俺のハーレムはワル女子だらけ 貸出ホステスと暮らす新生活 作:祐。
ネオンの輝きを放つ
そうしてホールに案内されると、自分はいつもの一人用の席に腰を掛けては静かに相手を待ち続けたものだった。
暇を持て余している間、奥のステージで行われていた歌劇に意識が向いていく。それは、男装したホステスが宝塚風の喋り口調で進行していく本格的なお芝居であり、客をもてなす余興にしては随分と気合いが入った演技や演出であることがうかがえる。
歌劇の質こそは、それを本職とするプロには至らないことだろう。だが、キャバレーという舞台で行われるショーとしての質で見ると、今も展開されているホステスの演技には素人目からしても目を見張るものを感じられたものだ。
つい先ほど入ってきたために、物語の内容は掴めていない。だが、物語のクライマックスなのだろう怒りに打ち震える低い音楽が鳴らされると、男役だとうかがえる王子の仮装をしたホステスは、まるで魂が乗っ取られたかのような鬼気迫る表情で何かに悔しがり、凛々しい低音の声を震わせながら、すぐ横に倒れるドレス姿の娘役を優しく抱え込んでいく。
そして天を仰ぎ、彼女の後を追うことを誓うセリフを最後に切ない音楽が鳴らされて、舞台の幕が下ろされていった。
ゆっくりと閉まっていく赤色のカーテン。その間にもホールのあちこちからは拍手と歓声が上がっており、カーテンが閉ざし切った今でもそれはしばらくと止むことはなかった。
最後の演技だけしか見ていない自分でさえも、主人公の怒りと無念に思わず同情してしまったその舞台。演技のクオリティはまるで舞台役者を雇ってきたかを思わせる非常に高いものを保っていて、しかし、男役のホステスは以前にも入り口で出迎えてもらったことのある見知った顔であったことから、先ほどのショーはこの店のホステスが一から作り上げた舞台であることを悠々と物語っていたものだ。
別料金を取っていても、何らおかしくない演技力だった。これを見られたのなら、もっと早くに来店すれば良かったな。
そんなことを思いながら、フィナーレ部分の迫力の余韻に浸りつつ水を飲んでいく自分。そうして暫しと意識を放り出していると、次にもひとりのホステスがコツコツという靴音と共にこちらの視界へと顔を覗き込んできた。
凛々しいタキシード姿で、からかうような目を向けてくるメー。トレードマークとも言えるだろう紺色のシャツで彼女は「やっほー」と手を振ってくると、そのまま向かいの席に腰を掛けてきながらそう話し掛けてきたものだ。
「いらっしゃーい。カンキ君、今日も来たんだー? そんなにして通い詰めちゃって、カンキ君のお目当ての子は一体誰なのかな~?」
「そうだなぁ。強いて言えば、メーかな?」
メーと会話する際のノリで、そんなことを答えていく自分。すると彼女はその勝気な目と繕ったような甘い声で「やーん、カンキ君ってば大胆~!」と言ってくるなり、テーブルに両肘をついていって身を乗り出すようにしながらこちらに顔を近付けてきたものだ。
「カンキ君にそんなことを言われちゃったらさぁ? 私、カンキ君のこと、ちょっとだけ意識しちゃうかも?」
「ちょっとだけだと、なんだか寂しいな」
「なぁに? もしかしてカンキ君、私のこと狙ってるのかな~?」
「狙ってる。って言ったら?」
「どうしよっかなぁ~? んー、それじゃあ~……私のために、た~っくさんお金を落としていってもらえると嬉しいなぁ?」
「発想が小悪魔なんだよなぁ……」
「ねぇちょっと、そこはノってくれないのー?」
ムスーッと頬を膨らませてくるメーの反応に、自分は微笑しながら「ごめんごめん」と答えていく。これに彼女も大人しめな微笑をニッと見せて姿勢を正していくと、かと思えば右肘をついて頬杖をつきながら、ちょっと怒るような顔でそんなことを話し始めたのだ。
「ねぇちょっと聞いてよカンキ君~」
「いいよ。何かあったの?」
