」

 

 たった二、三行程度の言葉の羅列に、自分は思わず息を呑んでしまった。

 

 赤裸々と語るメーを見て、唖然とした視線を投げ掛けてしまう。この痛いほど突き刺さるそれを彼女は横目で受け止めながら、堂々としたサマで語っていく。

 

「言うまでもなく、家を追い出されたよ。ヤクでヘロヘロになった私を、親は玄関扉ごと蹴り飛ばして追い出した。玄関から覗くアニキの、とても哀しそうな目は今でも覚えてる。中学校の卒業式にも出ることはなかった。当時の彼氏とも自然消滅したし、高校の入学も取り消しになった。そんな感じで、退屈を自覚してからのスピード感は凄まじくって、私はあっという間に恵まれた全てのものを失ったんだよね」

 

 なだらかな坂を下る車。風も心なしか穏やかになり、先ほどまでの爽やかな心地良さを感じられない。

 

 一瞬にして、感じていたものを全て失った。

 まるで、当時のメーのように。自分は他人事とは思えない面持ちで彼女を見遣る中、メーは気持ちを切り替えるように少し声を高くしながらそれを喋り出してくる。

 

「家を追い出されて、私は当時の悪友に誘われるまま反社会的な組織に所属したよ。それしか生きる術が無かったからね。そこで、ヤクなんかの非合法な取引の手伝いとか、あとは適当に身体を売ったりなんかして、朝昼夕、三食分のご飯は食べられる程度のお金を稼ぐ生活をしていたかな。でも……そんな非道的な行いの手伝いをし続けながらも、私の中にある『退屈と思う気持ち』は、日に日に増していくばかりだった」

 

 ……彼女なりの苦悩、と言ったところだろう。

 それに共感までいかずとも、『退屈という感情に心を支配されてしまっていた』という彼女の苦悩は理解するべきなのかもしれない。自分はそんなことを思いながら彼女の言葉を静かに聞いていくのだが、ふとメーは次にもしれっとしたサマを見せ始めていくと、当初の勝気な声音でそれを喋り出してきたのだ。

 

「そんな感じに、退屈な気持ちでクソのような生活を送っていたある日、私はその組織で一つの仕事を任された」

 

「一つの仕事?」

 

「そ。それが『運び屋』だった、ってワケなんだよね~」

 

 どこかウキウキとした調子で話し出したメー。今も運転しながら、次第と元気を取り戻すように続きを喋っていく。

 

「バレちゃいけないヤクを積んで、警察の目を誤魔化しながらその包囲網を搔い潜る圧倒的スリル……! その頃の私は既に免許も取れる年齢になっていて、まぁ偽造した免許証を使って、当日は一人で車に乗って出発したわけよ。そうしたら、なんの。バレちゃいけない非合法なブツを抱えながら街中を走るその緊張感……! 途中で出くわす警察の検問や、警察犬といった監視の目の数々。それらをすべて欺いて、目的地へと無事にブツを運び届けた時の達成感……!! ……ヤバいね。私は一発目の運び屋のお仕事で、このスリルに魅了されちゃったんだ……!!!」

 

 意気揚々とした表情で喋るメー。彼女の横顔を見た時にも、自分は初めてメーと同伴した際の記憶を脳裏に思い浮かべていった。

 

 

 

 フラッシュバックした、当時の記憶。そこでは、東京タワーで同伴する自分とメーの会話が映し出されていく。

 

『私は高いとこ大好きだよ!! あー、いーや、高いとこっていうか~……こう、落ちたら死ぬ!! っていうスリル? が大好きなのかな?』

 

『死ぬっていうスリル?』

 

『そう!! だって、ここから落ちたら絶対死ぬじゃん!? そう考えるとさ……なんかすごくゾクゾクしてこない!? このゾクゾク感が私、大好きなんだよね!』

 

 

 

 意識は現在に戻り、場面は今も走行する車の中へと移っていく。

 

 ……そう言えば、二回目の同伴の時なんかもメーは、『音ゲーって、絶え間なくマーカーが降ってくるでしょ? あのスピード感とか忙しさが、私的にすごくスリルがあって好きなんだ』と喋ってくれていた。

 

