春の日差しが、窓をすり抜けてリビングに差し掛かる。
リビングでは、外出着をまとう真純が輝男と向き合っている。
「じゃあ、輝男さん、留守番、お願いね」
和やかな表情を見せながら、真純が言葉をかける。
「しかし、瑠奈も大変だな……
七瀬ちゃん、純ちゃんと一緒に、よりによって雨宮先生のところで勉強会だなんて」
ため息交じりに輝男が言うと、
「もうすぐ新学期だし……
今の内にちゃんと予習をしておかないと、一年の時より成績が悪くなるかもしれないから。
先生も、今回の件は喜んで快諾して下さったし」
真純は、和やかな表情を崩さずに言葉を返す。
(上手くいけばいいけど……
瑠奈と理華さんのことだから、ケンカしまくって終わりになりそうだな……)
義母の言葉に耳を傾けつつも、予想されうる懸念を心の中でつぶやく輝男。
真純は、義息の内心など知る由もなく、そのままリビングを出る。
義母が家を出て行ったのを認めると、輝男は自室へと戻ろうとする。
すると、ジーンズのポケットからかすかな振動音が聞こえて来た。
ポケットからスマートフォンを取り出すと、すぐに電話に出る。
「もしもし…」
『あ、輝ちゃん? 私、泉だけど』
電話の向こうから泉と名乗る少女の声が聞こえて来た。
途端、輝男は驚き、一瞬、身を硬直させてしまう。
「い、いずちゃん? どうして……」
電話越しに呼びかける幼なじみに、狼狽した調子でたずねる。
『今、こっちに来てるんだけど、輝ちゃん、今すぐ、会いに来てくれないかしら?』
「今すぐ?」
『ごめん。余り、時間が取れないから』
電話越しに用件を告げる泉に、輝男はスマートフォンを握り締めたまま、愕然と立ち尽くす。
(一体、何故、このタイミングで会いに来てくれたんだ……?)
泉の意図を計りかねてか、内心、戸惑いの念をつぶやく。
◇ ◇ ◇
中心街にあるファーストフード店の末席に、輝男は腰を下ろしている。
テーブル越しには、桃色のパーカーを羽織り、白のロングパンツを着ている同い年くらいの少女が腰を下ろしている。
長く艶やかな黒髪を団子状に後ろに束ね、帽子をかぶり、特徴的なクッキリした目をノンフレームのメガネで覆っている。
輝男は黙々とコーラを飲みながら、真向かいでホワイトソーダを飲む少女を見つめる。
人気アイドル“泉梓”こと幼なじみ海原泉だ。
三分の二程ホワイトソーダを飲むと、輝男の方をまっすぐに見つめる。
「ホントはもっと早く、会うべきだったけど、中々、時間が取れなくて」
そう言うと、輝男を見つめながら表情を曇らせる。
「この前は、あの人たちが輝ちゃんのことを痛め付けて、ホントにごめんなさい」
深々と陳謝する泉に、輝男は、コーラを飲む手を止め、表情を厳しくさせる。
先日、泉と密かに会った時、暴漢たち――泉の所属事務所のスタッフ――に散々、痛め付けられた時の記憶を、否が応にも思い出す。
泉を鋭く見据えながら、ゆっくりと口を開く。
「君が謝る必要はない。君が謝っても何の意味もないから」
冷淡な輝男の声が、泉の耳に流れ込む。
ゆっくり顔を上げると、真正面から厳しくにらむ輝男の顔が認められた。
目の前に突き付けられた輝男の表情に、泉は思わず戸惑いをあらわにする。
