つまりそういうことです。前置き回です。エロありませんごめんなさい……
でもあの妙な棚の設定とか頑張って考えたので読んでほしい。
「さて、念の為確認するが、準備はいいな?」
「うん、大丈夫だよ」
シロマが罠にはまって撤退してから二日後、二人は再び、ダンジョンの入口の前に立っていた。
前回は、探索の経験が男よりも多い少女をして、イレギュラーの連続で、命からがらの撤退となった。故に、ここで男の指す「準備」には「心の」という限外の意味が含まれている。
少女はそれを正しく読み取り、その上で強い眼差しを返した。
「ならばよし。それじゃあ行くか」
「うん、行こう」
その視線を受け止めて、少女の心が折れず強さを保っていることを再確認した男は、不敵な笑みでもって返戻する。すると少女は相好を崩し、信頼感さえ感じる笑顔を男に向けた。
否、実際に信頼しているのだろう。少女にとって男は、前回自らの失態を挽回し、死地から救ってくれた命の恩人という認識であるのだから。
よもや、眠りに落ちている間にその慎ましやかな両胸の果実を堪能されていたなど、それこそ夢にも思っていないのだ。
「ふふっ」
「ん、どうした、シロマ?」
「お兄さんもわたしも、お互い命の恩人同士なんだなって思ったら、なんだか不思議な感じで」
「ああ、そういうことか。……なに、俺は精々君を連れて逃げ帰っただけだ。返すべき恩にはまだ足りんさ」
「足りてるし、そういうことじゃないんだけど……まあいいや。改めてよろしく、お兄さん」
少女の視線に含まれる色に、信頼の度合いが濃くなっていることなど、自分が少女に何をするかばかり考えている男に気づけるはずもなく、やや的の外れた答えを返す。そんな男に少しだけジトッとした目を向けた少女だが、嘆息一つで気持ちを切り替え、先導するように歩を進める。男は少女の後ろにつき、数歩遅れてダンジョンに踏み込んでいく。
前回とは異なり、背後から少女を見つめる視線にドロッとしたことが含まれていることも、その視線の先に歩みにつられてその曲線をローブに浮かべる少女のおしりがあることも、前に行く彼女には知る由もなかった。
「さて、問題はここからだな」
少女のおしりの形を存分に堪能しながら、順調に歩みを勧めた男がその言葉を放ったのは、一階層の階段の前。ここは前回同様、特に何の問題もなく進むことができたが、問題となるのはこの先だ。
前回は、この次の階層であの黒ゴブリンに遭遇した。モンスターが同士討ちを行い、別次元とも思える強さの個体へと変化した。自分たちはそれから逃げ去っただけ。ダンジョンは入るたび構成を変えるが、あれがまだ存在している可能性は否定できない。
「もう一度確認するぞ。俺たちではあの黒ゴブリンを倒すのは無理だ。逃げ切るのも難しいだろう。遭遇したら?」
「すぐにテレポのしおりで帰還、だね」
「あぁ、別に奴を倒すことが目的ではないし、命あっての物種だからな」
仮にいなかったとしても、同様のことがあって別の個体が発生する危険性もある。通常のゴブリンは二人いれば取るに足らないレベルだが、油断していると足をすくわれる。用心に越したことはなかった。
前回を教訓とし、各々が一枚ずつしおりを所持しているし、マップカードもデブチョコボの店で仕入れた。これさえあれば、その階層ではモンスターの位置なども把握できるため、不意を打たれることもそうはないはず。準備は万端ではあるが、やはりトラウマは簡単に拭い去れるものではなく、二人は階段を見つめて息を呑む。
「シロマが探索しているときに、あんなことは無かったんだよな?」
「うん……だからこないだは驚いたんだ。物陰からスケルトンが飛び出してきたり、そういうことは何度かあったけど、あんな風にモンスターがモンスターを倒して強くなるなんて思ってなかった」
「珍しいことなのかもしれないが、それが『起こらない』というのを前提にするのは危険だ。この先はより慎重に行こう」