 この瞬間にも、自分はメーという人物を深く知ることができたような気がした。

 彼女は物心ついた時から、失敗できない場面にて発生する極度のスリルでしか退屈を紛らわせない性(さが)を背負ってしまった。それは生まれつきという先天性なものではなく、後天性として発現した彼女の“個性”とも言えるだろう。

 

 これを、哀れに思ってはいけないのかもしれない。だが、彼女の性を知ってしまった時にも自分は、一瞬ながらもメーを『可哀想だ』と思えてしまったのだ。

 

 ……不要かもしれない罪悪感に苛まれる自分。だが、それと同時にして、曰くつきの悪女達が辿り着くLe goût du péché(ル・グー・デュ・ペシェ)に、メーが訪れるに至った経緯の一部を知ることもできたものだ。

 

 これまで、何気無く関わってきたそのホステス。だが、出会って一周年を迎えるその時期になって、ようやく自分は、彼女に対する理解をより深めることができたような気もした。

 

 

 

 

 

 見晴らしの良い岬の有料道路から下り、場所は龍明に戻ってその公道を走行していた自分ら。渋滞気味である都内の道路において、赤信号で一時停止させた車の中でメーは、退屈そうに背もたれに寄り掛かりつつこちらへ振り向き、小悪魔風な視線でじーっと見つめ遣ってくる。

 

 暇で暇でしょうがない。それが伝わってくる、尖らせた口先。だが、不機嫌というよりは、まるで玩具を見つけたかのような眼差しを向けてくる彼女のそれに、自分は様子をうかがうようにしながら尋ね掛けていく。

 

「俺の顔に何かついてる?」

 

「ん~? んー……そうじゃないんだけどさぁ」

 

「? 歯切れ悪いね。ずっと運転しっぱなしだったから、疲れちゃった?」

 

「いやー、そういうわけでもないんだよねぇ」

 

 周囲からは、他の車に対してのクラクションが鳴らされている。この、進まない渋滞の中で両手を後頭部に回したメーは、どこか悶々としながらも落ち着かないサマで周囲に視線を逸らしていき、そこからしばらく何かを考えるようにしてから、ハンドルに寄り掛かりつつ、オトコを落とす魅惑的な微笑みでそれを口にし始めてきたのだ。

 

「ねぇカンキ君。この後も暇だったりする?」

 

「え? まぁ、そうだね。あとはアパートに帰るだけだから。でも、他にどこか寄る用事とかあるのなら、俺も手伝いとかでついていけるよ」

 

「ふーん、そう。それじゃあ~……お言葉に甘えて。カンキ君にはちょ~っとだけ、私の“休憩”に付き合ってもらおっかなぁ?」

 

 

 

 

 

 『まあ、そういうワケで』。

 以前にも訪れたことがある、大人向けの休憩施設。設備や道具が揃えられた個室の中において、自分は現在、全裸の状態で本能のままに腰を動かしていた。

 

 軋むベッドの音がギシギシと床を伝い、今も自分の“息子”は、同じく全裸である四つん這いのメーの“肉壺”を激しく突いていく。その、全身で打ち付けるようにして彼女の最奥を目指す運動を繰り返していると、直にもメーは低い嬌声を唸るよう出しながら、“ソコ”から大量の快楽を噴き出し、それを夕立のようにビシャビシャと音を立ててから項垂れるように突っ伏していった。

 

 互いに興奮で息を荒げ、共にして疲労で深く呼吸を行っていく。特にメーは余韻の快楽で痙攣を繰り返していて、低い声で何度も身体を反りながら、未だ残る快感に悶え続けている。そんな彼女の腰から手を離した自分は、変わり果てたメーの姿を堪能するように暫し眺めていくと、次にも再び“息子”を肉壺へとあてがっていき、彼女の両腕を掴んでからその上半身を持ち上げるようにして運動を再開していった。

 

 本能に従うまま、最深部で子種を待つ命の空間を揺さぶっていく。勢いよく突き上げるように直々と振動を加えていくそれに、メーは天井を仰ぎながら低く喘いでみせるものだったから、自分は彼女の姿に一層の興奮を覚え、全力を尽くすようにメーの好きなトコロを高速でノックし続けた。

 

