※この作品はR-18です。

俺のハーレムはワル女子だらけ 貸出ホステスと暮らす新生活   作:祐。

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第78話 La tentation du orange 《橙の誘惑》

 本日は快晴。絶好の同伴日和。

 

 休日に相応しい、絵に描いたような晴れの日。龍明の駅前には自分ら以外にも多くの人々が行き交っており、主に家族連れが見受けられる平和な光景が広がっていたものだ。

 

 犯罪の温床と言われながらも、幸せを育む愛の形。活力に満ちた、キラキラとした光景に見惚れるよう周囲を眺めていく中で、自分もまた隣を歩くハオマと共に駅前の広場を歩き進めていた。

 

 鼻歌を歌う、上機嫌な私服姿のハオマ。彼女は繋いだ手をブンブン振りながら足並みを揃え、柔和な笑顔を無意識に振り撒きながら、まるで子供のように喋くるそんな様子に自分は苦笑してしまう。

 

 尤も、彼女はジレというベージュ色でミドル丈のアウター版ベストに、ドレスのような質感の白色ブラウス。そして、暗めの赤いクロップドパンツに黒色のハイヒールという、非常に大人びたスリムなシルエットの格好をしており、灰色の手提げバッグも含めれば、外見だけで言えば健全な色気を放ってくる『頼りになる綺麗なお姉さん』という雰囲気を醸し出していた。

 

 だが、その中身は驚くほどに童心そのもの。身に纏う大人のお姉さんオーラを全力でぶち壊す天真爛漫な動作と、お出掛けを本気で楽しんでいるのだろう健気で明るい喋り方が、頼りになるというよりも守りたくなる、どこか放っておけない有様を晒していた。

 

 手提げのバッグを振り回し、非常に回る舌に翻弄されていく自分。そのガトリングトークが絶え間なく降り掛かってくるのだが、さすがはLe goût du péché(ル・グー・デュ・ペシェ)のホステスなだけはあり、やはりハオマも圧倒的な美貌を誇る故か、喋くる彼女からのアプローチも疲れるどころか、愛おしく思えてきてしまえるのは男の性(さが)だろう。

 

 とは言うものの、話の半分以上は記憶できずにいた、膨大な量に及ぶ話題の数々。店のことからプライベートの事情まで、とことん詰め込んでくるハオマの話に次第と意識が遠のき始めた最中にも、今のところ相槌を打つことしかしていなかったこちらへと、彼女は顔を覗き込むようにして訊ね掛けてきた。

 

「ねぇねぇカンキ君カンキ君。今日の同伴は、私が考えてきたプランで進めてもいいんだよね?」

 

「え? あぁ、そうですね。話し合いの時、ハオマさんが自分で予定を立てたいと仰られておりましたから、俺もそのつもりで来ていました」

 

「そっかそっか! 良かったぁ~! こういうのって、ちょっとした認識のすれ違いで喧嘩しちゃったりするものでしょ? だから前の日に確認しておこ~って思ってたんだけど、カンキ君との同伴が楽しみすぎちゃって、ついつい確認するの忘れてたんだよね~。失敗失敗、エヘヘ」

 

 そう言い、ニヘラ~と微笑んでくるハオマ。

 木漏れ日のように暖かく、羽毛のように柔らかな人柄。年上とは思えない愛嬌がこの人のチャームポイントであり、幼稚な一面はあるものの、一緒に居てくれるだけで心がポカポカと温まってくる。

 

 ハオマさんの顔を見るだけで、冬の寒さも乗り切れそうだなぁ。

 なんていう言葉を胸に抱き、彼女の笑顔に絆された自分。共にして繋いでいた手をこちらからギュッと握りしめながら、愛でるような視線を彼女へ投げ掛けつつ返答を行っていく。

 

「大丈夫ですよ。ハオマさんが考えてくれた予定であれば、どんな内容でも俺は安心してついていけますから」

 

「わぁ~、カンキ君はなんてイイ子なんだろうぅ~っ……!! ホント、真っ直ぐ育ったねぇ。色々と辛い事があっただろうに、真面目な男の子に育ってくれて、おばさん感激だよぉ~……っ」

