※この作品はR-18です。

天江輝男の日常   作:原野イアン

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予備校合宿でトライアングル?

 滝のように降りしきる豪雨が、タワーマンションに叩き付ける。

 マンション内のリビングでは、パジャマ姿の瑠奈が、雨に濡れる外の景色を窓越しに眺めている。

 

 「昨日までうだるような暑さだったのに、今日、ずっと雨が降りっぱなしだなんて……

 それも、時間が経つにつれて激しくなっちゃって……」

 

 止む気配の無い豪雨を眺めながら、ため息交じりにつぶやく。

 瑠奈の後ろでは、同じくパジャマ姿の輝男と真純が、テーブル越しに向き合っている。

 

 「明日から予備校の合宿だけど、準備はできてるの?」

 

 「あぁ、準備は全部、整ったよ。後は明日を待つだけだから」

 

 「そう……。明日からの合宿、一生懸命に頑張りなさい」

 

 「うん。わかったよ」

 

 輝男は真純と言葉を交わすと、一人、席を立ち、自室の方へ向かう。

 輝男が自室に入ると、入れ替わるようにして、瑠奈が真純と向き合う。

 

 「お義兄ちゃん、夏休みなのに、ホントに大変だね。

 海水浴や墓参りを除いてずっと勉強だもん。

 学校で補習受けたり、予備校行ったり、家でも部屋にこもって勉強したり……」

 

 「輝男さん、本当に必死なんだから、くれぐれも邪魔しちゃダメよ」

 

 ため息交じりに言う瑠奈に、真純はやんわりとした口調で言葉を返す。

 一呼吸、間を置いた後、瑠奈は、何か面白くないかのように表情を曇らせる。

 

 「それにしても、どうしちゃったんだろ? パパ。

 どんなに忙しくてもお盆や正月には必ず帰るのに、今年のお盆、全然、帰って来なかったし……

 帰れないなら帰れないで連絡よこしてもいいのに、全然、連絡よこさないんだもん」

 

 春先に勤め先の本社転属の準備で帰って以来、義父である輝人が滞在先であるアメリカ・ニューヨークにずっとい続けることに、少なからぬ不満をあらわにする瑠奈。

 お盆休みを利用して帰ろうとしなければ、帰れない旨をまったく連絡しようとしない義父の態度に、自分や義兄、義母がないがしろにされていると思い、不快感を募らせているようだ。

 憮然とする義娘を目の当たりにして、真純は柔和な笑みを崩そうとしない。

 

 「それだけ、お父さん、かなり忙しいのだから。

 もし、お父さんが私たちをないがしろにしてるのなら、私たちも今頃はこうしてゆっくり過ごしてはいないわ。

 お父さんが頑張って働いているからこそ、私たちはちゃんとこうして普通に暮らしているんだから。

 瑠奈も、そのことはちゃんと理解してあげなさい」

 

 「はぁ――い」

 

 夫の状況を理解し、義娘をたしなめるような言葉をかける義母に、当の義娘は不承不承ながらも応諾の返事をする。

 夏の暑さを突き破るかのような豪雨の中、いつもと変わらぬ家庭光景がそこにあった。

 

 ◇ ◇ ◇

 

 曇天が見下ろす中、二台のバスが海沿いの幹線道路を疾走する。

 昨晩の豪雨の痕跡を示すかのように、アスファルトの道路は雨に濡れた跡が乾き切っていない。

 先頭を走るバスの車内の真ん中あたりの席に、輝男が腰を下ろしている。

 大きめのバッグとカバンを抱え、半ば緊張したかのような面持ちで黙り込んでいる。

 最後尾の席には、鬼頭良真が両腕を組みながら腰を下ろしている。

 一方、後続のバスには、稲田千早が窓の外の光景をボンヤリと眺めている。

 輝男たちの乗る二台のバスは、東京湾沿いにあるニ十階建ての高層ビルの敷地内に着いた。

 バスから降り立った輝男たちは、ビルの正面入口へと次々と入って行く。

 正面入口手前には、“ホテル・トキオベイサイドベスト”と、建物の名を刻んだプレートが掲げられている。

 

 