「ヤツら自身が土下座して謝るか、君のところの事務所社長が謝らなければ意味がないんだ」
努めて感情を抑えながら、決して消えることの無い怒りを泉にぶつける。
暴漢たちの卑劣な所業と、彼らの上に立つ泉の所属事務所社長――郷沢善児に対して、絶対に許すことなどできない激しい憤りを、泉に見せ付けようとする。
幼なじみの怒りを目の当たりにして、萎縮したように沈痛な面持ちでうな垂れると、そのまま口ごもってしまう泉。
今の輝男の言葉に、何も言い返せずにいるのだ。
萎縮する幼なじみを前に、輝男は飲みかけのコーラを飲み干す。
空になったグラスをテーブルの上に置くと、泉をまっすぐ見つめながら口を開く。
「そんなことより、どうして、今日、俺に会いに来てくれたんだ」
厳しい表情を崩さずに、肝心の問いをかける。
輝男の今の問いかけに、泉は顔を上げ、輝男とまっすぐに向き合う。
「今日、会わなければ、もう二度と輝ちゃんと会う機会はないから……」
自ずと神妙な面持ちを見せながら、今回、密会に臨んだ理由を告げる。
すると、
「アイドルを……芸能界をやめれば、いつでも顔を合わせられるじゃないか」
輝男は厳しい表情を見せながら、淡々と言葉を返す。
輝男の今の言葉に、泉は愕然とした面持ちで言葉を失う。
愕然とする泉に構わず、輝男は言葉を続ける。
「俺はこのまま、君を連れ去っても構わないくらいの気持ちで、今日、君に会いに来たんだ。
このまま芸能界で活躍しても、君の未来は限りなく暗い。
君自身がそのことを嫌でも思い知っているはずだ」
自ずとおごそかな調子で言い聞かせる輝男に、泉は重い表情で沈黙する。
「君はアイドルとして、女優として、一生懸命頑張ってる。
でも、その頑張りも、あの事務所社長や、君を取り巻く忌々しい老いぼれやオヤジどもにとっては、取るに足らんものでしかない」
真剣さを増した表情で、努めて感情を抑えながら言って来る輝男に、泉はわずかでも反論を言おうとしない。
怖いくらいに自らを取り巻く状況を的確に言い表していると認めたのだろうか……
「アイドルとしてコンサートを行ない……
女優としてドラマや映画で精一杯演技をする以上に……
君は、みにくく汚い老いぼれどもにその身を汚されることに一生懸命、励んでいる。
……嫌々ながらでも、精一杯、励まさざるを得ない。
ヤツらにとって、君のようなアイドルや女優なんて、自分たちの性欲のはけ口以外に何の存在価値も認められない。
そんなことをわかっていながら、何故、芸能界なんて入ったんだ?
何故、アイドルを続けていられるんだ?」
真剣な表情を崩さず、切々と言い聞かせ、問いただそうとする輝男。
本当であれば、和やかな雰囲気の中で、和気あいあいと語り合うべきなのだが、ずっと一緒で仲良しだった幼なじみの現況を憂い、何とか救い出そうと、ついつい厳しい態度で臨んでしまう。
重苦しい空気と沈黙が、末席を占める二人の若い男女を覆う。
店の店員も辺りを行き交う他の客も、深刻に向き合う輝男と泉をまったく気に留めない。
二、三分――体感的にはその倍以上――経った後、固く閉ざされた泉の唇が開く。
「中学の時、事務所のスタッフにスカウトされた時……
アイドルとして活躍するか? それとも死ぬか?
