※この作品はR-18です。

チート能力会得してダンジョン潜り ~たまにエロい事します~   作:塞翁が馬

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自由奔放な子

 ゆっくりと目を覚ますディット。焦点の合わないその目に映るのは白一色のみだ。

 

 体が重い…。動こうともがいても…いや、もがく事すらできない。まるで全身に鉄の服を着せられたかのごとき重さだ。

 

 動かない体。焦点の合わない視線。この状況に危機感を覚えたディットは、それでも状況を把握しようと何とか首だけを横に動かす事に成功する。

 

 が、そこにいたのはエルフだ。未だ焦点はあっていないが、白金に透けて輝く綺麗な髪に、シミ一つない真っ白い肌。誰かはわからないがエルフであることは間違いない。

 

 途端、ディットは思い出した。昨晩、限界を超えて絞りに絞り尽くされたことを…っ!

 

「た、たす…け……て……っ!」

 

 悪夢が脳裏を過り、思わずかすれた声で助けを求めるディット。すると、少しの間を置いてからなにやらガタガタと俄かに周囲が騒がしくなり始め、

 

「お兄ちゃん! 目を覚ました!?」

 

 と、聞き覚えのある大きな声がディットの両耳に飛び込んできた。

 

 

 

 

 

「昨日はやり過ぎて御免なさい…」

 

「反応してくれたのが嬉しくてつい…」

 

 ディット一行の前で正座で謝罪しているエルフが二人。ベラーリとヤシュティーという名前だそうだが、ベラーリは朧げながら記憶のあるディットも、ヤシュティーという名に覚えはない。話を聞く限り、ヤシュティーとナニをヤッテいた時は既にディットは気絶していたらしいので、憶えていないのも当然なのだが。

 

「いきなりそんな大人数を相手にさせられるってのは、流石に予想外だったかな…。私達もごめんねお兄ちゃん。ちょっと軽率だった」

 

 更に、ディットの傍らでプレアもディットに向かって謝る。その近くではササメアとアールも申し訳なさそうに頭を下げていた。

 

「あ、いや、い、いいんだ…。もう大丈夫だから…」

 

 こんな一斉に頭を下げられては、ディットも怒るに怒れない。そもそも、怒るだけの気力すらまだ回復していないので、どちらにしても一緒だが。

 

「でも、聞きましたよディットさん! 根尽き性も果てた状態から、愛の言葉に反応して見事に応えたって!」

 

 しかし、そんなしんみりした雰囲気を一転、突然興奮気味に話し始めるササメア。

 

「エルフ…女性達の期待に応えるその心意気、素晴らしいですよディット様」

 

「いや、あれは本当に格好良かったよ。私結構感動しちゃったもん!」

 

「頑張ったね、お兄ちゃん」

 

 途端に四方から飛ぶ称賛と労いの声。と、言っても先述の通りディットは既に気絶していた後の出来事らしいので、そこを褒められたりしても困惑しかできないのだが。

 

「ディットさん…。事前にも宣言しましたが、私の愛は貴方の生涯と共にあります。この愛は、貴方がどのような境遇に陥ろうと、不変のものだと誓います」

 

 そして、今まで口を開かなかったヤシュティーからの顔を真っ赤にしながらの告白。そのあまりにも…あんまりにも重すぎる愛の告白に、ディットはただ口をパクパクと開閉する事しか出来ないのだった。

 

 

 

 

 

 一旦エルフの村を後にして家に帰る事にしたディット達。先日見た動く鉄の箱といい、エルフの村には面白そうなものがいっぱいありそうではあるのだが、何よりまだ歩くのも辛そうなディットの回復が最優先だと、ディット以外の全員が判断したのだ。

 

 そして、当然だと言わんばかりについて来るベラーリとヤシュティー。ヤシュティーについてはもうそんな気しかしなかったので何の不思議にも思わなかったが、ベラーリもついて来る理由が分からなかったのでディットは聞いてみた。

 

「ま、ヤシュティーとは長い付き合いだから離れるのもあれかなーって。それに外の世界にも興味があったんだ。ぶっちゃけ出て行ったエールヒが羨ましかった。だからさ、今は一緒にいるけど、なんか面白そうなの見つけたらそっちに行っちゃうかもしれないから、そこは勘弁してね」

 

 そして、返って来たのがこの自由奔放な答えだ。まあ、今ディットの周りにいるのは異常なまでにディットを持ち上げ支えてくれる子ばかりだ。嬉しくはあるが、反面戸惑う事も少なくない。なら、たまにはこんなあけすけな子と一緒にいるのも悪くないだろう。

 

 

 

 

 

「おい、このクソ野郎!!」

 

 ルカエレの魔石を使ってダンジョンを脱出した一行。が、その矢先にディットに罵声がかかる。全員が振り向くと、そこには憤怒の形相をしたビットがディットを睨んでいた。

 

「てめえ、ノーザとホリナに何をしやがった!?」

 

「がっ!? な、何って…何かあったのか…?」

 

 襟首をつかんで怒鳴った来るビットに、ディットは苦し気に呻きながらも聞き返す。

 

「とぼけんじゃねえよ! あいつらいきなり俺様のチームを抜け出しやがった! しかも、てめえの名前を口に出しながらだ! てめえ、あんまり舐めた真似してると今度こそ本当にぶっ殺す…」

 

「ちょっと」

 

 血走った瞳でディットを睨みながら脅すビットだったが、ここで横から声が入る。そして、「ああっ!?」と振り返るビットの右頬に、籠手に覆われた拳…文字通りの鉄拳が炸裂した!

 

 ぶべっ! と声を上げて吹き飛ばされ、石の壁に叩きつけられるビット。殴ったのはプレアだ。

 

「悪いんだけど、お兄ちゃん疲れてるのよね。そんな下らない理由で邪魔しないでくれる? さっさと何処かへ行って。それとも、ぶち殺されたいの?」

 

 右頬を押さえてうずくまっているビットに、拳を鳴らしながら冷めた声で威圧的に尋ねるプレア。圧倒的な長身もあり、その迫力はまさにケタ違いだ。

 

「う、ぐぐ……こ、このくそアマ…っ! お、覚えてろよ…必ず俺様の奴隷にしてやるからな…っ!!」

 

 その姿を見て、明らかに見て取れる恐怖に身を竦ませながらも、捨て台詞をはいて走り去っていくビット。その後姿を、やれやれ…といった様子で見つめるディット達だったが、一人だけ様子の違う者がいた。

 

「ほうほう成程、あれが怒りや嫉妬という名前の負の感情ってやつか…なんか面白そう…!」

 

 ベラーリだ。彼女は興味深そうにビットの後姿を見つめていたが、不意にディットの方へ振り向いた。

 

「ディットさん、私ちょっとあの人間に付きまとってくる!」

 

「あ!? ちょっと、ベラーリ待って!?」

 

 そして、ヤシュティーの静止も聞かずにビットの後を追って行ってしまった。

 

「負の感情…?」

 

「私達エルフは感情を…特に悪い感情はほとんど感じる事がありません。なので、ああいう負の感情に興味を持つエルフもいるのですが、ベラーリがまさにそのエルフで…曰く、どんなふうに堕ちていくのか見てみたい…と、常に言っていました」

 

 首を傾げるディットにヤシュティーが説明をしてくれるが、そんな百害あって一利なしなものに興味を持つとは、やはりエルフという種族は人間とは感覚が違うのか…と思うディットであった。

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