 あられもない姿を晒し、だらしない声を出しながら腹の底で喘ぐメー。既に何度も達した快感が全身に駆け巡っているのだろうか、彼女の敏感な部分は全てそそり立ち、ビンビンに張ったそれらで全身の悦びを表現してみせていたものだ。

 

 メーは、普段の小悪魔な素振りからSっ気を匂わせつつも、その実は極度のドM気質の持ち主だった。それは行為による快楽に限定されるものの、彼女は自身を無理やり犯してくるアプローチを好む傾向にあり、自身が攻めとなって相手のよがり狂う姿を眺めるよりも、自身が受けとなって、ただひたすらに相手に滅茶苦茶にしてもらうプレイを求めてくる。

 

 とはいえ、あまりにも過激な暴力はさすがにNGだ。首絞めから始まり、殴る蹴るといった物理的に痛めつける行為は本人から拒否されている。拘束や目隠しであれば、痛めつけない範囲での行為を彼女は許可していて、許容範囲内の攻めであれば、彼女は独特な低めの嬌声を上げつつ、終始と快楽による痙攣であられもない姿を見せてくれるだろう。

 

 また、彼女は後ろから攻められる行為を好んでいた。バックの体位が代表的であろうそれは、一番好きな場所である“奥”に届きやすいからという理由によって、常にそこを荒々しく、高速で、的確に、一定のリズムでノックしてくれる運動を求めてくる。

 

 平均より少し上の背丈を持ち、艶めかしいくびれや脚を持つ女性。胸も程よく発達していて、運動によって揺れるそれらはこちらの気持ちを一層と昂らせてくれる。

 

 掴んでいた両腕を離し、この両腕で組み付くようにメーの両肩をホールドした自分。そして、より接近した身体で小刻みの激しい運動を繰り出し、完全に身動きを封じられたメーはスパンの早い低い嬌声と共にして、大量の快楽を噴き出していった。

 

 メーとの行為は、とにかく水浸しになる。

 体内の水分が全て無くなるんじゃないか。組み付きを解いた瞬間にもうずくまったメーによる噴水を浴びながら、自分はそんな心配をよぎらせていく。だが、この光景がまた男として堪らなく興奮を覚え、悦びを体現してくれる彼女に一層と尽くしたくなって仕方が無くなるのだ。

 

 次にも、喘ぎ声を出しながらベッドを這い出したメー。その弱々しくなった声音で「ちょ、ちょっと……休憩……ッ」と口にしたものだったから、自分はそうして離れ往く彼女の両脚をおもむろに掴んで、ズリズリとこちらへ引き寄せていく。

 

 これに驚きの声を上げたメー。直後にも、肉壺に触れたこちらの手に甲高い嬌声を上げ始め、その手で彼女の敏感な表面を十分に愛でてから、指を奥へ侵入させることで彼女の中を荒々しく掘り進めていった。

 

 うつ伏せになった彼女のソコを、ほじくり返すように指を動かしていく。粘り気のある湿気を伴い、続々と溢れ出すそれを泡立たせる勢いで行ったこの運動は、「ちょ、ちょっと、カンキ君ッ」と声に出して慌てる彼女を無理やり快楽で悶えさせていき、絶え間の無い到達で再度と噴水を引き起こさせたものだ。

 

 ……メーから分泌された温もりを、己の全身に塗りたくるようにした自分。

 二人して息を荒げ、暗黙の了解で束の間の休息を挟んでいく。その間にも自分はそそり立つ“モノ”を手に持ち、それをムチのようにしならせ、メーの尻を軽く打ち付けながらこの言葉を口にしていった。

 

「メー。俺よりも先に、勝手に休もうとしちゃダメだよ」

 

「ぁ、あひ……っ。だ、って。このままじゃ私、おかしくなっちゃいそうだったから……ッ」

 

「そんなにお望みなら、今日はこれで切り上げるけど? どうする?」

 

「やだぁ……! もっと、もっと欲しい……ッ。でも、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけでもいいから休ませて……っ!」

 

「メーが休んだら、俺のコレが萎えちゃうよ? 今が一番気持ち良い時だと思うけど。それでもいいの?」

 