 

 心なしか、涙を流すようなナミナミのエフェクトがうかがえる。

 感受性が豊かと言うべきか。心から寄り添ってくれるものの、あまりにも親身になりすぎて当事者のような心持ちで接してくるハオマ。その純粋さもまた彼女の特徴として魅力に感じる反面で、返答に困った自分は苦笑を浮かべるしかなかった。

 

 ……よく自分のことを卑下するけれど、やっぱり最年長って肩書が気になっているのかな。

 ふとよぎってきた疑問と共に、ハオマへと向けていく視線。そこから、先の言葉を脳裏に思い浮かべながらも、何となくそんなことを口にしてしまったのだ。

 

「年齢は詳しく存じておりませんが……俺から見たら、ハオマさんという方はとても綺麗でお若く、一個人としても、そして異性としても魅力的に映っております。……ハオマさんは美しく、十分に素敵な女性ですよ。なので、もっと自信を持ってください。俺は、ハオマさんのことが好きです。大好きです」

 

 声に出してから、言葉の意味を遅れて理解した自分。直後にも恥ずかしさが巡ってきたことから、自分は頬を赤く染めてしまいながらも、誤魔化すように「あ、いえ。その、すみません……」と反射的に謝罪してしまう。

 

 で、先の言葉を耳にしたハオマはと言うと、一瞬だけその眼に淡い気持ちの煌めきを迸らせてから、すぐにも何故か彼女も慌てながら、上ずった声音で「い、いいよいいよっ!! 大丈夫っ!! むしろ、ありがとねカンキ君!! すっごく嬉しかった……!」と返してくれたのだ。

 

 瞬間的にうかがえた、ハオマの心情。同時にしてフェロモンのような独特の香りも立ち込めたことで、彼女からは少なからずの性的興奮を感じ取れたものだった。

 

 ……大人びた美麗の皮と、純粋なる童心を持つホステス。だが、その本質は“草食動物を狩る獣”であり、対象が若ければ若いほど、彼女の本能は激しく煽られる。

 

 今も彼女の内側には、揺らめく炎が如き熱情が滾っているのかもしれない。

 あの夜、あの路地裏にて交わした彼女とのひと時を、自分は未だ忘れることができずにいた。それは、彼女に“味見”された挙句に容易く挑発され、理性よりも先に“息子”が顔を出し、本能のままにハオマの熟れた“入口”と太ももに擦り付けた、挿入寸前にまで至った未遂の記憶。

 

 ……ずっと、ずっと焦らされ続けてきた。自分の心には現在も、今日の同伴であの続きができるのかもしれないという期待が巡り続けており、まだ部屋を出たばかりの現時点で、いつ誘ってくれるのだろうという気が気でない心情を抱いてしまっていたものだ。

 

 あの続きがしたい。ハオマさんの熱を感じたい。思考を支配する欲求ばかりが先行し、この色欲を振り払うよう自分は頭を横に振りながら、この熱を秋の風で冷まそうと必死になっていく。

 

 だからこそ、気が付けなかったのかもしれない。今もこの隣において、こちらの悶々とした様子に静かなる興奮を覚えては、淡くも見開いた眼光を向け続けていた“捕食者”の存在に…………。

 

 

 

 

 

 本日のプランを考えてきたというハオマに案内され、しばらくは龍明の街中を歩き回っていく。そうして、あまり来慣れない居酒屋だらけの狭い通りを進んでいくと、直にもハオマが指を差してきた一つのアンティークな店へと意識を向けていった。

 

 扉に着けられた鈴と、海外の映画に出てきそうな西洋風のバー。看板には『オイスターバー』と書かれており、主に生貝を堪能できそうな雰囲気を醸し出すその店へと、自分はハオマに手を引かれるまま誘(いざな)われていく。

 

 そして、案の定とも言うべきだろうか。自分はそこで、ハオマと共に生牡蠣を味わった。

 テレビでしか見たことがなかった、殻がついたままの生貝。ちょっとグロテスクにも思える見た目とは裏腹に、不思議と魅入られるその新鮮な高級食材を、付け合わせのレモンと一緒に頂いた至福のひと時。

