処女作につるんで書いていた子のリメイクってのがまぁ趣旨です
事の発端は鉄血工造のとある一角……今日も今日とて騒がしくある鉄血のロリっ子達にあった。
コードネーム、ドリーマーとデストロイヤー……こと、デストロイヤーが駄々を捏ねていた。
曰く、過去にドリーマーによって与えられた上位駆体をもう一度寄越せというもの。
いくつかの占領作戦を完遂し造反した鉄血の糊口を凌ぐ生産工場を確保した見返り……
しかして……デストロイヤーがこうしてねだるのは今回が初ではない。
「テメェなぁ……こんな商船襲撃みてぇな小賢しい事ばかりで戦果誇りやがって、お望み通り頭を爆破してやろうかァ?」
「そっちだって無駄に難度の高い作戦組んで撃退され続けてるじゃん!!」
「ンだとォ?駆体のスペック、演算能力考えて出来る作戦組んでて失敗してるゴミカスの分際で口答えするんじゃないわよ、ガラクタにして捨ててやろうかぁ?」
余裕無くキレているのはドリーマー、口喧しく噛みついているのはデストロイヤー。
どちらもかなり……幼稚に成り下がっていてどうかあれば殴り合いの喧嘩になりそうだった。
それもそのはず、このやり取りは……
「そう言って私抜きにした結果作戦失敗したの何回ぃ?」
「口喧しく一週間に50回もリピートするバカのせいで忘れたわ、ねぇクソポンコツ?」
「そいつは私じゃないけどー?ボケでも入っちゃったー?」
そう、1日に何度も繰り返される上一週間カウントした時には50にもなりドリーマーのそう固くない堪忍袋をぶち破ってしまっていた。
恫喝をしてもデストロイヤーもなかなかに耐性がついてきて引き下がらせる事も出来ない……
イライラが絶頂に達したドリーマーは一つのお仕置きを考えつく……
そんなにお望みなら作ってあげようじゃないの……とびっきりのをねぇ……
新しくプランニングを立てて……どういじめ抜いてやろうかと演算していく。
設計したガイア駆体をさらに再設計……より纏った設計に見せかけていく。
デストロイヤーのコアはさほど良くないモノだ、演算能力は榴弾の弾道計算や爆破物の損害エミュレート……
建物の破壊シミュレートなどに割り振られていて他のオツムは残念になっている。
ブループリントを見せても詳しく理解できやしないし……実物を見せても外見が良ければ騙される。
たとえそれがグリフィンのクズ人形と同じ様な”性奴隷”人形であったとしても、バレやしない。
唯一懸念するべきは接続する際に電子頭脳をケチっていたら流石にバレる。
かといってガイア駆体に使ったような上位モデルは枯渇気味……
出処不明のWW3中に生産された電子頭脳がある程度……これでだまくらかすか……
その決定が歯車を狂わせ……戦時中に倒れた一人の老兵を再び現世に呼び戻す。
作戦決行はデストロイヤーがそれまで通りに通商破壊を終え、要所も爆破したドリーマーからしてみれば少しのおまけが出た程度……
それで手打ちとするには丁度良い……本当に丁度良い塩梅の事をしてくれたもので……
先んじて用意した駆体に見せかけの装備を整えた。
駆体はしっかりと設計した風に見せかけ、ハリボテの装備はガードなどの装備を適当につなぎ合わせたガラクタ。
しっかりとパーソナルは出られないようにソフト・ロックもかけて……入念に嫌がらせを重ねた駆体を用意した。
「あんっっまりにも煩いからしょうがなく用意してあげたわよ、感謝しなさい」
「本当!?え、嘘じゃ……本当に用意してる!」
最終製造工程も終え駆体シリアルコードも発行されたモノが提示されてはデストロイヤーも信じるほか無い。
作為的に作る事は上位権限のなかでも本当に一握りしか所持していない。
ドリーマーもその権限を持っていない内の一人……そのコードにはそれだけ信用が置ける。
