※この作品はR-18です。

チート能力会得してダンジョン潜り ~たまにエロい事します~   作:塞翁が馬

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謎の豆粒

「へー、部屋を一つ借りて暮らしてるんだ~…。あんまり広くはないね~…」

 

 客人である鎧の巨人を室内に招き入れたディット。ためらいなく室内に入ってきた巨人さんは興味深そうに周囲を見回している。

 

「あ、あんた…本当にあのプレアなのか…?」

 

 その巨人さんに、ディットは未だに信じられない…といった様子で改めて問いかける。今は兜だけ脱いで素顔が見えているのだが、全身鎧を着る為か髪自体は切って短髪になっているが、見覚えのある鮮やかに輝く金色の髪に、深い優しさを湛えた青い瞳。その身長に違い、顔つきもまだ少し幼さが残る。

 

「うん! 私プレアだよお兄ちゃん!」

 

 その少し幼い顔つきをあどけない笑顔に変えて答えてくれるプレア。確かに、この笑みは昔のプレアそのまんまだ。

 

「そ、そうか…。すまん、昔とあまりに変わり過ぎててまだちょっと状況を飲み込めそうにない…」

 

「それって、やっぱり大きくなり過ぎてるから?」

 

 言葉通りに困惑気に首を左右に振るディットに、巨人…プレアは小首を傾げながら直球で尋ねてくる。そのあまりの直球ぶりに、ディットはごまかす余裕もなく正直に首を縦に振ってしまった。

 

「うーん…。昔から発育が良かったからね~。お兄ちゃんと一緒だった時も年齢は周りの子たちと一緒位だったけど、身長はお兄ちゃんと同じくらいあったし…」

 

「なっ…!?」

 

 何気なく吐いた様子のプレアの言葉に、しかしディットは驚愕に顔を歪める。あの時のチビ達とディットでは6歳近く差があったのだ。それで既にディットと同じくらいの身長があったというのだから驚くのも無理はないだろう。加えて、同年代どころかかなり年下だった事も明らかになる。

 

 プレアは当時からディットの事をお兄ちゃんと呼んでいたのだ。当時は何故そんな呼び方をするのだろうかと疑問に思っていたディットだったが、確かにこれだけの年齢差があればその呼び方自体はプレアからしたら自然なものなのだろう。

 

「ところでお兄ちゃん! お兄ちゃんって今ここのダンジョンに挑戦してるんだよね? 何階くらいまで行けたの? やっぱりチームとか組んでるの?」

 

 そんな中で、不意にプレアがディットに質問してくる。途端に蘇る昨日の出来事。ワクワクした様子で聞いてくるプレアにしかしディットは口をつぐんでしまった。

 

「―――うーん、あんまり芳しくはなさそうだね…」

 

 このディットの様子を目ざとく確認したプレアは、この話はあまり深く入り込まない方がいいと判断したのか、おもむろに己の懐をゴソゴソと漁り始める。そして、

 

「そんなお兄ちゃんにすーーーんっごいアイテムを持ってきたよ!! じゃーん、はいこれ!!」

 

 大仰な言葉とともに懐から取り出したのは一つの小箱。それを受け取ってディットは蓋を開ける。中には虹色に輝く一つの豆粒が入っていた。

 

「な、何だこれ…?」

 

 その異様な雰囲気の豆粒にディットは少し怯む。形こそはただの豆粒だが、その放たれる光からは明らかな威容が感じられるのだ。もうパッと見ただけで凡人が手にしていい様な物ではないというのが分かる。

 

「『無限の神豆(しんず)』って言うんだって。なんか良く分かんないけど、食べたら文字通り無限の力を得られるとかなんとか」

 

「いやいや、そんな貴重品はいそうですかって貰えるか! 大体こんな貴重品どこで手に入れたんだ!?」

 

「ん-、内緒」

 

 ニコニコと謎の豆粒の説明をするプレアにディットは慌てて入手経路を問い質すが、内緒の二文字で切って捨てられてしまった。それでも懇願に満ちた情けない視線をプレアに向けるディットだが、彼女は笑顔で口をつぐんだままだ。どうあがいても、入手経路を話すつもりはないらしい。

 

「で、どうするのお兄ちゃん? いらないなら捨てちゃうけど?」

 

「す、捨て…っ!? い、いや待て、ちょっと待て!!」

 

 それでも諦めずに視線で懇願するディットに、入手経路の話は終わりだ…とばかりに食べるか捨てるかの極端な二択を迫るプレア。

 

 こんな明らかな貴重品をためらいもなく捨てると言えるとは、一体彼女はどういう環境で育ったのだろうか? と、ここまで考えてある閃きがディットの脳裏を過る。

 

(―――そもそも、これ本当に本物なのか? いや、本物偽物以前に、冷静に考えたら無限の力を得るっていう説明その物が胡散臭すぎるだろ…)

 

 確かに虹色の威光を放ってはいるが、それだけで力を得られる代物と言われても説得力に欠ける。貴重品っぽく見えるだけの細工である可能性も十分にあるのだ。

 

 そして、これを偽物と仮定したとして、問題は何故プレアがこんなものをディットに渡そうとしているのかだ。

 

「―――プレア。つかぬことを聞くけど、何か宗教に入信したりしてないよな?」

 

 少し胡散臭げにプレアを見上げながら問うディット。考えた末にたどり着いた答えがこれだったのだ。つまり、この威光を放つ豆をだしにした勧誘だ。

 

「宗教? んーん、そんなの入信してないよ。ロウス教、カオティ教、ニュートル教、ライーク教、立場上一応四大宗教に勧誘された事はあるけど、どれもいまいちピンとこないんだよね…」

 

 対して、キョトンとした様子で首を横に振り、次に少し困り顔で心の内を語るプレア。その様子からして、本当に宗教に入信したりはしていない様だ。

 

 となると、他に何があるだろう…と、再び思考にふけるディット。と、言っても他は特に思いつかない。せいぜい何かのいたずらを仕掛けられている…と思う程度だ。

 

 ただのいたずらなら…とディットは遂に豆粒に手を伸ばした。相変わらず威光を放っている事に少し気後れしてしまうが、どっちにしろ食べなければ捨てるとプレアは言っているのだ。そんな勿体ない事をするくらいなら…と、数瞬のためらいの後、口の中に入れ一気に飲み込んだのだ!

 

「おーお兄ちゃん豪快な良い食べっぷりだね! で、どう? 体に何か変化ある? なんかこう、体の奥底から力が溢れ出してくる!! みたいな!?」

 

 その一連の動作を見ていたプレアが興奮気味に質問してくる。しかし…

 

「―――い、いや…。特に何も変わったことはないなぁ…」

 

 不思議そうに首を傾げながら己の手首や体を触りながら呟くように口を開くディット。その胡乱な行動を見るに、本当に特に変化は現れてはいない様だ。

 

「なーんだ、宝物庫からくすねてきて損しちゃった」

 

「………………宝物庫? くすねて?」

 

 肩を落とし、あからさまにがっかりとするプレアだったが、その時に発した不穏な言葉にディットは思わず聞き返してしまう。

 

「あ!? いや! な、なんでもないよ! なんでも…! そ、それより、お兄ちゃん明日もダンジョンに挑戦するんだよね!? できれば私も連れて行ってよ!! 大丈夫、見た目通りに体力には自信があるし、剣術と体術も習って………練習したからしっかり戦えるし!!」

 

 途端、慌てた様子で強引に話を切り替えようとするプレア。それを見て、ディットはちょっと軽率過ぎたかも…と急激に不安になるのだった。

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