閉ざされていたまぶたがゆっくりと開く。
ベッドの上で眠っていた輝男が、ゆっくりと目を開ける。
体を起こしながら腕を伸ばすと、閉ざされたカーテンの隙間から日差しが差し込む。
傍にあるデジタル式の時計を見ると、“am 07:05”と時刻を表示している。
ベッドから降りようとする輝男だが、ふと、枕元に目を向けると、包み紙に包まれた小箱が一個、置いてあるのに気付いた。
(何だ? これ……)
小箱を手にすると、訝しげに首を傾げる。
どうやら、寝ている間に何者かが枕元に置いたのだろう。
しかし、すぐに小箱を机上に置くと、パジャマから学校の制服に着替える。
心当たりがなく誰が持って来たかわからない得体の知れぬ小箱を顧みないまま、自室を出て行く。
リビングで、いつも通りに朝食を取る輝男。
食事を進める輝男の横で、瑠奈は何故かチラチラと横目で義兄を見る。
何かを探り、何か言いたげな顔を見せる瑠奈だが、輝男はまったく気に留めようとしない。
朝食を食べ終えてしばらくすると、カバンを手にした輝男がリビングに姿を現す。
「じゃあ、行って来るね」
「気を付けて行ってらっしゃい」
登校する旨を告げる輝男に、真純が言葉を返す。
いつも通りの朝の光景の中で、瑠奈は何故か不機嫌な顔を見せる。
傍にいる真純は、瑠奈の不機嫌な顔を認めてクスッと笑みをこぼす。
「まぁ、瑠奈ったら……。どうして、そんな顔をするの?」
「だって、お義兄ちゃん、全然、気付いてくれないんだもん」
「そんなことないわよ。輝男さんも、既にわかっているから」
「わかってるならどうして?」
「あの場で、瑠奈にお礼を言うのが恥ずかしかったんでしょ?」
「もう……アタシとママしかいないんだから、恥ずかしがることもないのに……」
瑠奈は真純と言葉を交わすと、頬を赤らめながら唇を尖がらせる。
間も無くして、輝男に遅れること数分、瑠奈も登校のためにリビングを出る。
快晴の冬空が見下ろす中、輝男は自転車を軽やかに走らせながら登校の途に着く。
(瑠奈のヤツ、俺が寝ている間に寝床にわざわざ……。ご苦労なこった……)
内心、半ば呆れたかのようにつぶやきつつも、若干、嬉しそうな顔を見せる。
その脳裏には、朝、起きてすぐに気づいた枕元の小箱が浮かび上がっている。
どうやら輝男は、あの小箱の正体が何であるかわかっているようだ。
しかし、それ以上のことは何も言わず、黙々と道を進める。
やがて、輝男の目の前には、明朝学園高校の校舎が遠くに見えてきた。
◇ ◇ ◇
生徒玄関内で、輝男は自分の下駄箱の扉を開ける。
扉の内側には、内履きの他に、リボンが縛ってある包み紙でラッピングされた小箱が四個あった。
下駄箱の中にある小箱を見ると、輝男は思わずため息を付く。
すると、
「よぉ、天江」
横から輝男に呼びかける声が聞こえてきた。
横からの呼び声を認めると、輝男はすぐに下駄箱の扉を閉める。
すぐに声が聞こえてきた方を振り向くと、一人の男子生徒が歩み寄ってきた。
「何だ、小中か」
歩み寄る小中高大(こなか・たかひろ)の姿を認めると、ため息交じりに言葉をかける。
薄めのフレームをしたメガネに、平々凡々だがやや軽薄そうな容姿――
耳に届く程度の黒の頭髪――
痩せぎすでも肥満体でもない、均整の取れた体格――
どこにでもいそうな風貌をした小中高大は、輝男の前に立ち、話しかける。
「なぁ、天江、俺と競争しないか?」
「競争? もしかして、今度の期末考査のことか?
悪いけど、それなら遠慮させてもらうぜ。
俺、一度もお前にテストで勝ったことはないんだ」
「そんなんじゃねぇよ」
「じゃあ、何なんだ?」
「今日のバレンタインデーに、どちらが女の子からいっぱいチョコもらうかを競争するんだよ」
ドヤ顔で言って来る小中に、輝男は呆れ顔で唖然とする。
一瞬、言葉を失うも、すぐに口を動かす。
「そんなくだらないことで、俺と競争するつもりなのか?」
深くため息を付き、呆れ果てた調子で言葉を返す。
「くだらないとは何だ、くだらないとは!?