 静流の父親が会長を務めるベスト・グループ。

 そのベスト・グループが経営するホテルの一つであるホテル・トキオベイサイドベスト一階奥のホールに、輝男たち、GTT・青春校の受講生たちが次々と入って行く。

 そこには、横並びに重ねられたテーブルが前後五列配置されている。

 その内の三列目の中央の席に、輝男は腰を下ろす。

 カバンからテキストや参考書、ノートを取り出し、机の上に並べようとすると、すぐ隣に私服姿の一人の若者がやって来た。

 若者は腰を下ろし、すぐ横にいる輝男の方を振り向く。

 途端、若者はアッと驚きの声を上げた。

 横からの驚きの声に、輝男はすぐに横を振り向く。

 すると、目の前にいる若者を見て、驚きの表情を見せる。

 

 「天江じゃねぇか!」

 

 「大富、まさか、お前も一緒だなんて!」

 

 大富 豪と輝男は、相手に向かって共に驚きの声を上げる。

 

 「今回の合宿、GTT・青春校と東京中央校の合同合宿だって聞いたけど、お前、東京の方のGTTに通ってたのか」

 

 「あぁ、親父のヤツ、どうしても大学に受かりたいなら、絶対、GTTに行けって言いやがって……

 おかげで、三年になってからずっと予備校で勉強漬けだよ」

 

 豪は、ウンザリしたような面持ちで深くため息を付きながら言葉を返す。

 

 「俺も東大を受けるには、GTTで勉強した方がいいって言われてそこに通ってるけど……

 さすがの俺でも、あそこでは生きた心地がしないよ。

 一緒に講義を受けてる連中も、どこか感じ悪いと言うかとっつきづらいし……

 講師もやたらと厳しくて、少しも親身になってくれない」

 

 「かなり勉強ができて成績のいいお前でも、あそこでは生き地獄を味わってるのか……

 俺もお前とは似た状況だが、お前は俺と違って、どんなにしんどい思いをしても、息抜きに付き合って癒してくれる相手には事欠かないからな」

 

 吐き捨てるように言葉をかける豪に、輝男は苦い表情を見せる。

 

 「こんなところでそんなことを言うなよ。お前だって…」

 

 輝男が豪にそう言い返そうとした刹那、

 

 「起立!」

 

 起立をうながす声が、輝男と豪の耳に流れた。

 二人は、正面に講師が立っているのを認めて、他の受講生と一緒に席を立ち、一礼をする。

 その後、輝男は豪たちGTT・東京中央校の受講生たちと合同で、一日中、集中講義を受けた。

 昼食と十分間のトイレ休憩以外は、ずっと大ホールで講義を受け続けていたのだ。

 余談も脱線も無い、文字通りの集中講義を、輝男も豪も真剣な態度で受けた。

 それでも、内心では、少なからぬ疲弊が蓄積するのを痛感せずにいられなかった。

 

 ◇ ◇ ◇

 

 ホテル・トキオベイサイドベスト一階の大食堂に、輝男たちの姿がある。

 輝男の他には、同じ予備校の受講生と思しき若者たちが、食堂内をひしめいている。

 彼らは、テーブルの上に並べられた和洋中、様々にあるメニューを各々選びながら食べていく。

 建物を見下ろす空は、既に漆黒に彩られている。

 夜に入って久しい時刻、輝男たちはバイキング形式の夕食に舌鼓を打っている。

 

 (ずっと勉強漬けだったせいか、いつにも増してご飯が美味しく感じられるよ)

 

 自ら選んだメニューを口にしながら、内心、深く嘆息する輝男。

 集中講義から解放されたせいか、ドッと疲労の色がにじみ出ている。

 そのまま夕食を食べ続けていると、

 

 「輝男さん」

 

 正面の方から、優しく呼びかける声が聞こえて来た。

 ふと顔を上げると、すぐに驚きの表情を見せた。

 

 「し、静流さん……!」

 

 輝男の目の前には、テーブルを挟んで、静流がいつの間にか席に着いていた。

 静流はテーブル越しに輝男と向き合いながら、柔らかな笑みを浮かべている。

 

 「輝男さん、随分、お疲れのようですが……」

 

 「それより、どうして君がここに?