「何かあった~。この前、同伴してきた時のことなんだけどさー。その相手はちょっとチャラめなホストの雰囲気でね、まぁ地雷な感じはあったけれど顔がタイプだったから夜遅くまで付き合ってあげたんだよね。でもね、解散する前までは良い感じだったのに、最後の最後でムカつく対応されて裏切られた気持ちになっちゃった」
「どんな対応されたの?」
「聞いてよ。私のことをね、『羊ちゃん』って呼んできたの」
「羊ちゃん?」
それの何が問題なんだろう。内心のこれが首を傾げる動作となって表れてしまうと、メーは再び身を乗り出すようにしてこちらに顔を近付けてきながらも、呆れた表情でそれの続きを話してきたものだった。
「羊って、『メェ~』って鳴くでしょ?」
「あー……メーって名前だもんね」
「ほんっと、最低! しかもそいつ、小馬鹿にするように笑いながらいちいち説明してきてさ。それ聞いた瞬間、一気に冷めちゃった。その男がどんなに顔と性格が良くって、どんなにお金持ちで裕福な暮らしをしている人だったとしても、人の名前を笑ってくるようなヤツは絶対にムリ。ありえない。そりゃあさ、メーって名前もちょっと変わっているのかもしれないけどさ、だからって笑い者にする必要は無くない? ちょっといじってくるだけなら私もいいんだよ? だけど、嫌がる私の前で羊の声真似を繰り返してきたらさ、さすがに私も怒っていいよね?」
「怒る気持ちはよく分かるよ。俺も歓喜って名前はよくいじられた。不良の連中なんかも、俺を殴る度に『殴られると嬉しいんだろ? 今も喜んでるんだろ?』とか言ってきてたっけなぁ」
「そういうのマジむかつくよね!!! 名前と関係ねぇだろって思っちゃう! しかも私がそれで不機嫌になるとさ、相手は『なんでそんなことで怒るんだよ』って逆ギレしてくるんだよ!? ほんっと意味分かんないし! あー思い出すだけでマジむかついてくる! ホントくたばれやあの早漏粗〇ン野郎!! まぁ、その日はヤってないからあいつのチ〇コのことなんか知らないんだけど」
これ、店で話していい内容なのか……?
今もムスッと不機嫌そうにしているメーを見て、自分は汗を流しながらそんなことを思っていく。だが、それと同時にして自分は『メー』という名前にふとした疑問を抱いていくと、この会話の流れでついつい彼女へとそれを訊ねていったものだった。
「その、『メー』って名前はさ……源氏名? それとも本名?」
こちらの問い掛けに、メーは眉を上げながら向かい合ってくる。
「源氏名だけど、それがどうしたの?」
「ここのお店のホステスってみんな源氏名だったりするのかな」
「まぁ、このお店に限らずって感じだけど。……てか、そういうのラミアとかユノさんから聞いてないの?」
「そういうの、って?」
「このお店特有の“源氏名のルール”のこと」
「源氏名のルール?」
そんなものがあるの? という無言の問い掛けをメーは悟っていくと、次にも彼女は右手で頬杖をつきながらこちらと真っ直ぐ向かい合い、勝気な瞳を向けながらメーはその説明をし始めてくれる。
「そ。このお店ね、“神話が由来であるもの”っていうテーマで源氏名を考えないといけない、ちょっと変わったルールがあるんだよね」
「神話が由来であるもの……?」
「って言ってもピンと来ないよね。もうちょっと説明するとね、神様とか道具だったりとか、あとは天使や悪魔、地名や怪物だったり、とにかく“神話に登場する名詞”から名前を取ってこないといけない決まりになってるの」
「神話に登場する名詞、って言うと……ゼウスとか?」
「極端だけど、そういう話。あとはミカエルとか、ミョルニルとか? あとヴァルハラ? んまぁそっち方面は詳しくないから何とも言えないけどさ、ニュアンスとしては大体そんな感じ。で、神話に登場する名詞が由来になっていればいいから、その取ってきた名詞を自分の好きなように改良しちゃってもオッケー。例えばゼウスだとすると、ゼス、とか。そんな感じ」