 

 牡蠣が乗せられた銀色の皿には、キンッキンに冷えた氷も敷かれていた。そのことから、都内でも鮮度はそのままに、本場の味と、テレビの世界でよく見かけたが故の憧れに満たされた幸福感を伴いながら、ハオマと二人で貪るように食事を堪能したものだ。

 

 その際にも、ハオマからは「牡蠣にはね、亜鉛がたっくさん詰まっているんだよ!! だからカンキ君。今日はこのハオマさんが奢ってあげるから、遠慮せずにいっぱい食べちゃって!!」と勧めてくれたことから、自分は言葉通りに遠慮せず、憧れの味を口いっぱいに頬張っていった。

 

 腹を満たし、満足感が巡ってくる。それから店を出て快晴の青空を眺めながら余韻に浸っていると、この勢いで自分はハオマに手を引かれていき、次に見慣れたデパートへと赴いては、隣接する映画館に入って恋愛ものの映画を観たものだ。

 

 年上のお姉さんと、年下のボーイフレンドの恋愛を描く、ピュアでハートフルな甘酸っぱい物語。観ているだけで、腹の中の生牡蠣が踊り出すほどの胃もたれを起こす、純愛に満ちた歳の差ラブストーリー。しかし、途中に挟まる不穏な気配が最悪を予感させ、後にボーイフレンドに発覚した病気と、余命が宣告されてからの展開は怒涛の勢いであり、思い出作りとして各地に出掛ける男女のサマが実に切なく映し出されていく。

 

 腹の中で踊っていた生牡蠣も黙り出し、最後が分かり切っているからこその深刻な物語だが見入ってしまう。そして最終的にボーイフレンドがいなくなり、彼と過ごした日々を噛みしめながら前を向く年上お姉さんの姿で、その映画は幕を閉じた。

 

 隣に座っていたハオマが、洪水のように涙と鼻水を流していた。そのぐしゃぐしゃになった様相も想定済みだった自分は彼女をなだめていき、更には映画館のスタッフまでも駆け付けてくる程度には、自分らはしばらく席に留まっていた。それだけ物事に移入できる感受性こそ彼女の長所でもあるため、映画館を出てもなお泣き続けていたハオマを連れながら、自分はデパートの中を歩き回ってはソフトクリームを買い、彼女とそれを食べたりしてハオマの気持ちが静まるのを待ったりしたものだ。

 

 で、落ち着いた彼女が次に提示してきたプランというものが、まさにこのデパート内でのショッピングだった。

 尤も、その目的がランジェリー選びだったため、女性ものの下着が並ぶ鮮やかな光景へと招かれた。そこでは、他のホステスらが身に着けている様子で見慣れていたはずのそれらに対して、自分はついつい赤面して俯いてしまいながらも、最後までハオマの買い物に付き添ったりしていた。

 

 無邪気に振る舞うハオマが、レースの黒い一式と、同種の白い一式の二つを手に持ってこちらへ見せてくる。これに自分がドキドキと心臓の鼓動を速めていく最中にも、彼女はこちらの様子を深々と見つめるようにしながら、まるで反応をうかがうような目でそう訊ね掛けてきた。

 

「ねぇねぇカンキ君。黒色と白色、どっちが私に似合うかなぁ~……?」

 

 本当に、外見に関しては美麗なお姉さんだからなぁ……。

 声音も色っぽくして、こちらの顔を覗き込むようにしながら投げ掛けてきた問い。加えて、子供っぽく悪戯な視線を向けながら、得意げな表情でじりじりと近付いてくる彼女のアプローチに、自分は一層と興奮を覚えながら控えめに答えていく。

 

「ど、どっちもお似合いだと思います……っ。強いて言えば白色かもしれませんけれど、実際に着用している姿を見てみないことには、断言できそうにありません……」

 

「なら、試着室で見せてあげよっか……?」

 

「…………はい。お願いします」

 

 しおらしくなってしまったこちらの反応に、ハオマはどことなくゾクゾクっとした効果音を発してきた気がする。

 