「これで暫く黙って仕事しなさいよ」
もっとも、本当にデストロイヤーが入ってしまえば……仕事というのは娼館に叩き売り、人間共からいろんな情報をすっぱ抜く事。
そのためだけに拵えたといっても過言ではない鉄血工造にあるセクサドール系の技術を全部叩き込んだ駆体だ。
クックッ……と喉を鳴らすのをこらえ……大はしゃぎで意識転送を開始するデストロイヤーを横目に見ていた。
転送自体はそう時間がかかるものではない。
転送用のカプセルに入ったのを確認して……ニタァ……と邪悪に嗤った。
「まぁ、どうあがいても肉棒しゃぶらされて黙らされるんでしょうけどぉ……ウフフフ……ん?ぁ?あぁ゛?」
が、しかし……そんなドリーマーを裏切る事が起こる。
システムログに一つ赤い致命的なエラーコードが出る。
転送失敗、付随したエラーコードは……すでに起動しているパーソナルがあるために転送が出来なかったという極めて稀なコード。
「ねぇードリーマー、転送失敗したんだけど、何かバグってない?」
「……どうなってる、駆体が動き出してるじゃない」
奇しくもそれは別な場所でも起きていた事故……D-カオスが爆誕した事故と理由も何もかも同じであった。
原因調査に乗り出すとともに……すでに起動しているデストロイヤー……エロースの拘束命令が出たのはすぐだった。
第三次世界大戦、愚かしくも人類はまたも戦争という醜い事をしでかし……多くの命が散っていった。
高度発展しすぎた人類もほぼリセットされるような酷い有様になりかねんと思っていたが……
ワシもそんな大戦において一兵卒として働き、数多の命を吸った。
その結果として祖国がどうにか存続出来たならば幸いだが……どうなったかは定かでない。
戦争が激化するなかでワシは息絶えた……ハズだった。
まぁ、国が無事だった場合には戦後に電脳を何かしらに移してもらって余生を過ごさせてもらう約束だった。
駆体の指定なんてものは出来たものではなかったし遂行されるなどとワシ自身思ってもいなかった。
……だが、どうだ……ワシはどうにも機械の身体に押し込められたようだ。
「だが、このいかんともし難い女人の身体はどういう事だ……退役間近の軍人には似合わんぞ?」
肉感あふれる身体というのは嬉しいサプライズだったが……他がまるで嬉しくない。
屈強な男の身体かと思えばどうみても女人……か細い腕に真っ白な肌……
おまけに余計なデカい山がくっついている、無論前にも後ろにも。
更に言えば……マトモな衣服が無いではないか、これはどうなっている?
「ワシにこんな服と言うには烏滸がましい布切れ同然の物を着ろと……?」
この手の生産現場は知らんが……誰も人間が立っては居ない上、機械人形と思わしきモノでも最低限のウェアは支給されるはずだというのに……
ワシの隣にあるのはえらく短いスカートにソックス……そしてブーツ。
下半身の装衣はあるくせに上はまるでなし……舐めているのか?
そも、この毛髪量はどうしたものか……装備満載のバックパックよりは軽いかもしれんが……毛髪としては重い。
……まぁよい、電子頭脳にしておいてよかったわい……インストールされている管制システムを起動して駆体の情報などを見るとするかの。
この見た目じゃ、些か乳がデカすぎるとは思うが……ワシの経歴を鑑みるにカジノかなにかの警備かのぉ?
「開発は……ふむ、鉄血工造……軍事人形の製造元だったか」
製造が知っている筋ならば制御系統は分からんでもない。
順当に準公安向けモデルを改修したモノか……ソフトは……なんじゃぁ?駆体制御しか無いではないか。
火器管制が無い上……ふむ、むぅ?
まてまて、何やら見間違いであってほしいワードがあったぞ?