「なるほど……?」
要は、神話の中に出てくる名詞を参考にして源氏名を付けろ。ということなのかもしれない。
それを踏まえて、自分はラミアとユノの顔を思い浮かべていく。共にして、その二人も神話から名前を取ってきたんだろうなーという漠然とした思考を巡らせるのだが、今も目の前で小悪魔的な視線を投げ掛けてくるメーと見つめ合うと、自分は無意識にもそんなことを訊ね掛けていったものだ。
「メーって名前もさ、神話に出てくる名詞なの?」
こちらの問い掛けを耳にするなり、メーは微笑しながらそんな返答を行ってくる。
「そうだよ~。……って言っておきながらだけどさ、実は私、メーってものをよく分かってないんだよね。なんかね、メーっていう概念があるらしくて、その響きがなんか面白かったって理由でこの名前にしたような気がする。他にも、イナンナとかイシュタルとかいろんな候補があったりしてね。今思えば、イナって源氏名にしておけば良かったな~とか、いろいろ考えちゃうよね~」
「俺自身、メーのことは最初からメーって名前で認識していたもんだから、今の名前に違和感は無いなぁ。というか、候補の名前を踏まえて考えてみても、メーはさ、メーって感じがする」
「あは、なにそれ」
「メーって名前が一番似合ってるよ」
と、その言葉を口にした瞬間、彼女は気恥ずかしそうな笑みを見せてきたのだ。
こちらの返答にメーは、「こんな名前をまともに取り合ってくれるのはカンキ君くらいだよ~」と冗談めかした調子でケラケラ笑い出していく。だが、メーはそう言いながらも少し間を置きつつゆっくり俯いていくと、かと思えばこちらと目を合わせていき、そして勝気な表情ながらも穏やかな調子でそんな言葉を口にしてきたものだった。
「ありがと、カンキ君。君のおかげで、イヤなことを忘れちゃった」
それから一時間ほど経過した頃だろうか。その話題も源氏名からたわいない会話へと変わっており、これによって自分はメーと談笑しながら和やかな時間を過ごしていた時のことだった。
自分がメーの愚痴を聞いているその最中、ボーイがメーへと歩み寄っては彼女に耳打ちをしてこちらに一礼してくる。共にしてメーは立ち上がっていくと、申し訳なさそうに両手を合わせながらこちらにその言葉を掛けてきたものだ。
「ごめんねカンキ君! 別のお客さんから指名されちゃった!」
「気にしなくていいよ。お客さんを待たせちゃ悪いから、早く行っておいで」
「ありがと~! 話の続きはカンキ君のお家でね!! じゃ、また後で!」
あぁ、今日も部屋に来るんだ……。
しれっと今晩の宿泊を伝えてきた彼女の言葉に、自分はそんなことを思いながら手を振ってメーの背中を見送っていく。そうして彼女が別の席へ腰を掛けたのを確認していくと、自分はジントニックが入ったグラスを手に持ちながら暫しと小休憩を挟んでいたものだった。
……次は誰が来るんだろう。ラミアかな。ラミアなら、緊張しなくていいかもなぁ。なんていうことを考えながら、自分はボーッとした顔で待ち時間を過ごしていく。
と、そうして油断していた時だった。
突如と背後に感じられた人の気配。これに自分が悪寒を覚えていくと、それとほぼ同時にして、こちらの首辺りにはシャツ越しの何かが押し付けられていく。
直後にも、背後の気配が伸ばしてきたその両腕が、こちらの懐に潜り込んできたのだ。これに自分は驚きながらも振り返ろうとしていくと、そんなこちらの動きを両腕で挟むように静止させてきた“彼女”は次にも、そのまま真上から覗き込むようにして顔を出してくる。
「こんばんは、
艶やかで誘惑的な調子で喋るその女性。同時にして懐に潜り込んだ両手が服の中で蠢き始めていくと、直後にも胸元をまさぐられたことによって自分は変な声を出しながら驚いてしまった。
