輝男は目の前の歩道橋に急いで駆け上がる。
疾走する輝男の後を、千早と小中が追う。
輝男が目指す先には、塀の外側に立って、今、正にそこから飛び降りようとする鬼頭良真の姿がある。
端整な容姿をしているが、普段は氷よりも冷たい形相を見せる鬼頭も、今は絶望の余り、血の気が失せている。
遠目にもわかるくらいに思い詰めた表情を見せると、そのまま身を投げ出そうとする。
しかし、次の瞬間、
「やめろ、鬼頭!」
背後から怒号が叩き付けられると同時に、何者かの両腕が、鬼頭の体を抱き締め、抑え付けた。
そのまま、無理矢理に塀の内側に引きずられ、叩き付けられるように転倒する鬼頭。
すぐに顔を上げ、後ろを振り返ると、厳しい表情でにらみ付ける輝男を認める。
鬼頭はすぐに輝男を振り払うと、すぐにまた塀の外側に出ようとする。
「おい、やめろ!」
「黙れ、放せ!」
「バカなマネはやめろ、鬼頭!」
「いいから放せ! 俺のことなんか放っておいてくれ!」
必死に羽交い絞めにして抑え付ける輝男と、輝男を振り払わんともがく鬼頭の間で、激しい応酬が繰り広げられる。
千早と小中が歩道橋に上がると、鬼頭が輝男を振り払っていく。
鬼頭はそのまま塀にしがみ付き、外側へ出ようとするが、背後から伸ばされた片手が彼の肩をつかみ、後ろへ引き寄せる。
鬼頭が後ろを振り返った瞬間、
「バカ野郎!」
腹の底から張り上げた怒号と共に、固く握り締められた拳が、鬼頭の右頬を殴った。
強烈な殴打に、鬼頭はたまらず転倒する。
間も無くして、動揺しきった様子で、目の前にあるものを見る。
鬼頭の目の前には、鬼の形相で拳を握り締めながら仁王立ちする輝男の姿があった。
一瞬、動揺し、愕然とした後、鬼頭はゆっくりと立ち上がり、輝男とまっすぐ対峙する。
鬼の形相を崩さない輝男を前にして、鬼頭もまた、怒りのこもった形相を見せる。
「何故、死なせてくれない……!?
東大入試に落ちて屈辱にまみれたこの俺をさらし物にするつもりか……!?」
絞るような声で鬼頭が沈痛の思いを言うと、
「たかが東大に落ちたくらいで、たった一度しかない大事な命を無駄にするつもりか……!?」
輝男は鬼の形相で鬼頭を鋭くにらみ付けながら、怒気を孕んだ声で言い返す。
「た……たかが東大に落ちたくらいで…だと!?」
あからさまに侮辱されたかのように、怒りを募らせながら声を上げる鬼頭。
すると、輝男は鬼頭の右腕を抑え付け、彼を逃がすまいとする。
「おい、何のマネだ!?」
「お前をこのまま放っておくわけにはいかない。
本当だったら、もう、お前のことなんか気にかける必要なんて無いが……
今のままだと、とんでもないことをやらかしかねん」
悪あがきでもするかのようにもがく鬼頭を抑えながら、輝男が吐き捨てるような調子で言葉をかける。
輝男の表情からは、怒り、軽蔑、そして、哀れみがハッキリと垣間見える。
二人の今のやり取りを、千早と小中がすぐ目の前で傍観する。
東大に落ち、絶望の余り、自殺を図った鬼頭と、同じく東大に落ちながらも鬼頭の自殺を必死に食い止める輝男に、二人は、何とも言えない表情を見せ、言うべき言葉が中々、出て来ない。
すると、輝男はようやく、目の前に千早と小中がいることに気付く。
「小中、稲田、悪いが先に帰ってくれ。
俺はもう少し、このバカと付き合わなきゃいけないから」
輝男が申し訳なさそうに言うと、
「あぁ、わかったよ……」
「天江君も気を付けてね」
小中と千早は、心配そうに輝男を見つめながら言葉を返す。
二人の返事を聞くと、輝男は鬼頭を伴って向こうへと歩を進める。
◇ ◇ ◇
歩道橋から一キロほど離れたところにある公園のベンチに、輝男と鬼頭が並んで腰を下ろす。
輝男は、左右の手にサイダーの缶を一個ずつ持っている。
右手に持っているサイダーの缶を、すぐ横にいる鬼頭に差し出す。
鬼頭は無言でサイダー缶を受け取る。
輝男は缶入りのサイダーを飲むが、鬼頭は沈痛な面持ちでうつむいたままサイダーを口にしない。
半分ほど飲むと、輝男は横にいる鬼頭の方を振り向く。
「東大に落ちたショックで自殺を図りたくなるのも、良くわかるよ……
絶対に東大に入るんだって頑張り、そこに人生のすべてを賭けてたんだから」
神妙な面持ちを見せながら、同情し、共感でもするかのような言葉をかける。
「東大受験に人生を賭けるのは大いに結構だけど……
万一、東大に落ちたら、すぐに自殺するしかないなんてことは、まったく別の次元の話だ。
東大に受かるか死ぬか…だなんて、バカバカし過ぎて話にならないと思うな」
沈痛な調子でため息交じりに言葉をかける輝男。
自殺を図るまでに追い込まれた鬼頭の心痛を汲みつつも、呆れる気持ちも同時ににじませる。
すると、鬼頭が顔を上げ、厳しい表情で輝男の方を振り向く。
「お前に何がわかる……!?
