※この作品はR-18です。

お試しのSS集   作:ムメイ

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オリジナル要素もっりもり


ドールズフロントライン:ピースメーカー・ツェリスカ

第三次世界大戦、核戦争にもなった弩級のクソ。

俺の一家もその前段階でヒビが入っていたが……結局は戦争の余波と言って良い。

俺達の誇りと言っても良かった弟は不況の煽りを受け殺された。

今でも覚えている、冷たくなった弟を……埋葬するまでの事を……忘れられるわけもない。

俺はガンツ一家の長男として生まれ家業を継いだが……正直後悔していた。

弟は殺された、それも……老い先短いホームレスに……!

悔しく、虚しく……その日から俺は憤怒と憎悪に身を焦がすようになった。

戦争が始まっときにはいの一番に志願し……祖国ドイツの為に戦った。

父と母とは戦時中にもメッセージのやり取りはしていたが……

残念ながら俺はそのまま戦火に消えていった、親不孝だったな。

幸いにして俺は他に残す物はなかった、生命保険も妹に託していた。

その妹がとうにかこうにか……繋いでくれたら良いんだがな。

 

戦時中ってぇのもあって俺の頭も当時最先端の電脳に移し替えた。

ついでに強化外骨格なども装備して……ってぇのはもうどうでもいい。

今俺がこうして語ってるのはなんでか?

どっかの戦車に搭載されて生きる兵器にされてる?いーや、違うな……

ある意味似たようなもんだが、正直言えば天職だ。

 

ずっと低くなった視線、無駄な重りが頭と胸と尻に……だが、それ以上に良いオプションがこの身体にゃあった。

 

「げっ……ツェリスカだ……」

 

子供みたく小さい身体だが無法者を合法的に叩き潰せる暴力の権化だ。

ツェリスカというのは今の俺のコードネーム。

 

「へ、へへ……何もしちゃいねぇよ……何も」

 

睨みつければ路上で何かコソコソとしていた連中は愛想笑いを浮かべる。

ここS04地区では何かとこうして犯罪を目論むクソバカが多い。

そいつらになぜ恐れられているのか?俺はここの保安官みたいなモンだ。

 

ざりっ……

「……とったぁ!!」

 

背後から男が勝ち誇った面で襲ってきた。

 

ズガォォンッ

 

雷鳴のような轟音、この世で実用できうる一番大口径のリボルバーの銃声。

普通なら観賞用程度にしか無理な馬鹿みたいに重いリボルバーだが……今の俺ならピースメーカーみたく扱える。

パイファーツェリスカ……それが俺が今クイックドローで後ろから襲おうとしたヤツを撃ち殺した銃。

 

「死にたいならそう言えば良い、俺は悪党は揃いも揃って死ぬほど嫌いなんでなぁ」

「に、逃げろぉっ!!」

 

もう一発、天に向かってぶっ放せばストリートギャングもどきは散り散りに逃げていく。

S04で何度と見てきた日常風景だ。

 

 

 

 

File access: Approved

 

Name:ツェリスカ・クルト

第三次世界大戦終結後、電脳から蘇生させられた哀れな元軍人。

現在はI.O.Pとの特殊提携契約でS04地区、犯罪特区にて保安官として活動中。

軍部に卸されるハズだった電脳がG&K向けに製造しているSAAモデルの生産ラインにまぎれていたのが原因で再起動。

特段何か取り乱す様子もなく淡々と犯罪者を処罰する事を求めた為に現在の職につかせた経緯がある。

コアと電脳のマッチングの結果パイファーツェリスカが順応。

次点でシングル・アクション・アーミーが順応しコードネームはツェリスカとなった。

改造を施し元からかなりかけ離れた外見となった。

 