 自分は今、心なしか普段よりも異性の存在を意識してしまっている……。

 ふと巡ってきた思考に、この時こそは「いや、気のせいか」と言葉を振り払っていく。だが、後にハオマのプランが入念な下調べによる計画的なものであったこと……もっと言えば、“捕食対象を肥えさせるための下準備”であったことを、自分はアパートの自室で知らされることとなったのだ。

 

 

 

 

 

 本日の同伴は、愛嬌のある年上のお姉さんと赴いた普通のお出掛けとして、何事もなく乗り切った。

 帰宅時には夕暮れ時であり、ハオマが買い物した紙袋の荷物を自分が持ちながら、彼女をアパートの自室へと招き入れていく。そうしてハオマが部屋に上がり込み、自分もテーブルや座布団などを用意してから、道中で買ってきたスルメやジャーキーを取り出して、冷蔵庫からチューハイを持ってきて彼女へと手渡した。

 

 缶を開け、爽快な音を二人で立てながらお疲れ様の乾杯を交わしていく。そして二人でグイッとアルコールを摂取していくと、次第にもおつまみを口にしながら彼女とそのような会話を交わしたものだった。

 

「ハオマさん、今日はありがとうございました。食事から娯楽、さらにはショッピングまで一緒に楽しむことができて、俺としては大満足の同伴になりました」

 

「あはは~、いいのいいの! 私もみんなの先輩らしく、ホステスとして良い所を見せておかなきゃだからねぇ~。……ムッフフフ。私の目論見通りなら、カンキ君はこれでハオマさんにメロメロずっきゅん、大ゾッコン!! この先、カンキ君からの指名は全部、私が独占することになっちゃうかなぁ~!?」

 

「みんなを指名したい気持ちは大いにありますけど、こんなに気持ちの良い接待で付きっ切りになられたら、男としてハオマさんを意識せざるを得なくなりますからね。……ハオマさんという素敵な女性に出会えた奇跡に、乾杯でもしましょうか」

 

「あ! 今のちょっとユノちゃん味ある言い方! ユノちゃん節、伝染した?」

 

「え。ど、どうでしょうかそれは……」

 

 というか、ユノさん節という言葉はみんなに共通しているんだ。

 

 呆気にとられながらも、他愛ない会話を交わしていく自分ら。チューハイを飲むスピードも心なしかペースが速く、ハオマに関して言えば三本目の缶を開け出したくらいだ。

 

 これにより、段々とベロベロに酔い始めたハオマ。途端にしてふにゃぁ~……と崩れるようにテーブルに項垂れた彼女が、缶を片手に呂律の回らない調子で喋ってくる。

 

「んなぁぁ~……カンキ君、きょぉは一人らけらもんねぇ……。寂しいねぇ……きょぉは私もここに泊まってあげるから……さいごのさいごまで、同伴をガンガン楽しんでいこぉねぇ~……っ!!!」

 

「もうベロベロじゃないですか。無理なさらずに、今日はもうお休みください」

 

 本日はホステスの皆が同伴で部屋に帰ってこないため、護衛としてハオマが傍についてくれる約束にはなっていた。

 

 が、守ってくれる当の本人がこの有様では、むしろ自分が護衛に回る側かもしれないなぁ。

 という内心が巡りつつも、今もテーブルに頭を転がすよう夢見心地なハオマを眺めていく自分。その顔は本当に恵まれた美貌に溢れていたものだったから、余計にこの人の扱い方に困ってしまうと呆れ半分に苦笑して、自分は彼女をベッドに寝かせるべく歩み寄っていった。

 

 その際にも、自分は警戒を解いて油断し切っていたのかもしれない。

 ハオマへと近付いて、「寝るならベッドで寝ますよ。それか顔落としますか?」と声を掛けながら屈んでいく。だが、そうして顔を近付けた瞬間にも、ハオマは見計らったように見開くなり、躊躇いの無い素早い動作で、瞬く間にこちらの唇を奪ってみせたのだ。

 