「ぅ~……。今日のカンキ君、イジワルすぎ~……」

 

「……あー、ちょっとやり過ぎた……?」

 

「ううん……。イイ。すっごくイイ……。だからお願い、やめないで。今日はカンキ君にイジメられたい。なんか今日は、ずっとこうして、カンキ君に滅茶苦茶にされていたいの……!」

 

「分かった。それじゃあお望み通り、今日はメーのことをとことんイジメてあげるから。……ついてこれなくなっても、構わず続けるからさ。だから、メー……覚悟してくれよ」

 

 今更もう、本能に抗うことはできない。

 欲に飢えた獣となって再び彼女の腰に両手を添えた自分が、近付けた“息子”の先端を肉壺へと押し当てていく。だが、欲望のままに侵入しようと腰を動かした時にも、メーは首を横に振りながらその言葉を口にしてきたのだ。

 

「か、カンキ君……ッ、待って。そこじゃなくって……ッ! お、お尻に……!!」

 

「お、お尻……?」

 

「そうッ、お尻……!! お尻にも欲しい……!!! お願い……!」

 

「でも、お尻はさすがに問題が……」

 

「大丈夫だから……ッ!! 開発なら、自分で済ませてあるから……っ! 浣腸もして、綺麗にしてあるし……! でも、実物は初めてだから……!!」

 

「……メーのお尻の初めてを、俺が貰ってもいいの?」

 

「いいよ……。私のお尻の初めて、カンキ君にあげる……。だから、早くちょうだい……!」

 

 位置をずらし、出口とも言えるだろう異なる部位へと近付けていく。

 ……大丈夫なのかな。さすがに巡ってきた不安に息を呑んだが、一方で湧いてきた興味からそう躊躇うことなく先端を触れさせた自分は、直にも彼女の様子をうかがうようにしながらも、ゆっくりと、慎重に“ソレ”へと侵入させていった。

 

 ……なんだか、不思議な感覚だ。

 狭くて、窮屈な肉壁の通路。しかし、既に開発を済ませているからなのだろうか、本来は出すための器官であるその空間は、意外にもすんなりと自分のを受け入れてくれたものだった。

 

 で、これを求めたメーの方はと言うと、侵入から直ぐにもカエルの鳴き声のような低い唸り声を上げ始めていた。そして何度も首を横に振りながら右手でベッドを軽く叩きつつ、耐えるような、それでいて悶えるような、なんとも言葉にし難い有様で鼻息を荒げる様子を見せてくる。

 

 お互いに少しずつ慣らしていき、そして次第と運動をし始めた。これによって、今までに味わったことのない閉鎖感に興奮を覚え始めた自分は、割とすぐにも上ってきた快楽の兆しと共にして、メーを覆うように身体を前に倒し、彼女の両手に重ね合わせるようにそれらを握りながらこの言葉を伝えていく。

 

「メー……っ! メーのお尻、すごく良いよ……! メーのお尻にこれを出したい……っ!! いや、もう無理だ。お尻に出すぞ……!」

 

「ぉ、おぉっ……! んぅぅぅぅ……~~~~ッ!」

 

 コクコク。ベッドに顔を埋め、喉から高い音を鳴らすように唸りながら何度も頷いてみせたメー。そんな彼女の許可をしっかり確認してから、自分はもう我慢できないと、全てを振り絞るように溜まった快楽を噴き出していく。

 

 熱を帯び、どくどくと脈打つ肉の管。そこから自分の全てを捧げるよう彼女に熱意を注ぎ込み、溢れんばかりの欲望で彼女の中を満たしていく。

 

 ……この前のラミアと同等の、自分史上もっとも多い量を噴射した。

 メーのお尻を蹂躙し、彼女の身体と快楽を支配してみせた達成感。これに自分は気力ごと出し尽くしたように彼女の背中へと圧し掛かり、布団のように覆い被さりながら、前面で彼女の体温を感じ取っていく。

 

 ……今も出口で繋がり続ける自分とメー。溢れ出したオスの快楽が彼女の入口にも伝うその中で、自分とメーは共に微笑み合い、そこでついばむような軽いキスを何度も交わしながら、お互いの体温を交換し合うように暫しそのひと時を堪能したものだった。

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