138cmという幼児みたいな体躯はそのままにバストヒップは増量。

演算コアの格納スペース確保と射撃時のバランス調整の為でもある。

バッジなどは無くパッと見ではロングコートを身にまとった格好つけたシティガールに見えるが……

そのどす黒く濁りきった青の目が威圧しこれ見よがしに吊るされるホルスターのデカリボルバーが見える抑止力になる。

それだけでなく趣味の一品らしいシングル・アクション・アーミーを吊るしていて良くガンプレイをしている。

 

S04で暴力沙汰となれば彼女を頼れば良い。

だが、女扱いをした場合は腕を折られる覚悟をしたほうが良い。

それと犯罪歴に電脳窃盗があった場合は彼女に知られた後、会うことは死を意味する。

弟の死因がそうである為に激しい憎悪で頭をザクロにされる。

ぶっきらぼうだが犯罪者でなければ最低限の社交性をみせてはくれる。

 

 

 

 

グリフィンでは何かとゴタゴタして犯罪者を入れる隙を与えるバカが多い。

鉄血工造が馬鹿やらかしてあちこちで暴走事故が起きている最中、これ幸いに暗躍しようとするバカも多かった。

他の保安人形共は命令がなけりゃ何も出来ない木偶の坊ばかり。

何体もの人形がツブされた、拉致されて違法改造されるのもあった。

中には俺を無力化したと嘯く為に似たモデルを捕まえて改造してブチ犯すポルノを撮影したりと……

混乱に乗じてあれこれ好き勝手やってくれたもんだ。

俺一人でもと思ったがS04の惨状は酷い……ロクな人員はもう居ない。

犯罪特区なんて言われてる始末だ、世の中にはまだまだ酷い悪徳の街があるっていうんだから笑えるぜ。

 

「……フゥー……吸ったヤニの数より撃ち殺した悪党が多いってぇのがクソだな」

 

コートのポケットから紙巻きタバコを取り出して玩具のリボルバー型ライターで火を付ける。

この辺のルーティンは完全に生前……野郎だった頃、クルト・ガンツだった頃と何ら変わりない。

つーか俺の言動も何もかも変えちゃいない……変わったのはこのガワだけだ。

込められた身体が変われば別人か?俺は違うと思うがね。

そもそも、疑いだしたら俺の脳だって転写、移植した段階でどうなんだ?

本物の俺は別な所で墓に入ってるとでも?そんなメシの種にもなりゃしないくだらん話しはどうでもいい。

ぶち殺しても、蹴り出しても、何をしてもゴキブリの如くあっという間に増えてあちこちに巣を張る。

上層部には一度焦土作戦でもやって徹底的に焼くのが良いと言ったが……却下された。

E.L.I.Dの連中でもこんなじゃないぞ、放置するのは論外。

だが……俺一人で処理できる数には限度がある。

この地区の指揮官は逃亡して……逃亡先で掃除されたらしい。

実質、今俺がこの地区の監督者みたくなってるな、人形に任せるな愚か者共め。

 

「俺は何度も言ってるがグリフィンはここを捨てるつもりなのか?捨てるならさっさと言え」

『それは否だ、使えるコマを用意した』

「そう言ってお前たち何度使えない木偶人形を寄越した?覚えているか?俺がここに来てもう300回は人形の失踪が起きている」

『今回のは本当に使える、使えなかったならば私の頭を撃ち抜いていいぞ?』

 

見捨てるつもりかと思ったが1年経過してようやく動くか。

ぶち抜く相手が悪党じゃなくてグリフィンのバカでなければいいがなぁ……

こっちのオフィスに来るらしいが……フン、どうせその前に消息を断つかもしれん。

通常通りに……うん?なんだ。

 

『仕事が早いな、件の掃除屋が早速掃除を始めたのだろう……視てくると良い』

「……わかった」

 

鎮圧用のショットガンも持っていこう……さて、掃除屋とやらの腕前、見せてもらおう。

 

 

 

 

発砲音の嵐に爆発音……派手にやり合ってるのは間違いないな。

そして……クソ程甘いヤツでもない、人形にそれを求めるのは酷かもしれんがな……

犯罪者は犯罪者、断ずるべき相手に銃口を向けるのを躊躇うとロクな事にはならん。

躊躇った隙をつかれて倒され、二度と日の下を歩けなくなる。

それは再三言ってブチギレていた、だが……聞く人形は少なかった。

……見事なまでに急所をニ発、確実に殺しに来ている。

 

「良いな、そうでなくてはな」

 

IFF起動、グリフィンの人形部隊は……なに、一体だけだと?

