『――――1――――16』
うるさいな、何の音だ……?
耳元でノイズ混じりの音が大音量で……あれ?オレ寝てたっけ?
寝てたのか……誰だよ、こんな大声でぎゃいのぎゃいの言ってるのは
『――――416、応答しなさい!』
「ぅひぃ!?」
『ようやく繋がった……起動失敗したのかと思ったわ』
「え?え?」
目を開けてみると良くわからない巨大施設の中と思われる場所。
背後は高電圧注意の看板が立てられた有刺鉄線がずらり……内側の方からは要領を得ない男の叫び。
そして自分の身体に驚きを隠せない……自分から発せられる声はドールズフロントラインの416そのもの。
手は細くしなやか……腕もなんて細さ、それに着ている服装も416のデフォルト衣装。
よく出来たコスプレ……とは思えない、耐久性に特化した素材みたいだ。
胸の膨らみも足元を隠していてどうなってるんだと困惑を加速させる。
『それじゃあ作戦を……って聞いてる?』
「ちょっとまって、それどころじゃない」
『……?おかしいわね、見立てだとその付近にOP症発症者は居ないはずだけど』
OP症?知らん名称が出てきたが本当にそれどころじゃない。
武装は無いしコンバットナイフすらない……一体全体ナニがどうなってるんだと頭が痛くなる。
通信先の声は知らない女の声だが……察するに指揮官?
たちの悪い夢とかだったら良かったんだがそうでも無さそうだ。
……もしや成り代わりとかそういうヤツか?
暫くは416のフリをして様子を伺ったほうが良いかもしれない。
「……いえ、少々自分の状態に困惑していただけです。重ね重ねで申し訳無いのですがデータをロストしていて」
『あー……無茶な投入したからかなぁ……じゃあイチから説明するよ』
作戦は簡単な物で件のOP症というのを発症した患者の救助、フルトン回収で打ち上げる。
OP症の傾向から胸部が豊かな女性が作戦には好ましく接近戦に長けた人形が選出された。
作戦メンバーは416、FAL、MDR、SIG MCX、G36C、MicroUzi。
それぞれ多方面から投下、起動した後に作戦行動を開始……
OP症と言うのは近年発見された異常性欲症の一種、男性に発症する物で治療方法も確立されている物。
しかし一度発症した場合は再発確率が高く治療に当たった女性に悪影響を及ぼす可能性が非常に高い物。
性欲が極限にまで高まり理性というものが非情に希薄になり女性を見ると襲いかかるようになる。
OP症はその中でも女性のおっぱいに異常な執着を見せる物で治療方法はそんな胸部での性的接触。
性欲が発散されるほどに女性のおっぱいを揉ませることが治療法として定められている。
悪影響はといえばOP症を発症男から分泌される体液を何らかの形で接種した場合に起きる。
乳房の発達、乳腺の拡張・活性化、乳房の感度上昇が上げられる。
それらを鑑みて生身の女性を投入するのは難しく人形の投入がベターとされる。
男性は過去一度だけ回収のために向かわされたが同じく症状を発症してしまった為禁止されている。
「……事実ですか?」
『頭が痛くなる事だけど事実よ』
「それで……他の人形は?」
『全員ボイコットして……今は貴女が頼り』
「仕事だから割り切りなさいよ……分かりました、私が動けば良いんですね?」
頭の悪いパンデミックもあったものだと呆れるばかり。
ともかく今現状で投下されているのは自分だけ……
「フルトン装置はこれですね……作戦行動を開始します」
『健闘を祈るわ、私は説得に戻るわ……はぁぁぁぁ……』
「ため息を聞こえる範囲で吐かないでください」
フルトン回収用のバルーン、装着ベルト等のアセットは起動したすぐ横においてあった。
大きめなウェストポーチとでも言える内容でかなり小型化されているのが伺える。
作戦要項の中に回収対象に対する危害は避けるようにとの事だから……どうしたら良いか。
とにかく実物に遭遇してみないと対処が決めづらい……行動するのみ。
建物はショッピングセンターと思わしき場所、どうやって追い込んだかは不明。
理性がなくなってるから適当なマネキンを放り投げて誘導したとか……だったりしたら笑うわ。
「……うわぁ」
遠くから視察……主に窓ガラス越しに映る発症者を観察していた。
目は完全に血走っていて鼻の穴は全開、全体の様子からかなり興奮しているのは見れる。
股ぐらを見てみれば……まぁなんてテントをバッキバキにやってらっしゃることやら。
バイアグラでもキメたのかってくらい……性欲が相当爆発してるのが見れる。
そしてショールームの中に立ててあるマネキンの胸を揉んで……捨てて……
他の男がそれを拾って揉んで捨てて……これを繰り返している。
揉み方もただ鷲掴みにしてグニグニと……痛そう……
こんなのに駆り出されるのは流石に嫌と言えるな、現実を見て納得。
「指揮官、応答願います」
『……あーはいはい、なになに?』
「これは現実を見たほうが良いと思います、誰もが拒否したくなると思います……私は仕事だからやりますけど」
『そんなにヤバい?』
「ELIDと素手でやり合って来いって命令のほうがまだマシだと思います」
『そんなにかぁ……』
映像は流石に投げれないから視覚情報の一部を写真ファイルとして送りつける。
数秒後には転送完了して……向こうで指揮官が息を呑む音が。
「どうです?」
『……マジかぁこれ末期症状だよ』
「末期症状?」
『ELIDと同じ様に性欲で脳みそやられてる状態、これ回収して治そうとしたらすごく面倒なんだよぉ……前任者マジなにやってたんだよクソが』
「あの、指揮官……落ち着いてください」
『これだとUMP45みたいな洗濯板でもゴッファッ!!』
メキョッといい音が……これは45に鼻パンチ喰らったな。
ゴソゴソと通信機のマイクとか外されてる感じがあるし……
『はいはい、引き継いで私が案内するわ』
「殴って黙らせただけでしょ……それで、侵入しようにもまともに入ったら私バラバラにされそうなんだけど?」
『そうねーただでさえ暴走状態、普段の416でも極上なのに今の貴女ちょっと盛られてるし』
「は?」
『まぁそれは置いといて、搬入口から侵入してみて。罹患者は一般客が殆どだから』
殆どっていうのが引っかかりを覚えるけど……まぁ作戦開始。
それにちょっと盛られてる?ちょっと?