 君、GTTの予備校に通ってるわけじゃないだろ?」

 

 「私、このホテルのオーナーの娘ですから、ここにいてもおかしくありませんわ」

 

 笑みを絶やさずいささか強引な理屈で自らを正当化しようとする静流に、輝男は呆れながら言葉を詰まらせる。

 輝男が何も言い返さないのを見ると、静流はそのまま言葉を続ける。

 

 「今回、輝男さんと豪さんたちがこのホテルで集中合宿なさるとお聞きいたしましたので、私もお邪魔させてもらいましたわ」

 

 「わざわざ俺たちのために顔を出さなくてもいいのに。

 君だって、大学受験を控えてるんだから、少しは勉強をしないと」

 

 「私の方ならご心配に及びませんわ」

 

 笑みを見せながら懸念を払い除ける言葉をかけると、改めて輝男の顔を真正面から凝視する。

 

 「輝男さん、今日の講義でかなり疲れたんじゃないですか?」

 

 「いや、別に。いつものことだから」

 

 「良かったら、私の方で輝男さんを癒して差し上げますわ」

 

 静流がそう言うと、輝男は思わず顔を赤らめ、一瞬、言葉を詰まらせる。

 静流が言わんとしていることを嫌でも理解したのだろう。

 

 「そこまでする必要はないよ。それより、君も受験勉強を…」

 

 「このホテルの七階にある701号室に泊まってますの。

 よろしかったら、是非、顔を出して下さいませ」

 

 静流は輝男の言葉を中途でさえぎりながら、柔らかな口調で用件を告げる。

 そして席を立つと、一人、大食堂を後にする。

 去り行く静流の後ろ姿を一瞥し、深くため息を付くと、輝男は何も無かったかのように夕食を再開する。

 その様子を、背後からのまなざしがジッととらえていた。

 千早は、輝男と闖入して来た静流のやり取りを一部始終、黙って見つめると、何も無かったのように夕食のメニューを口にする。

 

 ◇ ◇ ◇

 

 ホテル内の大浴場で、輝男は湯船に浸かっている。

 温かなお湯に浸りながら、呆然とした面持ちで深くため息を付く。

 浴場には、輝男の他にも、裸体をさらしながら入浴し、体を洗う若者たちがいる。

 合宿に参加したGTTの受講生たちは、ここで今日一日の疲れを癒そうとする。

 輝男のすぐ横にも、同じように疲れを癒そうと風呂に入っている者がいる。

 

 「また、お前と一緒に風呂に入るなんて……

 去年の今頃は、まったく想像だにしなかったよ」

 

 「悪いか?」

 

 「いや、全然」

 

 輝男は、横にいる豪と言葉を交わすと、すぐに会話をやめる。

 しかし、一分程黙った後、豪に向かって口を開く。

 

 「正直に言ってくれ。お前、静流さんとはどういう関係なんだ?」

 

 自ずと神妙な表情を見せながら輝男がたずねると、

 

 「何だ? 俺からアイツを奪い返すつもりか?」

 

 豪は別段、気を悪くする様子を見せず、輝男に言葉を返す。

 

 「奪い返すも何も、俺は今も静流さんとは仲良くしてる」

 

 輝男の今の言葉に、顔色一つ変えず、何も言い返そうとしない豪。

 しかし、一呼吸、間を置いた後、自ずと神妙な面持ちを見せる。

 

 「俺もお前と同じだよ……

 ……だがな、これだけは言わせてもらえないか?

 アイツは、お前や俺を同じくらいに好きでいるけど……

 アイツは…静流は何も悪くない。

 たまたま別の男を二人、同じく好きになっただけで……

 もし、非があるなら…」

 

 「皆まで言うな。お前の言いたいことは良くわかる」

 

 率直な気持ちを言わんとする豪を、輝男は途中で制する。

 しかし、豪は構わず言葉を続ける。

 

 「でも、静流には本当に心から感謝してる。

 静流がいてくれなかったら……アイツと仲よく付き合ってなかったら……

 俺はとうの昔に、取り返しが付かないくらいに心折れまくってたぜ。

 同じ大学受験に臨む者同士、互いに支え合うことで、何とか頑張っているんだ」

 

 真剣な調子で静流との絆を言い連ねる豪に、輝男は黙って耳を傾ける。

 感慨深げな面持ちを見せながら、しばしの間、言葉を失う。

 豪の今の言葉が口先だけのものでも偽りでもないことを、すぐに認めているからだ。

 そのまましばらく黙った後、固く閉ざした輝男の口が開く。

 

 「お前が静流さんとの関係を大切にしていることは、俺も良くわかったよ。

 でも、俺も静流さんとの関係は、これまで通り続けたい。

 だが、お前と静流さんの仲を引き裂くような野暮なマネはしない。

 どちらとの絆を選ぶかは、静流さんの意思次第だから。

 お前と同じように、俺も静流さんも互いを求める限り…」

 