あの社長にそう脅されて、芸能界に入り、アイドルとしてデビューしたの……」
沈痛な面持ちを見せながら、泉が語り出す。
輝男は真剣な表情を崩さぬまま、泉の話に黙って耳を傾ける。
「あの時、スカウトされた時点で、逃げ出すことなんか絶対にできなかった。
逃げたら死ぬ。売れなければ命が無い。
そんな気持ちで、毎日、芸能活動に勤しんで……
日中はレッスン、テレビや歌、お芝居に励んで……
夜は、毎日のように社長やスポンサー、その他、偉い人たちにボロボロになるまで犯され続け……
それこそ、人生に絶望して自殺まで考えたけど……
実際に死ぬことが怖くなって……
同世代の他のアイドルや女優たちが頑張っているのを見て、あんなヤツらに負けたくないという気持ちを煽られて……」
そこまで言うと、泉は言葉を詰まらせて身を震わせる。
涙があふれ出るのを必死に抑えるかのように、その美貌を苦しそうに歪ませる。
抑えに抑えた心の傷を吐き出した幼なじみに、輝男はなおも真剣な厳しい表情を崩さない。
幼なじみの悲痛と、彼女を容赦なく傷付けてあざ笑う者たちへの激憤に、内心、心をかき乱されている。
しかし今は、余計なことは何も言わず、黙って泉を見つめ続ける。
わずかの間、沈黙が続いた後、輝男は泉をまっすぐ見つめながら口を開く。
「死ぬほどつらい思いを今でも強いられながらも……
今も、必死になって頑張ってる……
死ぬ思いで頑張っても、結局は二、三年もしないで、遊び飽きたオモチャとして、簡単にゴミ捨て場に放り込まれる運命にあるのをわかっていながら……」
泉の気持ちを汲みつつも、避けようも無い非運を言い聞かせようとする輝男。
泉は、自分の悲痛を受け止める幼なじみの言葉に、まっすぐなまなざしと沈黙で応じる。
輝男の目に映る泉のまなざしは、戸惑い、苦悩、そして、救いを求める気持ちがありありと見受けられる。
「俺が君にしてあげることがあるなら、どんなことでもしてあげたい。
一番いいのは、あの忌々しい老いぼれを殺し、君を芸能界からやめさせることだけど……」
泉のまなざしに応じるかのように、今までに無い真剣な調子で言葉をかける輝男。
彼の脳裏には、自分一人の利益のために泉をモノ同然に使役し、平然と辱める郷沢の傲然とした姿が、否が応にも浮かび上がる。
仲良しだった幼なじみを、心身共に傷付け、踏みにじる老人への怒りをわき立たせながら、最悪の事態を覚悟さえする。
輝男は唇を閉ざし、真剣な表情で泉を見つめ続ける。
泉の反応、泉の返事を得ようと、何分でも待ち続けようとする。
輝男の目に、努めて感情を抑えながら、沈黙を続ける泉の姿が映る。
やがて、泉の唇がゆっくりと開いた。
「……いて……抱いて……」
かすかに漏れた泉の一言に、輝男は思わず唖然とする。
すると、
「抱いて……私とエッチして……」
周囲をはばかるかのように小声で用件を告げる泉。
泉の今の要望を聞くと、輝男は一瞬、唖然とした後、表情を厳しくさせる。
泉は、輝男の態度に構わず言葉を続ける。
「今を逃したら、ホントにもう二度と無いから……
最初で最後の……一生の思い出に……」
すがり付くような面持ちを見せながら、切実に訴える。
しかし、輝男は快諾するどころか、拒絶にも似た厳しい表情を見せる。
目の前に突き付けられた表情に、泉は戸惑いの色を濃くする。
「嫌なの……? 私とヤるの……」
「そんなことをしても、俺や君にとっては何の気休めにもならない」
拒絶を受け悲嘆に暮れる泉に、輝男は突き放すかのような言葉をかける。
「俺に抱かれて満たされた気持ちになっても……
そんな気持ちは、君を取り巻く忌まわしい現実の前に、すぐにぶち壊されてしまう。
懐かしく愛しい記憶をかき消されるように、明日、明後日…と、休む暇も無く、腐れきった老いぼれどもに、その身も心も散々に汚されて……
俺に抱かれることは、君の心を癒すどころか、却って君を苦しめるだけでしかない」
「そんなこと無い……!
