輝男、バイト先で親子丼?
暑い日差しが網戸、カーテンを通してリビングに差し込まれる。
リビングでは輝男と桜月、そして、瑠奈が、いつも通り朝食を食べている。
「あー、暑い―――。部活、行きたくないよぉ―――」
瑠奈が箸を持つ手を止め、ウンザリしたかのようにつぶやく。
「…ったく、暑い暑い、言うなよ。余計、暑くなるだろ」
輝男がみそ汁を飲みながら、瑠奈の愚痴に言葉を返す。
「でも、確かに、今日は今の内から暑くなってるわね」
瑠奈の横で、真純が平然とした調子で言って来る。
少々、蒸すような空気を感じ取りながらも、瑠奈は食事を再開する。
「いいなぁ……。アタシは、これから毎日、部活だというのに……
お義兄ちゃんもママも、ずっと家でゴロゴロしてるんだから」
食事を進めながらも、なおも愚痴をこぼす瑠奈。
すると、輝男は、半ば呆れたような顔を瑠奈に見せる。
「あのなぁ……俺は今日からバイトをするんだよ」
「え? お義兄ちゃんがバイト!?」
輝男の今の言葉に、瑠奈は信じられないと言わんばかりに声を上げる。
「そう言うわけよ、瑠奈」
驚く瑠奈の横で、真純が言葉をかける。
三十分ほど経った頃、輝男はデイバッグを背負いながらリビングを出て行こうとする。
「じゃあ、行って来るから」
「気を付けてね」
去り際に挨拶する輝男に、真純は優しく言葉を返す。
輝男がリビングから出て行くと、
「ママ、お義兄ちゃん、どこでバイトするの?」
学校の夏用の制服に着替えた瑠奈が、真純に向かってたずねる。
「確か、駅の近くにあるカフェだって言ってたわ」
「ふぅーん……お義兄ちゃん、カフェの仕事なんてできるのかしら?」
「そんなことより、瑠奈は自分のことを心配しなさい。
部活の練習もこれから忙しくなるし、この夏休みは、家庭教師の先生をつけて、英語の勉強をしなきゃいけないんだから」
真純は笑顔を絶やさずに、瑠奈に向かって耳が痛くなるような言葉をかける。
義母の今の言葉に、瑠奈は苦い顔を見せる。
「え―? 本当に家庭教師をつけるの?」
「仕方がないでしょ。瑠奈、今回、英語の成績が一番、悪かったんだから。
このままだと、二学期はますます、成績が落ちてしまうかもしれないわ。
だから、この夏休みは、家庭教師の先生のもとで苦手な英語を克服しなさい」
「そんなぁ……。せっかくの夏休みなのに、これじゃ、学校がある時より忙しくなるじゃない……」
苦言を呈する真純に、瑠奈は今にも泣き出しそうな声で言葉を返す。
今の時分で著しく蒸す暑さも忘れてしまうくらいに、瑠奈は深い憂鬱の中にある。
◇ ◇ ◇
輝男たちの住む中心街にある青春中央駅の向かいに、ニ十階建てのタワーマンションがある。
そのマンション一階のエントランスの横に、長々としたカウンターのみがある小さなカフェがある。
カフェ入り口のドアには、
“カフェ ホーリー”
と、店名が横書きで表示されている。
ドアの内側、店内カウンターの向かいに、エプロン姿の輝男がいる。
エプロンの下には、私服である水色のワイシャツと薄手のベージュのスラックスを身にまとっている。
輝男の目の前には、同じくエプロンを着た四十代前半くらいの女性が立っている。
耳が隠れる程度の長さの、五分五分に分けられた艶やかな黒髪――
おっとりとした歳相応の美貌――
白のブラウスとブラウンのロングスカートに包まれたスレンダーな肢体――
「ここは、他のお店と比べて余り客の出も多い方じゃないから、その点、さほど、忙しくないかもしれないけど……
でも、だからと言って、いい加減な気持ちで臨まず、ちゃんとしっかり仕事してね」
柔和な笑みを浮かべつつも、しっかりと仕事の心構えを言って来る聖真理(ひじり・まり)に、
「はい、短い間、お世話になりますが、一生懸命、頑張ります」
輝男は、真剣な面持ちで言葉を返す。
「それじゃあ、もうすぐ開店時間になるから、支度をしましょう」
「はい」
そう言葉を交わすと、輝男は真理と一緒に支度を進める。
「お待ちどおさま、カフェラテになります」