 「良く言うぜ。

 俺と違って、お前の場合、受験勉強のストレスを癒してくれる女の子には事欠かないくせに」

 

 静流との絆を守りたい輝男の率直な気持ちを、呆れる豪の言葉が中途でさえぎる。

 痛いところを突く豪に、輝男はただ苦笑するばかりだ。

 

 ◇ ◇ ◇

 

 一時間ほど経った頃、輝男はホテルのエレベーター前にいた。

 エレベーターのドアが開くと、輝男はすぐに中に入る。

 他に誰もいないエレベーターに入る輝男を、一人の少女が向こうから見つめる。

 稲田千早の目には、ドアの上にあるフロアランプが、“1”から順に点灯し、“7”のところで止まる様子が映っている。

 

 

 数分後、輝男はホテル七階にある一室にいた。

 人が一人、二人、入れる程度の比較的小さめの部屋で、静流と一緒にベッドの淵に腰を下ろしている。

 

 「会長令嬢なのに、随分と簡素な部屋に泊まってるんだね」

 

 「会長令嬢と言えども、身の程はわきまえてますわ。

 今回、無理言って、輝男さんたちのところに参りました上に、身分を利用して一番上等な部屋を使うなど、私であってもおこがまし過ぎますから」

 

 「気持ちは嬉しいけど、わざわざ来てくれなくてもいいのに」

 

 「……だって、輝男さんだけでなく豪さんもいらしているじゃないですか……

 お二人とも大変な思いで頑張っていらっしゃるのに、何もしないわけにもいきませんわ……」

 

 静流はそう言いながら、物憂げな面持ちでうつむく。

 輝男は、横にいる静流の方を振り向くと、彼女がかなり思い煩っていることをすぐに認める。

 

 「静流さん、まだ、俺や大富のことを気にかけているの?」

 

 心配そうにたずねる輝男に、静流はうつむいたまま何も言い返さない。

 輝男は神妙な面持ちで静流を見つめながら口を開く。

 

 「俺もアイツも、君が俺たち二人を同じように好きでいることを、別に気にしてはいないから。

 いずれを選ぶかは君次第だし、どちらを選んでもお互い恨みっこなしだから。

 それに、君がいるおかげで、大富も俺も受験勉強を頑張れるし……

 君だって、俺やアイツを支えとして大学受験に臨んでいるんだから……

 だから、余計な憂いなんて、すぐにでも取っ払った方がいい。

 そうしないと、君自身、受験勉強に支障を来たすから」

 

 憂いを払うかのように、優しく落ち着いた調子で語りかける輝男。

 静流は輝男の今の言葉を聞くと、ゆっくりと顔を上げる。

 そして、柔和な笑みで輝男の方を振り向く。

 

 「ありがとうございます。

 そう言ってもらえただけでも、今日、わざわざ足を運んだ甲斐がありましたわ」

 

 柔らかな笑みで言って来る静流に、輝男は自ずと表情を和らげる。

 

 「良かった……。これで俺も一安心だよ。それじゃあ」

 

 そう言って、輝男は腰を上げ、部屋を出ようとする。

 しかし、次の瞬間、静流は背後から輝男にギュッと抱き付いてきた。

 突然の静流の行為に、輝男は頬を赤らめながら、後ろを振り返る。

 

 「輝男さん……お願いですから、もう少し、ここにいて下さい……」

 

 輝男の背中に顔をうずめながら、切なそうな調子で静流が訴える。

 

 「そんな……そろそろ部屋に戻らないと……」

 

 輝男が戸惑いに満ちた声をかけると、静流はゆっくりと顔を上げた。

 後ろを振り返る輝男に、乞うようなまなざしを震わせ、頬を赤らめる。

 

 「お願いです……私をお抱きになって下さい……

 つらいことも嫌なことも、何もかも忘れさせて下さい……」

 

 切なそうに訴える静流に、輝男は戸惑いながら言葉を失う。

 

 (静流さんも、受験勉強で相当、溜まってるんだな……)

 

 自分にすがり付く静流の心境を察すると、浴場で豪と一緒だった時のことが、脳裏に克明によみがえる。

 

 (アイツだって同じホテルにいるのに、俺が静流さんを抱くなんて……)

 