 ちゅう……っ。

 こちらの背に手を添えて、瞬間的でありながらも完璧な距離感でディープな口付けを行ってくるハオマ。その魅惑な唇を重ねられたことで、気持ちが昂り始めた自分は腰を抜かしていくと、次第にも彼女は前のめりとなって急接近し、更には舌まで捻じ込んできたアプローチに自分はされるがままとなってしまう。

 

 狙った獲物を確実に仕留めんとする、断固たる思いの力強い吸い付き。舌も加わることで生々しい感触が口内に広がり出し、あまりにも急な行為に最初こそは嫌悪感に満たされていく。

 

 だが、それ以上にハオマのキスは欲情的だった。

 男を知る、場数を踏んだ熟練の技。彼女に撫で掛けられる自分の舌は性感帯となって徐々に開発されていき、困惑を押し退けるほどの積極性と、唇に伝う柔和な感触が、まるで上下関係を刷り込むかのような、誰が主(あるじ)であるかを知らしめるような、そんな支配的に包み込まれる温もりを帯びていたものだ。

 

 ……ダメだ。俺は“この人”に敵わない……!

 たった一度のキスで、立場を“分からされた”。次にも自分は蕩けたような表情で彼女から口を離していくと、そこに映っていたのは淡い煌めきを宿す、発情するがあまりに欲求を全面に押し出してきたメスのハオマがこちらを見遣ってきて、この服従した“対象”の様子に彼女は満足そうに微笑しながら、ゆっくりと舌なめずりを行って、確保するように両手で優しく抱き留めてきたのだ……。

 

 

 

 成す術もなく、自分は服を脱がされた。

 履物を下ろされて、ボロンッと現れた“息子”へと鼻を近付けるハオマ。その、色気にあてられて直立した“モノ”のニオイを彼女は堪能し始めていくと、何の躊躇いもなくそこに舌を這わせていき、ハオマは“モノ”を手で握りしめながら、先端や裏側、袋などなど男の急所を余すことなく味わい出してきた。

 

 もう、既に限界だ……っ。

 我慢して堪えるこちらの様子に、ゾクゾクっと一層もの興奮を覚えていくハオマ。そのまま彼女も本能に駆られるまま衣類を脱ぎ出して、身に着けていた青色の下着も脱ぎ捨てることで、平均以上となるたわわな乳と、綺麗に整えられた洗練されし“橙色の密林”を晒しながら、こちらの肩へと両腕を掛けてきては、上目遣いで耳元へと顔を近付けつつ、囁くように艶めかしい声音で喋り掛けてきたのだ。

 

「今日の同伴……どうだった?」

 

「ぁ……最高、でした。もう、本当に……。また、お願いします……」

 

「あはは、もう締め括りに入っちゃうの? まだまだ同伴は続くと思ったのに。……ね、どうする? ここでお開きにしちゃう?」

 

「いえ、そんなっ。……もっと、欲しいです。俺、ハオマさんのことが、ずっとずっと欲しくって……」

 

「この欲しがりさん。普段は真面目クンなのに、同伴中も本当は頭の中で、スケベでエッチなことばかりプカプカ思い浮かべていたんでしょ? ……恥ずかしがらなくてもいいんだよ~? それだけカンキ君は、私に期待してくれていたってことだもんね? なら……その期待通りになるような、甘くて蕩けちゃうくらいの大人の夜……今から経験してみよっか?」

 

「……はい。よろしくお願いします……」

 

「うむ、素直でよろしい。……“あの夜”の続き、シようね?」

 

 ……俺はもう、ハオマという女性に首輪を着けられてしまったのかもしれない。

 

 言いなりのように、頷くことしかできずにいた自分。こちらの反応にハオマは卑しいほどの微笑を披露してみせると、次にもこの両肩に手を滑らせていきながら、焦らしてくるボディタッチでこちらの興奮を仰ぎつつ、彼女は人差し指でこの顎を持ち上げるようにしてから、フェロモンをムンムンと放出するメスの顔でベッドへと誘(いざな)ってきた……。

 

 

 

 

 

 今まで、どれだけの若い男達を食べてきたのだろう。

 ベッドの上にて、ハオマに全身を愛撫されていた自分。手慣れたそれは男の敏感なポイントを完全に熟知しており、両手を這わせ、舌で舐めかけるアプローチに堪らず骨抜きにされていく。