東大に入り、そこを卒業し、優秀、かつ立派なエリートとなる運命に従わざるを得ない俺の気持ちが……!」
輝男を厳しくにらみ付けながら、自らが抱えるプレッシャーを言いかける鬼頭。
しかし、輝男は動ずる様子を見せず、逆に鬼頭を厳しくにらみ返す。
「俺も東大に入ることを第一にずっと頑張ってきたけど……
万一、東大に落ちたら死ぬしかないなんて、これっぽちも考えたことはないぞ」
「それは、お前がどうしようもない甘ちゃんだからだ」
「東大に受かるか死ぬか……
そう考えるまでに追い込まれるほど、何故、お前は東大に入ることにこだわるんだ?」
輝男は厳しい表情で鬼頭をにらみながら、肝心の問いを彼にぶつける。
輝男からの今の問いかけに、鬼頭は苦虫を噛み潰したような表情で歯を食いしばり、言葉を詰まらせる。
鬼頭の手中にあるサイダー缶が、わなわなと震える彼の手の握力で凹んでいく。
怒り、悲痛、動揺……様々な感情が混ざり合い、渦を巻く鬼頭を、輝男は顔色一つ変えず、まっすぐ見据える。
「お前と同じ学校の同級生だった静流さんが言ったが……
親父さんや兄貴たちが東大を出たせいか……?」
努めて感情を抑えながら言ってくる輝男に、鬼頭は一瞬、動揺の色を濃くする。
あきらかに図星を指されたような鬼頭の表情を、輝男はすぐに認める。
しかし、何も言い返さないまま、鬼頭をまっすぐ見つめる。
すると、鬼頭は正面を向き直し、沈痛な表情でうつむいた。
輝男もまた正面を向きつつも、時折、鬼頭の顔を横目で見る。
苦悩と悲痛の混ざった形相をうつむかせ、鬼頭はしばし黙り込む。
何も言おうとしない鬼頭に、輝男は落ち着き払った表情を見せる。
わずかでも苛立つ気配を見せず、相手が話を切り出すのをいつまでも待つかのようだ。
やがて、鬼頭の口がゆっくりと開いた。
「俺の家は……
祖父も親父も一番上の兄貴も……皆、東大を首席で卒業している……
下の兄貴も今、東大に通っているが、親父や上の兄貴と同じくらいの成績で卒業し、既に中央省庁の官僚となることが確定している……」
鬼頭はうつむいたまま、淡々とした調子で自分の父親や兄のことを話し出す。
「俺は幼稚園に入る前から、親父から絶対に東大に入ることを強く求められ、ずっとそのための勉強を受け続けた。
友達を作ることも、仲間たちと楽しい思い出を作ることをすべて犠牲にして……
親父もおふくろも兄貴たちも、勉強しろ、絶対、東大に入れと厳しく言い付ける以外には、最低限の思いやりを一度も見せてくれなかった……
寝ても覚めても、勉強、勉強、東大受験ばっかり押し付けられて……
知らず知らずの内に、周りの同級生を皆、仲間、友達としてではなく、目障りな競争相手としか見ることができなくなった……
俺は、他の誰よりもいい成績を取り、時には卑怯なやり方を使ってでも、周りのヤツらに勝つことを当然のことと思うようになった……」
努めて感情を抑えつつも、自らを取り巻くいびつな環境とそのせいで歪んでしまった自分自身を言い連ねる鬼頭。
そして、
「……でも、今日で、それらがすべて無駄になってしまった……
ただ、東大を目指すためだけに必死に勉強し、自分のことだけを考えるようになった結果……
俺は無残にも東大に落ちてしまった……」
そこまで言うと、悔しそうに歯を食いしばり、身をわなわなと震わせる。
輝男は、沈痛の極みにある鬼頭を横目で見つつも、何も言おうとしない。
無表情を装いながら、鬼頭の悲痛を黙って見つめる。