そんなこちらの反応を見るなり、その女性は恍惚とした表情で舌なめずりをしながら、真上から覗き込むその状態で顔を近付けてくる。
突然と迫った彼女の顔に、自分は思わずビクッと動きを止めていく。だが、そうして視界に映り込んだ女性がまた妖艶で魅惑的に感じられてしまったことから、自分は彼女という存在に見惚れつつ静かに心臓を打ち鳴らし始めてしまったものだ。
先ほどの身体的特徴に加えて、彼女は鮮やかなオッドアイの持ち主でもあった。それぞれ、彼女の右目が水色で、彼女の左目がピンク色という彩色がこちらを捉え続けてくる。
そんな彼女が色気を放つ声音で「刺激が強すぎちゃったかしら? ごめんなさいね~?」と言葉を口にしてくると、共にして見せた妖しい目つきでこちらを弄びつつも彼女は両手を離していき、向かいの席に移動しては腰を下ろして落ち着いてきた。
彼女の背丈は百六十七くらいだろうか。魔性の女とも言えるだろう大人の色気に溢れたお姉さんという印象を感じるその彼女は、正装である黒色のタキシードに鮮やかな明るいピンク色のシャツという格好で現れたものだが、こちらの目の前まで移動してくるなり彼女はシャツのボタンを一つ外し始め、そして胸元をはだけるとこれ見よがしに褐色の谷を披露してきたのだ。
やばい。すごい。でかい。おそらくユノよりも大きい。いや、この店に勤めるホステスの中で一番か……?
といった具合に、彼女の思惑通りな視線を向けてしまった自分。これに彼女は妖しい目で弄ぶよう見つめてくると、それに気が付いた自分は顔を赤らめながらも、彼女の目へと視線を戻しながら気まずく話し掛けていく。
「あの、初めまして、ですよね……?」
姿勢を正しながら、それを投げ掛ける。すると彼女は、右手の人差し指を口元にあてがいながら、艶めかしい調子でそう喋り出してきたものだ。
「そんな改まらなくてもいいわよ。もっとラフなお付き合いをしましょう? ね?」
「あ、はい……。じゃあタメでいきます……」
「言った傍から、敬語が抜けてないじゃない。大丈夫よ、そんな緊張なんかしないで。もっと肩の力を抜いて? ほら、抜いて抜いて?」
と言いながら彼女は右手で輪っかをつくるなり、口元に持ってきてはイタズラに舌を出しつつ右手を動かし始めていく。彼女はそんな動作を交えながらオッドアイによる妖しい瞳を向けてくると、自身のアクションに対するこちらの反応を観察するように眺めてきたものだ。
なんか、とんでもない人が来てしまったな……。
内心でそう呟く自分の視線。これに彼女は次の作戦と言わんばかりに前のめりの姿勢をとっていくと、豊満な乳を置くようにしながらテーブルに乗りかかり、そのまま艶やかな瞳でこちらの顔を覗き込みつつ自己紹介を行い始めてきた。
「どう? たくさん溜まっていた力も抜けていったかしら? スッキリしたようなら、わたしの自己紹介でもしていきましょう? それじゃあまずは、初めまして
「どうも、初めまして……。柏島歓喜です。よろしく……レダ」
「あぁん、初々しいオトコのコから呼び捨てで呼ばれちゃうと、わたしすごく興奮しちゃう」
えぇ……。
突如と喘ぎ出しては恍惚とした表情を見せてきたホステス、白鳥レダの反応。共にして向けてきた妖しい瞳に自分は若干と戸惑っていくと、そんなこちらの様子を眺めるようにしながらレダはそう喋り出してくる。
「カンキ君のことは、以前から耳にしていたわよ。ていうか、ここに来るようになってからもう、それなりに経っているわよね?」
「まぁ、ほんとにそれなりって感じだけど……」
あまり意識していなかった部分を話題にされ、なんとも曖昧な返答をしてしまう自分。
そういった自分の様子をレダはじっと眺め遣ってくると、次にも少しだけ声音を真面目にしながら彼女はそれを訊ね掛けてきたのだ。
「ふぅん……。それじゃあここに通い続けているのは、前の経営者が自分のお父さんだったから……ってわけでもないのかしら?」
