チート能力会得してダンジョン潜り ~たまにエロい事します~ 作:塞翁が馬
翌日、ダンジョンの探索を再開するディット一行。
「うおおおおっ!? なんだこの蜘蛛!? 蜘蛛の癖に火を吹きやがったぞっ!??」
「こころなしか、あのドラゴンより火の勢いが強い気がします…」
火炎放射をしてきた蜘蛛型の魔物に驚くオルガンと、それを魔力の壁で防ぎながら険しい顔で火の勢いを確認するササメア。
出てくる魔物自体は相変わらずこの蜘蛛型の魔物が出現するのだが、この様に深層に行くにつれ蜘蛛型の魔物の行動が多彩になっていくのだ。
この火を吹く奴以外にも、普通に糸を飛ばしてきたかと思えばその糸が名剣もかくやという程の切れ味を誇っていたり、数匹で連携して襲ってくる頭脳戦をする奴らもいた。
「せいっ!!」
火炎放射を終え無防備になった所を、プレアがホイップソードでまっすぐ切りかかる。その一撃を受け、蜘蛛型の魔物は文字通り真っ二つになって倒れた。
「………。やはりこいつの額にも謎の文字があるな。流石に火を吹くだけあってかなり複雑そうだ…」
その死体を調べるディットだが、程なくして口を開く。そう、この蜘蛛型の魔物達に共通する事項として、その全ての額に何やら文字のような物が書き込まれているのだ。それも、頭脳的かつ強力な能力を持っている奴ほど複雑な文字が書き込まれている…という具合だ。
「サンスクリット・エンスですね…。使い魔…という名前の魔物を自由に使役するのに使われたと言われる、魔性の文字です」
そして、その文字を見たヤシュティーも真剣な表情で知識を語る。話を聞くに、この文字はエルフの村にある図書館で見た事がある…との事だ。どうやらこの図書館には膨大な知識が眠っている様であり、ディットも改めて訪れてみたいと思ったところだ。
「使役…という事はこの先にこの蜘蛛型の魔物達を操っている親玉がいる…という訳ですね」
ヤシュティーの言葉を聞いたアールが、通路の先を見据えながら呟く。恐らくは、まだ見ぬ大物に思いを馳せながら。
「………よし、行くか。とにかく前進だ。みんな、油断だけはするなよ」
あらかた魔物の遺体を調べ終わったディットが立ち上がり通路を進む。その後を、他の面々が付いて行った。
そして来たるは九十九階。この階を攻略すればいよいよ百階の大台に突入となる…のだが、案の定その階段の前を蜘蛛型の魔物の集団が占拠していた。
その上、やはりと言うかその集団の中に一匹だけ大柄な体躯の蜘蛛の魔物もいる。多分、あれがこの群れのボスなのだろう。
「これより来たるは神の裁き…終末の炎は全てを喰らい焼き尽くさん! スルト・ブリンガー!」
「ファイアストーム!」
その群れに対し、まずは先制で広域攻撃魔法を打ち込むササメアとヤシュティー。その豪炎に飲み込まれはした群れだが、残念ながらその炎が止んだ後にもまだ生きている奴らがちらほらといる。殲滅率は七割…といったところで、どちらかと言うとヤシュティーのファイアストームの影響が強かった辺りにいた奴らが耐えた印象だ。逆に、スルト・ブリンガーの影響が強かった方はボスを除き完全に全滅している。
「うう、こんな事なら時間も無限にあったんだし神呪の練習もしとけばよかった…っ!」
そのあからさまに威力に差が出ている結果に、悔やむ声を発するヤシュティー。だが、
「十分な結果だヤシュティー! よし、残った蜘蛛共は俺とアールで片づける! プレアはボスを仕留めてくれっ!!」
「分かった!」
「了解」
そんなヤシュティーにフォローを入れながら、プレアとアールに指示を出すディット。と、同時に自身も剣を抜き蜘蛛型の魔物の集団に飛び掛かっていく。
気合の声を上げながらの一撃で、確実に残党を仕留めていくディット。その背後をアールが拳銃で守り、更に少し離れたところからヤシュティーも個別攻撃魔法で援護する。
そしてボス側。プレアの放った一撃に、足を一本切り落とされるボス蜘蛛。しかし、その様な事は意に介した様子もなく、例の切れ味鋭い蜘蛛の糸をプレアめがけて飛ばしてくる!
「なっ!?」
「危ないっ!!」
明確なダメージに全く怯まなかったのが予想外だったらしく無防備だったプレアは驚愕に目を見開くが、その糸がプレアに届く前にその間にできた障壁が糸を阻む。杖をプレアに向けているササメアを見るに、どうやらササメアの瞬時の判断に救われたようだ。
「ありがとササメアちゃん! このぉ、良くもやってくれたな!」
即座に態勢を立て直し、ササメアに礼を言うとともに躊躇なく糸を吐いた口に剣を突きいれるプレア。流石にこれにはボス蜘蛛もたまらない様で、明らかに怯んで2、3歩後ろによろめいてしまう。即座に剣を引き抜き、間髪入れずにジャンプしてからの大上段からまっすぐ振り下ろす一撃をボス蜘蛛の脳天にきめる。
この一撃で、頭を潰されて動かなくなったボス蜘蛛。時を同じく、ディット達も残党の掃討を終えたところだった。
「………こいつの頭にも例の文字がある。つまり、こいつも親玉じゃない」
そのボス蜘蛛に駆け寄り確認するディット。頭の大部分を潰されているが、それでも文字が書かれているのは確認できた。群れのボスという事でかなり頭部の広域にわたって文字を書き連ねられていた様だ。
「と、いう事はこの先にその親玉がいるって事か! よーし、いっちょその面を拝んでやろうぜ!」
ここで観戦をしていたオルガンが、楽しそうに百階への階段へ駆けていく。その後を、ディット達も追いかけるのだった。