「セクサドール……エロース、じゃと?」
あ、呆れて口があんぐりと開いてしまった。
名前は別にどうも思わんが……セクサドールとは……
その機能項目もなんと多いことか……ほぼ生身の人間と言っても過言ではないな……
駆体のパワーは……うむ、生身とほぼ変わりないか。
力加減をしくじって物を破損させるということはなさそうだが……不安しか無いのぉ。
して、着替えがないし……背に腹は代えられない、この布切れと何か拝借するかのぉ
「しかしまぁ……乳房とはかくも重いものとは……」
隠すものも支えるものも無い、どうしたものか。
というかこの乳、頭よりも大きくないか?
どうにも歓迎されている様子ではない、製造されたばかりと思われるのだが……人形に追われるハメになるとはな。
それも穏やかではない、掴みかかられた上スタンガンとはいえ武器を向けられたのだから応戦したが……対応がまずかったのか、何なのか……
ワシが入っているのが想定外だったのかもしれんな……だからといって壊されるのは御免被る。
責任者が出てきてなんぼだと思うが……その様子もない、完全オートメーションだとしても責任者の一人や二人は置いているはずじゃろうに……
その姿も痕跡すら見つからんとはどうなっておる?
通信プロトコルは戦時中の物は無い、鉄血工造内部通信は締め出しを食らっている……おまけに自動扉などもこじ開けなければならん。
停止命令が出ているが知ったことではない、責任者の面をぶん殴るまでは止まらんぞ。
「しかしまぁ、機械の体はなんとも便利なもんじゃ、疲れ知らずな上思考のラグもほぼ存在せん……ブレもない」
電脳でもブレがほぼ無かったもので誤差修正も簡単に出来たものだ。
最適解をかならず出来るというのが機械の身体に電子頭脳の特権よな。
ともかく情報が欲しい、今が何年何月であり世の中はどうなっているのか……
「む、民間の無線規格はまだ使えそうだな……時間情報とニュースフィードの読み込みは……ほぅ?」
ふむ、ワシが死んでからまだそんなに年数は経ってない様子だな。
そして……目についたのは鉄血人形の大暴走、見つけ次第即座に拘束せよ……とのこと。
該当製品の一覧には無いが……シリアルコードや識別から鉄血製であるのはバレる。
中に入っているのが戦前の人間だと言った所で聞くかどうか怪しい……
技術畑の所に転がり込むのが一番だろうが……ふむ……
この付近はイエローエリア……汚染があり人が住みにくい場所、スラムやら違法組織の巣窟でもある。
何度か軍の補給隊を襲ってきたゲリラ共を思い出させる……が、今身を潜めるならばここ以外に無いだろうな。
寄る辺がない人間はそういった場所に一度身を落とす他に無いのだからな……
ともあれ、未だに飛んでいた無線からどうにかこうにか情報を拾ったが……よろしくないのはハッキリした。
あとは……この工場から脱出し……
「なんでも良いから上着を探さねばならんな……あと、胸を隠せる何か……」
流石に痴女の誹りを受けるつもりはない。
それに、出来ることならば他の駆体を入手してマトモな生活に戻ることを願うばかりじゃ。
「むっ、良い奇襲だが、無駄に素直過ぎるのぉ!」
人形共に遅れを取るほど耄碌はしていないんでの、駆動音から消さねば奇襲しきれてないんだよ。
まぁ今のボディならばよほど性能差が無い限りはこんな人形に遅れは取らんな。
狙う場所が教科書どおり過ぎて対応の仕方も教科書どおりで十分に対応可能。
そして、パワーの差はあれど……人形と人間の構造的弱点は同じ!