もし、輝ちゃんの言う通りだったら、今、こうして、顔を合わせたりはしないわ。
輝ちゃんのことなんか、とっくの昔に忘れ去っていたわ」
一時の逢瀬がもたらすむなしさを訴える輝男に、泉はなおもすがり付くかのような言葉を返す。
「君がアイドルをやめ、芸能界を去ると言うのなら、俺は喜んで君を抱くよ」
輝男の今の言葉に、泉は愕然とした面持ちで言葉を失う。
泉としては、到底、受け入れがたいことを承知の上で、輝男は幼なじみに言葉をかけたのだ。
「君一人の力で無理なら、俺がいくらでも力を貸すから。
何度も言うが、このままアイドルとして頑張っても、結局は、身も心も汚され果てたクズとして切り捨てられ、世間から腫物同然に扱われながら、残りの人生を無為に過ごすだけだ」
何とか幼なじみを助けたい気持ちと如何ともしがたい世の中の現実を言い連ねる輝男。
輝男はまたも口を閉ざし、泉の反応を待つ。
苦悩の極みにあるかのような重々しい表情と固い沈黙が、輝男の目に映る。
何分も沈黙を続け、泉の返事を待つ輝男だが、泉は重い表情でうつむいたまま、何も言おうとしない。
(いずちゃん……どうして、もう芸能界なんて嫌だ、アイドルなんてやめるからって言わないんだ……?)
厳しい表情の奥で、苦悩の念をつぶやく輝男。
然るべき返事を言ってくれないことに、もどかしい気持ちを募らせる。
本当なら、強引にでも幼なじみを芸能界から引き離したいが、本人の意思を尊重したい気持ちが、泉に不要かもしれない猶予を与えている。
忌まわしい現実に押し潰され、いずれは跡形も無く消し去られることを思い知りながらも、そこから逃れようと言う意思、言葉をわずかでも示そうとしない泉の姿を、否応なく目の前に突き付けられる。
やがて輝男は、時が無為に過ぎていくだけであることを痛感していく。
すると、重くうつむき続ける泉の目の前で、スッと腰を上げる。
「いずちゃん、こうして、君と一緒にいられただけでも、俺は嬉しかったよ。じゃあ……」
心ならずも諦念の言葉を吐きながら、一人、その場を去ろうとする。
と、次の瞬間、店の末席を出ようとした輝男の身に、泉が正面から抱き付いて来た。
「い、いずちゃん……!」
突然の突進に、輝男は驚きながら言葉を失う。
一方の泉は、輝男の身をとらえると、胸元に顔をうずめる。
「輝ちゃん……お願いだから、泉を一人にしないで……」
幼なじみの胸元に顔をうずめながら、すすり泣くように悲痛の念を漏らす。
悲痛の念を訴える泉に、輝男は一瞬、驚いた後、表情を厳しくさせる。
「私、アイドルをやめたくはない……
でも、輝ちゃんの温もりが欲しい……
どんなにつらいことがたくさんあっても、輝ちゃんが遠くから見守っていてくれたら……
私、まだまだ頑張れるから……」
「まだ、わからないのか? 君の頑張りなんて、結局は無意味な…」
「一人ぼっちでいるよりも……
遠く離れていても、私のことを見守り、応援してくれる人がいるだけで十分、違うから……
輝ちゃんが、私のことを見守り、応援してくれなければ……
私、本当にもう生きていけない……!」
輝男の身にすがり付く腕を震わせながら、泣きじゃくるような声で輝男を求めようとする。
幼なじみの今の言葉に、輝男は愕然とした面持ちで言葉を失う。
アイドルを続けつつも、心の支えとなる人を痛切に求める泉を、どうしても突き放せずにいる。
義母の過去の件からも、芸能界での活躍など、結局は心の傷を広げるだけでしかないことを、嫌でも思い知っている。