一時間ほど経った頃、輝男は、カウンター越しに、コースターに載せられたコーヒーカップを差し出す。
輝男が差し出した先には、真理と同世代くらいの女性が一人、腰を下ろしていた。
女性はカップに盛られているカフェラテを口にすると、
「うん……マスターのカフェラテは相変わらず、美味しいわね」
満足げな顔でカウンターの内側に立つ真理に言葉をかける。
「いつもいつも、ありがとうございます」
真理が笑顔を見せながら礼を言うと、
「ところで、あの子、新しい店員さん?」
女性はカフェラテを飲む手を止め、真理に向かってヒソヒソと話しかける。
彼女は、カウンター内側の隅で洗い物をする輝男に目を向ける。
すると、真理は笑顔を絶やさずに首を横に振る。
「いいえ。夏休みを利用して、うちのお店でバイトをしているの」
「へぇ、そうなんだ。……にしても、結構、イケメンじゃない」
女性はそう言うと、興味津々と言った様子で輝男に視線を向ける。
女性の目は、真面目に仕事をこなす輝男の端整な顔をとらえて離さない。
「顔はいいかもしれないけど、今日、初めて仕事をする身ですから」
「でも、見た感じ、すぐに仕事を覚えて、上手くやれそうな気がするわね」
女性は自ずと笑みを浮かべながら、輝男のことを横目で見つめる。
一方の輝男は、洗ったカップや皿を片付けるのに集中して、客である女性の視線にまったく気づかない。
更に二時間ほどが経った。
客の流れが途絶えたのか、人のいなくなった店内で、輝男は深くため息をつく。
彼のやや重い表情からは、疲労の色がかすかにうかがわれる。
「どうだったかしら? 初めての仕事は?」
真理が笑みを浮かべながらたずねると、
「思ってたよりも、結構、疲れました。
ドッと押し寄せるわけじゃないけど、客の流れが途切れなくて……」
疲労のもととなったことを率直に言う。
「初めてだから色々と疲れるかもしれないけど、あなたならじきに慣れるわ」
真理はそう言葉を返すと、
「天江君、休憩が終わったら、飲み物や軽食の作り方を教えてあげるから」
輝男に向かって、そう言葉を続けた。
真理の言葉を聞くと、輝男はカウンターの奥へと下がっていった。
◇ ◇ ◇
カウンターの奥、休憩室と事務所を兼ねた小部屋で、輝男は腰を下ろし、深く、ため息をついた。
目の前のテーブルには、さっきまで輝男が着ていたエプロンが置いてある。
(仕事って、決して楽なものじゃないのはわかってたけど……
いざ、やるとなると、思ってたよりも疲れるもんだな……)
輝男は天井にある蛍光灯をボゥッと見上げながら、心の中でそうつぶやく。
自ら進んで行なったこととはいえ、実際にやってみると疲れを伴わずにはいられない現実に、思わず嘆息してしまう。
夏休みを無為に過ごすよりは、何かためになることを少しでもした方がマシだという気持ちに変わりはないが、思っていたよりも厳しい現状についつい気が重くなってしまう。
そんな気分のまま、しばらくボゥッとしていると、ドアの向こうからノックする音が聞こえて来た。
(マスター? いや、今、休憩に入ったばかりなのに)
輝男は内心、首を傾げながらも、
「はい、どうぞ」
ドアの向こうに向かって、そう呼びかける。
すると、ドアが外側から開き、何者かが部屋の中に入って来た。
「せ、先輩!」
輝男は目の前に立つ私服姿の聖神楽を見て、驚きの声を上げる。
「バイトの仕事、お疲れ様」
神楽はおっとりとした笑顔で輝男に言葉をかける。
輝男の目の前に立つ神楽は、細く締まった体を半袖のワンピースで包んでいる。
神楽はそのまま椅子に座ると、テーブル越しに輝男と向き合う。
「どう? このお店の仕事、厳しいんじゃないかと思ったんだけど」
「別にそんなことは無いですよ。ただ、初めてで右も左もわからないだけで」
「そう……それならいいんだけど……」
神楽はそう言うと、表情を神妙に切り替える。
「前は、私が夏休みや冬休みに母の店を手伝ってたけど、今年は大学受験の勉強があるから……」
「でも、先輩ならきっと大学受かりますよ」