「…………っ」
レダの問い掛けに、自分は堪らず言葉を詰まらせてしまった。
……というよりも、言葉が思いつかなかったという言い方が正しかったのかもしれない。
親父とは、両手の指で数えられる程度にしか会ったことがなかった。下手すれば、ここのホステス達の方が自分よりも親父と多く会話していたかもしれない。そのため、このお店に通いつめている理由が親父の店だからかと訊ねられてしまうと、それに対して自分は何と返せばいいのかが分からなくなってしまうのだ。
こちらの反応にレダは、先ほどまで見せていた誘惑的な目を途端に細めていく。そしてテーブルに乗せていた乳を身体で持ち上げるようにしながらこちらと向き合ってくると、次にも彼女は色気のある声音ながらもそんなことを口にし始めたのだ。
「あなたのお父さんには、たいへんお世話になったものだわ。多分ね、ここで働くホステスの中で一番、あなたのお父さんとの付き合いが長いと思うの」
「それって、レダがってこと……?」
「そう。色々あってホームレスをしていたわたしのことを、あなたのお父さんは親身になって気に掛けてくれていた。そんな彼の見返りを求めない無条件な男気に、わたし、思わず本気で惚れちゃったりもしたもんだわ」
「……そっか。親父は誰かを助けながら生きていたんだな。俺という息子をほったらかしにしながら」
無意識にも、卑屈となった言葉を口にしてしまった。
だが、そんなこちらに対してレダは微笑みながら手を伸ばしてくると、そのままこちらの手を包み込むように握りしめながら、穏やかにそう話し出してくる。
「彼は、正義感に溢れる熱血的なオトコだった。既にユノさんからも聞いているでしょうけれど、彼は裏社会に潜む強大な闇と戦う、正義のヒーローみたいなオトコだったの。その戦いに、カンキ君という大事な家族を巻き込まないように立ち回るのも、家族を心配する父親ならば当然の行動だとわたしは思えるわけなんだけど。やっぱりカンキ君からすると、そんなお父さんの考えにも納得がいかない感じなのかしら?」
「そりゃあ、理屈は理解しているつもりなんだ。だけど、やっぱり……」
「寂しかったんだよね?」
え?
レダから掛けられたその言葉によって自分は、今まで自覚できていなかった感情を初めて認識することができたような気がした。
そうか。俺は親父という家族とろくに過ごせなかったことに対して、寂しいと感じていたのか。
一瞬ばかりと、頭の中が真っ白になった。そうして唖然とした自分にレダは天使のような微笑みを投げ掛けてくると、こちらの手を握ったまま彼女は歩み寄ってきて、そのままこちらを包み込むように抱きしめながらそれを喋り出してきたのだ。
「わたし達
「…………ありがとう」
レダの両腕に包み込まれ、自分は人肌の温もりに目を潤ませる。そして自身の身を受け止められるようにしながら、自分は寂しさを紛らわすように彼女の胸の中に収まっていった。
ようやく自覚することができた言葉無き感情の正体。それが、孤独感という切なさによって生じていたモヤモヤであることに自分は納得していくのだが、ふと現実に戻るようにして現状も自覚していくと、次にも密着しているレダの乳に自分は思わず彼女の両腕を振り払いながら驚いたものだった。
「う、うおぉッ!!? 流れで触っちゃってごめんなさい!?」
「あらぁ、あらあらあら……。もしかして、恥ずかしくなっちゃったの~? カンキ君ってそういうところもウブなのねぇ? ……オトナに慣れていないその反応。余計に可愛がりたくなってきちゃった……。もうガマンできない……!!」
豹変するよう、途端に見せてきた恍惚とした表情。艶めかしい声音で蕩けるような目をこちらに向けてくると、次にもレダは獲物を捉えた雌豹の如くこちらに覆い被さってきては、セクハラまがいの言葉を掛けつつ過度なボディタッチによる接待を行い始めたのであった。