 静流を強く思う豪の存在が、輝男にためらいの気持ちを募らせる。

 すると、

 

 「豪さんなら心配しないで下さい。大丈夫ですから……

 それより、今は私だけを見て、私のことだけを考えて……」

 

 柔らかな声はそのままに、迷いを振り払うかのように静流が言葉をかける。

 輝男は静流を一旦、引き離すと、彼女とまっすぐ向き合う。

 目の前の静流は、すがり付くような面持ちを赤らめ、乞うようなまなざしを震わせて、輝男とまっすぐ向き合う。

 

 「お願いです、輝男さん……」

 

 重ねて懇願する静流に、輝男はキスでもって応じる。

 

 ◇ ◇ ◇

 

 床の上に、服や下着が無造作に脱ぎ捨てられている。

 すぐ傍のベッドの上では、一糸もまとわぬ肢体をさらしながら、静流が悩ましげに身悶えている。

 

 「あっ、あぁ……輝男…さん……」

 

 恍惚とした美貌を紅潮させ、荒い吐息を交えながら、切なそうに愛する男の名をつぶやく。

 静流の胸元では、やはり生まれたままの姿をさらす輝男が、顔をうずめ、左右の手で揉みしだいている。

 柔らかく滑らかな肌触りをしたDカップの美巨乳が、輝男の手で何度も歪められている。

 大きめの肉の果実に指を食い込ませ、頂にある小さな蕾を舐め回す輝男に、

 

 「うぅっ……うっ、んうぅっ……」

 

 静流は切なくも艶やかなうめき声で応じる。

 

 「静流さんのオッパイ、相変わらず、柔らかくて大きくて温かくて……

 久しぶりなせいもあるけど、とても気持ちいいよ……」

 

 「お気に召して嬉しいですわ」

 

 愛撫を続け、胸先を貪りながら歓喜の念を言う輝男に、静流は艶を帯びた声で言い返す。

 

 「もしかして、アイツも?」

 

 静流の胸に顔をうずめながら輝男がたずねると、静流は恥じらいに満ちた顔を真っ赤にして、プイッとソッポを向ける。

 何かやましいことでも抱えているかのような静流の今の態度に、輝男は何も言い返さない。

 

 

 ベッドの上で、輝男が仰向けに寝そべっている。

 彼の真ん前には、安産型の色白の美尻が突き出ている。

 輝男はすぐに、美尻の真ん中に顔をうずめ、秘裂の内側の肉の花弁に舌を差し込ませる。

 花弁を舐め回す輝男の耳に、

 

 「ん……んうぅ……」

 

 切なそうなうめき声がかすかに聞こえる。

 美尻で視界をふさがれた向こう側では、静流が身を屈めながら、裸の股から突き出た肉の棒をつかみ、くわえている。

 輝男に美尻を向ける形で体を上下に重ねながら、輝男自身をくわえ、しゃぶっていく。

 陰茎でふさがれた静流の口から、唾液の跳ねるような音と、

 

 「んっ、んぅっ、んうぅ、んむぅ……」

 

 甘くくぐもった声が重なって漏れ出る。

 輝男は静流のフェラチオを認め、自分自身を覆う生温かい感触に感嘆している。

 股の辺りで募るみだらな刺激を認めながら、肉の花弁を隈無く舐め回し、舌を内側に差し込ませる。

 静流の中で舌先をうねらせると、

 

 「んっ! んうぅっ!」

 

 美尻の向こうから、驚いたかのようなうめき声が漏れる。

 静流は、背後から襲って来るみだらな刺激を受け、フェラチオをペースアップさせる。

 上下に動く口の動きが速まり、口内にある男自身を生温かく柔らかい口腔でもって強くしごいていく。

 強まる刺激を認めながらも、輝男もまた、静流の大事なところを貪るように砂ぶる。

 唾液の跳ねるような音と舌なめずりの音、貪るような水音に、

 

 「んっ、んぐっ、んうぅっ、んくぅっ……!」

 

 艶やかにトーンアップしたうめき声が重なり、密室でみだらな重奏を奏でる。

 静流の口内では、輝男自身が徐々に固く大きくなっていく。

 一方、静流の美尻では、芳醇なメスのにおいが内側から吐き出され、蜜のようなものが肉の花弁に染み出ていく。

 美尻からこぼれる蜜を、輝男の舌が懸命に舐め取っていく。

 貪欲な舌の動きを背後から認めながら、静流が輝男自身を口から離す。

 