鬼頭も鬼頭なりに色々とつらい思いを抱えていたことを認めつつも、何故か、それに対する同情や共感をすぐに見せようとしない。
そのまましばらく沈黙を続けると、横にいる鬼頭が沈痛の念を若干、鎮めていった。
重い表情を見せつつも、悲痛の念を少しは落ち着かせたのを見ると、輝男は口を開く。
「鬼頭……仮にお前が東大に受かったとしても……
状況は大差無いと思うな……」
落ち着き払った調子で、横から鬼頭に呼びかける輝男。
鬼頭の反応を待たずに、輝男はそのまま言葉を続ける。
「俺が思うに……お前が無事に東大に受かったとしても……
お前の親父さんやおふくろさん、兄貴たちは、お前のことを決して喜ばないだろうな。
“よく、頑張った”ってねぎらいの言葉をかけるどころか……
“東大など受かって当然だ”と冷たく言うのがオチだ。
今までもそうだったように、これからもお前の頑張りを、家族の誰も決して褒めたり、称えたりしない。
親父さんたちにとって、お前の血のにじむような努力など、無よりもとれる程度のものだ。
東大に受かったとしてもぞんざいに扱われるなら、落ちたとしてもまったく同じだ。
違うか?」
努めて感情を抑えつつも、鬼頭を取り巻く家庭環境、境遇を想定しながら、起こり得る予想を言い連ねる輝男。
もちろん、鬼頭の家族とは誰一人として会っていないが、さっきの彼の述懐から可能な限り想像して、今の言葉を鬼頭本人にかけたのだ。
話を言い終えると、輝男はすぐ横にいる鬼頭の方を振り向く。
振り向いた先には、沈痛な面持ちをうつむかせたまま何も言い返さない鬼頭の姿が認められる。
言葉を詰まらせ、身を震わせる以外に何もできない鬼頭を見ると、
(何も言い返さない……
もし、今、俺が言ったことがデタラメだったら、すぐに反論するのに……
……まさか、図星だったとは……)
まさかの想像が真(まこと)のものであったことを思い知らされ、内心、愕然とした思いをつぶやく。
快晴の空が見下ろす中、輝男と鬼頭は、横並びに腰を下ろしたまま静止している。
輝男は沈黙と静止を続けながら、横にいる鬼頭の様子を時折、横目で見る。
しかし、何度見ても、鬼頭が自ら動き出す気配は、まったく認められない。
東大入試に落ちてしまった今、どうすればいいのかわからず、内心、混乱し、途方に暮れているのだろう。
しばらくすると、固く閉ざされた輝男の口が開いた。
「鬼頭……俺はさっき、お前の自殺を止め……
お前の身の上話に耳を傾けた……
……だが、そこから先のことは、正直、俺の手に余る。
俺の力ではどうにもならん。お前自身の頭と力でどうにかしろ」
真正面を見据えながら、努めて感情を抑えた口調で、横にいる鬼頭に呼びかける。
すると、ようやく鬼頭が顔を上げ、輝男の方を振り向く。
無表情を装う輝男の横顔を、何とも言えない表情で凝視する。
「学校でトップの成績を誇り、東大を目指すだけの頭を持っているなら……
今、自分が置かれた窮状を打破する策の一つや二つ、容易に思い付くはずだ」
続けて言い放つ輝男の言葉に、鬼頭を戸惑いの表情を押し隠せずにいる。
今、鬼頭に向けた輝男の言葉は、無責任とも受け止められるし、自己責任をうながすとも見て取れる。
少なくとも鬼頭本人は、救いの手を拒まれ、冷たく突き放されたかのような落胆の念を隠そうとしない。
「天江……俺を助けてくれないのか……?」
落胆の念をにじませながらも、すがり付くかのように鬼頭がたずねると、
