※この作品はR-18です。

チート能力会得してダンジョン潜り ~たまにエロい事します~   作:塞翁が馬

7 / 45
怪しい少女

 メグミが言い放った訳の分からない数字にディットは少しの間ポカンと口を開けて呆けていたが、

 

「メグミさんっていつも雰囲気は緩いですけど、そんな変な冗談言うなんて珍しいですね…」

 

「いや、ホントなんですよー! 信じてください!」

 

 苦笑しながら冗談と決めつけるディットに、メグミは大声を上げる。とはいえ先ほどの説明を聞くだけでも、例えレベル操師とやらではなくてもレベルとはそんな極端に上がるようなものではない感じだ。だというのに、いきなり二桁も跳ね上がるなんて信じられずにディットの様な反応になるのも仕方ないだろう。

 

「―――お兄ちゃん、もしかしてあれの影響じゃない? 無限の神豆…」

 

「無限の神豆!? ディットさんあれ食べたんですか!? へ!? ていうか、何で地上にあるの!? あれは地下500階より先でしか獲得できない筈なのに!?」

 

 ここでプレアが思い出したように口を開くが、反応したのはディットではなくメグミの方だった。それも、結構な慌てようだ。

 

「ち、地下500…?」

 

「このダンジョン地下何階まであるの…?」

 

 そして、その時に漏れ出た言葉に今度はディットとプレアが困惑に震えた声を発する事となる。そうしながらも、ブツブツ呟きながら机の上の”何か”にカタカタと先ほどよりも素早い手さばきで打ち込むメグミと、それをソワソワと見つめ続けるディットとプレア…という図が続いたのだが、

 

「と、とにかく! 今のディットさんのレベルは1024です。このダンジョンの管理者たるこの私が言うのだから、これは間違いありません。いいですね?」

 

 と、何やら強引に結論付けてしまった。その強引さはディットとプレアの二人に告げると同時に、どうも自分にも言い聞かせている様な感じだ。

 

「はあ…」

 

 その強引さに、ディットは少し間抜けな返事を返すのみだった。

 

 

 

 

 

「いや、まあ、メグミさんが言うんなら間違いないんだろうけど、なんか実感ないな…」

 

 メグミとの会話を終え、いよいよ地下2階に降り立ったディットとプレア。とはいえ、ディットの顔は何か納得がいってなさそうなしかめっ面だ。

 

「まあ、特に体に変化がないならそりゃ実感なんて湧かないよね。でも」

 

「あの…」

 

 そんなディットに同調しながらも何かを言おうとしたプレアだったが、不意に背後からかかる声に発言を中断し、ディット共々武器の柄に手をかけながら振り返った。

 

「あ、お、驚かせてごめんなさい! う、ウチはササメアって言います! そ、その、できればお二人のパーティーに加えて頂きたくてお声をおかけさせていただいたのですが…」

 

 そこにいたのは警戒態勢の二人に怯える一人の少女。茶色い瞳の小柄で可愛らしい少女だが、服と一体化している獣の耳を模した飾りのついたフードを被っているため、髪の色や長さは分からない。そして持っている簡素な杖から、どうやら魔術師のようだ。

 

「…もしかして、さっきのメグミさんとのやり取りを聞いてたりした?」

 

「………はい。貴方がレベル操師で、1024なる途方もないレベルに到達している事も聞いていました」

 

 警戒を解かずに質問するディットに、少女…ササメアは少し申し訳なさそうな様子で首を縦に振る。まあ、あんな大騒ぎすれば聞かれてしまっても不思議ではないだろう。そして、ササメアの様子を見るに、そのレベル操師の恩恵にあやかろうとしているのは明らかだ。

 

「あ、あの、ウチは通常の魔術の他に治癒魔術や鑑定魔術も使えます! なので、貴方の力をお借りすれば役に立てる! ………と、思うのですが…」

 

「…鑑定魔術? 他はともかく、そんな物が何かの役に立つの?」

 