一体でこんな事できると言ったら限られる。

IFFのシグナルは間違いなくグリフィンだが……きな臭いな。

信用はあまりしないようにしようか。

いつ消えても良い、そんな相手程度に見ていたほうが良い、どうせ厄ネタになるようなヤツだろうさ。

 

「……息があるな」

「ぐ、ぐぐ……ツェリスカ、か……」

「フンッ……武器を出すのは俺の許可を取ってからにしろ」

 

道端に転がっていたいくつもの死体の内にまだしぶとく息をしているのが居た。

病院なんぞコイツらが原因で無くなって久しい。担ぎ込まれれば助かったかもしれんが……因果応報だな。

そしてしぶとく懐に手を伸ばそうとしたものだから踵を引っ掛け、地面に叩き潰し、踏み潰す。

 

「ぐぁっ……さ、最期の一服くらい、許せ……」

「……コレか、タバコの趣味は合うみたいだな、ミリも嬉しくないが」

「なん……だ……?」

「フン……更生の余地があればこんな所でくたばらずに済んだものを……死ぬまで後悔の一服に興じろ」

 

最期の最期、やり残した事は多かろうが……こうして残りを苦しみに……というのは俺としてはわずかばかり、良心が痛む。

これを鼻で嗤い、撃ち殺すならば俺も悪に堕ちているも同然だ。

愛用のライターで火をつけてやれば呆気にとられた顔をする。

 

「なぁ……も、ものは試し……なんだがよぉ、俺ぁ……一度もおっぱいってぇのを触った事ねぇんだ……」

「フゥ……図に乗るなよ、お前らがこのS04でどれだけ……」

「俺の、犯罪歴を見て本当に……言ってるのか?」

「……こんな所に身を寄せたのが間違いだったな、スリ師……理解った、せめてもの情だ」

 

胸に惹かれるのは分からんでもない。

俺も戦場で死に瀕した時に浮かんだのは……若い頃憧れだった女優の顔と乳だった。

 

「へ、へへ……俺、ツェリスカの……おっぱい触って……やわらけぇな……重い……」

「……結局、吸えずに逝ったか……行き先は地獄だろうが、悔いなく逝けたか?」

 

もうロクに目が合わなくなっていた。

手を取り、俺が導いてやればようやく胸を触り、揉み……そして、咥えたタバコが落ちた。

火が着いたタバコが血で湿気りジュッと音をたてて消えた。

さて……他のバカ共もすぐに地獄に送ってやろうか、俺の出番があるか知らんが。

……本当にコレ一人でやったのか?重装パワードフレームが大暴れしたみたいだな。

 

 

 

 

結局、俺が出張る必要はなく、見事なまでのジェノサイドが起きていた。

武器は……見事にこのボンクラ共が使っていた武器で始末されている。

他から見れば犯罪者同士の大戦争が起きたといって通じるだろうな。

俺の眼の前に居る、血だらけの濃厚な死の臭いがこびりついた女人形が居なけりゃ、俺も信じたかもしれん。

 

「そんな物騒な目で見ないでよ、こっちは仕事で使えそうな竿も我慢してぶち殺して来たんだから」

「ハッ、淫売が殺し屋のマネごとか?それとも逆か……まぁ良い、お前がコレをやった人形か」

「淫売って言ったらそっちも大概じゃない?何そのちっこい身体にでっかい胸ぇ、私とどっこいじゃん」

「知らん、製造時に勝手に改造されてそれっきりだ。殺害数は数えてるか?」

「んー?数えてないけど、ちょっと待ってねー戦闘ログから計算するから」

「……血まみれできついだろ、シャワーは」

「それなら平気、移動手段の中にシャワーはあるから」

 

