俺のハーレムはワル女子だらけ 貸出ホステスと暮らす新生活 作:祐。
夜の龍明。ひとり穏やかな時間を過ごしていた中で、この沈黙を破るかのように玄関扉が開かれた。
鍵を開け、勢いよく部屋に入ってきたシュラ。共にして、快活な声音でそれを口にしてくる。
「ニーチャンただいまーーーッ!!! 夜這いしに来たでーーー!!!」
「おかえり、シュラ。あと、その言葉はできるだけ扉を閉めた後に喋ってくれないかな?」
こんなやり取りに慣れてしまった自分が恐ろしい。
全く動じることなく、平然と歩き出しながら彼女を迎えていく。そうして玄関まで迎えに行くと、そこには緑色のキャップを被り、だらしなく着こなした膨らみのある緑色の肩出しパーカーと、へそ出しで背中の開いた黒色のキャミソールに、黄色のショーツをチラ見せする、ボタンが開いた青色のホットパンツという大胆な私服姿で佇んでいたものだ。
久しぶりに見る、シュラの私服。首に掛けた緑色のヘッドフォンがヤンチャな印象を演出してくるその格好で、彼女は薄い黄色のヒールサンダルを脱ぎ散らかしながらこちらへと駆け寄ってくる。そして、「ニーチャン、ぎゅうー!」と言いながら飛び掛かるなり、勢いをつけて飛び込んできたシュラを全身で受け止め、その場で横に一回転しながら彼女を抱き締めていった。
懐に潜り込み、頬を擦りつけながら「ニーチャン……ニーチャン……」と甘えてくるシュラ。いつものそれに自分も頭を撫でることで応えていくと、彼女はニヘヘと微笑みながら心地良さそうに収まってきた。
普段であれば、これで元気を取り戻したシュラが再始動と共に快活なサマで振る舞ってくる。だが、今日に関しては一段と甘えん坊な様子であり、自分が不思議に思って見下ろしていた最中にも、顔を上げてきた彼女と目が合うなりそんなことをねだられたのだ。
「ニーチャン、チュー」
「チュウ?」
「せや! ニーチャン、チュー!」
太陽のように微笑み、口付けをおねだりしてきたシュラ。共にして彼女は目を瞑ると、こちらの返答を待つことなく乙女の表情を浮かべながら、こちらの唇を静かに待ち始めた。
途端にして、健康的な色気を醸し出してきたシュラのアプローチ。今も待ち望む彼女の様子に自分は少しだけ興奮を覚えていくと、次にも優しく抱き寄せるようにしてシュラを近付けてから、包み込むような柔らかい口付けをこちらから行っていった。
……もしかしたら、シュラとのキスは初めてだったかもしれない。
彼女とのファーストキスは、あまりにも自然な空気感によるものだった。その口付けも、欲情的と言うよりは挨拶のような軽やかなものであり、互いの唇の表面で跳ね合うような軽快な接吻を、数回に渡って繰り返していく。
心地良いとは別の、元気が出てくる魔法のおまじない。脳に直接、栄養素を注入させられたかのような幸福感が巡り出す感覚を覚えていくその中で、軽快に唇を離した自分らは共に見つめ合い、照れるというよりは二人で分け合ったそれを確かめ合うように、頬を赤く染めながら微笑んだものだ。
軽く抱き合い、頬をくっ付け合っていく自分とシュラ。そうして二人の挨拶を終えていくと、次にもシュラはハッとしながらこちらを離れ、廊下の冷蔵庫へと駆け寄りながらそれを口にし始めてきた。
「せや! 宅配の荷物、受け取ってもろてありがとぉ! お昼に、急に連絡して堪忍な」
「いいよいいよ。一応、万が一のことを考えてってことで、部屋にいたメーが受け取ってくれたんだ。……それにしても、この部屋宛てに荷物が届くってことにも驚いたけど、それ以上にその荷物が生ものだったことにビックリしたよ」