「そうだね、行こう」
神妙な面持ちで自分の言に頷く少女の健気さに、思わず股間に血が滾りそうになる男だったが、このときばかりは理性で持ちなおす。この先は魔境。なにかにうつつを抜かしては、それこそ現世からおさらばになりかねない。
意を決し、階段へと踏み出す二人。自然と、男は少女より先に出て足をかけた。
少女は、その何気ない(男にとっては本当に何かを考えたわけではない)行動に、どこか胸の奥にほのかな熱を覚えたような気がしたが、置いていかれるわけには行かないと、それには頓着することなく男のあとに続く。
そうして階段を下りきった先で、二人の目に飛び込んできたのは、やはりではあるがなんの変哲もないダンジョンの小部屋だった。
「まずは、いないな」
「そう、みたいだね」
周囲を確認すると、黒ゴブリンどころかモンスターの一匹さえ見当たらない。ひとまずは安心だが、それに身を委ねる気は双方ともにさらさら無かった。
「まずはマップカードを……よし、前回より入り組んではいるが、規模はそこまで広くないみたいだ」
「小部屋の数もそんなにないね。階段も隣の部屋にあるんだ」
アイテムによって得た階層の情報を整理してみると、マップの上の方に小部屋が三つ連なるようにあり、あとは二人のいる何もない小部屋と階段の部屋が半ばに、少し長い通路の先にもう一つ小部屋があるという簡素な構成だった。
ひとまず、アイテムがあることを示している光点がある上の小部屋へと向かうことにする。
「これは、書棚? こんなもんまであるのか」
そこにあったのは、床に置いてある宝箱が1つと、更にいくつかの棚だった。ちょうど本や雑貨が入りそうな棚で、見れば、何冊かの本やアイテムが陳列されている。
「なんの本なんだろうな。うおっ!?」
そこから男が一冊本を抜き取ると、それ以外のものが霞のように消え失せる。どうやら、この棚はひとつでもそこに並ぶアイテムを抜き取ると、それ以外が消失するらしい。
「あ、お兄さん、それ魔法の本だよ」
「魔法の?」
「うん、ファイアの本だね。これを読むと、使い捨てだけど一回だけ魔法が撃てるの。いくつか種類があるんだけど、これは火の玉を出して攻撃できる魔法なんだ。そんなに威力は強くないけどね」
男が取った本には、なるほど、少女の解説通り、炎を象ったような印章が表紙にあしらわれている。
「便利だな。こいつを集めたら、もしかしたらあの黒いのも倒せるかもしれない」
「かさばるけど、持っていく価値はあると思うよ。かまどとかに火を着けたりもできるから」
「かまど?」
「うん、ダンジョンの中にたまに出てくるんだ。魔法のかまどみたいで、武器とかを合成したりできるんだよ。ダンジョンの中には色んな武器が手に入る宝箱とかもあるんだ」
「なるほど、そんなものもあるんだな。知れば知るほど変な場所だ」
男の嘆息に少女が苦笑を返す。散々に辛酸を舐めさせられている場所のくせに、手に入るものは粒ぞろいで、中々に人の欲というものを刺激するような、という意味を込めた「変」の総評は、端的かつ共通認識として間違っていないがゆえに。
あの白いのがダンジョン前で言っていたことも、強ち間違いではないなと男は思う。確かに、いろんな意味でお宝にはありつける場所だ。対価となるのがそれに見合うかは評価の分かれるところではあろうが。
魔法の本も、魅力的なアイテムであることに変わりはないが、男の大目標とは少々毛色を異にする。黒ゴブリンの討伐自体には、意味も価値もあまりない。遭遇そのものが危険なので、足止めの材料の一つになるかもしれない、程度の価値認識だ。もう少しコンスタントに手に入るのなら、性能実験をしておきたいところだった。その「火の玉」とやらがどの程度の威力なのか、そして、発動が咄嗟にできるものなのか。少なくともその二点を確かめなければ命を預けようとは到底思えなかった。