「ありがとう……。でも、正直、自信が無いわ……
生徒会長をやりつつ受験勉強もしてるけど、何度、テストやっても合格ラインに達せなくて……」
神楽はそう言いながら、ますます、表情を曇らせてしまう。
後輩が見ている傍で、深くため息を付くと、
「自らが選んだこととはいえ、こうも壁に突き当たったままでいるなんて……」
事が思うようにいかない状況に、落胆の念を隠さない。
そんな神楽を、輝男は黙って見つめる。
生徒会長の仕事をキチンとこなしながら、学校の勉強、そして、大学受験の勉強にも励んでいることをちゃんと知っているからだ。
ほんのわずかしか息抜きできる余裕が無いのをわかっているが故に、かけるべき言葉が中々、出てこない。
しばらく黙った後、輝男がゆっくりと口を開く。
「偉そうなことを言えませんが……誰だって大学受験の勉強はつらいですよ……
俺が先輩と同じ立場にいたら、やっぱり、壁にぶち当たって悩んでましたから……」
輝男は神妙な面持ちで神楽に言葉をかける。
神楽は今の言葉を聞くと、輝男をまっすぐに見つめる。
自分を見つめる神楽に、輝男は笑みを浮かべる。
「……でも、大丈夫ですよ。先輩ならきっと大学に受かりますよ。
今は厳しくても、頑張って勉強を続ければ、きっと思いは報われますから」
優しく言って来る輝男に、神楽はようやく表情を和らげる。
「ありがとう……。天江君って本当に優しいのね……」
神楽はそう言うと、輝男のもとに静かに歩み寄った。
神楽が真ん前に立つと、輝男もつられて席を立った。
「どうしたんですか、先輩?」
輝男がそうたずねると、神楽は突然、輝男にキスをした。
不意打ちも同然のキスに、輝男は顔を赤くし、戸惑った。
「な、何するんですか!?」
戸惑いながら声を上げる輝男に、神楽はほんのりと頬を赤らめる。
「天江君、さっきまでの仕事で結構、疲れてるし……
この後の仕事もかなり厳しいと思うから……
……私があなたを元気にしてあげる……」
神楽は頬を赤らめながら笑みを浮かべると、艶を帯びた声で輝男に話しかける。
神楽の今の言葉に、輝男は緊張した面持ちで顔を赤らめる。
「神楽……さん……それって……?」
「……私も……天江君が……欲しいの……」
柔和な笑みはそのままに、頬を赤らめ、乞うようなまなざしを震わせる神楽。
そんな神楽をまっすぐに見つめながら、
(神楽さん……この様子だと、相当、溜まってるんだな……)
心の中で深く嘆息する。
◇ ◇ ◇
部屋の隅に身を寄せながら、輝男と神楽はまっすぐに向き合う。
二、三回、唇を重ねた後、半開きになった口から舌を出し、ねっとりと絡ませ合う。
唾液が跳ねる小さな音と、
「んん……んふぅ……んうぅ……」
甘ったるくかすかなうめき声が漏れる。
輝男と神楽は、抱き締め合いながらディープキスを続ける。
しかし、間も無くしてディープキスをやめると、神楽はそのまま膝を屈した。
輝男がはいているスラックスのジッパーを下ろすと、中から陰茎を引き出す。
自ら進んで男のモノを求める神楽に、輝男は戸惑ったような顔を見せながら言葉を詰まらせる。
輝男が何も言って来ないのを見ると、神楽は陰茎をつかみながら、その先端にチュッとキスをする。
神楽の柔らかな口が、輝男自身をゆっくりと飲み込む。
神楽は口を前後に動かしながら、陰茎の根元を丁寧にしごく。
「あっ、あぁ……」
神楽のフェラチオに、輝男はため息交じりにうめく。
「んんっ、うっ、うっ……」
陰茎でふさがれた神楽の口元から、艶やかなうめきが漏れる。
神楽のうめきに、唾液交じりの水音が重なって聞こえる。
最初はゆっくりと撫でるような動きを見せていたが、徐々に口の動きをペースアップさせる。
神楽の柔らかく生温かい口腔は、自ら包んだ後輩男子の一物を少しずつ強くしごいていく。
輝男は思わず天を仰ぎながら、深く嘆息する。
そして、そのまま自分のモノを懸命にしゃぶり続ける神楽の頭を優しくつかむ。
(か、神楽さん……上手い……)