今日は、一年で一番、男の真価が問われる大事な日なんだ!
女の子からもらうチョコは、男にとって、どれだけ人から愛されているかを示すバロメーターなんだよ!
もらうチョコが多ければ多いほど、男は明日への生きる希望を大いに募らせることができるんだ!」
小中は場所をわきまえず、拳を握り締めながら持論を力説する。
輝男は小中の今の力説に賛同する代わりに、改めて呆れ顔でため息を付く。
「競争したいのなら、他のヤツとやってくれ。
悪いけど、俺はそんな不毛なことに、一々、首を突っ込みたくないから」
「何だよ、付き合い悪いヤツだな……
まぁ、いいか。後で、俺がどっさりチョコをもらってもほえ面をかくなよ」
小中はそう言うと、輝男を置いて、一人、校舎の中へと入って行く。
遠のく小中の後ろ姿に、輝男はため息を付く。
(小中のヤツ、どこからそんな自信が出てくるんだ……?)
自分に勝負を申し込んで来た同級生男子に、内心、呆れ果てた思いをつぶやくと、
(アイツ、女の子に目が無い、どうしようもないスケベだけど……
……それでも、小中のヤツ、定期考査では常に俺より上位なんだよな……
成績優秀だけどスケベという点では、あの東といい勝負だけど……
ヤツと違って、自分の成績を鼻にかけないし、人当たりもいい方だからな……)
小中の人となりに思わず感嘆の念を漏らす。
すると、間も無くして、輝男も内履きに履き替えて、校舎の中へ入ろうとする。
それでも、下駄箱に入ってあった小箱をひそかにカバンの中に入れるのを忘れない。
恐らくは、小箱の正体が何であるのかを既に理解しているのかもしれない。
◇ ◇ ◇
校舎に鳴り響くチャイムの音が鳴り止む。
しばらくして、教室内から何人かの生徒が出て来た。
輝男もまた、用事か何かで教室から出て来る。
廊下を歩いていると、向こうにある光景に足を止める。
(あれは……?)
何かに気付いて、視線の先にあるものを見つめる。
「お前ら、学校に余計な私物を持ち込んではいかんと言っとるだろうが!」
輝男が背中越しに見ていることなど気付く由もなく、石上が怒号を上げている。
厳しい強面で叱責する先には、二人の男女生徒が萎縮したまま立ち尽くしている。
「す、すみません……でも、今日はバレンタイン…」
「バレンタインだか何だか知らんが、余計な私物の持ち込みは校則違反だぞ!
それに、ここは勉強する場であって、お菓子を持ち込んでいい場ではない!
そもそも、期末考査も近いのに、下らんことにうつつを抜かしている場合ではないだろ!」
女子生徒からのしどろもどろの弁明を、石上は厳然とはね付ける。
すると、
「石上先生、今日ぐらいは大目に見てやって下さい」
向こうから歩み寄って来た理華が、笑みを浮かべながらやんわりと言葉をかける。
「しかし、とんでもない例外を許せば、校則違反など何でも無いことを生徒に思い知らせることになりますが……」
石上は厳しい表情を見せつつも、理華の今の言葉に対して困惑の念を返す。
理華は、石上の今の言葉にいささかも動ずる様子を見せない。
「お気持ちはわかりますが、彼女たちだってそれくらいの分別は付いてますわ。
こういう時だからこそ、たまの息抜き代わりにやっているんですから」
そう言うと、着ていたジャケットのポケットから、包み紙でラッピングされた手のひらサイズの小箱を取り出した。
そしてすぐに、石上にこっそりと手渡す。
石上は、小箱を手渡す理華の手の感触にその場で思わず顔を赤らめる。
「今回だけは許してあげて下さい」
「は、はい……」
笑みを浮かべてささやく理華に、石上は顔を赤くしながら、緊張しきった面持ちで返事をする。
理華はその場を去ると、そのまま階段の手前に差しかかった。
すると、
「先生」
後ろから、理華に呼びかける声が聞こえて来た。
理華が振り返ると、輝男がその場に立っていた。
「さっき、石上先生に何か渡してましたけど、それって、まさかチョコですか?」
輝男の今の問いに、理華は一瞬、顔を真っ赤にして言葉を詰まらせた。
「み、見てたの……!?」
「いや、たまたまですけど……」
思いっきり恥ずかしそうな顔でたずねる理華に、輝男は気まずそうな顔を装いながら返答する。