自分が喋っている間にも、シュラは冷凍庫から箱を取り出して、そのまま部屋のテーブルへと運んでいく。これに自分も歩み寄っていくと、シュラは持ってきたカッターで箱に切り込みを入れて、おもむろにそれを開けていったのだ。
溜まった冷気が噴出し、白いモヤの奥からは無数の食料品が姿を現してくる。だが、その正体を知ってからというもの、自分は感極まる静かな驚きで思わず唖然としてしまったものだった。
……透明な袋に包まれた、大量の品々。それぞれ、既にカットされた状態の色鮮やかなピンク色のズワイガニに、艶やかな赤色が集結したイクラ醬油漬。更には、瑞々しい黄色のバフンウニが詰められたパックなどの、豪華な海鮮達が姿を現してくる。
高級食材として名を連ねる豪華なラインナップを目にして、自分は理解が追い付いた瞬間にも目が飛び出そうな勢いで驚いてしまった。そんなこちらの反応にシュラは機嫌を良くすると、彼女は快活な声音でそう説明し始めてきた。
「どや、すごいやろ! 全部、ウチの金で買うた一級品やで!! せやけど、この量ウチだけじゃ食べきれへんと思うたからな。ニーチャンらにも手伝ってもらおうと思うて、宅配先をココにしたんや。事前に言うの忘れとったわぁ、すまんなぁニーチャン」
「え、いやいや! え、別にそれはいいんだけど。え、どうして。なんで、急にこんな高級品を大量買いしたの……?」
「んまぁ、何て言うんやろ。正確に言うとなぁ、買うたというよりもお礼でもろたんや。ニーチャンも聞いたことあらへん? ふるさと納税ってやつや」
「あぁ、ふるさと納税! とすると、これはその返礼品ってやつか! 納得!」
「せや! そゆこと!」
こちらの納得に、とびっきりの笑顔を浮かべながら指をパチンッと鳴らしてきたシュラ。快活に微笑む彼女のそれを内心で可愛いと思いながらも、自分は届いた品々を間近で眺めながら喋っていく。
「すごいなぁ。話には聞いていたけれど、実際に届いてみると思った以上に量が多くてビックリだよ。でも、急にどうしたの? ふるさと納税をやってみようって思い立ったの?」
箱を覗き込むこちらの懐に潜り込んできたシュラ。懐いた飼い犬のようにくっ付いてきた彼女は、両腕の間からひょっこり顔を出しながら喋り出してくる。
「ウチ、前に副業しとること話したやろ? オ〇ニー配信でガッポリ稼いどるって」
「そうだね。アダルトサイトで動画を投稿したり、生配信したりしてるよね。俺も一人で部屋にいる時なんかにシュラのアカウントを覗いたりしてるよ。ランキングにも載ったりしてて、すごい人気あるよね」
「ニーチャン、ウチの動画確認してくれとるんか!! めっちゃ嬉しいわぁ! ありがとぉ!! ……で、ほんで稼いだ金は募金なんかに使っとるとか話したと思うんやけど、覚えとる?」
「覚えてる。お金を本当に必要としている人達に使ってもらうために、収益なんかで稼いだほぼ全額のお金を募金してるって。月に百五十とか稼いでるんだっけね。それで、一緒にいたラミアが驚いてたような記憶があるよ」
「せやせや! なんちゅうか、それこそが金の本来の在り方っちゅうんか? とにかく、ウチはウチの幸せのために金を使うんやなくて、その分の金で本当に困っとる人達に使うてもろた方がええなと思っとるんや。……で、その人助けの延長線っちゅうことで、ふるさと納税にも挑戦してみたんや。ほしたら、こないに豪華なお礼がついてきよった!! 稼いだ金で人助けができる上に、お礼としてウマい飯が届けられる! ほしたらその飯でニーチャンらが喜んでくれるやろ? もう、幸せの永久機関や!!!」