「他の棚にあるのは、薬瓶と、カードか……ポーションはデブチョコボの店で少し買ってあるし、こっちにしてみるか」
興味を他に移し、次の棚を物色する。もっともらしく理由付けをしてカードを取るが、これには勿論思惑がある。男の目的はどこまで行ってもあの「眠らせるカード」なのだから。それを少女に悟られるわけにはいかないし、できればそういった効果があるカードが存在することも。幸いにして、以前ダンジョンから吹っ飛ばされた時のことはごく主観的な部分しか少女には伝わっていない。「モンスターから逃げ回った」「吹き飛んだ時に助かったのはアイテムのお陰」とは言ったが、その時どんな効果のアイテムがあったかというのは、本当に数種類しか伝えていないからだ。
運よく、ではあるが、情報の秘匿は最低限出来ている。あとは、今手に取ったものがどのカードかということだけなのだが。
(識別のカードを使うにもな)
できれば、カードの効果はすでに見せてしまったいくつかを除いて、シロマには見せたくない。
「そういえば、シロマはダンジョンの中でどんなアイテムが手に入るかっていう知識はあるのか?」
カードを取ったことで霧散していく他のアイテムを見ながら、何気ない体を装って男が少女に尋ねる。魔法の本の知識もあり、かつ男より先んじて探索を始めていた少女だ。そもそも、あの眠らせるカードの存在を知っていてもおかしくないということを失念していたということに、男は思い至ったのである。
「うーん、前にも言ったけど私、ダンジョンそのものを調べるのが目的だから、アイテムや施設に関しては正直そこまで詳しくないんだ。そういうのは、デブチョコボの方が詳しいかな。私のはその受け売り」
「例えば、このカードを見てどんな効果か分かるか?」
「うーん、ひやけしたカードだなぁってことしか……」
「そうか。一応、模様に法則性はあるみたいなんだが、同じのを複数持ってないと見た目だけじゃ判別が付かんな……ちなみに、どんな効果のカードがあるのか、シロマが知っているだけ教えてほしいんだが」
「そんな多くないけど、何種類かは知ってるよ。えーっとね、まずデブチョコボの店でも売ってるのが、マップカードと識別のカードでしょ。あとはお兄さんが使ってた、泉を湧かせるのと、ワープカード、前にデブチョコボが教えてくれた、記憶を失っちゃうのとか、識別のカードよりもっとすごいカードがあるらしいってことくらいかな……」
「もっとすごいカード?」
「なんかね、一枚だけで持ってるアイテムのほとんどの情報が手に入るカードがあるんだって」
「へえ、そりゃすごい」
「カードについてはこのくらいだし、他のもほとんど似たようなくらいしか知らないの。ごめんね?」
「謝ることはない、十分参考になった」
「不用意に使うと大変なことになるっていうのは、デブチョコボにすっごく念を押されたからね。集めたこともあんまりなくて」
「ははは、彼らしいが、少し心配性すぎるな」
「そうかも、ふふっ」
聞き出したいことを聞いた男は、いかにも穏やかに会話を切り上げ、それを荷袋に入れる。小物入れサイズに見えるが、これも魔法の道具で、見た目以上に中に物がはいる優れものだ。シロマも咄嗟に取り出したいものだけ別にして、同様の荷入れを持っている。どちらも、ダンジョンに入る男や少女を心配したデブチョコボが譲ってくれたものだ。もちろん限界はあるが、ダンジョンで手に入るものなら二十から三十は収納できるうえ、中に入ったものの重さは何故か感じないという利便性は重宝するものだ。
ひとまず、シロマがあの眠りのカードの存在を知らないのは確認できた。それもこれも彼女にアイテムの危険性を啓蒙してくれたデブチョコボ様様だ。
結局、その部屋ではそのカードの他、宝箱から出てきたかんそうした実だけが手に入った。この実も、とりあえず食べたりはせず、余裕のあるうちは拾っておくことにして次へと進む。