関節は弱い、インパクトを与えてしまえば容易く折れる。
そうなれば……後は武器提供ありがとさんっと。
「ナイフがあれば良かったがのぉ……」
まぁ無いものねだりしてもしょうがあるまい……このサブマシンガンでもなんとか生き残ってみせようか。
エネルギーを供給して動く系のエネルギーマシンガンだったものでの、本体である我が身からの供給なければたかだか60発程度で撃ち切り。
エネルギーセルを取り替える形であれば人間でも使える設計にはなっているが……そのエネルギーセルも入手できぬと来たら……
「飛び道具があっても結局はこうだの」
結局は静かに人形を奇襲して無力化、武器からセルを引き抜くという事をやらねばならん。
現状正規のやり方で出られないなら強引な手段で出る必要が出てくる。
そのためにどうするかといえばのぅ……電子ロックドアのフェイルセーフを利用するほか無い。
基本的にという但し書きが必要じゃが閉じ込め防止の為に通電が切れた場合開く仕様がある。
開かなくとも電子ロックは解除されて力付くで開くことが出来るように鳴る。
そのためには……制御基板をこんがりフライにするか順当に電気回路をショートさせて黙らせる必要がある。
手段としては勿論の事……右手に担いでいるレーザーマシンガンなどの鉄血製銃器の数々。
起爆させてやれば協力な電磁パルスを放ってくれると期待しよう。
最悪ワシの駆体にもダメージが入りそうなものだが……まぁそこは入念な対策を祈っておこう。
「数個ドアを壊すのは覚悟しておくか……簡易電子爆弾はそこら中に転がってるしの」
眼の前の扉をとりあえずやるか。
これで何か資源倉庫にでも当たったなら一気に状況は良くなるんじゃがな……
「ほっ……この辺じゃな、後は……ちょいちょいと……」
工作もある程度は覚えたものじゃ、応急修理に銃の分解整備は基本も基本……
明かりなしで出来るようになってようやく一人前とすら言われていたんじゃから。
無論それは光学兵器に時代が移ろってからも変わらんかった。
お陰で今のこの電子回路への細工というのも……ぉぉ?
拍子抜けなまでにすんなりと外が見えたではないか。
さて、では……乗り物をかっさらってトンズラするかのぉ!
乗り物は幸いなことにオーソドックスな乗用車があってそいつを拝借した。
勿論やり方は……スターターの短絡、これがまだ通用するオンボロで助かった。
安全装置もくそったれもありゃしないシンプルもシンプル、軍が好みそうなヤツで本当に助かった。
だが……ナビゲーターも無いのはちと辛いな、現在位置の概算はできても正確な位置情報の取得が困難。
ともすれば手掛かりがあるまでは道を行く他あるまい。
舗装路、踏みならされた道ならば人が往来している証拠となる。
無論鉄血人形に出くわすかもしれんが……それはそれじゃ。
おい、人間のほうがよっぽど野蛮じゃねぇか、絞め落とす事が多くなったわクソが
デストロイヤー型と思わしき新型鉄血人形が確認された。
イエローエリアJ-2にて確認されたそれは既存の鉄血人形からは逸脱して肉肉しい肉体を持っていた。
そして何より……それは豊満であった。
胸、尻、太もも……大凡の男が好きであろう要素が豊満であった。
胸は頭より大きいのは当たり前、太ももは肩幅に匹敵し……尻もそれ相応。
特筆する武装は持ち合わせておらずデストロイヤー型と思われる低身長、髪色……そして声帯以外はデストロイヤーとは剥離する。
前述の通り武装をロクにしていないのを見て油断した者が鹵獲しようとして返り討ちにあっている。
その際に行使していたのは驚く事に格闘術であった、それも軍隊仕込みの物と思われる。
当然ロ連としてはその技術を流出させた事は無い、鎮圧・鹵獲しようにも奇襲はバレる、罠は破壊される。
ただ、留意するべき点として鉄血人形同士でも対立しているのが目撃された。
不良ロットとして処分されかけたか反逆したか……定かではないが接触する場合は要注意されたし。
I.O.Pとしてはこの暫定デストロイヤー型の鹵獲を試みるものである。
第一次鹵獲作戦はオーソドックスな戦術人形小隊による作戦行動を行ったが失敗に終わった。
その際に人形への損傷は最小限に留められていて作戦立案能力と戦闘機動に秀でていると見られる。