すると、輝男は半ばからかうかのような笑みを理華に見せる。
「ちなみに、“イシテツ”…じゃなかった、石上先生にあげたのって、本命ですか? それとも義理?」
輝男の今の問いに、理華は顔を真っ赤にしながらも憮然とする。
しかし、すぐに輝男の右耳に左右の手を添えると、ボソボソと声を潜めて何か言ってきた。
理華の今のひそやかな言葉に、輝男は率直な笑みを浮かべる。
「さすがですね、先生」
「もう、大人をからかうもんじゃありません」
理華は不機嫌に言葉を返すと、
「…後でチョコをあげるから、このことは誰にも内緒にしてね……」
輝男の耳元にそうささやきかける。
「そんなこと、わざわざ言わなくても、誰にも言いませんから」
輝男が言い返すと、理華はそのまま一人、階下へと下りていく。
階下へと遠のく理華の姿を、輝男は愛しそうに眺める。
◇ ◇ ◇
教室内や廊下に、生徒たちのざわめきが響く。
彼らは皆、緊張から解き放たれたかのような様子でくつろいでいる。
ある者は教室内で弁当を食べ、また、ある者は仲間内で雑談に興じている。
教室内に掛かっている時計は、一時五分を指している。
昼休みのただ中にある校舎内の一角、屋上手前の踊り場に、一組の男女生徒がいる。
「はい、これ……」
桜月は、制服のブレザーのポケットから、包み紙でラッピングされた小箱を目の前にいる輝男に差し出そうとする。
「もしかして、チョコ?」
輝男がたずねると、恥ずかしそうに顔を赤らめながらこくんとうなずく。
「教室とかだとどうしても皆の目があって……」
「大事な話があるから、ここに来てくれって言ってたけど、まさか、こんなことだったとは……」
輝男はそう言うと、桜月に柔らかな笑みを見せる。
「でも、せっかくだから、ありがたく頂戴するよ」
桜月にそう言葉をかけると、彼女から小箱に入れられたチョコを受け取ろうとする。
しかし、次の瞬間、差し伸べられた輝男の手を拒むかのように、小箱を持つ手を引っ込ませた。
「お、おい、どういうつもりなんだ?」
まさかの行為に、輝男が戸惑いに満ちた声を上げる。
桜月は小箱をギュッと抱き締めながら、ほんのりと頬を赤らめて輝男を見つめる。
「輝男君……して……エッチして……」
「エッチって……まさか、ここで……?」
輝男が恥ずかしそうに顔を赤らめながらたずねると、桜月はまたもこくんとうなずく。
「エッチしてくれたら、チョコあげるから」
桜月の今の言葉に、輝男は半ば呆れたかのようにため息を付く。
「……ったく、エッチなんて何度もやっているのに……」
「だって、このところ、他の女の子と一緒だったから……
たまには、輝男君と一対一で……二人きりのエッチがしたいの……」
そういう桜月の脳裏には、新年早々、七海、輝男と三人でしたラブホでのセックスや、その後のスキー旅行で瑠奈、七海も交えて行なった露天風呂でのセックスの模様が克明に浮かび上がっている。
輝男とのセックスにはやぶさかではない桜月だが、正直、他の少女たちと交えてのセックスに少なからぬ不満が無いわけではまい。
桜月としては、最愛の男と二人きりでジックリとセックスしたいという気持ちの方が強いようだ。
そんな桜月の気持ちを認めてか否か、輝男はやや恥ずかしそうに顔を赤らめながら、桜月と向き合う。
「それがいいって言うのなら……俺も……」
言葉少なく応諾の返事を言う。
階下から、ざわめきが小さく聞こえて来る。
他に誰もいない静まり返った屋上手前の踊り場で、輝男と桜月は真正面に向き合いながら唇を重ねる。
抱き締め合い、何度もキスを交わす。
輝男は桜月とキスをしながら、スカートに覆われた彼女の美尻に左右の手を這わせる。
半開きになった唇の隙間に、輝男が舌先を差し込ませる。
桜月と舌先を絡ませ合うと、同時に、スカート越しに彼女の美尻を撫でさする。
うねうねと絡み合う舌の感触と、唾液が跳ねるような音、そして、スカートとその下にある下着の質感、更にその下にある美尻の肉感を、輝男は重ねて堪能する。
「んっ、んうぅっ……んふぅ……」
絡み合う舌の隙間から、切なそうなうめき声が漏れる。
輝男はディープキスを続けながら、まるでセクハラか痴漢のように、桜月の尻をスカート越しに撫で続ける。