しかし、そのことを何度でも訴える代わりに、アイドルとして活躍し続ける意思を見せ付ける幼なじみを優しく受け止める。
やがて輝男は、泉の体を自分のもとからゆっくりと引き離す。
変装のためのメガネの奥にある瞳が、ハッキリと涙に濡れているのが見える。
すがり付くかのように見つめる泉を、輝男は神妙な面持ちで黙って見つめる。
涙に暮れて言葉を詰まらせる泉に、輝男は沈黙でもって応じる。
◇ ◇ ◇
ホテル・ラブベストの一室で、輝男は泉と向き合っている。
目の前の泉は、変装のための帽子とメガネを外している。
後ろに束ねた艶やかな黒髪をほどき、特徴的なクッキリとした目で、輝男を見つめる。
輝男の目に映る泉は、かつて、ロケに使用された校舎内で出くわした“泉梓”そのままの姿である。
「いずちゃん、俺…」
「何も言わないで」
小さい頃、ずっと一緒だった幼なじみ二人は、互いに神妙な面持ちを見せながら、言葉を交わす。
「私と輝ちゃんの思い出は、どんなことがあっても、絶対に消えることなんて無いから。
これからやろうとすることも……」
そう言うと、泉はニコッと柔らかな笑みを浮かべる。
目の前の笑みを見ると、輝男は一瞬、目の前の泉と小さい頃の泉を脳裏に被らせる。
一呼吸、間を置いた後、泉の両肩に優しく左右の手を添える。
至近距離で向き合う輝男に、泉はゆっくりとまぶたを閉じる。
輝男もまた、まぶたを閉じ、ゆっくりと唇を近付けさせる。
しかし、数ミリ手前のところで、動きを止めてしまう。
輝男の脳裏に、郷沢社長を始め、数え切れぬ老人たちの姿が否応なく浮かび上がる。
泉の身を好き放題に貪り、その心を汚し尽くしたであろう老人たちが、輝男の脳裏で下卑た嘲笑を響かせる。
愛欲の交わりを妨げようとする邪欲の影に、輝男は図らずも動きを止めてしまう。
すると、
「輝ちゃん……」
そっと呼びかける声が聞こえてきた。
目を開くと、心配そうに見つめる泉の顔が間近に見えた。
「お願いだから、余計なことは何も考えないで」
痛切に訴える泉に、輝男は言葉を詰まらせる。
泉は、輝男が今、何を思っているのか、嫌でも思い知ってしまう。
既にこの身が邪欲で汚され果てている事実に、幼なじみが二の足を踏んでいることを痛感しているのだ。
脳裏に浮かぶ忌まわしい幻像のせいで沈痛な面持ちを見せた輝男は、泉の今の言葉に、何とか表情を落ち着かせる。
改めて泉と向き合い、まぶたを閉じながらゆっくりと唇を近付ける。
幼い頃、一緒に仲良く遊んだ記憶だけを必死に脳裏に浮かばせながら、唇を重ね合わす。
優しく抱き締め合い、二、三回、キスを交わすと、半開きになった唇の隙間から舌を差し込ませる。
泉の舌は、慣れきったかのように、うねりながら輝男の舌と絡み合う。
絡み合う舌の隙間から、唾液の跳ねるような音と、
「んっ、んぅ……んふぅ……」
かすかなうめき声が漏れる。
優しく抱き締めい合いながらディープキスを続ける輝男の頬に、泉の生温かい吐息が振りかかる。
(いずちゃんの温もり……何一つ、混じり気が無い……)
泉の身から感じられる温もりに、輝男は内心、感嘆の声を上げる。
魑魅魍魎の巣窟に等しい芸能界に身を置きながらも、おぞましい臭気をまとうどころか、ごく自然な人並みの温もりを漂わせて止まない。
ディープキスをやめると、輝男と泉は改めて向き合う。
すると、ほぼ同時に互いの服に手をかける。
泉は、慣れた手付きで輝男のまとうTシャツやジーンズを脱がす。
輝男もまた、泉の着ているブラウスやロングパンツ、そして、ブラジャーやショーツを滞りなく脱がしていく。