ただ鉄血にありがちな人間、他社人形への過剰な攻撃性は無いと見られる。
データログからも無駄口は叩かず淡々と奇襲しては闇討ち、近接戦闘で叩きのめしていた。
看過できないものは……戦術人形が持っていた銃火器が奪われたことだ。
差し当たりこの人形が持ち合わせている銃はAK-47になる。
銃自体はありふれたものだが人形用に調整されたものを強奪されているのはいただけない。
第二次鹵獲作戦は第一次作戦の失敗から鑑みて少数精鋭でもって鹵獲することとする。
該当地域が人形盗賊などが多発する事からも鑑みて対応可能とする人形を割り当てる。
逃げ延びた先は寂れた街、いや……集落と言って良い。
全員揃ってならず者で自分の為に暴力や騙しあいを厭わぬロクデナシ、ワシも生き残りの為ならそんなもの息をするようにやる。
だまくらかしにおいてはこの売女のような容姿がプラスに働く、どうあっても心理的に小さく見目麗しい者には油断しがちじゃ。
ましてやこちらは鉄血人形らしからぬフル生身の容姿、人形仕草も無いとなれば油断もするじゃろう?
適当にボコボコにしても良さそうなゴロツキを一人伸して身ぐるみ剥いで放り出した。
其奴が使っていた住居……ほぼコンテナ倉庫だが、そこを強奪した。
それで住居は確保出来た、次に確保したのは弾薬の安定供給が可能と見られる武器だ。
人形部隊に襲われる事があったがそいつを無力化して武器を拝借した。
破損まで持っていかなかっただけ良いと思ってほしい。
まぁ狙われたのはどこからか鉄血人形が脱走したのが漏れたか……まぁ何にせよワシの存在がバレているのは間違いない。
でなければ態々無力化、捕獲しようなどとは思うまい。
そういう動きだったからこそ隙など突き放題だった。
あまり一箇所に留まっていてもまたぞ襲われるかもしれん。
どうにか安定して過ごせる環境を見つけなければな。
少なくともこの身体よりマシな身体に入れてもらわねば……
差し当たり、このあぶれ者の世界でも融通が効く相手とのコンタクトを取らねばならん。
金もなければ衣服もろくにあったものではなかったワシに出来る事は少ないがの。
「兵の次は暴力請負か……因果かのぉ?」
武器は前時代的なAK47のみ、予備弾倉もたかだか片手で数える程度。
これで出来るのは言わば用心棒的なモノ。
他に出来る金稼ぎ、信用稼ぎといえば……今の身体で出来るのは水商売。
つまりは売春、男の内面で男に抱かれろというのはキツい。
軍の中で抑圧に耐えられず男色に走る者も居るには居たが……ワシはそうではない。
故に取れるのは一つ、国のために培った暴力の技能を今限りロクデナシに貸与するというもの。
躯体は正直あまり良くはない、新兵でもこうも頼りない膂力ではない。
まぁ違うのは常にフルスペックで動けることか。
そのアドバンテージで男だろうが人形だろうが伸してきたのだが……この先も通じるとは思わん。
「逃走用の経路注意をしろ……これがワシの初仕事か」
エロースなどと言う躯体名だが、使う気にはなれんな。
差し当たってオールド・ワンなどと名乗って活動するつもりじゃが……
いかんのぅ……どうにも嫌な気配がしてならん。
ワシのオールド・ワンとしての初仕事はなんてこと無い警備の仕事。
老後の想定とはすこしばかり違うが……似たものか。
ワシが見るのは逃走経路に近づく強奪犯以外の者への警戒。
それだけ聞いてみれば簡単な仕事であり、簡単に切り捨てが効く末端の仕事か。
「ふざけおって、こんな者が警護についてるとは聞いてないぞ?」
「こっちも仕事なんでな、有無は言わせねぇ、お縄についてもらおうか」
身長こそ今のワシより低いと思われる金髪の人形と銀髪の人形と思わしき者が警護についていた。
何の因果かワシと同じように胸や太ももばかりデカくて他のならず者が色めき立っていた……が……
襲撃されるまではのほほんとしておったくせに……ワシを見た瞬間に目の色を変えて蹂躙をし始めたのだ。
ワシにも分かる、この眼の前の人形も”同業”だった者の風格を纏っておる。
右手に下げているのは……世界最大の拳銃、ツェリスカ……
少女型の人形が持つには不格好この上無いというのに……油断無く構えてくるのだから困ったものじゃ。
「っ……チッ」
AKを構えた瞬間に轟音、AKに当たって……はたき落とされることになるとは……!
