チート能力会得してダンジョン潜り ~たまにエロい事します~ 作:塞翁が馬
キュウビ様との情事を終えたその翌日。再び昨夜に宴を催した部屋に呼ばれたディット一行。そして今、この部屋には何とも言えない緊張感が漂っている。
キュウビ様は昨日と同じく先端から煙の出る棒…キセルというらしい…を咥えながらニヤニヤと笑っているだけだ。傍にお供の姿もない。
だが、代わりに彼女の前に一人の幼女が立っていたのだ。容姿はまんまキュウビ様を幼くした感じだ。腰辺りから尻尾がたくさん生えているのも変わらない。唯一違う所が目付きだ。本当にまん丸で、余計に幼く見える。
が、この幼女。ディット一行が着くや否や、ディットに向かってハッキリとこう言ったのだ。
「―――おとーさん…?」
と。
突然の衝撃に固まるディット。しかし、そんなディットを無視するかの如く、幼女は拙い歩きでディットに近づいてきたかと思えば、愛おしそうにその足元に抱きついて来るではないか!
「………キュウビ様。何ですかこの子は?」
「今聞いた通りだ。その
何とか衝撃から立て直し、かすれた声で聞くディットに、しかしキュウビ様はかっかと笑いながら信じられない事を口にする。
「…いや。いやいやいやいや! おかしいですよ!? 昨日の今日で子供なんて出来るかっ!」
「そういう薬だったのよ。昨日わらわが服用したあの薬はな。おう、謎の薬の効果が判明して良かったのう。どうじゃ、すっきりしたじゃろう?」
慌てて否定するディットだったが、対してキュウビ様は楽しそうに笑いながら、これが昨日の謎の薬の効果だと口にする。しかし、どうやらそんなものでは到底納得できなさそうなディットが更なる糾弾をキュウビ様に行おうとしたその刹那、
「か……可愛いいいいぃぃ~~~っ!!」
唐突にディットの後ろから上がる黄色い声。見ると、両頬を両手で覆い、興奮気味に紅潮しているプレアの姿が。
そう確認したのもつかの間、プレアの大声にビクッと肩を震わせた幼女に向かって、ものすごい勢いで詰め寄っていくプレア。
「あっ、驚かせてごめんねっ! 貴女のお名前はなんていうの?」
「え、えうっ…。お、おなまえは、ま、まだ、ないです…」
「そっか。まだないんだね。私はプレアって言うの! これから宜しくね!」
明らかに怯えている…声の大きさだけじゃなくその巨体にも…幼女を前に、膝を地面に付き、出来るだけ幼女と同じ目線になるまで背を落としてから名前を聞くプレア。残念ながら名前は聞き出せなかったが、それでも諦めずに自分の名を名乗り、右手を差し出して握手を求める。
対して、キュウビ様に視線でどうすればいいのかを求める幼女。しかし、キュウビ様は頷くのみだったので、幼女はおずおずとプレアの手に自分の手を伸ばす。とはいえ、手の大きさがあまりに違いすぎるので、幼女は差し出された右手の人差し指を両手で掴んだ。
「うんっ! よろしくねっ!」
幼女が応じてくれたことが嬉しかったのか、満面の笑みで掴まれた指をゆっくり小さく上下に振るプレア。小さく…といっても、幼女側からしたら腕まで動かされるほどの大きな動きだったのだが、それでも幼女もコクンと頷く。
そして、ここで幼女にある変化が起きた。唐突に、頭からこれまた可愛らしい狐耳がぴょこんと生えてきたのだ。
「あっ!? あわ、わ……あ、うあ……」
その変化に気づき、慌てて耳を両手で隠そうとする幼女。
「わらわが人前で耳を晒すのは相手を心から許している時…。その娘もまた、同じ性質を持っているとみて間違いあるまい」
頬を真っ赤にしながら涙目であわあわと耳を隠そうとしている幼女を見つめる一行に、キュウビ様がその変化を説明する。
「それはまた…。何とも可愛らしい理由ですね」
「み、耳がピコピコ動いてる…か、可愛い…っ!」
「ぐっ、こ、こいつは…。確かに非の打ち所がない可愛さだぜ…」
耳を押さえながらうずくまってプルプル震えている幼女に、アール、ササメア、オルガンの三人の注目も集まる。
「こ、子供ってこんなに可愛いんですね…。と、いう事は私もディットさんと情事を重ねればいつかは…」
「いや、今のままでは無理だと思うぞ」
更にヤシュティーが妄想逞しく口を開くが、ここで何故かキュウビ様からダメ出しが入る。
「無理…とは?」
「うむ、先ほど言った薬なのだがな…。説明によれば使えばほぼ一瞬で子を成せる…みたいな事を書いておったのだ。しかし、実際にはその娘を成すのに半日近く掛かったのだ」
そのダメ出しに、ここで初めて顔を険しくして尋ねるプレア。対して、キュウビ様も難しい顔で答える。
「無論、この説明に誤りがある可能性も否定はできんが、他に備蓄されている違う種類の薬はその全てが説明通りの効能を示していたのだ。この薬の説明だけが誤っているとはとても思えん。そして、注意書きの一つに気になる一文がある。曰く、生殖能力の低さによっては時間がかかる場合がある…とな」
手に持ったキセルを揺らしながら淡々と語るキュウビ様。そして、ここで一呼吸つくと、キセルをディットに向けた。
「ディット。お前の精力は大したものだと思うが、その反面生殖能力は異常に低い。ハッキリ言って、この薬を用いても半日もかかるとなると、まともに異性と交わったとしても子を成せるとはとても思えん。この人間とは思えぬ生殖能力の低さ、何か心当たりはないか?」
厳しい顔で質問してくるキュウビ様。そして、ディットとしても思い当たるふしなど一つしかない。あのカラフルな豆にそんな副作用があったとは…。
「その薬があれば子供を作れるんでしょ? だったら別にいいじゃん。むしろ、子供の事を気にせずお楽しみが出来るんだから好都合だよ」
「愚か者め。この薬とてそれなりに貴重な物だ。それをホイホイくれてやる訳がなかろう。どうしてもというのならわらわの願いを聞いてもらう」
憮然とした顔でなかなか性にただれた事を言うプレアに、飛んでくるキュウビ様の一喝。そして、流れるようにキュウビ様の依頼を受ける事となるのだった。