チート能力会得してダンジョン潜り ~たまにエロい事します~ 作:塞翁が馬
「一応…とは、また投げやりな言葉だね」
対面するエルフ…アールヴの言葉に、警戒気味のプレアが相手の内を探るように口を開く。
「長としての自覚はあるつもりですが…首席という気位の高い名称はどうにも馴染めなくて…。言葉辞典をいじくりまわした挙句、多数決で決まったこの呼び方ですが、所詮千人前後の住人しかいない村落です。普通に村長でもいいと思いませんか?」
「千人前後…? バカな、どうみてもこの都市はダンジョン街よりも広大だぞ。なのに、人口がダンジョン街の約百分の一などありえるか?」
責任感というよりは、言葉そのものに気後れしているらしきアールヴだが、その時に発した人口総数に今度はディットが訝し気に尋ねる。
「と、言われましても…。正直、この街は私達が作り上げたものではないですし、なんならいつから住み始めたのかも記憶しておりませんので、そのあたりは何とも…」
しかしアールヴの返答は曖昧な物だ。そもそも、住み始めたのが分からないのなら本当にエルフ達が作ったわけではないのかを証明しようもないのだが。とはいえ、アールヴの真面目に困惑した態度を見るに、ここをつついたところで水掛け論にしかならないのも目に見えているので、ディットも口をつぐまざるを得ない。
「あ、あの…そもそも何故ウチ達はここに呼ばれたのでしょうか?」
次にササメアが少し怯えた様子ながらも本題を切り出す。そう、いきなり相手の懐に呼ばれたのには、それ相応の理由がある筈だ。
「皆さま…というよりは、ディットさん…でしたよね? に、用があるのです。―――ん、こほん…。そ、その、つかぬことをお伺いしますが…ディットさんは…その…」
そのササメアの問いに、アールヴは視線をディットに向ける。…のだが、何故かここからアールヴはわざとらしい咳ばらいをしたり、もごもごと口ごもったりして話が進まない。頬が紅潮しているのを見るに何やら恥じらっている様子なのだが…。
が、少し間を置いてから意を決したのだろう。首を一つ縦に振ってから、おもむろに口を開いた。
「ディットさんは………私達エルフとセックスをしてみたくはありませんか?」
あまりに唐突過ぎる頼みだったが、アールヴの言い分は次の通りだ。
まず、前提としてエルフ達は基本暇なのだそうだ。構造こそ不明ながら何の不自由も感じない高度な技術(信じられない事に衣服や食事にも本当に困らないらしい)に囲まれ、更に不老の存在ときては絶望的に暇を持て余すのも頷ける話ではある。
なので、先述の”言葉辞典”の様な資料を漁り、不定期にその内容がエルフ達の間で流行る事があるそうなのだが、今回流行っているのがまさにその男女の性的関係なのだ。
とはいえ、これまでは性的な事は流行っても直ぐに鎮火していた。何しろ試すにしても異性がいないのだからどうしようもない。
しかし、今回は少し事情が違う。今から数か月前に、はじめてこの地に男…ミジマル達が降り立ったのだ。そう、待望の異性だ。
そうして、なんやかんやあって異性との
因みにこの”なんやかんや”の部分はアールヴもミジマルもエールヒも答えてくれない。が、げっそりした表情のミジマルを見て、
「そういえば、その時期のミジマルさんも今みたいにやつれていた…。いつもの覇気が無くて何が起きたのかとみんな心配してたな…」
と、得心が言ったとばかりに頷くディット。やはり恥じらって同じく答えてくれないアールヴとエールヒだが、このミジマルを見る限り、そんな恥じらう姿とは裏腹に性にはかなり貪欲なようだ。
アールヴの要請だが、無理強いはしないので考えて覚悟が決まったらもう一度この会議室を訪れて欲しい…という事で、一旦開放されるディット一行。
だが、最初はディットは断るつもりでいた。何かもっと深刻な事情があるならともかく、アールヴの話はつまりは”刺激が欲しい”の一点に要約している。刺激さえあれば、別にセックスじゃなくてもいい筈だ…というのがディットの考えだ。また、ディット自身もあまり複数の女性と関係は持ちたくなかった。面倒ごとになるのは目に見えているからだ。
しかし、その事をプレア達に話すと、何故か猛反発を受けてしまったのだ。
「何弱気なこと言ってんのお兄ちゃん! これはセックスのテクを磨く絶好のチャンスだよっ!!」
「確かにあまり乱痴気過ぎるのも問題ではありますが、女性の頼みを受けるのも男の魅力ですよ!」
「その辺の凡夫ならともかく、プレア様の伴侶となる方なら複数の女を受け持つ器をお持ちください」
などと責められ持ち上げられ、ディットの反論など受け入れられるどころか喋る機会すら与えられずに再び例の会議室へと送り出される羽目になってしまった。因みに、ミジマルは先刻の会談が終わるといつの間にかエールヒ共々いなくなっていた。
心配していたディットだったが、再度あの二人の見張りがいなくなっていた会議室にたどり着いた途端、そんな心配は掻き消える事となる。
「ようこそディットさん。やはり、来ていただけましたね…良かった」
そこには、妖艶な笑みを浮かべるアールヴの姿が…。服装も、先ほどのピシッとしまったスーツ姿ではなく、大事なところを上手く隠した紐と形容しても問題なさそうなきわどい物へと変わっている。
なにより、人数が多い。ざっと見積もっても二十人近くはいる。その中には、先ほどの見張り二人の姿も交じっていたが、彼女達も含めみなアールヴに負けず劣らずのきわどい服装に、恥じらいに頬を染めながらも眼光はまさしく獲物を見つけた獣のそれ…と明らかに異常空間だ。最早他人の心配などしている場合ではない。
「さあ、こちらの椅子にお座りになって…」
そう言ってアールヴの目の前にあった椅子に座るように促されるディット。と、同時に、後ろから聞こえる何かが閉まる音。慌てて振り返ると、開きっぱなしだった会議室の扉が完全に閉じてしまっていたのだ。
ディットの脳裏に冗談抜きで”死”の一文字が浮かぶ。が、いつまでも入り口でまごまごしていても埒が明かない。震える体を押さえつけて、ディットは椅子に座った。