転生なんてフィクション、想像上の物だってずっと思っていた。
実際に自分の身で体験するまではそうだろう?だって知りようが無い。
話したとしてそれを信じる狂人がどれだけいるか?
オレは新月の深夜、草木も眠る丑三つ時に気がつけば異世界に行っていた男だ。
技術体系がまるで違う文化レベルも違う人種的なものだって全然違う世界に行った。
迷い込んだというのが正しいかもしれないな、ともかくオレはいきなり天涯孤独の身になってしまった。
その世界は大分危機に陥っていた。錬金術の暴走で産まれた新生物が大暴走、人類に反旗を翻していた。
それはもう酷い大虐殺が起こっていて人類は9割殺されていて滅亡を待つばかりだった。
錬金術でなんとか?どうも次元が違う理が必要らしくこの世界の人間には無理な術が必要だったらしい。
錬金術の権威が発案したは良いけど使えなくて挫折、他の技術の権威達があくせく知恵を絞りあって延命をくりかえし…
そしてオレが召喚された……らしい、もう随分前だ。ろくすっぽ覚えていない。
ともかく別世界の理を持っているオレはその件の錬金術を使えた。
錬金術だけじゃなく魔法もスポンジの如く学んで覚えて……いろんな術を覚えた。
まるで違う体系の技術に目を輝かせて覚えていったんだ。
新生物は撃滅してその世界の名だたる王たちに感謝もされてあとは順風満帆な人生を……なんて思ってたけどね。
さもありなん、反逆を恐れた王族貴族に毒を盛られて儚く殺された。
表向きは元いた世界に還したとしてね?
哀れんだ神様とやらがオレをまたこの世界に産み落とさせたのか……わからん!
ともかく老いる間もなく俺は一度殺されてまた産まれた。
転移して殺されそして転生を果たした……色々見え方が変わってくるよ。
「しかしまぁ、神様とやらはハードモードがお好きかねぇ?」
オレは天涯孤独の身でエルフの集落で孤児として育った。
魔力素質は非常に高く髪色にまで影響を及ぼしこの世界でも最高位の魔力を持つ物がなる銀髪になった。
銀髪のエルフ種となればそりゃーもうえらい価値になる。
エルフ種といえば魔法のエキスパート、3元素とも呼ばれる火・水・風はもちろんのことそれから派生した魔法も扱う。
村に一人エルフが居れば大凡なんでも解決するって言われるほどだ。
そしてエルフといえばそれは目が飛び出るような美貌とスタイルの良さが挙げられる。
長身、細身でありながら男であれば引き締まった筋肉、女であれば豊穣の象徴とも言われるほど胸と尻が豊満そのものになる。
……オレはそんなエルフの女に生まれ変わった。
それも特異な低身長なエルフにな、ドワーフとの間の子かとか言われる始末だ。
実際身体的特徴はその二つのある意味いいとこ取りだ。
ドワーフと言うと地属性と鍛造、鋳造などの鍛冶のスペシャリスト。
低身長なのが特徴で男はどえらい筋骨隆々の筋肉だるま。女は乳尻太腿がアホみたいにデカい。
こと守ることにおいては心強い種族でありご自慢の筋肉からでる腕力で襲ってくる魔物をなぎ倒す。
オレはそんなドワーフの低身長さと乳尻のデカさ……そして腕力を持っている。
これまた価値が上がるってものだ。
価値?なんの価値かだって?そりゃもちろん……奴隷としての価値だ。
孤児を奴隷に?実質的には奴隷のそれだよ。
金持ち連中が珍しい子供を見つけてはペット感覚で買っていくんだよ。
飽きればどっかへ売り飛ばして二束三文にする。
「出ろ、お前の里親が決まった」
「へいへい、そりゃよーございましたこと」
施設の人間からしてあまり良い感じじゃない。
素直に新生物に食い殺されたら良かったんじゃないかなって思うくらいだ。
ま、エルフ自体が閉鎖コミュの意識高い系陰キャって感じはあるし好きじゃない。
オレにとっての新天地がどうなるかはさして興味ないが……このジメジメコミュニティから出られると思うと清々するな。
「こちらが件の……ヤツです」
「ちゃーっす、ヤツことティファールですー」
片手を上げて挨拶してみると……おや、こりゃまずいかねぇ。
里親になるのは男だ、だが見た目が非常によろしくない。
典型的な豚貴族、女を食い物にして愉しむだけ愉しむタイプの貴族だ。
「んーふふふふふ、実にイイ女ですねぇ……ティファール」
「はぁ、そりゃどうも」
視線は顔をちょっと見たと思えば胸やら腰回りに行っている。
舐め回すような視線は非常に嫌いだねぇ。
「では、こちらへ……行きますよ」
「へいへい……」
ま、食うに困らなく為るのはありがたいことだ。
適当に不興を買って放逐されるまでやるかねぇ。
なんて思ってたけどこの里親、見た目に騙されていたわ。
普通にくっそきれいなドレスを見繕って着飾ってくれるしマジで自分の愛娘のように扱ってくれる。
なにかしたいことは無いかと頻りに聞いてくるから錬金術の道具をくれと願ったら次の日には錬金道具がずらり……
ねぇなんでこんなに厚遇してくれるの?
