夕焼け空を何度か不安な面持ちで見上げたことがある。
まるで別世界に迷い込んだかのように思える瞬間でもあったから。
いつも通りの夕焼けのはずなのに、空に映る雲は血に染まったように赤黒く……世界の終焉が来たのかとも、思わせた。
もちろんそんな事はなかったし日が落ちきれば何てこともなくいつもの日常が戻ってきていた。
サイレンもそう……夕方5時に帰宅を促すサイレンが鳴っていた。
サイレンと言ってもメロディで……大人になるに連れよく耳にすることは無くなった物。
そう、夕焼けの様な赤い空、そしてサイレン……それだけなら、日常の風景の1つだった。
――――ゥゥウウウウウウウウゥゥゥゥゥ――――
遠く聞こえるサイレンは警報かはたまた緊急連絡の物か。
聞き慣れない物……見上げる空は赤く黒く……日光はまるで感じない。
周りはざわめき揺らめく雑木林……足元は……なんと見えない、コレは困った。
気がついたときには非日常に放り込まれていた……とは。
この明るい茶髪、自分のものとは思えない細くしなやかな指……そして身につけている衣服の一つ一つ……
何一つとって、自分の物とはかけ離れている……自分の指はもうすこし太く、油に塗れてガサガサ。
衣服は作業用のツナギやTシャツとジーンズが大半だったのに……
「まさか……あぁぁぁ……そのまさかじゃないかよぉ……」
この一見ポップな色合いにも思えるパーカーとスカート……左右の豊かなツインテールからも想像はしていた。
声をあげれば耳に入る音声に想像が確信に変わる……
UMP9、またの名をレナ……少女前線……ドールズフロントラインに登場するとにかく明るい笑顔がトレードマークの女。
開口一番にこれから家族だ等と宣う……正直、掴みどころがない女だ。
とにかくいつも笑顔を浮かべていて何を考えているかはっきりと見透かせない。
ただの悪戯娘な訳もない、404小隊という訳あり人形ばかりの小隊に身を置いていた人形だ。
聞けば人形を違法に鹵獲する盗賊所属だったとかいう話しもチラと聞いたりもした。
そんな……女の体に私は押し込められたようだ。
それだけでも一杯一杯なのにこの異様な空と見知らぬ土地。
いや、1つ思い当たる土地があるな……現実じゃない、ゲームの中の村のハズだが……
「……レナはこんなに胸、大きかったか?」
Yシャツ……いや、ブラウスか……
大いに盛り上げている胸が邪魔をして足元が見えやしない。
タクティカルハーネスなのか……胸の上下にぴったりとつくベルトが余計に胸を強調する。
……では何か武器があるのか……残念ながら無い、ポーチの類は潤沢にあるが、どれも空だ。
似て非なる身体と考えたほうが無難か……もしも思い当たった想像通りの村に居るならば……火掻き棒の1つや2つは欲しい所。
村の名前は羽生蛇村……三方を山に囲まれた寒村……村の秘祭に起因し村は異界へと転ずる……
今私が見上げている空、赤い空は……そんな異界の証。
そしてもっと確実に私を絶望に叩き落とす者が見えてしまった。
「羽根……屍人……」
ゲーム、サイレンに置いての恐怖の象徴……不死の存在……屍人の1つだ。
人の形を保ったものから……今私が目の当たりにした人の形を逸脱した物まである。
頭脳、犬、蜘蛛……そして羽根、どれも生理的嫌悪感を催す気味の悪い化け物だ。
驚くべきはそれらすべてが元々は人間、まだ目の当たりにしていないけれど……赤い水を接種してしまった上でサイレンを聞くとそうなる。
または……死んだ人間がサイレンを聞いた場合、屍人に転じる。
平たく言えばゾンビ……文字通り屍の人……
屍人同士では人間だった頃の言動をリフレインするのか……人間社会らしきものを観測できる……
屍人以外の人間を視認したらどうなるか……?襲われて奴らの仲間入りを強要される。
なったら最期……永遠をこの異界で過ごすハメになる。
……これがあのサイレンの世界、羽生蛇村であれば、だ。
逃げ出すにも……私単独ではどうにもできない。
何せ……羽生蛇村に眠る神をも殺すアイテムを使えなきゃいけない。
けれど……それを使えるのは永遠を生きる呪われた者だけ。
「とにかく、水を見ても接触しないように……」
極限状態になるとは思うけど……儀式の開始、終了まで大体3日……
そこを生き延びれば希望は見いだせるかもしれない。
……屍人の家族はまっぴら御免。
少し雑木林を抜けた先は……な、なんだ?