 と、自分をディットに売り込んでくるササメアだったが、その宣伝文句にプレアが首を傾げる。

 

「ああ、地上ではあまり使う機会のない鑑定魔術だが、このダンジョンに限っては役に立つ…というか、珍しいお宝が欲しいなら必須と言ってもいい。というのも、魔物から得た物を”宝物”として確定させるのに必要になるんだ。こればっかりは口で説明するより、実際に見て貰った方が理解が早いと思う」

 

 そこにディットからの説明が入る。が、恐らくその実態を口で説明するのが難しいのだろう。本当に簡潔に説明しただけで、具体的な内容は後回しにしてしまった。

 

「しかし、確かに鑑定魔術が使える人材は欲しかったところだ。それに、宝物の質の良さは現在の階層の他にも鑑定魔術を使う人物のレベルにも比例している。俺の技能を使えば浅い階層でも宝物の質を上げられる…という訳か。だが…」

 

 ぶつぶつと呟き考え続けるディット。その呟きを聞く限りではササメアを加えるメリットは多そうなのだが、何故かあまり乗り気ではない様だ。その様子にプレアは不思議そうに首を傾ている。一方、見定められているササメアは上目遣いで懇願の視線をディットに送り続けていた。

 

「…ササメア。一つ聞きたい。何故君は一人なんだ?」

 

 そして唐突な質問を繰り出すディット。途端にササメアはビクッと体を震わせた。

 

「通常の魔術の他に治癒魔術や鑑定魔術まで使えるなんて、もはや賢者を名乗っても良いレベルの実力者だ。それもその若さで…だ。間違いなく天才だろう。ならばこそ、そんな実力者なら引く手あまたの筈だ。こんな二人しかいない貧弱なパーティーにあえて志願する理由などない筈なんだ」

 

 どういう事? と視線で問うプレアに、その理屈を解説するディット。それを受け、プレアは成程…とばかりに首を一つ縦に動かした。

 

「そ、それは先ほど言った通りです。貴方のレベルが非常に高いレベルに到達しているから…」

 

「言われた本人である俺ですら信じられない与太話の様な数字を、傍で聞いていた君は信じたというのか。だったら君の申し出はいいえと答えざるをえないな。そんな調子でこれから先、明らかに夢物語みたいな情報を信じられでもしたらたまったものではないからな」

 

 必死の形相で良い訳を試みるササメアに、しかしディットは冷淡に切り捨てる。が、ササメアも諦める気はない様だ。慌ただしく顔を左右に振り何か良い言い訳を考えていた様だが、それを思いつかないとなると今度は額を地面につける勢いで土下座を始めたのだ!

 

「お兄ちゃん…」

 

 その姿に、流石に哀れに感じたのだろう。プレアが少し悲し気な声色でディットを呼ぶ。それを受け、ディットも少し間を置いてから、はぁー…っと溜め息を吐いた。

 

「仕方ない。このまま土下座され続けても迷惑だ。ササメア、一緒に行こう」

 

「…っ! ほ、ホントですか!? うわっ! やったやったーっ!! う、ウチ、頑張りますぅ!!」

 

 ディットの許可を得たとたん、心の底から嬉しそうに跳び上がるササメア。その様子はほほえましい物があるが、何故かディットの表情は複雑そうなままだ。

 

「お兄ちゃんはあの子がどういう嘘をついていると考えてるの? やっぱり、あの若さでそれだけの豊富な魔術を使えるなんてありえない…とか?」

 

「いや、それはない。そんなものは少し一緒にいればすぐにバレてしまうからな。そこで嘘を吐く意味がないんだ」

 

 そんなディットにササメアに気づかれないように尋ねるプレア。しかし、プレアの考えはディットに否定されてしまう。ならば一体何をそんなに警戒しているのか? と雰囲気で問い質すプレアに、ディットは重々しく口を開いた。

 

「恐らくだがな…。あの子は”アンデッド”だ」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。