意気揚々と語るシュラの考えに、自分は「そこまで考えているなんて、さすがだよシュラ」と言葉を口にしながら彼女の頭を撫でていく。そうすると、シュラは無邪気に微笑みながら懐でうっとりするように寄り掛かってきたものだったから、自分は彼女を受け止めるようにして抱き抱えながら、後ろのベッドに寄り掛かっていった。
飼い犬を愛でるように、彼女の頭や腹をわしゃわしゃしながらじゃれていく。これにシュラは背伸びをしながらキャッキャと喜んでくるものだったから、自分はより一層と愛でるように彼女のあちこちを撫でていき、心行くまで存分に戯れた。
今も自分は、頬を指で
「シュラ。俺のことも含めて、いつも周りの人達を大切に想ってくれてありがとね。でも、これでシュラが疲れちゃったら元も子もないからさ。たまには自分にご褒美を買ってあげたりして、自分のことも大切にしてあげてほしいな」
「なんや、ニーチャン。ウチのことを気遣ってくれとるんか? めっちゃ嬉しいわぁ……! そないに優しい言葉を掛けられてもうたらウチ、もっとニーチャンのことが好きになってまう……! ニーチャン……好きやぁ。大好きやぁ。ウチ、ニーチャンが好きすぎて軽率に爆発してまうわぁ……っ!!!」
「爆発まではしなくてもいいけど……。俺もシュラのためになることをしてあげたいからさ、何か要望があれば俺に言ってよ。そうしたら、できる範囲でシュラに尽くしてみせるから」
頬をムニムニしながら喋る自分。これにシュラは一瞬だけ思考停止した唖然の表情を見せてくると、次にも即座に思い付いたのだろうそれを伝えてきたものだった。
「っ、せやったらニーチャン。ウチ、ニーチャンに生オ〇ニー見てもらいたい!!!」
「え? 生オ〇ニー??」
「せや!! 動画や配信なんかの形式やない、正真正銘ガチの生オ〇ニーや!!!」
「が、ガチの生オ〇ニー……??」
言葉通り、自分が致しているところを見てもらいたいということなのだろう。
すぐに思い付いた要望が、まさかの変態的趣向に基づくものとは……。個人の性癖は決して否定しないものの、いざ自分がその立場に立たされるとさすがに複雑に思えてきてしまう。
自分から言い出した以上は、彼女の希望に沿ってあげたい。そこから自分は、念のため「えっと、シュラのオ〇ニーを見届ければいいんだよね……?」と尋ね掛けていくと、これに対して彼女は、パァッとした明るい表情で「せやで!!!」と返してきたものであったから、自分は今から心臓をドキドキさせて、なんだか気恥ずかしく思い始めてしまっていた。
……一応、互いの大事なところを求め合うオーラルな行為自体は、シュラとも経験済みだ。
初詣に行った日、二人で股の聖域に口を近付け合ったあの場面を思い出し、当時の昂りが巡り出してくる。この羞恥が顔に出ていたのだろうか、ちょっとだけ視線を逸らしたこちらの様子にシュラは悪戯に微笑みかけてくると、次にも彼女は快活ながらも恍惚とした表情で、甘い声を出しながらこれを口にしてきたのだ。
「なぁ、ニーチャン……。ウチの大事なトコが、ヒクヒクしながらぎょうさん悦んどるところ、ニーチャンにナマで見てもらいたいんや。……ぶっちゃけるとな、動画撮る時なんか、ニーチャンに見てもらっとるトコを想像しながら収録しとるんやで? ウチ、ニーチャンに見られとるシチュをオカズにしてガッポリ稼いどるんや。せやさかい、今まで頑張ったご褒美っちゅうことで、ウチの今までの妄想を現実にしてくれへんかな……? これからも、その金で高級な飯ぎょうさん食べさせたるから。お願い、ニーチャン……」