「俺はお前に対してできる限りのことをしただけだ……」
輝男は、鬼頭の方を振り向かずに言い放つと、勢い良く腰を上げた。
遅れて鬼頭がベンチから腰を上げると、
「それに……
俺は、お前がかつて稲田の古傷を突き、彼女に脅しをかけたことを忘れていないし……
そのことを…死んでも絶対に許さない……!」
輝男は鬼頭に背を向けたまま、感情を必死に押し殺して憤りの念を言ってくる。
輝男の脳裏には、去年の暮れ、鬼頭が千早の過去の凌辱動画を利用し、彼女に東大受験を諦めるよう脅しをかけた時の記憶が克明によみがえる。
どうあっても許すことのできない卑劣極まりない所業を思い出し、千早の心の傷を平然とえぐった相手に対する怒りを改めて奮起させる。
輝男の今の怒りの一言に、鬼頭は愕然とした表情で言葉を詰まらせ、その場に立ち尽くす。
未だ、過去のことで自分に対する憤怒を抱えている輝男を前にして、どうしたらいいかわからないといった態度を見せる。
東大受験に落ちてしまい、奈落の底に突き落とされる以外に選択の余地の無い鬼頭としては、かつてのように傲慢な態度でその場を凌ぐようなことはできないし、決して許されない。
そんな鬼頭に背を向けつつも、輝男は必死に感情を押し殺したような形相を見せる。
一呼吸、間を置いた後、輝男はゆっくりと口を開く。
「鬼頭……これだけは言わせてくれ……
もし、俺自身、生まれた環境がちょっとでも違ったら……
俺も、お前みたいになっていたのかもしれない……」
鬼頭に背を向けたまま、彼に向かって、秘められた思いを淡々と吐露する輝男。
東大卒エリートにして、家族に対して一かけらの思いやりを持たない冷血漢でもある父親を持つ輝男としては、鬼頭の境遇を他人事(ひとごと)として切り捨てることがどうしてもできずにいた。
鬼頭に救いの手を差し伸ばすことはできないが、例えわずかでも共感の念を抱いていることを、背中越しに言い聞かせようとする。
すると、輝男は一人、その場を去って行く。
少しも振り返らずに去り行く輝男の後ろ姿を、鬼頭は、愕然とした面持ちで立ち尽くしたまま呆然と見つめる……
◇ ◇ ◇
曇天に覆われた夜空を小雨が彩る。
小雨が降りしきる中、タワーマンション内の自室で、輝男は深くため息を付く。
ベッドの上に腰を下ろすと、眼下にあるものをため息交じりに見下ろす。
輝男はグレーのノースリーブシャツのみをまとい、素裸の下半身をさらしている。
その裸の股に、小柄な体をした少女が顔をうずめている。
上半身パジャマを着ているが、足首にショーツを引っかけている以外は、素裸の下半身をさらしている。
「んむっ……んん……んうぅ……」
瑠奈は頬張るように義兄自身をくわえ、しゃぶり、艶やかなうめき声を漏らす。
右手で肉の棒をつかみ、フェラチオを続ける一方で、左手の中指、人差し指で自分自身を慰める。
成されるがままの義兄のモノをしゃぶりながら、大事なところを自らの手で荒らす異様な感触に神経を震わせる。
瑠奈の口元からは唾液の跳ねるような音が漏れ、彼女の股の方からはかき回すような水音が小さく聞こえる。
「んっ、んうぅ……んくぅっ……」
フェラチオをトーンアップさせると、瑠奈のうめき声が艶やかさを増す。
すると、
「おい、瑠奈、やめろ」
困り果てた調子で、輝男が制止を呼びかける。
瑠奈はすぐに、義兄のモノを口から離す。
上目遣いで輝男を見上げると、
「どうして?