見れば見るほど戦闘用の人形じゃない……淫売か金持ちの道楽に作られた人形にしか見えん。

それなのに傷一つ無い、返り血は浴びているが……それだけだ。

それに隙がまるで無い……なんだコイツ。

 

「なーにそんなに警戒してるのさー、掃除したがってたんでしょー?」

「……掃除対象がごろつきだけと決まった訳じゃないだろう?」

「……へぇ、なるほどねぇ……そりゃ疑うわけだ……良いね、勘が鋭いじゃん」

「ッ!」

「けど残念、アンタは掃除対象じゃない。契約書面を送付するから」

 

電子署名されてる書類データ……グリフィンの物で間違いない。

……契約内容もツェリスカの保護が明記されている……か。

 

「あとちょっと待ってね、殺害数カウント終わるから……」

「フゥー……やれやれ……」

 

手持ち無沙汰になったな。

 

「……それ、アンタの個人所有物?」

 

手遊びにピースメーカーを取り出しくるくると回す。

生前からやってる手慰みの遊びだ。

ピースメーカーのモデル、仕様等も同じだ。

 

「……クー兄のと同じか」

 

……こいつ、今なんて言った?

 

 

 

 

ツェリスカ・クルト そう名付けられた人形の本当のファミリーネームがある。

鋭い眼光が目の前の赤く染まった掃除屋人形417……シーナ・ウルリッヒ・ガンツを見る。

同時に……何か信じられない物を見るような目でもあった。

縋るような、嘘であってくれと願うような……

同時に見てしまう、掃除屋の目を。

面識もなく似ても似つかない二人だが、眼の動きがツェリスカの中にある人物を想起させる。

 

「ルー……?」

 

そう、それはクルト……ウィスキーマイスターであった男の弟。

エンジンマイスター、ウルリッヒ・ガンツの面影があるのだ。

考えている最中に特徴的な動きをするのだ。

そしてクルト・ガンツの方にも自覚が薄い癖があった。

ガンプレイ中に必ずと言って良い程ドイツの民謡を鼻歌混じりにブチかます。

お互いに顔を見合わせ……シーナの方が一気に爆ぜた。

 

「……その呼び方は誰に向かってのもんだ、言いな」

「あぁ?そっちの方だって誰に向かってのモンだ。ウルリッヒ!!!」

 

能面のように真顔でツェリスカを張り倒しマウントを取ったのだ。

大きな乳房がぶつかりあい歪むがそんなことは二人には些細なこと。

 

「嘘だ……あ、はは……マジ、かぁ……クルト兄さん?マジで言ってるの……?」

 

死別したと思っていた兄弟が姿形を変え……再び出会った。

奇しくも両者……社会の闇を味わい尽くし暴力の権化になって……

 

 

 

 

 

掃除は417という色欲と暴力で必ず狩り殺す女がやる

しかし掃除したあとの治安維持を司る暴力の化身が不在だった。

だが、今は違う。

 

「ピースメーカーの名を出して俺に打診するってぇことは……理解ってるな?」

「俺がきっちり悪党共をぶち殺してやる……だが、オレのオーダーもしっかり通せよ」

「じゃなきゃ、お前の腑抜けた頭をブチ抜いて指揮権をオレが奪う」

 

苛烈な暴力の化身、ツェリスカ。小さくも威圧感を放つ彼女がその任を請け負う。

 

「ん、あぁシーナか……ウィスキーは寝かせるもんだ、早くても半年は待て」

「出来上がった時はまっさきにお前に味見してもらう。酒蔵ブルーノのマイスターの一品だぞ?」

 

苛烈な彼女にも一筋の光が見え、その外見相応に愛らしい笑みを浮かべるようにもなった。

……果たして彼女はどう色づいていくのやら。

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