鼓膜に優しく響く、甘美なる猫なで声。小動物のように瞳をキラキラさせたシュラのそれを目にしてからというもの、自分はその時に巡ってきた高揚感に静かな興奮を覚え始めていた。
興味が無いと言えば、それは嘘になる。
シュラが一人で致している姿を生で見てみたい。自分のことを妄想しながら、一人で快楽に浸っていく彼女の淫らな様子を見届けてあげたい。脳裏によぎる欲望がそう訴え掛け、悶々とよぎるこの思考に支配されてしまう。そうして、今もおねだりしてくるシュラの頬に両手を添えていくと、次にも自分は淀みない調子でハッキリとそう答えてみせたのであった。
「……別に、シュラが一人でシているところを見たくないわけじゃないんだ。むしろ、気になるよ。すごく気になる。そして願うなら、実際にお目にかかりたい。……今度、見せてくれないかな。俺に見られながら気持ち良くなっている、シュラの恥ずかしい姿をさ」
後日、自分は上機嫌なシュラと共に龍明の街へと赴いた。
春の陽気が暖かな、雲一つ無い晴天の下。昼の街を行き交う人々に揉まれながら歩き進める自分らは、手を繋いだ状態でデートのようなお出掛けを楽しんでいく。
本来の目的は、今も私服姿のシュラが右肩に掛けている、クリーム色のトートバッグの中に入れられていた。そこに詰め込まれた撮影用の機材と、ゴロゴロと音を立てる大量の“大人用玩具”の数々が、中身を知るこちらに生々しいものを感じさせてくる。
……中は見えていないものの、これで外を歩くのは恥ずかしくないのかな。
軽快な笑顔で、ルンルンと繋いだ手を振るシュラの姿。左利きである彼女の手を取ってそれに委ねていた自分が、ちょっと気まずい表情で彼女の横顔を眺めていたその最中。二人で何気無く表通りの歩道を歩いていると、次にも見知らぬ男性からこの声を掛けられたのだ。
「あの、もしかして“トリシュラさん”っすか?」
掛けられた声の主へと、二人で振り向いていく。するとそこには、黒色のニット帽にロゴだらけのパーカーという風貌の、十代後半と思われるストリート系の金髪男性が佇んでいたのを確認できた。
自分の隣にいるシュラを眺める男性。これに彼女は繋いでいた手を離し、彼へと歩み寄りながら快活に返事を行っていく。
「お! なんや、ジブンもウチのこと分かるんかいな!! その呼び方からして、ジブンも動画を観たクチやろ? せやろ?」
「その声、その喋り方。やっぱトリシュラさんなんすね! うわぁ、すげぇ美人……。マスクあっても綺麗な人だなって思ってたんっすよ。あ、おれ、モナカ王チョンボっす。いつも配信でコメントしてる」
「ジブンがチョンボかいな!! 毎度おおきに!! えらい古参が来てくれはったなぁ。ウチのチャンネルの登録者数がまだ二桁くらいの頃から、ジブン配信観に来てくれとったやろ。ほんまおおきにな! せや、視聴者サービスっちゅうことで、特別にハグしたる!! いつも“お供”にしとった娘の生ハグや。宝物にしぃや!」
互いを知る仲なのだろう、打ち解けたような空気で会話する二人。そしてシュラは、露出の多い私服姿で彼をおもむろに抱き締めていくと、彼はとても幸せそうな顔をしながら「ど、どうもっす……!」とお礼を述べていった。
これに、気分を良くするシュラ。だが、ハグを終えた彼はこちらへ視線を投げ掛けてくると、ちょっと顔色をうかがうようにシュラへとそれを尋ね掛けたものだ。
「っす。こちらの方は、トリシュラさんの彼氏さんっすか。……そりゃ、トリシュラさんにも彼氏くらい居るっすよね」
「カレシ? ちゃうで? こっちのは、ウチのニーチャンや」
え?