二重のみだらな責めに、桜月は顔を赤らめ、かすかな吐息を漏らす。
「んうぅ……フゥ――…フゥ―――……」
艶やかなうめき声に混ざって、切なそうな吐息が輝男の耳や頬にかかる。
やがて、輝男と桜月はディープキスをやめた。
すると、桜月はそのまま膝を屈し、輝男の制服のスラックスに手をかける。
ジッパーを下ろし、内側から陰茎を取り出す。
桜月の手には、若干、固く、立っている肉の棒が握られている。
桜月は陰茎の先端にチュッとキスをすると、口を開け、ゆっくりとくわえ込む。
「んっ、んうぅっ……んうぅっ……」
ゆっくりと口を前後に動かしながら、かすかなうめき声を漏らす。
輝男は直立したまま、ジックリとフェラチオをする桜月を見下ろし、ため息を付く。
(桜月の口の中……柔らかくて、温かい……)
自分自身を包む口腔の生温かく柔らかな感触に、内心、感嘆の念を漏らす。
輝男が深く嘆息する中、桜月は口の動きをペースアップさせる。
唾液が跳ねるような音が、陰茎でふさがれた口元から響き、
「んんっ、んぐっ……んくぅっ……」
桜月のうめきも、艶やかにトーンアップする。
優しく撫でるようだった口腔の動きも、ハッキリとこすり付けるそれへと変わっていくのが、輝男自身にも痛感される。
「いいよ、桜月……とても、上手いよ……」
輝男はフェラチオを続ける桜月を見下ろしながら、そっとささやくように声をかける。
真上から頭を優しく撫で、桜月の懸命な奉仕に応じる。
一方の桜月は、輝男自身をしゃぶり続けながら、
(輝男君の……私の中で固く……大きくなってる……)
内心、恍惚の念をつぶやく。
陰茎をくわえたままウットリと頬を赤らめる桜月は、自分の口内で、輝男自身が固さ、大きさを増していくのを実感する。
唾液が跳ねるような音が絶えず響き、
「んんっ、んぐっ、んうぅっ……!」
半ば息詰まるようなうめきが併せて聞こえてくる。
(ヤバい……桜月のフェラ……気持ち良過ぎる……)
内心、深く嘆息する輝男は、桜月の口内で自分自身が固く膨張していくのを、否が応にも痛感する。
口でもって刺激を加え続ける桜月の動きは、輝男に得も言われぬ快感ととめどもない昂りをもたらして止まない。
絶えずもたらされる生温かく柔らかな刺激は、輝男の中で欲望を果てしなくわき立たせていく。
すると、桜月は大きく息を吐きながら、輝男のモノを口から離した。
唾液と先端から漏れた別の液にまぶされた剛直は、天を向くように固く突っ立っている。
輝男は、桜月のフェラによって固く膨張した自分自身に、顔を赤らめながら言葉を失う。
わずかな沈黙の後、膝を屈したままの桜月に目を向ける。
「桜月……」
恥ずかしそうに顔を赤らめながら呼びかける輝男に、
「わかってる……」
桜月は笑みを浮かべながら、一言、応諾の返事をする。
ウットリと頬を赤らめ、乞うようなまなざしで輝男を見上げる。
桜月は、屋上出入口横の壁に両手をつけながら直立している。
桜月の右足首には、はいていた黒のタイツと白のショーツが引っかかっている。
タイツとショーツ以外は制服を着たままの桜月の背後に、剛直を露呈させただけの輝男が立つ。
桜月のスカートをめくり、色白でプリッとした肉付きの美尻をあらわにする。
美尻の真ん中にある秘裂に、剛直の先端をあてがう。
「あぁっ……」
固く大きなものが当たる感触に、桜月は思わず声を震わせる。
輝男は桜月の裸の美尻を左右の手でつかむと、一気に腰をぶつけた。
「あぁっ……!」
輝男の猛進に、桜月はビクンとのけ反ると、息詰まるかのような喘ぎを発した。
今の喘ぎを合図に、輝男は腰を前後に動かし始める。
腰と美尻がぶつかり合う乾いた音に、
「あぁっ、あっ、うぅっ、うっ、ハァッ……」
声を殺すような喘ぎが重なって聞こえる。
「桜月……どうだ……?」
律動を繰り返しながら輝男がたずねると、
「う、うん……いいよ……とても…気持ちいい……
輝男君の…固くて大きいの……あたしの中……思いっきりかき回してる……」
桜月は輝男に背を向けたまま、歓喜の念を言って来る。
自分の中で、輝男自身が激しく動き、強い摩擦を繰り返しているのを身をもって痛感している。
(桜月の中……温かく……締まってる……!)