 

 オスの肌を味わい、オスのニオイを堪能し、オスのフェロモンを貪る獣。まさに淫獣とは彼女のことであり、ハオマは普段の温厚で柔和な存在感からは考えられないほどの積極性で、柏島歓喜という一人の男を喰らっていた。

 

 骨についた肉まで食べ尽くす勢いだ。

 この首筋に喰らい付き、男の胸に吸い付いて、脇を責めてくる。続けて腹筋に齧り付いてはヘソを舐め回し、鼠径部(そけいぶ)を愛でる流れで、足裏も隅々まで頂いてくるハオマの食事。そんな、男という生き物を余すことなく愉しむ彼女に押されるまま、自分はこれまでの行為で感じたことのない、責められる立場の悦びを体験してしまえたものだった。

 

 ……たまには、こういうのもいいかもしれない。

 快楽に晒されて、呆然とした意識で天井を見遣りながら言葉をよぎらせる。その、極度の高揚で知能が溶け始めたこちらの様子に、ハオマは火照った頬で微笑を浮かべてくると、次にも彼女は大きな口でこちらの“息子”を咥え込み、空気を含んだ唾液の淫らな音を立てながら、ハオマは容赦の無い上下の運動を施してきた。

 

 快楽のあまりに、思わず跳ね上がったこの身体。これにより、脳天から指先までの、全身の先端という先端まで行き届いた快感が電流のように流れ込んだことで、自分は情けない声を出しながら、汗だくとなった有様で廃人のように虚ろとなってしまう。

 

 尤も、彼女はまだまだ本気を出していなかったのかもしれない。

 “モノ”から口を離し、仰向けに寝転がってみせたハオマ。共にして「カンキ君」と呼び付けてきたものだったから、天井に向けていた視線をそちらへ投げ掛けていく。

 

 するとそこには、M字のように両脚を立て、両手で自身の“熟した聖域”を開きながら堂々と見せ付けてくる、非常に挑発的なハオマの姿がうかがえたのだ。

 

 瞬間にも、わずかながらと脳内に存在していた理性の糸が、プツンッと音を立てて切れていく。

 誘ってきたのは彼女からだ。自分は決して悪くない。まるでそう言い聞かせる自分の内心と連動するように、無意識にもハオマに覆い被さっていたこの身体。そして猛々しくそそり立たせた“息子”を躊躇いなく突っ込んでいくと、尋ねることなく“聖域”に進入してきたこちらの“息子”にハオマはわざとらしく甘い声を出してきたものだったから、彼女からの更なる挑発に一層もの興奮を覚えながらも自分は、本能に駆られるまま力強い高速の運動で打ち付け始めてしまったのだ。

 

 性欲に支配された暴れ猿。下品で卑しく、自分勝手で乱暴なその行為。自己嫌悪を巡らせながらも、止まらない腰が快楽を貪欲に求め続けてしまう。そうして自分は、ベッドを激しく軋ませるほどの勢いでハオマの“肉壺”に出し入れしていくのだが、この強引なアプローチに対して彼女は嫌悪どころか満足そうな笑みを浮かべており、且つ、余裕を含んだ眼差しをこちらに向けながら、今も目の前で必死になっている欲情のオスに対してそのような言葉を投げ掛けてきたのだ。

 

「あはは、カンキ君すごいがっつくねぇ~っ! 普段は草食系だけど、ベッドの上だと肉食系になるタイプかな?? いいねいいね……その一生懸命な顔、最ッッ高にそそられる……っ。遠慮なんかしないでお姉さんにたくさん甘えちゃっていいからね。ほらほら、頑張れ頑張れ~」

 

 おそらく自分は、強すぎる性欲によって鬼のような形相をしてしまっていたかもしれない。しかし、そんな乱暴なアプローチで攻め立てるこちらに対してハオマは、年上のお姉さんらしくリードするような言葉を掛けてきた。

 

 部屋中に漂う、こもるように熟れたメスのフェロモンの香り。だが、味わう肉感は他のホステスとまるで変わらず、外見だけに留まらない彼女の若々しさに自分は一層と魅了されてしまう。