「ここには……おっ、床にボトルがあるぞ、泉が見つかるかもしれないし、一応拾っておこう」
「お兄さん、ちょっと楽しんでる?」
いつの間にか、色々と没頭していた男に少女が苦笑交じりに指摘すれば、自分でも気づいていなかった喜色に男はバツの悪い顔を見せる。
「すまん、手助けとしているのに、他に気を取られてたな」
「あ、別にそんな責めたりとかしてるんじゃなくて。お兄さん、この何日かはすごく頼りになる人って印象だったから、そういう顔もするんだなぁって」
「そんな顔?」
「おもちゃで遊ぶ子供みたいな顔って、ふふ、失礼かな」
無防備に楽しんでいたと言外に含まれた気がして、男は恥ずかしくなる。実際、今この瞬間だけは、少女のことよりアイテムを採集することに夢中になっていただけに、言い訳のしようもない。本性はおもちゃで遊ぶどころか、少女を性玩具にしようとしている下衆の極みなのだが。
「つ、次の部屋に行くか」
「ふふっ、はぁい」
明らかな誤魔化しでお茶を濁そうとする男は、通路を抜けて早足に部屋へと入っていく。その後に続く少女も、魂胆は見え見えであったがそれ以上は追撃しなかった。
その次の部屋にも、宝箱がいくつかと棚が三つあり、そこでもまた男はカードを手に取る。
「お兄さん、カードをよく集めるよね、どうして?」
「前にモンスターから逃げたとき、カードの中に、モンスターに当てるとモンスター同士で同士討ちをしたり、その場から動かなくなったりするカードがあってな。それがあればなぁと思ってる」
「へえ、そんなのもあるんだね」
少女の何気ない疑問は、特に疚しいところがある男にとってはクリティカルヒットなものだったが、いつかその質問が来ると予測していた男は、用意していた淀みない回答で凌ぐ。
カードのない棚からは薬瓶を、宝箱から今度は別の魔本を手に入れ、それなりに荷袋の中が賑々しくなってきた。識別していないから、どれがどんな効果を持つアイテムなのかは分かっていないが、たとえ目的のものでなかったとしても、デブチョコボが買い取ってくれればそれなりの資金にはなるだろう。
男がそんなことを考えた矢先のことだった。
「さて、この部屋ももうほかにはめぼしいものは無さそうだし、次へ」
少女に先を促そうとしたその時、男の踏み出した足の先、地面にいきなり穴が空いたのだ。その穴の中は、まるで星空のような『なにか』に満ちているような、そう男は認識するが、その踏み出した足は止められない。
男の声に振り返った少女も、ちょうどその瞬間を目撃する。
「お兄さん!!」
「シロ」
男の声が途中で掻き消える。それも、その姿諸共に。あとに残ったのは夜空を湛えたような不気味な穴と、そこで立ち尽くす少女。
「お兄さん……そんな……」
人を消し去る罠、そんな恐ろしいものがあるとは少女も思っていなかった。単純な落とし穴は見つけたことはある。しかし、どう見てもこの穴はそういったたぐいのものではない。
「ううん、きっとどこかにいるはず。探さないと」
しかし、それがイコール死であるとは少女は考えない。というのも、消え方に見覚えがあったからだ。
(これ、きっと転移の罠だ)
そう、あの黒ゴブリンに男がカードを投げつけたとき。あの黒ゴブリンのように空間に吸い込まれるように男は消えた。そのゴブリンは、フロアの別の場所で徘徊を続けていた。また、少女には男にない知識として、これまでの探索の中で、紫色の魔法陣という転移の罠を見たことがあった。あれは魔法陣同士を繋いだ場所と場所を跳躍するものだったが、この場合はカードのとき同様に行き先が分からない。男もまた、その状況に陥ったと考えるのが妥当だと、少女は結論づける。
「無事でいてね、お兄さん」
先程通ってきた通路に踵を返し、少女はその先へと進む。男がそばにいないことが、いつの間にかやたらと心細いと思う。黒ゴブリンの危険が及ぶ可能性もあってか、その足取りは普段より速足だった。