お義兄ちゃん、東大に落ちてひどく落ち込んでいるから、せっかく慰めてあげようとしたのに」
最愛の義兄を思いやる言葉を当人に向けて言う。
「お前のその気持ちだけで十分だよ。
確かに、東大には落ちたけど、別に絶望しているわけでもないから」
「滑り止めで一校、受かったとはいえ、やはり東大が一番の大本命だったんでしょ?」
「あぁ……。でも、来月からは、御学堂大学でキャンパスライフを始めるから」
輝男の今の言葉を聞くと、一呼吸、間を置いた後、瑠奈が口を動かす。
「どの道、お義兄ちゃんの大学受験は終わったから、これからは思いっきりエッチができるってわけね」
「お前……小春と同じことを言って……」
「失礼しちゃうわ。瑠奈をあんなバカ女と一緒にしないで!」
呆れながら言って来る義兄に、義妹は不機嫌に頬を膨らませて言い返す。
すると、裸の股から突っ立つ唾液まみれの肉の棒に舌を這わせる。
まるで、アイスキャンディーでも舐めるかのように、上下に舌を動かしながら、義兄にみだらな刺激をもたらす。
「る、瑠奈……!」
「お義兄ちゃん、来月にはもう向こうの方に移っちゃうんでしょ?
桜月さんとは向こうでも好きなだけエッチできるけど、瑠奈とはもうエッチできないから……」
義兄自身を隈無く舐め回し、根元に口を含みながらも、抑えようのない寂しさをつぶやく。
輝男を思い、愛する心では桜月たちに負けないが、離れ離れになる心痛を今の近親相姦に容赦なくぶつける。
東大受験の結果発表を見終えたその日の夜、輝男は久方ぶりの義妹との禁断の交わりに身を投じている。
一通り、舐め終え、フェラチオを再開する瑠奈の口内で輝男自身は固さ、大きさを増す。
成されるがままの輝男の耳に、
「んぐっ、んんっ、んうぅっ……!」
息詰まるような瑠奈のうめき声が、唾液の跳ねるような音と混ざって輝男の耳に流れる。
「あっ、あぁっ……あぁんっ!」
輝男の自室に、高らかな嬌声が響く。
上半身にシャツのみをまとう格好で直立しながら、瑠奈の両ひざを抱え、持ち上げる輝男。
瑠奈は輝男の首に両腕を回しながら、真下から腰をぶつける輝男の動きに身を押される。
俗に“駅弁”と呼ばれる体位で犯して来る義兄に、上半身を上下に跳ねさせる。
やがて、輝男の身にギュッとしがみ付くと、真下から叩き付ける腰の動きを甘受する。
瑠奈の中では、固く膨張している輝男自身が、上下に行き来を繰り返して、何度も最奥に突き当たる。
「んんっ! いいっ、すごいよ……お義兄ちゃん……!」
瑠奈が熱を帯びた声で歓喜の念を言ってくると、
「瑠奈……お前がどうしても“コレ”をやりたいって言うからやってやったんだぞ」
輝男は荒く息を弾ませ、腰を強く振り続けながら、義妹に言葉を返す。
真下から激しく攻めてくる義兄に、瑠奈はあどけない容姿を熱っぽくさせ、汗をにじませる。
輝男もまた、小柄な義妹の体を持ち上げ、腰を強くぶつけながら、熱っぽく汗をにじませる。
淫欲に気分が昂揚していることに加えて、自分よりニ十センチも低い小柄な体とはいえ、人一人を持ち上げる肉体的疲労に、いつも以上に発汗を煽られている。
(瑠奈のヤツ……しばらくヤってないせいもあるが……
中の具合がかなりキツイ……! 俺に絡み付いて離さない……!)