 「ハァ、ハァ、ハァ……ハァッ……」

 

 荒く息を吐きながら、唾液と先端からの別の液にまみれた肉の棒を、筋に沿って舐めていく。

 上から下、下から上…と繰り返し、舐め回し、根元に口を含む。

 絶え間なく刺激を加える静流に、輝男は美尻に顔をうずめたまま眉をひそめる。

 美尻に顔をうずめてハッキリしないが、輝男の表情には苦悶の色がにじみ出ている。

 既に輝男の中では、淫欲の昂ぶりがわき立っている。

 やがて輝男は、静流の美尻から顔を離す。

 輝男の動きを認めてか、静流は輝男自身を貪る動きを止め、後ろを振り返る。

 美尻から顔を離した輝男は、すぐに、乞うようなまなざしを震わせる静流を認める。

 

 「よろしいですよ、輝男さん……来て……」

 

 艶を帯びた声を震わせながら、静流が静かに懇願する。

 

 

 「あぁっ! あんっ! あっ、んっ、んうぅっ、んぁっ……!」

 

 静流はベッドの上で四つん這いになりながら、艶やかな喘ぎを上げる。

 静流の背後では、輝男が膝立ちの体勢になりながら、静流の美尻に自分の腰をぶつける。

 輝男と静流の間では、水音混じりの肉と肉の衝突音が響く。

 

 「て、輝男さん……何てすごい…ですの……? お、奥に……当たってます…わ……」

 

 ベッドのシーツをギュッとつかみ、息も絶え絶えと言った様子で歓喜の念を震わせる静流。

 静流の中では、輝男自身がヴァギナを突き破り、静流の中、最奥に何度も突き当たっている。

 輝男は静流の美尻を抑えながらも、何度も腰をぶつけ、荒く息を弾ませる。

 

 「し、静流さん……気分はどうだ……?」

 

 「は、はい……。とても激しくて……気持ちいい…ですわ……」

 

 静流の歓喜の念を聞くと、輝男は腰の動きをペースアップさせる。

 小刻みに繰り返しぶつかる輝男の腰に、静流は額に汗をにじませ、歯を食いしばり、ベッドのシーツをつかむ手を震わせる。

 そして、輝男が腰をぶつけるたびに、痙攣でも起こしたかのようにのけ反る。

 

 「うぅっ……んうぅっ……! 輝男さんが……私を激しく求めてる……

 ダ、ダメ……頭の中が真っ白に…なっちゃいそう……」

 

 貪欲に攻める輝男に、静流は恍惚の念を熱っぽく上げる。

 既に静流の中では、硬度と大きさを増す輝男の剛直と収縮を強めるヴァギナが、強く摩擦を繰り返している。

 摩擦がもたらす痛覚は、静流の理性と神経を麻痺しかけているようだ。

 愛する男に犯され、愛欲をぶつけられている状況が、静流の中から苦痛を取り払っているのだ。

 絶え間なく背後から攻める輝男の動きに、静流はたまらずうつ伏せになる。

 輝男は美尻から手を放すと、静流の左右の手首をつかみ、細い両腕を後ろの方へピンと引っ張る。

 突き上げられたままの美尻を何度も腰で引っ叩きながら。

 

 (静流さんの中……キツくなってる……!)

 

 締め付けを増すヴァギナの肉圧を認め、内心、感嘆の声を上げる。

 一方、両腕を抑え付けられ、なおも背後から強く犯され続けている静流は、

 

 「あぁ、いい……すごい…ですわ……。もっと…もっとぉ―――……」

 

 我を忘れたかのように、熱に浮かされたような声で更なるみだらを求める。

 

 

 さっきまでベッドの上でうつ伏せになっていた静流は、今、仰向けの状態で寝そべっている。

 しかし、その身を悩ましげに身悶え、胸元から盛り上がる美巨乳を絶えず震わせる。

 色白の素肌は熱っぽく薄赤色に染まり、汗がにじみ、噴き出ている。

 

 「あぁっ、あんっ、ハァッ、あっ、んぅっ、ハァ、あぅ、んぁっ……!」

 

 ベッドのシーツをギュッとつかんで我が身を支えながら、艶やかな喘ぎを繰り返す。

 静流の真向かいでは、輝男が静流の腰を引き上げ、何度も小刻みに腰をぶつける。

 熱っぽく火照った素肌から汗を噴き出し、荒く息を弾ませる。

 輝男の耳には、引っぱたくような肉と肉の衝突音と静流の喘ぎが重なって聞こえる。

 

 (静流さんの中……ますますキツくなってる……! 食らい付いて離さないみたいだ……!)

