※この作品はR-18です。

チート能力会得してダンジョン潜り ~たまにエロい事します~   作:塞翁が馬

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鋼の忠誠心

「……………い…………………お……さ………」

 

 深い暗闇の中に意識を落としていたディットだったが、天からかかる微かな呼び声が聞こえてくる。その声により意識を覚醒させたディットは、聞き取りずらい声を何とか聞き取ろうと意識をそちらに向ける。そして、

 

「起きなさい」

 

 ゆっくりと目を覚ますディットの真上には一人の女の顔があった。黒い長髪に切れ長の瞳、眼鏡をかけている事もあり、厳しめの美人といった感じだ。

 

「…起きましたね。では、この状況の説明をお願いします。場合によってはお命を頂きますので覚悟して答えて頂けると手間がかからず助かります」

 

 明らかに初対面の女の顔を、まだ頭が回らず呆けた様子で見つめ続けるディットに、女はサラッと物騒な言葉を口にする。

 

 状況…? と視線を女の顔から周囲に向けると、自分は全裸で横になっておりその両隣には同じく全裸のプレアとササメアが幸せそうにディットの腕を掴んでねこけている姿が…。

 

「もう、プレア様も無茶をなさいますね~…」

 

 そして、そのプレアの体を清めているもう一人の見知らぬ女がいた。顔つきはディットの目の前にいる女とほぼ一緒だが、目の前の女が切れ長で鋭い目つきをしているのに対し、この女は目尻が垂れているおかげでおっとりした感じがする。

 

「現状を飲み込めましたか? ではもう一度問い質します。この状況の説明をお願いします。場合によってはお命を頂きますので覚悟して答えて頂けると手間がかからず助かります」

 

 周囲の確認を終えたと判断したらしい切れ長の方が、先ほどと一文一字違わず同じ質問をしてくる。そして、ここでディットは気づいた。この女、何とディットの首筋にナイフを当てているではないか!

 

「う、ま、待て…!」

 

「お静かに。騒げば首と胴体がサヨナラしてしまいますよ」

 

 慌てて跳び起きようとしたディットだったが、切れ長の方に頭を押さえられて動きを封じられてしまう。そもそも寝ているとはいえ両腕をプレアとササメアに取られているので、まともに動くのも難しいのだ。

 

 こうして、謎の女に脅されるままにこれまでのいきさつを語るディットだった。

 

 

 

 

 

「飛んだはやとちりをしてしまい、申し訳ありません…」

 

「も~! いきなり凶器で脅すなんて流石にやりすぎだよ~!! そもそも私が無理やり手籠めにされたなんてありえないし!!」

 

 頭を下げる切れ長の方に、ディットがいきさつを語っている最中に目を覚ましたプレアがプリプリと怒った様子で苦言を呈する。

 

「プレア様。アールちゃんをしかるのはそれくらいにして、まずは身だしなみを整えましょう。全裸ではやはり威厳を欠いてしまいますわ。ディットさんと、ササメアちゃん…ですね…も、まずは服を着ましょう」

 

 そこにおっとりした方の女が助け舟を出す。そう、いきさつは語り終えたとはいえ起きたばかりなので三人ともまだ全裸なのだ。

 

 その言葉を受け、ディットとササメアはそそくさと移動して体を簡潔に拭き、適当な服を着始める。一方、プレアはと言うと、貴族宜しく切れ長の女…アールともう一人の女性に服を着せてもらっているではないか。

 

「ところで、何でここが分かったの?」

 

「うふふ~。私に掛かれば、プレア様の痕跡を辿るくらい朝飯前ですわ」

 

「―――ちぇっ。やっぱりマールは出し抜けないか」

 

 おっとりした様子に違い素早くプレアの着付けを終え、今はプレアの爪を綺麗に磨いているおっとりした女…マールに向かって質問するプレアだったが、様子を変えずに答えるマールにプレアは少し拗ねてしまった。

 

「ところでプレア様。改めてお伺いしますが、やはりディット様とはもう…?」

 

「うん! お兄ちゃんとはもう体を重ねたよ! お兄ちゃんったら見かけによらず逞しいんだから!!」

 

 その後ろでプレアの髪を梳かしていたアールが複雑そうな様子でプレアに聞くが、返ってきた返答に対し溜め息を一つ吐く。

 

「その御身にはやんごとなき血が流れています。あまり自由奔放にされては、相手の殿方にも負担をかけてしまいますよ」

 

「えー、別にいいじゃんそんなの。国なんて兄さんか姉さんが何とでもしてくれるでしょ。それ以前に、のけ者にされてた私にそんな大役が回って来るなんて到底思えないし」

 

 先ほどとは逆に苦言を呈するアールだったが、残念ながらプレアはどこ吹く風だ。が、このやり取りを聞いてササメアは「国…?」と驚愕に震えた声をだし、ディットに至っては顔を真っ青にしている。国…などという単語が出てきた以上、プレアは貴族どころか王族関係者の可能性すら浮上してきたのだ。どこの国かまでは分からないが、とんでもない相手に手を出してしまったのは最早間違いないのだから。

 

「あ、そうだ! ねえねえ二人とも! どうせならお兄ちゃんのダンジョン探索を手伝ってあげてよ!!」

 

 尻込みしてしまったディットとササメアを他所に、これまたとんでもない提案をするプレア。

 

「ええ~、プレア様のご命令とあれば構いませんよ~」

 

「承りました。早速準備をいたします」

 

 そして、ディットが口を挟む間もなく了承してしまう二人。

 

「ちょっ…ちょ、待て待て待て! なんか安請け合いしてるけど、ダンジョン探索って滅茶苦茶しんどいんだぞ!? 分かってるのか!?」

 

 そのあまりの即答っぷりに思わず怒鳴ってしまうディットだったが、

 

「はあ~…。と、言われましてもプレア様から下知を受けましたし…」

 

「従者である以上、主の命令は絶対です。これから、貴方様を助力致しましょう」

 

 二人とも当然だとばかりに真顔で返してくる。もうこの時点でディットは空いた口が塞がらない程の衝撃を受けていたのだが、

 

「それでもう一つなんだけど、二人ともお兄ちゃんを愛してあげてくれない?」

 

 プレアの口から飛び出す更なる爆弾発言。ちょっと! とでも言わんばかりにプレアに視線を移…そうとしたディットだったが、その行動を起こす前にディットの頬はマールに両手で掴まれる。

 

 そして意表を突かれたディットの唇に己の唇を重ねるマール。すぐに離れる軽い口づけだったが、あまりに突拍子もないマールの行動にもう固まるしかないディット。

 

 が、これで終わらず今度はアールがディットの唇に己の唇を重ねてきた。二連続のキスを受け、思考が停止しかかったディットではあったが、この二回目のキスを終えた後に一呼吸置いてから、

 

「お、お前らおかしいだろ…。じゃあなに? プレアが死ねって言ったらお前ら死ぬの…?」

 

 弱弱しくかすれた声ながらも、必死の否定の言葉を口にするディット。

 

「ええ~。プレア様の下知とあらば喜んで~」

 

「主のために死ねる。私達にとってこれ以上の誉れはありません」

 

 しかし、瞳の奥に見える鋼の忠誠心と共に紡ぎだされた断言は、ディットの儚い否定など一蹴してしまうのだった。

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