 

 まるで、禁断の果実を食したような気分だった。

 もう、自分はハオマという女性を手放すことなどできないだろう。中毒とも言える年上の味を知り、また、リードしてもらえる安心感を覚えたこの身体は、身も心も全て委ねるようにハオマの虜となって、彼女へと快楽を捧げ続けるピストンマシーンと化していく。

 

 まさに、罪の味だった。稼ぎ頭と謳われた所以を身体で思い知ると共にして、自分は迎えた絶頂のまま、彼女の最深部にて容赦の無い噴射をかましていった。

 

 自制など利かない、不可抗力の働き。出すというよりも漏れる形で“息子”が子種を吐き出して、力んだ下半身は痙攣しながら筋肉痛を引き起こす。その遺伝子をハオマへと注いだ自分は絶え絶えの息遣いで情けなく唸ってから、直にも欲望を出し尽くした反動で無気力に項垂れた。

 

 ……ハオマさんの中に、出してしまった。

 既に慣れていた行為だが、彼女とのまぐわいは今日が初めてだった。そんな初日に濃厚な子種を注いでしまった罪悪感に呆然としていく中で、ハオマはどこか物足りなさそうに首を傾げながら訊ね掛けてくる。

 

「大丈夫? ちょっと無理しちゃった?」

 

「い、いえ…………心配には及びません。ただ、その……すみませんでした」

 

「なになに、どうしたの?」

 

「……許可も無く、中に出してしまいました。他のホステスとはいつも、事前にも話し合ってから出すものなので……」

 

「あぁ~いいのいいの! 気にしないで! これくらいなら平気だってば!! へっちゃらだよ~!!」

 

 まるで意に介さない様子で、朗らかに喋るハオマ。だが、次にも彼女はこちらの顔をうかがうようにその言葉を続けてきたものだ。

 

「それで……もう終わりかな? カンキ君は若いんだし、まだまだ満足できてないんじゃない?」

 

「……ぶっちゃけ、あと二発か三発はイケるかと思います」

 

「わぉ!! 元気いっぱいだね!! いやぁ~、若さを感じられていいねいいね~。……それなら、もう少しだけ付き合ってもらっちゃおうかなぁ~」

 

 途端にも、艶やかな声音へと変貌したハオマの喋り。同時にして彼女は勢いよく上半身を起こしてくると、その勢いのままこちらに抱き付いてはベッドに押し倒し、繋がり合ったその状態で、自分はハオマに両手を押さえ付けられながらその言葉を掛けられたのだ。

 

「……あふふ。今日、カンキ君が元気いっぱいになれるような予定を立てておいて正解だったかも」

 

「げ、元気いっぱいに、ですか……?」

 

「そうだよ~? ……牡蠣に入っている栄養素の亜鉛はね、男の子の精子をたっくさん作る働きがあるんだよ? それでまずカンキ君に精力をつけてもらってから、恋愛ものの映画で気分を高めてもらって、更にランジェリーを一緒に見てもらうことで、カンキ君には特別にエッチな気分になってもらったんだ~。最後の方なんか、ずっと顔を赤くしていたもんね? 私、気付いてたんだよ? ランジェリーを見ている間、カンキ君はずっと勃起させてたこととかさ……」

 

「そ、それは……っ」

 

「あふふ。もしかして、恥ずかしがってるのかな? っっ……可っ愛いなぁぁぁ。はぁぁぁ……カンキ君ホンっトに可愛い。こんなに可愛くて健気な男の子を独占できて、滅茶苦茶になるくらい好き放題しても許される世界にいるなんてっ……もう、もう……最ッッ高に堪んないよぉ……っっ!!! ゾクゾクしちゃうっ……!!!」

 

 本能に理性を奪われた淫獣。ハイライトが消えた彼女の瞳には、薄らぼんやりとハートマークがうかがえる。

 天井の照明を遮りながら近付けてきた顔。それは陰りに染まりながらも高揚で赤みを帯びており、今もムンムンと放つフェロモンのオーラと、じりじりと迫る淫靡(いんび)の表情が、彼女の欲情を余すことなく演出していたものだ。

