チート能力会得してダンジョン潜り ~たまにエロい事します~ 作:塞翁が馬
60階は特に何もなく、これまで通りの薄暗いダンジョンが続いていた。そして、その味気ない通路を邁進するディットとミジマルの混合パーティー。
「はあっ!」
「エアリオンっ!」
ディットの剣による気合の一閃と、ヤシュティーの真空魔法。そして、無言ではあるが同じくアールの銃撃。それぞれが一行の目の前に現れた、3体の巨大な蜘蛛のような魔物を一撃で仕留める。
「…よし! プレア達にまかせっきりという訳にもいかないからなっ!」
「そうです! ササメアさんにはかなわないかもしれませんが、私だって…!」
「本来なら主の露払いは従者の役目。私とて戦えます」
ディット、ヤシュティー、アールの各々が気合の入った声を出す。どうやら、三人…特にディットとアールはプレアとササメアの二人にまかせっきりになっていた現状に少し負い目を感じていた様だ。
とはいえ、まかせっきりになってしまうのも仕方ない。レベルの件を抜きにしてもこの二人が突出して強いのは明確だ。ハッキリ言って前衛プレア、後衛ササメアの基本陣形で、もう向かうところ敵なしと言っていい程だろう。残った者達は下手に戦闘に加わらず、この二人のフォローに回る方が間違いなく効率的だ。
「―――むーん…。別に頼ってくれてても良かったんだけどなぁ…」
「そうですねぇ…。ちょっと寂しいです…」
そんな張り切る三人の後ろでは、プレアとササメアがぼやいていた。不満げに…あるいは言葉通りに寂し気な声色だ。この二人はこの二人で頼られるのが大好きなのだろう。
「な、なあ…。あの化け物蜘蛛一体倒すのに全力だった俺らは、もう完全に戦力外なんだろうか…?」
「………悔しいが、そうなっちまうな」
そして、そんなディット一行を更に後ろから見つめていた槍使いの男二人が、困惑気味に会話していた。そう、先の蜘蛛の魔物は、ミジマルチームが全員が全力で掛かってやっと一匹仕留められるという程の強敵だったのだ。ここは、レベルの差が顕著に出ていると言えるだろう。
「うーむ、確かに悔しくもあるが、おっさんとしては若手が奮迅してくれるのは嬉しくもあるな」
が、その隣にいた弓使いの男の言葉に「まぁ…そりゃ…」「ふっ、そうだな…」と返す槍使い二人を見る限り、この三人はなかなか懐が深い男達のようだ。
「―――ミジマル。ディットさんのレベルの件は伝えないのですか?」
「分かってる。帰ったら伝えるつもりだ。あまり言いふらすもんでもねぇが、こいつらなら大丈夫だろう」
その三人のおっさん達を見つめながら聞くエールヒに、ミジマルもフッと微笑を浮かべながら答える。が、ここでふとミジマルは気づいた。魔術師の男がじっとササメアを見ている事に。
「おい、どうした。まさか、まだなんか根に持ってんのか?」
「あ、ああ、いや、違います違います。あの少女の才能はもう認めております。そうではなく、今更なのですがあの少女…どこかで見た覚えが…」
訝し気に尋ねるミジマルに慌てて否定をした後、頭を指でトントンと叩きながら何かを思い出そうとしている魔術師の男。
「見た覚えって、何処かで会った事でもあるのか?」
「いえ、あの少女とは初対面です。それは間違いない。…ただ、あの顔。あの面影。何処かで……何処かで見た覚えが…………む、むむ……」
難しい顔で唸り続ける魔術師の男。しかし、結局、今探索中にその面影を思い出す事は無かった。
今日の探索で、ダンジョンの地下65階まで一気に到達した。更に、戦利品としていくつかの貴重な武具や道具を入手した。この戦利品は二つのチームで半分ずつに分ける事となった。
当初は殆ど活躍できなかったミジマルチームは戦利品の受け取りを拒否したのだが、ディット達はもっと先に進むことで更なる宝を求める事が出来る事、そして何より、これまでリーダーのミジマルにディットがかなりお世話になった事へのわずかながらの恩返し…という事で、受け取ってもらったのだ。
そして夜。昨日と同じく暗い通路を忍び足で歩くディットの姿が…。
「…はあ。プレアの奴、なかなか勝手なこと言ってくれる」
一つため息を吐きながら、今日の夕方の会話を思い出すディット。拠点となりつつあるエルフ達の宿泊施設にて、ミジマル達と別れた後、プレアがディットに話しかけてきていたのだ。
「にっひっひ…。さあお兄ちゃん、今夜もお楽しみの時間だよ…」
「…プレア。年頃の女の子がそんな中年のおっさんみたいなこと言うのはどうかと思うぞ」
ニヨニヨと少し嫌らしい笑みを浮かべているプレアに、思わず注意してしまうディット。しかし、プレアの表情は変わらなかった…のだが、少しの間嫌らしい笑みを浮かべた後、ふっと真顔になる。
「ササメアちゃんと、できればオルガンちゃんも癒してあげてね。大丈夫、お兄ちゃんなら絶対できるから!」
そうして、ササメアに一喝されてから、歩くこともままならない程に意気消沈していたオルガンの事も含めて頼まれてしまったのだ。が、あの落ち込みぶりはただ事ではない。癒す事などできるのだろうか…? とディットが考えてしまうのも無理はない。
とはいえ、いつまでも真っ暗な廊下で考えても仕方ない。コッソリながらイソイソとササメアの部屋に行き、カードでドアを開ける。中から聞こえるのはやはり寝息。一つのベッドから二つ聞こえる。恐る恐る近づいて確認すると、まっすぐ仰向けに寝ているササメアに、オルガンが両手両足を使って抱きついていたのだ。そのオルガンの顔には涙の跡が…。
(じょ、冗談だろ…? この状態の二人を襲えって言うのか…?)
何だか仲睦まじい様子の二人にディットは思わず怯んでしまう。なんだか犯してはいけない聖域を犯そうとしている感じだ。
だが、オルガンはともかくササメアは望んでいた事だ。それに、実をいうとディットも既にかなり興奮してきているのだ。いろいろな意味で、今更止められない。
寝ているササメアの唇に己の唇を重ねるディット。そして、そのプニプニの唇を堪能した後に離れると、昨日のプレアと同じくササメア…そしてオルガンまでもが目を開いてディットを見つめていたのだ。
「むふふ、これが夜這い…。確かに、何かいい気分ですね…」
二人に見つめられまた少し怯むディットを尻目に、うっとりした様子で呟くササメア。どうやら大層ご満悦な様子だが、対してオルガンは複雑そうな表情でディットを見つめるのみだ。
「それじゃ、ウチは今からディットさんとお楽しみするけど、オルガンちゃんはどうする」
「い、いや…ボクは…。そういうのはちょっと苦手で…」
ルンルン気分でオルガンに聞くササメアだったが、言葉通りにオルガンは少し顔を青ざめさせている。本当に苦手なのだろう。
「うん、分かった。それじゃディットさん。そこに座ってください。まずはウチからご奉仕を…?」
委縮するオルガンに向かって頷いた後。ディットを手招きしようとしたササメアだったが、ディットはその誘いを無視し、ササメアの上に移動して、再びササメアの唇を奪うのだった。