※この作品はR-18です。

チート能力会得してダンジョン潜り ~たまにエロい事します~   作:塞翁が馬

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プレアは言いなり?

「ど、どうするって…ど、どういう意味だ?」

 

 プレアの質問の意図が分からず困惑気味に聞き返すディット。

 

「聞いた通りだよ。お兄ちゃん今日はお疲れでしょ? 私がこの人達と一緒に行って稼いできてもいいし、必要ないなら断ればいいし。一人で潜ってもいいけど、人数があった方が都合はいいと思う。…ま、あんな影魔物…だったよね? 一体に全滅させられている様じゃ囮くらいしか使い道はないけど…」

 

 対するプレアは冷え込んだ声色を変えずに答える。ただその声色を聞く限りでは嫌がっているのは明らかだ。

 

 そして、このプレアの見下した言い分を聞いたビット一行も空気が変わる。特に赤い髪の女はあからさまに怒髪天を衝く形相で一歩を踏み出したが、これをビットが手で制した。真顔にはなっているものの、まだ冷静さを残している様子だ。

 

「アンタ…女なのか?」

 

 プレアの声を聴いて問い質すビット。その声には驚きの色が混じっているが、外に出るときは常に全身鎧を着ているので、見た目ではプレアの性別は判断できない。鎧自体も重厚なつくりなので、余計に初見では男に見えるだろう。驚くのも当然と言えたが、真顔なのはこの驚きの為だったのかもしれない。

 

 しかし、この問いにプレアは答えない。どころか視線すら合わそうとせず、ディットの返答を待ち続けている。

 

「てめえっ!!」

 

 この不遜な態度に遂に赤い髪の女は大声を上げるが、

 

「待て、ミシエ! 今日の所は一旦引き下がるぞ」

 

 またしてもビットに止められる。この引きとめが大変不服だったのだろう、赤い髪の女は何故止める!? とばかりに、激怒した表情でビットを睨む。

 

「このバカ女が。挑みかかってどうするつもりだ? 返り討ちに合うのがオチだろうが。ちょっとは考えろこの脳筋が」

 

「…っ!! じゃあどうするってんだ!? このままバカにされたままでいろってのか!? ああっ!!」

 

 しかしビットの対応は冷ややかだ。当然こんな対応をされれば赤い髪の女の怒りは爆発するだろう。

 

「よく考えろ。基本的に女ってのは強い男が好きなんだよ。それはあのミジマルに絡んでおこぼれを貰おうとする女共を見てれば分かるだろ? にもかかわらず、あのプレアって女はあんなクズザコのいいなりだ。何故か? 決まってる、弱みを握られてんだよ」

 

 淡々と説明をするビットに、赤い髪の女はハッと何かに気づく。

 

「お、気づいたか? そう、だったら俺らでその弱みを潰してやろうって訳だ。そうすれば晴れてあの女は俺達の仲間入りって事よ。分からせるのもその時に…おっと、余計な事を口走っちまったかな? くっくっく…」

 

 下卑た笑みを浮かべるビットに、赤い髪の女もチッと舌打ちしながらも矛を収める。どうやら、ビットの作戦(?)に一応は納得したようだ。

 

「あ、あの…。お待たせしました。こちらが納入物に対する報酬となります…」

 

 ここで一旦会話が途切れたのだが、それを見計らった様に受付の女が大きな袋と一つの小箱をディット達の前に差し出した。

 

「これは…?」

 

「そちらは果実と一緒にお預かりしたものです。一応当ギルドは周囲三国とそれなりの関係を築いてはおりますが、やはり伝説の秘薬エリクシルときては、そう簡単には売買は…」

 

「「エリクシルですって!!?」」

 

 受け取った小箱を掲げて聞くディットに受付の女が申し訳なさそうに中身を説明するが、その中身…エリクシルの名前を口にした途端、ビットの後ろについていた三角帽子の女とシスターの二人が揃って驚愕の声を上げる。

 

「あ? その何とかがどうかしたのか?」

 

「あ、いや…」

 

「いえ、何でもありません…」

 

 その二人にビットが威嚇するような声で尋ねるが、二人は気まずそうに返すのみだ。物欲しそうにエリクシルの入った小箱を見つめながら。

 

 見た感じ二人とも学がありそうなので、エリクシルの価値を知っているから驚いた…のかもしれないが、それにしては何やら様子が変だ。

 

「ふん。まあいい。おいクズ。調子に乗ってられるのも今の内だぜ。そのプレアって女ともう一人の小さいのはその内俺が貰っていくからな。今のうちに今度こそここから出ていく準備でもしてるんだな。はーっはっはっは!」

 

 しかし、ビットはそんな二人から早々に目をそらし、ディットに罵倒の言葉をかぶせた後、謎の高笑いをしながらギルドを出て行ってしまった。その後を、リストリアを含む残ったメンバーも追いかける。ただ、先ほどの二人は最後の最後までディットの手にある小箱をチラチラと見ていたが…。

 

「…初めて会った時も思ったが、大した実力もない癖にどっから出てくるんだあの自信?」

 

「いや、あれでもSランクの実力者ではあるんだ。あの凄まじい自信は謎だがな…」

 

 その様子にオルガンが呆れた感じで言葉を漏らし、一応フォローは入れるもののディットもどこか呆れている様が見て取れる。

 

「しかし、あの方…。プレア様を手に入れるとは…。またずいぶん大きく出たものですね」

 

「知らないというのは本当に幸せですね~。ディットさんはあんな無知蒙昧になってはいけませんよ~? 場合によっては命に関わりますからね~」

 

「あの人…。アンデッドの匂いがする…」

 

 当然ながらアール、マール、プレアと同じく指名されたササメアからも評価は最悪な様子。ただ、その内のマールが何か不穏な事を口走っているのをディットは聞き逃さなかった。プレアが王族関係者なのはもう明白なのだが、それ以上に何か秘密でもあるのだろうか?

 

 そして、その当のプレア。考え込むように俯きながら腕を組んでいる。

 

「プレア、その、答えられなくてすまん…」

 

 ディットはそんなプレアの様子を”最初のプレアの問いに即答できなかった事”に思いを馳せているのかと思い謝罪の言葉を口にする。

 

「…ん? なんで謝るのお兄ちゃん?」

 

 しかし、プレアから返って来るは不思議そうな声。どうやらディットの思惑は見当違いのようだ。

 

「あの男が…お兄ちゃんを痛めつけたんだよね? ………ほぉ、なるほど…」

 

 ビットが出て行った箇所をただじっと見つめるプレア。その際に一言言葉が漏れてしまっていたのだが、今までの明るく子供っぽいプレアからは到底想像もつかない程の、覇を唱える王を感じさせるほどの低く威圧感に満ち満ちたその声色に、ディットは背筋が凍りつくのを感じていた。

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