 

 ……しかし、さすがに鬼気迫るものも感じられてしまう。

 飢餓した獣が、獲物を捕らえた図。これに次第と恐怖心が芽生え始めたその時には既に、色々と手遅れであったことは言うまでもない。

 

 ズイッと迫ってきたハオマに、自分は圧倒されるよう顔を逸らしてしまう。だが、本能に忠実となっていた彼女はこちらの反応を気にすることなく体重を掛けてくると、主に自身の“肉壺”を押し付けるように圧し掛かってきたそれと共にして、“ナカ”の筋肉を引き締めては緩めてを繰り返してきたのだ。

 

 下の口で、本当の意味で“息子”を食べ始めてきた。

 咀嚼するような“肉壺”の運動に、自分は思わずオスの喘ぎ声を奏でてしまう。この反応に更なる高揚を覚えたのだろうハオマは舌なめずりを行いながら、こちらの耳元に顔を近付けては甘い声音でそう囁いてくる。

 

「カンキ君っ、カンキ君っ。ほらほら、意識して。根本から先っぽまで、感覚を研ぎ澄ましてみて。ほら……ぱくぱく、ぱくぱく……っ。もぐもぐ、もぐもぐ……っ」

 

「ぅぁ、は、ハオマさんっ……!!!!」

 

「いいぃねぇ~~っ。カンキ君もそんなカオができるなんて、感動しちゃったよぉ。じゃあ次は、乳首で感じてみよっか? 大丈夫だよぉ、怖くないからねぇ~~」

 

 敏感となった五感から常に刺激が送られて、次第と脳内はピンク色に染まり出していく。

 快楽に支配され、何も考えられなくなってきた。これにより自分は服従の形で精神的に無力化させられると、それからもろくな抵抗も許されいまま、成す術もなくハオマに身体を弄られ続けたことによって、この時にも甘美かつ情熱的である、獣に支配されし長い長い一夜を迎えることとなったのだ……。

 

 

 

 

 

 その後、自分はハオマに骨までしゃぶり尽くされた。

 ハオマがリードする形で続行された行為。彼女が動くことで自分の“息子”は半強制的に働かされ続け、一発目から間もなくとして、二発、三発、そして四発、五発と、タンクの隅々まで余すことなく自分は子種を搾り取られていく。

 

 この“捕食”は夜通し行われ、気付けば時刻は早朝を迎えていた。

 太陽が昇り、小鳥のさえずりが外から聞こえ出す。だが、その鳴き声に混じるよう自分の掠れた喘ぎ声も部屋中に響き渡っており、もはやそのしわがれた声は、様々な体位や愛撫によって精気を吸い取られたことによる、悲痛な悲鳴として聞こえていたものだろう。

 

 それでもなお、ハオマは満足せずに捕食を続けてきた。そんなものだから、直にも自分は死を予感する冗談抜きの失神を引き起こしたことで、オスのノックアウトと共にして彼女の捕食はようやく終わりを遂げたのだ。

 

 次にも意識を取り戻すと、目の前には本気で心配するレダとシュラの顔が映り込んだ。

 二人でこちらの顔を覗き込み、目を覚ました様子に二人は心から安堵してくる。また、この腕には点滴が打たれていたことにより、彼女らが心配するに至った事の深刻さを、静かに察することができたものだった。

 

 ……こうして自分は、ハオマとも身体で繋がり合う関係となった。

 本来であれば、男として喜ばしく思える場面だった。しかし、彼女に関して言えばその現実は非常に過酷なものであり、彼女と行為を致す以上は、時として想像を絶する代償が付き纏うことを思い知らされる羽目にもなったのだ。

 

 特に、この一週間は風邪もひいてしまったことで、自分はホステスらに看病されるほどの体調不良に陥ってしまう。そうして自室で点滴を打ちながら天井を眺める日々を過ごすこととなり、いろんな意味で相手が悪かったとは言え、やはり女性に対して安易に手を出すべきではないなと、常識的にひどく反省する機会になったりしたものでもあった。

 

 なお、ハオマは後にもホステス達にこっぴどく叱られた。

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