いつもの呼び方ではあったものの、ナチュラルにその言葉を口にしてきたものだったから、自分は一瞬だけ唖然としながらも機転を利かすように「どうも、兄です……」と喋り出していく。
これを耳にしたシュラは、パァッと晴れやかな表情を見せてきた。で、目の前の彼もまた、なんだか安心した様子で「そ、そうだったんすね!! お兄さんなんすか!!」と明るく返答してくる。
トリシュラ。彼の言うその名前は、アダルト動画サイト上におけるシュラのユーザーネームでもあった。トリシュラという名前で活動を行う彼女のそれは、今やそのサイトにおける人気配信者として名を馳せている。
それにしても、マスクをして顔を隠していてもなお顔バレするんだなぁ。
今も、彼と親しげに会話するシュラを眺めながらそう思った自分。その間にもシュラは、自身が
彼の背を見送るシュラ。太陽が如く明るい声音で、「毎度おおきに~!! “息子さん”の世話もほどほどにな~!!」とお礼を告げていく彼女を自分は見遣っていると、すぐにも彼女はこちらへと振り返るなり腕に抱き付いてきて、こちらに身を委ねながらそれを口にしてきた。
「待たせたなぁニーチャン。プロフィールに龍明在住って書いとるから、たまにあるねんな。ウチがトリシュラやって気付いたファンが、声掛けてくるっちゅうこと」
「いいよいいよ、気にしないで。それにしても、シュラが世界的にデビューしているなんて、なんか俺が誇らしく思えてくるよ。……まぁ、内容が内容だけどさ」
「ニーチャンは、ウチがこないな活動しとることに不満持ったりせぇへんの? 不純やー! 汚らわしいー! みたいなこと、思ったりせぇへん?」
「うーん、その人にはその人の人生があるから、犯罪でもない限りは、他人の趣味に対して特に何か思ったりはしないかな。ただ、あれだね。こうして一緒にいる女の子がヤラシイ目で見られると、ちょっとだけ気になったりするかもしれないな」
シュラを抱き寄せるようにして、抱え込んでいく自分。これにシュラは意外そうな顔を見せてくると、次にも彼女は穏やかに微笑みながら、こちらに寄り掛かりつつ安心した声音でそれを喋り出してきた。
「サッパリしとるニーチャンが、そないにウチのこと思うてくれるの、めっちゃ嬉しいわぁ。……アカンなぁ。ニーチャンに優しくされてもうたらウチ、子宮やクリちゃんが疼いてきてしゃあないわぁ。ニーチャン、はよホテルいこぉ。ウチの恥ずかしいトコ、ニーチャンにぎょうさん見てもらいたくなってしもたわ」
シュラに導かれるまま、昼間から来店した大人の休憩施設。高級感あふれる上品な金色のエントランスに、漂うピンク色のムードが大人の世界を演出してくる中で、自分らは受付カウンターにいたスーツ姿の男性とやり取りを交わし、部屋の鍵を借りてから、二人は意気揚々と個室へ向かい出していく。
一直線に伸びる、宮殿のような金色の廊下。敷かれた絨毯や壁のペナントは赤色と黄色の豪華な二色で統一されていて、まるでアラジンのような世界観を彷彿とさせてくる。それをシュラと共に歩み進めていくと、直にも到着した個室の扉を開いた自分らは、二人揃ってその中へと踏み入れていった。
部屋に入った瞬間にもこちらを出迎えた、黄色と白色の二色で彩られた豪勢なその内装。石の床は天井を反射するほどピカピカに磨かれており、花柄の白い壁紙が高潔さをうかがわせてくる。
中でも一番の目玉と言えたのは、部屋の奥にあった大きなまん丸のベッドだろうか。羽毛のような純白のそれは二人で寝るのに十分なスペースが確保されており、また、それを覆うように閉めることができる透明なカーテンが、一層と王室のような印象を強めてくる。
アダルトサイトに載せる動画の撮影を行うため、今日は奮発して良いホテルに来てしまった。リッチな気持ちで訪れたそれに、自分は圧倒されるようにしばらく周囲を眺め遣ってしまう。そうして自分が足止めを食らっている間にも、シュラは慣れたサマでベッドに乗り掛かり、提げていたトートバッグを下ろしてから、彼女はおもむろにその中の道具を取り出し始めていった。