互いの服を脱がし合うと、輝男と泉は共に相手の裸体を真正面から見つめる。
泉の目に、均整が取れ、引き締まった輝男の裸体が映る。
一方の輝男は、細く引き締まり、均整の取れた色白の裸体を、呆然としながら凝視する。
胸元から盛り上がる左右のふくらみは、サイズにしてDカップはあり、なだらかな丸みを帯び、形良い形状を見せ付ける。
そして、大事なところを覆い隠すように黒い茂みが添えてある。
「きれいだ……」
生まれたままの泉の姿を見て、輝男は感嘆の念を思わず口走る。
底知れぬ邪欲のはけ口として汚され果てたにも関わらず、見た目には、一指も触れられていないような自然美ともいうべき姿を見せ付けている。
まじまじと見つめる輝男の感嘆の言葉に、
「イヤだもう、恥ずかしい……」
泉は羞恥に顔を赤らめる。
そして、すぐに、二人は生まれたままの姿で再度、キスを交わす。
泉は生まれたままの姿で、ベッドの上で仰向けに寝そべっている。
頬を赤らめ、ときめくような面持ちで目線の先にあるものを見上げる。
見上げる先には、やはり、生まれたままの姿をさらす輝男が、半ば、緊張した面持ちで泉を見下ろす。
ゆっくりと近づき、泉と唇を合わせる。
二、三回、キスを交わした後、輝男の手が泉の裸の胸に触れる。
色白でなだらかな丸みを帯び、大きく膨らむ左右の肉の果実を、優しく揉んでいく。
「あぁっ……」
輝男の愛撫に、泉は切なそうな喘ぎを発する。
パン生地でもこねるかのように揉んだかと思うと、円を描くようにして揉みしだく。
様々に繰り返す愛撫に、泉はイヤイヤと身悶える。
「あっ、イヤッ、あぁっ、あんっ……」
途切れることのない切なそうな喘ぎを聞き入りながら、
(いずちゃんのオッパイ……柔らかくて大きい……)
輝男は、自らが触れる幼なじみの胸の感触に驚嘆する。
幼稚園くらいの頃、一緒にお風呂に入った時の記憶が、輝男の脳裏によみがえらせる。
あの時に見た歳相応の裸体と、今、目の前にある細く引き締まり、均整の取れた裸体が、輝男の中で交互に入れ替わる。
(あの時のいずちゃんが今はこうなっているなんて……信じられない……)
五年もの歳月を経て再会した幼なじみの生の姿を目の当たりにして、輝男は内心、驚嘆を禁じ得ない。
それでも、泉の胸を愛撫する手は、止まることを知らない。
柔らかく、モチモチとした肌触りと、何度、強く揉んでもすぐに元の美しい形状に戻るハリ、瑞々しさを、手のひらを通してジックリと堪能する。
泉は輝男の愛撫を甘受しながら、
「いいよ、輝ちゃん……とても気持ちいい……
泉のオッパイ……もっと味わって……」
ウットリとした声で歓喜の念を言う。
泉の今の言葉にうながされるがままに、輝男は愛撫を続けながら、泉の胸元に顔をうずめる。
Dカップの美巨乳を揉み続けながら、先端にある桃色の小さな蕾に口を含む。
「んうぅっ」
甘噛みし、舌先でなぞる輝男の動きに、泉はのけ反りながらうめく。
胸先から襲って来るみだらな刺激に敏感に反応する。
一方の輝男は、左右にある大きな柔肉に顔をうずめたまま、胸先の蕾を舌で舐め回し、指でこねくり回す。
柔らかく、温かさを増していく肉の果実を味わいつつ、赤ん坊のように胸先に吸い付く。
「ヤダ、もう、輝ちゃん……赤ちゃんじゃないんだから……」
艶を帯びた声で、半ば呆れたかのように言葉をかける泉。
しかし輝男は、今の言葉など聞こえなかったかのように愛撫を続け、胸先を貪り続ける。
「あぁ……ハァ……ハァ……んんっ、あっ……」
切ない喘ぎと荒い吐息が、泉の口から交互に漏れる。