先輩にして生徒会長による口淫を甘受しながら、内心、感嘆の念を上げる。
輝男の内心の感嘆を受け止めてか否かわからないが、神楽は輝男のモノを熱心にしゃぶり続ける。
唾液交じりの水音に加えて、
「んぐ、んぐ、んぐ……!」
神楽のうめきも艶やかにトーンアップしていく。
神楽の口内では、輝男自身が固く、膨張していく。
のみならず、口からはみ出た個所も、神楽の細い手が強くしごき続けている。
口と手による強いしごきに、輝男はかすかに身を震わせる。
「か、神楽さん……このままじゃ……」
輝男は震える声で神楽に言葉を伝えようとする。
すると、神楽はようやく輝男の陰茎を口から離した。
神楽の目の前にあるモノは、さっきの倍近くは固く大きくなり、天を向くように反り返っている。
フェラチオだけですっかり膨張しきった自分自身に、輝男は恥ずかしそうに紅潮する。
しかし、神楽は羞恥の極みにある輝男に構わず、ペロッと舌を出すと、唾液にまみれた陰茎を隈なく舐め回す。
上から下、下から上、360度…という風に舐め回し、根元にも口を含む。
一通り、舐め終えると、先端の辺りを再びくわえ込む。
首を傾げながら、回すようにして口を動かしながらしゃぶっていく。
「んっ、んっ、んっ……」
神楽の艶やかなうめきが、輝男の耳に否応無く流れ込む。
(こうして、勉強の合間を縫いながら、俺とエッチしてくれる先輩……
果たして、感謝していいのか、どうか……)
我を忘れたかのようにみだらに耽る先輩女子を見下ろしながら、輝男は内心、複雑な思いを募らせる。
神楽には自分の夢、目標に向かって頑張って欲しいという気持ちを正直に抱きつつも、今の状況をためらうことなく受け入れてしまう。
しかし、輝男の意思、気持ちがどこにあろうと、彼の体は神楽によるみだらな奉仕にすっかり昂っている様子だ。
やがて、神楽が再び、輝男のモノを口から離した。
これ以上は無理なくらいに固く膨張しきった陰茎を見て、満足げにほほ笑む。
すると、ワンピースの胸ポケットから何かを取り出した。
神楽は手中にある一包を破ると、中にあったコンドームを口にくわえる。
そして、フェラチオする要領で膨張しきった陰茎をゴムで包み込ませる。
「さぁ、もういいわよ」
笑みを絶やさずに言うと、神楽はスッと立ち上がり、ワンピースのスカート部分の中に手を入れた。
間も無くして、スカートの内側から白いパンティーがスルッと脱ぎ出て来た。
パンティーを細い左脚に引っかけると、輝男に背を向けながら両手に壁を付けた。
「天江君……来て……」
神楽は後ろを振り返りながら、視線の先にいる輝男に向かって、艶やかに懇願する。
守ってあげたくなるような弱々しい形相、乞うような震えるまなざしに、輝男は何も言わず、神楽のワンピーススカートをめくり上げる。
姿を現した色白の美尻をつかむと、その真ん中にコンドームで包まれた固く大きな陰茎をあてがう。
輝男の腰が神楽に向かってゆっくりと突き進む。
「うっ、うぅ……」
固く大きな異物が入り込む感触に、神楽はたまらずうめく。
苦痛をこらえるかのようにうめき、身をかすかに震わせる。
しかし、輝男はそんな神楽に構わず、自分自身を神楽の秘裂に食い込ませる。
そして、半分ほど差し込まれたところで一気に腰をぶつけた。
「あっ、あぁっ……!」
神楽はまるでしゃっくりしたかのように声を上げ、のけ反った。
輝男はそのまま、神楽に向かって前後運動を繰り返す。
「あっ、あっ、あっ、あっ、あっ……」
神楽は必死に声を押し殺しながらも、リズミカルな喘ぎを繰り返す。
すぐ近くでは、母である真理がカウンターで仕込み、もしくは接客をしている最中である。
本来なら、この場にいるはずのない自分が、バイトの雇員――しかも、自分の学校の後輩――と淫行に及んでいる。
母にバレたらヤバい、でも、後輩の彼には抱かれたい。
そんな危険と背中合わせの状況が、神楽の気分をいつも以上に昂らせている。
神楽の気分の昂りは、一方の輝男も、しっかりと感じ取っている。
(神楽さんの中……いつもよりキツイ……!)