撮影用のカメラや三脚、黒色のマスクやピンマイク。他、プレイで使用するマッサージ器具やピンク色のバイブレーターだったり、男の“ソレ”を模した玩具や胸の吸引器など、シュラは多種多様な道具を次から次へと取り出しては、それらをベッドの上に並べていく。
……なんか、中々にエグい光景だな。
替えの際どい黒下着や、汗拭きシートも並べていく様子。この調子で彼女はそれらの道具を取り出していくと、次にもシュラはカメラの準備を行いながら、こちらへとそう喋り掛けてきたものだ。
「一応、ウチはカレシいない設定でやっとんねん。設定っちゅうか、ほんまにおらんのやけどな。せやけど、万が一、ニーチャンが映り込んだら勘違いされるかもしれへんから、ニーチャンはカメラの映らんトコで、なるべく物音を立てんように、ウチの撮影現場を見守っててほしいんや」
「分かった。まぁ、シュラと向かい合う形で、カメラの外にいればいいかな。ベッドの上に居てもいいかな? なるべく、近い距離でシュラを眺めたいからさ」
「もー、ニーチャンのえっちー。そないなこと言われたら、余計に興奮してまうやんか。もう、今履いとるパンツが既にぐしょぐしょやねん。持ってきたパンツに着替えんと、最初からぐっしょり濡れた状態でオ〇ニーする羽目になってまうわ」
「それもいいんじゃないかな。何なら、着替えるところから撮影する?」
「着替えから撮影かいな! それもええかもなぁ! 着替えシーンを入れるのは、今まで思い付かへんかった! ……オトコの視点はほんま参考になるわぁ。さすがは変態ニーチャンやな」
「それ、褒められてるのかどうか分かんないな……」
汗を流しながら、複雑な表情で返答した自分。その間にも準備を進めていたシュラは、カメラを装着した脚立を片手に「っしゃあ!! ほな今から撮影するで~!!」と宣言するなり、彼女はその私服姿による“一人行為”を開始していった。
…………粘り気のある湿気を伴った、指で水を掻き分ける音。今も高速で運動する彼女の左手が“空洞内”を刺激していくと、マスクを着けていた彼女は間もなくとして、小動物のような甲高い鳴き声を発しながら、自身の腰を持ち上げるほどの強い痙攣によって達していった。
……その様子を捉えるカメラ越しに、彼女の変わり果てた姿を見届けていく自分。元から高まっていた内なる興奮は肥大するように全身を駆け巡り、撮影開始時点から、自分の“息子”はずっと背伸びし続けてしまう。
ギンギンに膨張させた男の本能。まるで、おあずけを食らっているかのようなもどかしさ。
今も目の前では、全裸となった食べ頃の彼女が快楽に浸り続けていた。それも、彼女は自身でマッサージ器具の振動を押し当て始め、好きなポイントを的確に揉み解すことでちょっと大げさに声を上げていたものだ。
映えのため、その嬌声には演技も混じっていた。だが、普段見せている太陽が如く快活なサマとは一転とした、小動物の鳴き声のような耳に響く甲高いその声は、男の本能をくすぐってくると同時にして、彼女を知る者として今までに聞いたことがない可愛らしい声音に、一層もの興奮を覚えてしまう。
キャンキャンと、子犬が吠えるような鋭い音。この嬌声を上げながら快楽に浸る姿がオスの欲求を掻き立て、今すぐに彼女へと飛び込んで愛でたくなるその愛らしい様子を前に、自分は辛抱堪らんという思いのまま、ついつい己の下半身へと手を伸ばしてしまう。
……音を立てないよう、慎重な手つきでベルトを緩めていく。そして、ゆっくりと下ろした履物から“ソレ”を取り出していくと、自分は膨張したソレに手を掛けて、控えめな動作で運動をし始めた。
一瞬にして、脳天に快楽が分泌された感覚。つんざくような快感が全身に行き渡るそれに自分はひとり痺れていると、直にもこちらに気が付いたシュラは暫しこの様子を眺めてから、付近にあった男性の“ソレ”を模した玩具を手に取るなり、己の“中”へと突っ込み始めたのだ。