輝男の手のひらは、泉の裸の胸が内側からジンワリと熱を帯びてきているのを感じ取る。
加えて、輝男の舌と指は、泉の胸先の蕾が固くピンと突っ立っていくのを認める。
(他の娘と違って、いずちゃんとこうして事に及ぶのは、もう二度と無いのかもしれない……
できることなら、ずっとこのままでい続けたい……)
美しく成長した幼なじみの美巨乳を貪りつつも、内心、寂しく、名残惜しい気持ちをつぶやく輝男。
泉は、桜月や葵、小春、静流たちと違い、容易に会えることのかなわないアイドルとして、輝男たちのいる世界とはまったく違う世界に身を置いているのだ。
これを逃がしたら二度と無い機会を利用して輝男と会い、愛欲のひと時を過ごそうとする。
互いを求め合いつつも、否が応にも訪れる終わりの時を思うと、むなしさや寂しさが頭をもたげて仕方が無い。
内心にわき上がる、迷い、寂しさを振り払うかのように、愛撫を続け、胸先の蕾を貪る。
やがて輝男は、泉の胸元から顔を離し、体を起こす。
輝男が見下ろす先には、恍惚に赤らむ泉の美貌が見える。
呆けたような顔つきで荒く息を吐く以外には何もできない様子だ。
眼下の泉の一瞥すると、輝男は体を下の方へ向かわせる。
茂みに彩られた裸の股が、輝男の目の前に見える。
細く引き締まった右の太ももを開かせ、両脚の付け根に顔をうずめる。
輝男の舌が、秘裂の内側にある肉の花弁に触れる。
「あんっ、んんっ、イヤッ、あんっ……」
肉の花弁を舐め回す舌の動きに、泉はのけ反りながら艶やかに喘ぐ。
絶え間無く聞こえる喘ぎを聞き入りながら、大事なところを貪り続ける輝男。
花弁を一通り舐め回し、内側にも舌を差し込ませる。
更には、中から顔を出して来た小さな豆のようなものを口に含む。
すると、泉の中から芳醇なメスのにおいが吐き出されて来た。
漂うメスのにおいを嗅ぎながら、一緒に漏れ出た蜜を舐め取っていく。
舌なめずりをし、すするような音が、泉の大事なところから響いてくる。
「いいっ、いいわ……輝ちゃん……」
輝男の貪欲な動きに、泉は身悶えながら、ウットリと歓喜の声を上げる。
股の方から襲って来るみだらな刺激を、さも当然のように甘受する。
成されるがままの泉だが、あらがう様子はまったく認められない。
アイドルとして芸能界に身を置いて以来、事務所社長をはじめ、邪欲に狂う数多のお偉方にその身を容赦なく貪られ、輝男と同じようなことをされてきた泉だが、不思議と嫌悪の念をわずかでも見せない。
小さい頃、ずっと一緒で仲良しだった幼なじみであり、自分のことを誰よりも心配してくれる人が相手であることが、泉に歓喜の気持ちをわき立たせているのだ。
そんな泉の気持ちに応じるかのように、吐き出されるメスのにおいは強度を増し、流れ出る蜜は濃度と勢いを増していく。
蜜を舐め尽くそうとする輝男だが、蜜の流れは途切れるどころかいたずらに増す一方だ。
そして、泉の中から吐き出されるかぐわしいにおいは、輝男にクラッとした感覚をもたらす。
輝男、そして、泉の耳に、トーンアップする舌なめずりの音が聞こえる。
泉は身をくねらせ、甘ったるい息を荒く吐く。
すると、
「や、やめて……」
荒い吐息を交えながら、切なそうな声で制止を呼びかける。
泉の今の呼びかけに、輝男は泉の股から顔を離す。
輝男の責めから解放された泉の秘裂は、蜜で潤い、ひくついている。
輝男と泉は、共に体を起こし、互いにまっすぐ向き合う。
顔を赤らめ、乞うようなまなざしを震わせながら、
「輝ちゃん……今度は私が、輝ちゃんを気持ちよくさせてあげる……」
笑顔で優しく言葉をかける泉。