 

 額に汗をにじませ、歯を食いしばりながら、内心、苦悶の声を上げる。

 静流の中では、熱とぬめりと伴った四方の肉壁が、激しく行き来を繰り返す輝男自身に肉圧を加えている。

 ギュッと締め付ける動きに、輝男は動きを減退させるどころか、ヴァギナを突き破るかのように猛進を繰り返す。

 

 「あぁっ、イヤッ、あぅっ、うあぁっ……!」

 

 容赦無い律動に、静流は更に大きく身悶える。

 苦しそうに歯を食いしばり、目元にうっすらと涙をにじませる。

 静流の腰を左右から抑えている輝男は、静流の身がわなわなと震え出しているのをすぐに感じ取る。

 

 (静流さん……このまま長くは持たないな……)

 

 静流を犯しながらも彼女の具合を察していると、

 

 「て、輝男…さん……」

 

 震えながら自分を求める声が聞こえて来た。

 汗に濡れたまぶたを開くと、恍惚に赤らむ静流の美貌が、こちらをまっすぐ見上げているのを認めた。

 

 「は、早く……来て…下さい……。わ、私…もう……」

 

 今にも泣き出しそうな声で、静流が輝男に訴える。

 みだらな苦痛を受け、瞳を涙で濡らす静流に、輝男は真上からキスを交わす。

 一瞬のキスの後、輝男は律動を再開する。

 ラストスパートをかけるかのように激しく、小刻みに腰をぶつける輝男に、

 

 「あぁっ、んぅっ、うっ、んくぅっ、んあぁっ……!」

 

 静流は悩ましい悶絶と艶やかな喘ぎで応じる。

 そして、痙攣でも起こしたかのようにビクンとのけ反ると、

 

 「て、輝男さんの……また奥に……」

 

 息も絶え絶えといった様子で、輝男自身が自分の中、最奥に突き当たったことを認める。

 静流の今の言葉を受けてか、輝男は、自分の中で欲望が煮えたぎり、沸騰しているのを感じ取る。

 これ以上は我慢できないことを示すかのように、苦悶に歯を食いしばり、汗をにじませる。

 

 「し、静流さん……俺…」

 

 と、輝男が言いかけると、

 

 「は、早く……輝男さんの熱いほとばしりを……私の中に……」

 

 静流は震える声で輝男にそううながす。

 体の震えは更に強まり、これ以上の責め苦には耐えられないことをハッキリと示す。

 静流の今の訴えを受けて、輝男は荒く息を弾ませながら、二、三度、腰を強く打ち据える。

 と、次の瞬間、静流は喉を突き出すようにして体を大きくのけ反らすと、

 

 「あぁっ……て、輝男さ――――――ん……」

 

 愛する男の名を叫ぶことで、自らの限界、絶頂を告げた。

 静流が果てて間も無く、限界まで狭まった肉圧によって、輝男の欲望は静流の中に一滴残さず吐き出された……

 

 ◇ ◇ ◇

 

 ホテル・トキオベイサイドベストの701号室は、夜の静寂に包まれている。

 ベッド脇のサイドライトだけが明かりを照らす中、輝男はベッドを背にして着替え直す。

 さっきまで激しい愛欲に耽った痕跡をかき消すかのように、落ち着いた表情を取り戻そうとする。

 着替えを終え、そのまま部屋を出ようとすると、

 

 「待って」

 

 背後から、輝男を呼び止める声が聞こえて来た。

 輝男が後ろを振り向いた途端、彼の頬に柔らかなキスが触れた。

 不意打ちも同然の今のキスに、輝男は驚きながら顔を赤らめる。

 しかしすぐに、火照りの収まらない裸体を毛布に包んだ静流が目の前に立っているのを認める。

 

 「輝男さん、大学受験、頑張って下さい」

 

 「うん、君もね」

 

 静流と輝男は、相手を励ますかのように互いに言葉をかける。

 これから待ち受ける一番の難関をしばし忘れて、愛欲のひと時を過ごした輝男と静流だが、そのつかの間の安息を笑顔でもって締めくくった。

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