彼女の視線は、こちらに釘付けとなっていた。瞳にはハートのような模様もうかがえるそれに自分も運動を速めていくと、次にも共に向かい合ったその状態で、互いに自ら満たし合うという光景が展開されていく。
摩擦の音が一層と速まり、水を掻き分ける音も一段と激しくなる。既に飛沫を描きながら水浸しとなったベッドと、機材にも付着していた彼女の聖なる“それ”がうかがえるこの空間において、自分は今もこちらに見せつけてくる彼女の姿に極限の興奮を覚えたまま、フィニッシュに備えた追い込みを行い始めていった。
もしかしたら、擦る音が入っていたかもしれない。
だが、もう我慢できない。荒げた息を抑え、我慢に我慢を重ねた自分が苦悶の表情で彼女を見遣っていく。その必死な視線を向けられた彼女もまた脚を開いてあられもない姿を晒してくると、玩具の出し入れを速めると共にして、マスクをずらしつつ間隔の短い甲高い喘ぎ声を出しながら、シュラは絶叫するようにその言葉を口にしていったのだ。
「に、ニーチャ……ぁん。ウチ、嬉しいっ。ニーチャンが、ウチを使うてくれとるのっ。もっと、ウチのこと見てほしいねんっ。ウチの全てを、ウチの全部を、ニーチャンに知ってもらいたいんやっ。……ニーチャン。ニーチャぁん。ウチ、ニーチャンのことが好きっ。好きやねんっ。好きぃ。大好きやぁぁ。せやから、一緒にいこぉ。ウチと一緒にぃ。ウチと一緒にぃぃぃっ!!!!」
キャンッ。甲高い声と同時にして、詰まった水が一気に噴き出した眼前の光景。
こちらへ降り掛かった噴水は、人肌の温もりを帯びていた。それも、盛大な勢いによる飛距離を伴っていたために、まるでバケツの水を被せられたかのような感覚で、自分は彼女の快楽を体中に浴びていく。
また、カメラのレンズに飛沫が飛び、彼女を捉えていたその画面は覆い隠されてしまっていた。その上、果てた彼女の痙攣がベッドを揺らし、この振動によって三脚ごとカメラが倒れてしまう。
横になり、ベッドにめり込んだカメラ。これによって画面が黒一色に染まっていくと、映らなくなったそれの脇を通り抜けるように、自分もまた溜めに溜め込んだ欲望を思い切り噴射していったものだ。
全てを出し切るように、全身の筋肉で噴き出した生命の熱。空を切る鈍い水の音を部屋に響き渡らせて、それをベッドの上に大量と撒き散らしては、自分は果てるようにうなだれていく。
……荒げた息による、肩で行った必死の呼吸。その最中にも、内心では「やってしまった」という焦燥からなる緊張感が巡ってきており、暫しとその状態で呼吸を整えてから、自分は恐る恐ると視線を持ち上げていく。
……そこには、白濁の熱を浴びた仰向けの彼女が存在していた。
腹やへそ、胸や首筋、そして顔に飛散した白色の一直線。とんでもない飛距離を噴射した“それ”をまじまじと見つめていく中で、疲れ果てて寝転がっていた彼女は直にも“それ”を左手でなぞりながら、とても幸せそうに微笑してみせたのだ。
拭き取ることはなく、浴びたそのままの状態で暫し天井を仰ぐシュラ。そして、寝息のように穏やかな呼吸を行いながら、彼女は呟くようなしっとりとした声音でそれを口にしてきた。
「…………ウチに付き合うてくれてありがとぉな、ニーチャン。ウチ、ニーチャンの熱に包まれて、今めっちゃ幸せやぁ。……またシようね、ニーチャン。見せ合いでも、本番でも。うちと一緒に、気持ち良いこと、シよ……」
……その時だけ、シュラの喋り方に変化が見られた。
彼女の果てた姿に、自分は無言で頷いていく。それを見届けたシュラは力なく微笑んでいくと、彼女はそのまま眠りにつくように、静かに目を瞑っていった。
ベッドの上では、粘り気のある透明な液体と、ドロドロとした白濁の液体の二つが入り混じっていた。この光景を目にした自分は改めて先の見せ合いを思い出し、その余韻に浸るような気持ちを抱きながら、眠りについた彼女の傍まで移動したものであった。
後日、シュラは一部分を編集したその動画をサイトに投稿。シュラの熱情的な行為とセリフはブラコン動画として瞬く間に人気を博し、それで得た収益によって、アパートの自宅には再び高級な返礼品が届けられた。