輝男は大きく律動を繰り返しながら、神楽のヴァギナがいつにも増して締まっているのを感じ取る。
固く大きな剛直を包む四方の肉壁は、微熱と愛液をジンワリと染み出している。
微熱と愛液に煽られながら、輝男は、腰の動きを激しく繰り返す。
腰と美尻がぶつかり合う乾いた音に、
「うっ、うぅっ……うっ、くぅっ……」
神楽の声を殺したうめきが重なる。
「あぁ……ハァ……ハァ……あ、天江君……今日の天江君……いつもより……すごい……」
荒く切ない吐息を交えながら、背中越しに歓喜の念を伝える。
「それは、先輩の中が、いつにも増して締まってるから……」
輝男が荒く息を弾ませながら言葉を返すと、
「何、言ってるの……? 天江君のオ〇ン〇ンが、とても固くて大き過ぎるせいよ……」
神楽は弱々しくも艶やかな声で反論する。
輝男は徐々に狭まっていく神楽のヴァギナに責任を求め、神楽は固く膨張しきった輝男自身の凶暴な動きに一切の因を求めようとする。
実際のところは、収縮を続けるヴァギナと固くて大きな剛直による絶え間無い強烈な摩擦が、二人にみだらな苦痛と刺激をもたらしているのだ。
いずれにせよ、輝男も桜月も、そのまま淫行を続ける。
激しく小刻みにペースアップされる腰の動きに、
「あぁ……あっ、あぁ……んんっ……んうぅっ……」
神楽は息詰まったかのように艶やかに喘ぎ、うめく……
神楽は壁に背もたれになりながら、輝男の体が正面からぶつかるのを受け止める。
輝男の両腕をギュッとつかみながら、
「あっ、ハァッ……あんっ、あっ、んっ、あぁっ……ハァッ……」
何度ものけ反りながら、か細く喘ぐ。
輝男は神楽の左脚を持ち上げながら彼女の股座に腰をぶつける。
神楽はパンティーを脱いだだけであり、輝男は剛直をさらけ出している以外は普通に服を着たままでいる。
しかし、二人は他に誰もいない部屋の片隅で、息を潜めながら激しくもひそやかな淫行に耽っている。
「うぅっ、い、痛い……」
神楽は狭まる一方の自分の中を荒らす輝男の動きに、たまらず苦痛の声を上げる。
「神楽さん……ダメなら……やめても…」
輝男は熱に浮かされたかのような顔に汗をにじませ、荒く息をしながら、心配そうに声をかける。
しかし、すぐに神楽のキスが輝男の言葉を中途でさえぎった。
輝男は神楽とキスを続けながら、固く膨張しきった剛直を神楽の秘裂に繰り返し抜き差しさせる。
(す、すごい……! 気持ちいい……! 頭の中、真っ白になっちゃう……!)
神楽は輝男とキスをしたまま、内心、歓喜に満ちた思いを叫ぶ。
愛しい後輩の荒々しい動きに、他では味わえない得も言われぬ刺激を覚えずにはいられない。
生徒会長の激務、日々の勉強の疲れ……それらがもたらす鬱屈の数々が、神楽の中で発散されていく。
一方の輝男は、がむしゃらに腰を振り続けながら、
(か、神楽さんの中……ますます、締まって……熱くなってる……!)
自分を拒み、あるいは逆に締め付けるかのようなヴァギナの動きと、量を増す熱と愛液に内心、驚嘆する。
パン、パン…と乾いた衝突音が輝男と神楽の耳に流れ込み、細く引き締まった色白の太ももに一すじの蜜の流れが垂れ込んでいく。
やがて、輝男の腕にしがみ付く神楽の手がわなわなと震え出す。
神楽は輝男とのキスをやめると、
「ダ、ダメ……イ、イく……イっちゃう……!」
震える声で、自らの限界を訴える。
「か、神楽…さん……お、俺も……」
輝男もまた、震える声で自らの限界を伝える。
しかし、輝男はそのまま激しく小刻みに、神楽に向かって自分の腰を打ち据える。
ラストスパートをかける輝男の動きに、神楽は震え続ける手で彼の腕をギュッとつかむ。
「あぁ……あっ、あっ、あんっ、んんっ、あっ、ハァッ……」
声を押し殺すかのようなかすかな喘ぎが、輝男の耳に流れ込む。
声のトーンからして、神楽自身、これ以上、続ける余裕は無さそうだ。
輝男もまた荒く息を弾ませると、激しく腰を打ち続ける。
狭まる一方の蜜壺の動きと、それがもたらす強烈な摩擦を忘れたかのように、律動を繰り返す。
まるで、神楽自身を名残惜しむかのように……
これを逃せば、もう二度と彼女を抱けないかのように……
しかし、間も無くして、輝男が神楽に向けて腰を一突きさせると、
「あぁっ……あんっ……!」