元のボディサイズは分からないけど……巨乳な416を更に盛った?バカなんじゃないの?
搬入口は開いていて中を窺うことは容易だった。
聞き耳を立ててみればウロウロと動き回っている音が二人程度?
荒い鼻息とうわ言のように呟かれる言葉……
「フッフッ……フーッ……おっぱい、おっぱい……」
知能指数がゴリゴリ削られる呟きぃ……マジで頭の中身がおっぱいを揉みたいとかだけで埋まってる感じだ。
童貞でももっとこう……あるぞ?他に色々と女に対する妄想とかさ。
手を握ったらどんな感じなんだとか、抱きしめたら柔らかそうだとか……
問題はこの症状がなんで伝染するのか……発症原因は不明らしい。
『無事たどり着いた?じゃあちゃちゃっと入っちゃって』
「……二人程居るんだけど?」
『それくらい無力化出来るでしょ』
それが出来る身体はあるけれども……中身が伴ってないから返答に窮する。
『もしかしてデータほぼ初期化されてたりする?』
「……そのまさかって言ったら?」
『とんだ完璧さんね、とりあえず足払いくらいは出来るでしょ』
「やってみるわ……意外と世話焼き?」
『ポルノ音声を聞く気はないからよ、ポンコツ』
「うっさいわまな板」
身体機能はかなり高スペック、振るう脳みそがポンコツになっただけ……
戦術ネットワークで送られてきた体術のイロハを読みつつ……一人づつ処理していこう。
危害といっても重症を負わせるとかでしょ?なら……
忍び入ってから一人づつ腹パンするなりなんなりして気絶させてから運び出してフルトンで……
「女の匂い……!」
凄い勢いでこっち振り返ってきた!匂いで判別するとか犬かよ。
そして迷いなくその場で腕を振り上げてこっちに突撃し始めた。
「おっぱいおっぱい!おっぱいぃぃぃ!!」
「ぴぇっ……!」
その男、屈強な倉庫作業員。
身長は大凡190cmにもなる巨漢で身長164程度の416に対してはかなりのアドバンテージ持ち。
そして中身がポンコツ化していたら……竦んで動けなくなっていた。
なお無線の向こう側のUMP45はといえば普段上げないような416の可愛らしい悲鳴に腹を抱えていた。
あっという間に襲われ一人の男に腰をしっかり掴まれて万事休すと思われた。
しかし何か乱暴されるわけでもなく……意外とそうでもなかった。
「……こうしてると大型犬がじゃれついてるみたいかな」
無力化は出来なかったけど実質無力化に成功したというか……
男が巨漢が過ぎたがゆえなのか……それともOP症にもいくつか細分があるのか。
色々と考えることは出来るけど……この男、かなりの甘えん坊と化していた。
胸を揉まれて嫌な感覚を植え付けられると思ったら……顔面を胸に押し付けてスリスリするだけだった。
まぁ言えばぱふぱふの変化球みたいなものだろうか?
女にされるなら私としても歓迎できるけどむさ苦しい男にされても嬉しくもなんともない。
かなり頑張って好意的に見て大型犬と見る……くらいだ。
『なにイチャ付いてるのよ、ささっと無力化しなさいよ』
「どうやって?」
『そうねぇ……その体勢ならそのまま胸に埋没させて窒息させちゃえば?デカパイ牛女』
「これ見て嫉妬しないで、メチャクチャ嫌なんだけど?」
UMP45は相当お冠な様子……指揮官後でこっちからもパンチを食らわしてやる……
まぁ現状他に手が浮かばないし……抵抗もされなさそうだからそれでヤるしか無いでしょ。
「んむが、ふがごごご……!!」
「そーれ幸せホールドー……はぁ……」
窒息させられるだけ胸があるっていうのも近接戦では役立つのかも?
もう一人の方も幸せホールドしてやって窒息気絶させてフルトン回収した。
……これもっとやれって?気が滅入るんだけど。
セフセフ気味なのを書きたかった。
全年齢向けにマイルドにして投稿したかったヤツ