「杯乳揉村……?」
羽生蛇村じゃあ……ないのか、何かのパロディ、か?
でも屍人は居たし、数ある異界の1つなのかもしれない。
……残念ながらジャックは出来ない、赤い水を取り込んでいないから。
取り込んでいたならば……視界ジャックをして何とか……というのもできたかもしれない。
普通に自分の視界を頼りにするしか無い……
「……あぁうん、似ていて違うな……目の傷がない」
村の家屋の窓に反射して映った自分の顔は……間違いなくUMP9の顔だった。
ただ、笑顔ではなく仏頂面で、特徴的な目の傷はなかった……
……あ、この身体、ドルフロ2のUMP9か……どうりで。
でもやっぱり……胸が異様にデカい、顔よりは絶対に大きいし、下手すりゃ頭クラス……?
ゴーグルなどはなく、半端に欠けてるUMP9 レナって所か。
アンダーシャツもない……ブラはしてるんだろうか?
擦れて痛む感じは無いが……怪しいな。
武器は……無いな、耳を澄ませて、姿勢を低く……し辛いな、胸が重すぎる。
っ、足音……
「……はぁ、はぁ……ぁー……?」
咄嗟に隠れたが、これは……半屍人か?
屍人の第一段階で……身体の血液が赤い水に変わって行っている不死の存在。
ただ妙だな……や、やけに股間がもっこりしているし、舌が偉く長くないか?
……もっと様子を伺いたいが、あまりやってもバレるか。
……ん?ま、まて……コッチに近づいて……
「おんやぁ……こんなデカパイ……隠れきってねぇぞぉ……」
「ひぃっ……ぃっ……♥♥」
な、なん……だ……♥
いきなり……胸を鷲掴みにされただけで……こんなっ……♥♥
「……あぁ~……お前さ……神様ん花嫁だな……ゲハ……どれどれぇ……」
「や、やめ……んにゅっ♥♥し、舌を……いれ、にゃ……あぁ"っ♥♥」
隠れたハズの、建物の玄関付近の凹みにそのまま押しつけられ、肩を抑えられ……舌が、ブラウスの中にぃっ……♥
こ、このデカパイ……隠れたつもりが、コレが出て……!
あぁくそ……気持ち悪いのに、身体から感じるのは嫌なくらいの快楽だ……!
神の花嫁、私が生贄だと……?じょ、冗談じゃない……生きたまま燃やされる……
いや、まて……屍人が襲ってきて、性的に襲ってくるなんて、あったか?
……考えられるのは……私は、もしや……屍人達も神も……性的に襲ってくる異界に迷い込んだのか……?
「処女はいけねぇが……初絞りは頂きだぁ……げはは……」
「ん"ぅぅっっ♥♥ん"ッッ……!くぅ……ッッ♥♥」
暴れる私を物ともせず……乳房は揉まれ、舐められ搾られていく。
込み上がってくる……は、はは……まさかと思いたいが……
びゅるぅっ♥♥とろぉ……♥♥
「ん"ッッッ……ぅっ……♥♥はぁ……♥」
両胸から迸る快楽……絶頂……甘く香るミルクの匂い……
あぁもう、頭が理解を拒否してる……ありえない……ありえない……♥
このまま、私は……どう、なるの……?
――――――――終了条件 未達成