輝男は何度も腰をぶつけながら、桜月の中の感触に感嘆する。
剛直の猛進と共に、桜月の中の四方の肉壁は収縮を仕掛けてきている。
剛直の前後運動に応じるかのように狭まるヴァギナは、熱を増しながら締め付けを強めていく。
「あぁっ、ハァッ、あっ、んうっ、あぅっ……んぁっ……」
階下に他の生徒たちがいるという状況のせいか、桜月は声を殺すような喘ぎを繰り返しながら、背後からのみだらな責めを甘受する。
一方の輝男は、階段を隔ててすぐに他の生徒たちがいるという危うい状況に、却って動きを激しくさせる。
危険と背中合わせという状況が、図らずも輝男を昂らせているようだ。
激しく小刻みに腰を振り続ける輝男。
桜月の美尻は、輝男の今の動きに、まるで引っ叩かれたかのような感覚にさいなまれる。
「あっ、うぅっ、イヤッ……い、痛い……!」
桜月は我が身を支える手足を震わせながら、荒々しい輝男の動きに苦痛の声を上げる。
しかし、すぐに、
「うぅっ、すごい……! もっと……もっとぉ――――――……」
今しがたの苦痛の声とは真逆の歓喜に震える声を上げると、更なるみだらを求める。
桜月はさっきまで両手をつけた壁際に、今、背もたれしている。
真ん前には、輝男がこちらをまっすぐに見つめながら立っている。
桜月が左右の手で輝男の腕を制服越しにギュッとつかむと、輝男は左手で桜月の右太ももを持ち上げている。
そして、桜月と向かい合ったまま、腰を強く打ち据える。
持ち上げられた太ももの隙間には、剛直に突き刺されたままの秘裂が見える。
輝男が小刻みに腰を打ち据えると、
「あっ、あっ、あぁっ……」
桜月は何度もビクンとのけ反りながら、艶やかな喘ぎを繰り返す。
輝男は、恍惚の度合いを増しながら紅潮する桜月の顔を見ながら、絶えず律動を繰り返す。
真正面からの律動に応じるかのように、桜月はビクンと体をのけ反らせ、
「うぅっ、うっ、ハァッ、あっ、うぁっ……」
切なそうな喘ぎを繰り返す。
やがて、桜月が顔を近付けると、輝男はすぐに桜月とキスを交わした。
唇を重ね、舌を絡ませ合いながらも、桜月の中を荒らす律動は続いている。
絡み合う舌の隙間から、唾液が跳ねるような音と、
「んうぅっ、んふぅっ……んうぅ……」
切なそうなうめき声が漏れる。
輝男は桜月とディープキスに耽りながら、
(桜月の中……更にキツく……熱とぬめりも半端無い……)
桜月の中で強まる肉圧と熱、ぬめりを、剛直を通して感じ取る。
ヴァギナが締め付けを強める一方で、表面を覆う熱と愛液は、固く膨張した剛直に絡み付いて離さない。
輝男と桜月の耳に、肉と肉の衝突音に加えて、イヤらしい水音が重なって聞こえる。
(輝男君の……更に固く……激しくなってる……)
桜月は輝男とディープキスを続けながら、自分の中にいる輝男自身の更なる膨張と荒々しい動きに、内心、苦悶の声を上げる。
既に剛直とヴァギナの摩擦はかなり強度を増しており、輝男と桜月にそれぞれ刺激と苦痛をもたらしている。
特に桜月の場合、輝男の腕をつかむ手がわなわなと震え、ギュッと握力を強めている。
やがて、ディープキスをやめると、
「ダ、ダメ……イ、イく……イっちゃう……」
桜月は瞳と声を震わせながら、自らの限界が近付いたことを告げる。
桜月の今の言葉を聞くと、輝男は激しく小刻みに腰を繰り返しぶつける。