「ここは……」
一方その頃、男は突然変わって、しかし代わり映えはない景色に面食らっていた。ダンジョンの中なのは変わりないが、明らかに別の部屋だということは分かる。先程までいた部屋と違って、棚もなにもない小部屋だったからだ。
男からすれば少女が突然消えたようなものだが、自分の状況はそのおかげで把握した。ワープカードのような効果を持つ罠にハマったのだろうと、少女と同じ結論を付ける。
「そうだ、マップカードは……」
男がカードを取り出す。マップは未だに残っていて、男の位置は長い通路の先の小部屋にあるのだと分かった。敵意を持つ赤い光点が何体か徘徊しているのと、男を示す光点と同じ色の光点が真っ直ぐに進んでいるのを見て取る。おそらく、その光点はシロマであるはずだ。
「兎にも角にも、まずは合流するか」
マップカードのおかげか、そこまで混乱せずに済んだことに安堵の息を吐く。踏み出した男は、しかしここが一人きりで気を抜いていい場所ではないことを失念していた。
その踏み出した足の先に、またも何らかの罠が出現したのだ。
「しまっ……」
後悔すでに遅く、男の足がその罠を踏む。せめて、変な罠でないことを祈るしかなく、思わず瞑目して身構えた。
次の瞬間襲ってきたのは、急激に身体が潰されるような、しかし痛みのない不思議な感覚。それが一瞬だけ。
そろり、とゆっくり瞼を開ける。周囲の変化を確認すると、天井が高くなったように思える。またも転移かと思いマップカードを確認するも、位置も変わっておらず問題ない。そこまで確かめた時点で、とびきりの異変に気がついた。
「ナ、ナンダコノ手ハ……」
カードを持つ己の手が、見覚えのある別のものに変化している。カードを取り落とし、己の身体をペタペタと触れば、腕どころではない、爪先から頭のてっぺんまで、慣れ親しんだ人間のそれではなく……
「ごぶりんジャナイカ……」
どう見てもモンスターのゴブリンだった。
(身体そのものを変化させる罠だと!?)
次から次へと襲いかかるダンジョンの理不尽に辟易とする男。魔法のたぐいは永続であったためしがないので、きっとこれも一時的なものなのだろうが、「いまゴブリンに変わる」という状況そのものは非常に間が悪い。なぜならーーーー
(これではシロマと合流できん!)
はぐれたシロマにとっては「モンスターの一匹」にしか見えないのだ。今紡いでいる言葉とて、男にとってはちゃんと聞こえているが、少女に通じる言語として出力されているのかがわからないため、不用意に遭遇するとそれこそ攻撃されかねない。
幸い、マップカードで彼女の位置は把握できる。業腹だが、効果切れまではシロマからも逃げるしかない。
また、その頃少女視点では。
「あ、そういえばお兄さんはマップカードを持ってたんだ」
少し歩いたあたりで、少女は男が地図を持っていたということに気づく。
ならば、と足を止める。もし予想通り同じフロアのどこかにいるのなら、暫く待てば向こうから合流してくる算段が高い。だとすれば、無理に動くのは体力面から見ても罠の危険性からしても下策だ。場合によっては転移先で彼がテレポのしおりを使ってすでに帰還している可能性もある。ある程度の時間を待って、もし現れないようなら自分も帰還するという手だって取れる。
少女は次の小部屋に向かうと、壁を背にする形で部屋を見渡せる位置に陣取った。これなら、不意を打たれることもある程度防げる。あとは信じて彼を待つだけ。
最悪の可能性だけは考えないようにして、少女は息を落ち着かせる。しかし、心中は動揺していたのだろう。心細さもあったのだろう。
しかし少女は気づくべきだった。ここで、彼がマップカードを持っているのなら、自身が先に帰還すれば、その情報が彼に伝わるという可能性に。
それに気が付けなかったことが、このあと少女自身を危険に晒すことになるなど、もちろん知る由もなく。
次回、シロマにエロい危機が!