弾丸のように突っ込んできたその身体を叩き伏せようかと思ったが……鋭く反応してくる!
やはりコイツ、軍上がりか!
「悪いようにはしねぇ、させねぇから大人しくしてな、”同類”さんよォ」
「それは出来ん相談じゃなぁ!小僧ォ!!」
「……なるほどな、っ、だが……まだ甘いな」
「ぬぅっ!?ぐぉっ!!」
数手、取っ組み合いが始まって十秒とたってはいないじゃろう。
しかし、それで決着はついた……躯体の性能差と言えばそれまでじゃが……ワシが叩き伏せられた。
吠えた手前、負ける気など無かったのじゃがなぁ……
「じゃ、寝てな」
「ガァッ――――」
スタンロッドの電撃音を最期に意識は途切れた。
捕まったらどうなるか、鉄血人形が人間への反逆をしているとなれば良くて強制停止からの凍結。
最悪はスクラップ送り……だが、意外な事にワシはまた意識を取り戻した。
無論、拘束台に括られての寝覚めで最悪も最悪じゃったが。
眼の前には小さめのモニター……テキストがつらつらと浮かんでくるが……
要するに検査して人間の電脳を使っているのが判明した為に急遽I.O.P側で人間側の認識コードを付けた。
識別は躯体の名前そのままにエロースを使わせてもらった。判明しているスペックも全部書かれていたが……性奉仕懲罰用躯体とはな……
衣服もある程度は用意したが……この胸に合う物が無く同じ様な出自の物を使わせてもらったと。
「……ふむ、まぁ悪くはないが……この首輪はそのままの意味合いかの」
追加されたアクセサリー類はいくつかあった。見分けがつきやすいようにと服飾部門が好き勝手やったらしい。
その結果が余計に若い女風になったと……そして首輪にはGPSトラッカーか。
管理下に置いて経過を見るという点があるのかもしれん。
「して……配属先はS09郊外……スラム街の治安維持と敵対組織への潜入……ほぉ」
まぁ、やりがいはあるかもしれんなぁ。
退屈とも縁遠かろう。
「……近く私服などの支給を行う為3サイズの測定及び下着の……あぁ、勘弁しておくれ」
女の身体を受け入れた訳では無いというのにのぉ……というかじゃ……
随分と一方的に決めてくれやがるのぉ?
……テキストに何かない……か、あぁそうか……電子ロック、アンロックには軍の正式手続きが必要じゃったか……
この身体に移植した際に再度ONになっていて移植が不可能と……身体との最適化も進んでいって所作も……?
「うへぇ……」
これが、ワシ……デストロイヤー・エロースとなってしまったモノのセカンドライフの始まりじゃ。
エロに巻き込まれなかったのが奇跡だと”同類”には羨ましがられた。
カオスとか言うヤツはそれはそれは酷い目に遭ってきたそうな……ワシも他人事ではないからのぉ……明日は我が身、か。