ぶつかる腰に合わせて、固く膨張した剛直が前後運動を強く仕掛けると、
「あっ、うっ、うぅっ……んあぁっ……!」
桜月は、痙攣をおこしたかのように何度ものけ反り、上ずったような喘ぎを繰り返す。
「あぅっ、うぅっ……すごい……! お、お腹……破けちゃう……!」
狭まる一方のヴァギナを突き破らんばかりの輝男の動きに、苦悶の声を震わせる桜月。
輝男は、限界まで締め付ける肉圧に冷や汗をにじませ、歯を食いしばる。
なおも律動を繰り返す輝男だが、彼の中では、淫欲のたぎりがグツグツとわき立っている。
自らが暴発寸前にあるのをおくびにも出さず、逆に、剛直に絡み付く熱とぬめりを潤滑油代わりにして、激しい律動を繰り返す。
肉圧を増すヴァギナも、輝男自身を絡め取り、食らい付くかのような状態にある。
しかし、
「さ、桜月……お、俺……もう……」
輝男は荒く息を弾ませながら、真正面の桜月に向かって、自らも限界に近付いた旨を告げて来る。
桜月は今の輝男の言葉を聞くと、恍惚に顔を赤らめながら、輝男をジッと見つめる。
「いいよ……このまま……私の中に……。私、今日は大丈夫だから……」
そっとささやくかのように膣内射精をうながす言葉をかける。
桜月の今の言葉に応じるかのように、彼女の中がギュッと締め付けを強める。
動きを阻むかのような桜月の中の動きに、輝男は激しい律動でもって応じる。
ラストスパートをかけるかのような動きが、桜月の中を容赦なく荒らし、輝男と彼女の間に水音混じりの衝突音を響かせる。
「あぁ……あっ、うぅっ……んうぅっ……ん、あっ……」
律動に押されるようにのけ反りながら、切なそうな喘ぎを繰り返す桜月。
そんな桜月に、輝男は唇を重ね、舌先を絡ませ合う。
しかし、再度のキスも、桜月を襲う体の震えと輝男の容赦ない律動を止めるには至っていない。
輝男と桜月がディープキスをやめると、
「ダ、ダメ……ホントに……もう…イくっ……」
桜月は声を震わせながら自らの限界を告げる。
一呼吸、間を置いた後、
「さ、桜月……イくぞ……!」
輝男は、搾るような声で覚悟をうながすかのような言葉をかける。
なおも律動を繰り返しながら荒く息を弾ませる輝男の今の言葉に、
「いいよ……来て……早く…来て……」
桜月は恍惚とした声で言葉を返し、輝男にうながす。
既に輝男の中は、いつでも暴発できる状態にある。
対する桜月も、いつでも最愛の男を受け入れる態勢にある。
そして、輝男が二、三回、腰を強く打ち据えると、
「あぁっ、あぁ――――――……」
桜月は輝男の腕をギュッとつかんだまま、体を大きくのけ反らせ、絶頂の声を上げた。
桜月が果てて間も無く、締まり切った桜月の中に、淫欲の奔流が一滴残さず流し込まれた……
◇ ◇ ◇
輝男と桜月が並んで階段を下りる。
屋上手前の踊り場を背にして、徐々に遠のいていく。
平素の表情を見せる今の彼らからは、ついさっきまで、激しいセックスに興じていた様子は、まったく認められない。
すると、昼休みの終了を告げるチャイムの音が校舎中に鳴り出した。
「ところでさぁ、日向」
「何?」
「さっき、君がくれたチョコって、義理? それとも…」
「ご想像にお任せします」
輝男からの肝心の問いに、桜月は笑みを浮かべながら曖昧な返答をする。
桜月の今の返答に、輝男はクスッと笑みをこぼす。
二人はチャイムの音を耳にしながら、昼休みを終え、教室へと戻っていく……