恐る恐る聞いてみれば……酷く醜い豚面を悲しそうに歪めて独白しはじめた。
どうも前世の毒殺に関与していたみたいだ。
だがそれに激怒した神様とやらが毎晩夢に告げてくるらしい。
相応の裁きを下してやるから覚悟の準備をしておけ!
軽減されるように祈るのだったらここの孤児を立派に育てなさい、イイですね!!!!
等と告げられ……起きて間もなく屋敷にそれはそれは強い雷が落ちたらしい。
摩訶不思議なことに雲ひとつない晴れた朝だったのにだ。
正直に言って抱きたくなるほどの身体をしているが抱けばどうなるか分かったものではない。
と最初は思っていたが世話している内に父性とも言うべき感情が芽生えてマジで愛で始めた。
それが経緯らしい……なるほどなー……と遠い目をしたものだ。
今はといえば……
「あぁもう、なんでこの世界の魔物は搾乳して魔力を搾ろうとする!!」
新生物に滅ぼされ魔物の巣窟となった都市の奪還を生業とする冒険者になっていた。
これは私自身の望みだったし、自分が活躍したら間接的にだが育ての父の名声にもつながる。
細やかながらの恩返しに走っていたのだ。
ただこの世界の魔物は新生物にもブチ転がされまくっていて規模は非常に縮小。
カースト最下層だった奴らがゴキブリの如き生命力で絶滅を逃れていた。
そいつらが都市に住み着き繁殖していた。
例えば今私の両胸に吸い付いている魔物はその名もそのまま……チューチュー
50センチ程の球根状の本体と頭上に生えた二房の蕾からなる植物系魔物だ。
その脚力はジャンプで簡単に人を飛び越えれるほど屈強。二房の蕾で叩かれれば昏倒できる程の威力。
そして繁殖力は一体確認したら100は居ると言われるほどの大繁殖力。
しかしながらその性質は臆病で実害といえば女性が搾乳被害にあう程度だ。
逆に女性でなければ討伐が困難なほどに出てこない!
「うわわわわ、こんな数は流石にむりぃっ!!」
いくら一体一体がザコと言えどその物量は非常に強い物がある。
かつては最強と呼ばれた錬金術の腕は衰えていないがクールタイムが存在する。
魔法もそうだしバンバカつかっても狩りきれない。
そして一匹に組み付かれてば振り払いに気を取られ他のチューチューが飛びついてくる。
そして攻守の拮抗が崩れて逆転……
「あーくそぉ……好きにしなさいよぉ……」
空回りした私はチューチューに囲まれて代わる代わる搾乳されることに。
ただ、私もタダで転ぶわけじゃない……このチューチューは良薬の材料になる。
良質と思われるチューチューは捕獲して養殖させる。
他のチューチューは……腹いっぱいになって種を作るためにウン時間の深い眠りについた所で……
別な冒険者にヘルプ頼んで捕まえて報酬にする。
吸われる感覚がイヤじゃないか?イヤだけど慣れたものよ……くそがっ……