神楽はビクンと大きくのけ反りながら、息詰まったかのように絶頂の声を上げた。
神楽が限界に達して間も無く、輝男は神楽の中で思いっきり果てた……
十分ほど経った頃、輝男は再び、エプロンを着た。
出入り口のドアの傍で、神楽が輝男と向き合っている。
二人とも落ち着いた表情を見せており、ついさっきまでセックスに耽っていたことなど微塵も感じさせない。
それでも、今、二人がいる小部屋の隅にあるゴミ箱には、白濁のたまったコンドームがこっそり捨てられている。
「何か、あっという間だった気がするな……」
輝男がため息交じりに独り言をつぶやくと、
「また、仕事、頑張ってね」
神楽は柔和な笑みを浮かべながら言葉を返す。
神楽の今の言葉に笑みで応じると、輝男はそのまま部屋を出る。
◇ ◇ ◇
店内に掛かっている時計の針が、五時十分を指している。
カウンターの内側では、輝男と真理が向き合っている。
店内には二人の他に人の姿は無く、店の入口ドアには、“CLOSED”と記された札が吊るされている。
カフェ・ホーリーは、今日一日の営業を終えたことになる。
「ご苦労様。どうだったかしら、初めての仕事は?」
真理が柔らかな笑みを浮かべながらたずねると、
「最初は、厳しいなと思いましたけど、何とか上手くやれそうです」
輝男は、ずかでも揺るがない笑みで、真理に言葉を返す。
「あなた、勉強ができるだけあって、呑み込みもすごく早いわね。
ちょっと教えただけなのに、すぐにコーヒーの煎れ方をマスターしちゃうんだから。
……さすが、うちの娘が紹介しただけのことはあるね」
「そんなに褒めてもらえるなんて……。自分なんてまだまだですよ。
……でも、マスターのお嬢さん……神楽さんにはとても感謝してます。
同じ生徒会の一員としてとても頼りになる先輩ですし、今回だっていいバイト先を紹介して下さったんですから」
真理からの称賛に、輝男は少々照れながら言葉を返す。
その一方で、真理の娘――すなわち、神楽に対する称賛を、母親である真理に屈託なく返す。
すると、真理は笑みを浮かべたまま輝男をジッと見つめて来た。
輝男を凝視し続けながらも、ほんのりと頬を赤らんでいる。
カフェ・マスターの思わぬ態度に、輝男は半ば戸惑ったような顔を見せる。
「……マスター、どうしたんですか?」
輝男が戸惑ったように問いかけると、
「輝男さん……あなたって、よく見ると、実に素敵な人ね……
頭も良くて真面目で器用で……あなたのような人は、そうそう、お目にかかれないわ……
もし、私がもう少し若かったら、今すぐにでもあなたに抱かれたいくらいに……」
真理は輝男をジッと見つめながら、ウットリとした調子で恍惚の念を告げて来る。
二十以上も年の離れた女性からの思わぬ告白に、輝男は顔を赤らめながら驚愕する。
「ちょ、ちょっと……何、言い出すんですか……!?」
恥ずかしそうに顔を赤らめながら、真理に向かって驚愕の声を上げる。
拒絶にも等しい今の叫びに、真理はクスッと笑い出した。
「ヤダ、もう……。そんなことで照れちゃって……」
「……ったく、今の、冗談でもきつ過ぎますよ」
本当に迫られているのかと思った輝男は、真理の今しがたの言葉が冗談半分だと知って、ついつい苦言を返す。
真理は純粋にためらいの気持ちを示す輝男に笑いをこみ上げつつも、すぐに落ち着いた表情を取り戻す。
「……でも、あの娘、勉強ができて、生徒会長の仕事を立派に務めるだけでなく、人を見る目もしっかりしているなんて……
何しろ、自ら進んで我が身を投げ出し、喜んで抱かれるくらいだから……」
笑みを絶やさず、落ち着き払った口調で輝男にそう言って来る。
今の真理の言葉に、輝男は思わず、その場でギクッと驚く。
(も、もしかして……休憩時間の時のことを……!?)
内心、驚愕する輝男の脳裏に、今日の休憩時、小部屋で神楽とセックスした時の光景が浮かび上がった。
店の方にいる真理にバレまいとこっそ、静かにやったはずなのに、まるで一切を知っているかのような口ぶりをしているからだ。
輝男は、ずかしそうに表情を曇らせながら、ほんのりと頬を赤らめ、言葉を詰まらせる。
そんな輝男に、真理は愛しそうな笑みを浮かべながら、まっすぐに見つめる。
こうして、輝男のバイト初日は終わりを迎えようとする……