義妹の体を持ち上げ、強い突き上げを繰り返しながら、収縮を強める中の感触に感嘆する。
剛直とヴァギナの摩擦が強まる中、瑠奈は義兄を抱き締める腕力を増す。
「いいよ……! すごくいい……! お義兄ちゃん……もっとぉ―――……」
瑠奈は何度ものけ反り、恍惚の悲鳴を上げながら、更なるみだらを求めて止まない。
汗だくの瑠奈の裸体が、ベッドの上でグッタリとしている。
そこへ、やはり汗にまみれた裸体をさらす輝男が、真上から被さってきた。
瑠奈はすぐに輝男を抱き寄せ、義兄と上下に体を密着させる。
控え目に膨らむ左右のふくらみと引き締まった胸板が上下に押し合い、汗と熱を混ぜ合わせる。
そして、義兄と義妹は、上下に向き合いながら唇を重ねる。
キスを交わしながら、輝男は瑠奈の股に腰を強くぶつける。
引っぱたくような肉と肉の衝突音が響く中、強く狭まるヴァギナを輝男自身が前後運動で突き破る。
「んん―――! んんっ、んうぅ―――!」
唇をふさがれたまま容赦ない猛進を甘受する瑠奈が、うめき声を上げる。
輝男と瑠奈はすぐに唇を離すも、間を置かずに舌先を絡ませ合う。
唾液の跳ねるような音と肉と肉の衝突音が、二人の耳に重なって聞こえる。
「いいよ、お義兄ちゃん。もっと…もっと強く突いて……」
「ホントにいいのか? お腹を壊しても知らないぞ」
「だ、大丈夫だよ……。お義兄ちゃんとなら……あぁっ!」
最愛の義兄相手に言葉を返そうとした途端、瑠奈は、痙攣でも起こしたかのように体をのけ反らせた。
一瞬の痙攣の後、輝男を力一杯に抱き締めると、
「ヤダ……イっちゃう……瑠奈…イくぅ……」
その身と声を震わせながら、残念がるかのように呼びかける。
抱き締める腕の震えと四方から強まる肉圧に、瑠奈の限界が間違い無いものと認める。
輝男は瑠奈と密着したまま、ラストスパートをかけるかのように小刻みに律動を繰り返す。
剛直が絶えず行き来を繰り返す瑠奈の秘裂の隙間からは、蜜のようなものが泣くかのようにこぼれ出て来る。
「あぁんっ! ヤダ! 痛い!」
義兄の容赦無い律動がもたらす苦痛に悲鳴を上げると、
「もっと……もっと強く……!」
間を置かずに、淫欲を求める恍惚の声を熱っぽく漏らす。
最愛の義兄との禁断の愛欲の前に、身体の苦痛は無に等しいものとなっていく。
切に求める義妹に甘えるかのように、引っぱたくかのような衝突音を鳴らしながら、義妹に向けて腰をぶつけ続ける輝男。
義妹との禁断の交わり、直に迫って来る肉と熱に、輝男の中では欲望が激しく煮えたぎっている。
これ以上は抑えられないことを認めると、
「る、瑠奈……俺…」
輝男は荒く息を弾ませながら、義妹に向けて限界を訴えようとする。
すると、
「き、来て……早く……瑠奈…もう、らめぇ……!」
義兄の訴えを途中でさえぎりながら、熱っぽい声で瑠奈が呼びかける。
両腕で輝男の上半身を抱き締めながら、細い両脚を輝男の下半身に絡み付かせる。
どうあっても逃がすまいとする義妹の体勢に、輝男は強い一突きを食らわせる。
今の一突きを受け、輝男自身がヴァギナを突き破り、瑠奈の中、最奥へとめり込むと、
「お……お義兄ちゃぁ―――んっ!」
瑠奈は、輝男を強く抱き締めたままのけ反り、絶頂の声を上げた。
間も無くして、輝男は愛しい義妹の中を欲望で汚し尽くした……
◇ ◇ ◇
汗の乾かぬ裸体をさらしながら、輝男と瑠奈がベッドの上で並んで仰向けになっている。
瑠奈は、恍惚と疲労の混ざった顔を横にいる義兄に向ける。
「お義兄ちゃん……瑠奈、明朝学園高校を受けることにしたの……
お義兄ちゃんや桜月さんたちの後を追って、瑠奈も明朝学園高校の校門をくぐるから……」
歳相応のあどけない美貌を熱っぽくさせながら、高校受験への意気込みを義兄に言う。
義妹の今の決意を間近で聞くと、輝男は、心地良い疲労の消えない形相をほほ笑ませながら、義妹と向き合う。
「いい心がけ……と言いたいところだが……
お前の今の学力では、俺以上に死ぬほどの努力をしないと絶対に無理だな」
冗談か本気かわかりかねる言葉を言って来る輝男に、瑠奈は思わず不機嫌に頬を膨らませる。
「お義兄ちゃんの意地悪……」
すねたように言い返す瑠奈だが、すぐにクスッと笑みをこぼす。
輝男もつられて笑みをこぼす。
日中、東大受験不合格に打ちのめされた輝男は、夜も更けて久しい時刻、義妹との笑みのこぼし合いで、今日のこの長い一日を終えようとした。