岩壁の手前にある腰かけ程度の高さの岩に、輝男が腰を下ろす。
水着を脱がされたまま、全裸で座る輝男の股からは、剛直がビンと突っ立っている。
鎮まる気配の無い自分自身に、輝男は恥ずかしそうに顔を紅潮する。
そんな輝男を、小春は不敵な笑みで見つめる。
ビキニを解いた裸の胸に、再度、サンオイルを塗りたくる。
輝男の前でひざまずくと、突っ立つ剛直をオイルにまみれた左右のふくらみで挟む。
小春はパイズリをしながら、輝男の剛直にオイルを塗りたくる。
「どう、気持ちいい?」
「あ、あぁ……」
「ちゃんと、オイル塗られてる?」
「あぁ……オイルのぬめりがちゃんと染み渡ってるよ」
「あはっ、よかったぁ」
小春は嬉しそうに言いながら、パイズリで剛直にオイルを塗り続ける。
大きくて柔らかなGカップバストが男自身にオイルを塗り付ける様は、男としてはこの上ないシチュエーションである。
輝男もまた、このような状況に快感を覚えずにはいられない。
しかし、喜悦の念よりも不安の方が表に出ている。
(このままじゃ、今にもイきそうだ……!)
小春の献身が余りにも気持ちよ過ぎるのか、輝男はさっきから股の辺りで沸騰感がわき上がっている。
オイルのぬめりと剛直を強くしごき続ける美巨乳の柔らかな肉感は、沸騰感をいたずらに煽り立てるばかりだ。
限界を必死にこらえるかのように、岩にしがみつく手をわなわなと震わせる。
すると、小春がようやく、剛直から美巨乳を離した。
固く突っ立つ剛直は、全身をオイルにまぶされ、テカテカと光って見える。
「もう十分ね」
満足そうに言う小春に、輝男はホッとため息を付く。
暴発を回避したい思いが届いたことに安堵しているようだ。
すると、小春は、最後に残ったビキニパンツまで脱ぎ、輝男の横で岩壁に両手を付いた。
プリッと突き出す美尻の前に、輝男が歩み寄ると、
「ねぇ、輝ちゃん、アタシのアソコにもオイル、塗って」
小春が後ろを振り返りながら、輝男にそう呼びかける。
期待するかのような面持ちを赤らめ、乞うようなまなざしを輝男に向ける。
輝男は小春の足元にあるオイルの容器を拾い、残っているサンオイルを手のひらにかける。
オイルでまぶされた左右の手で、小春の美尻をこじ開ける。
真ん中に見える秘裂、肉の花弁に、手のひらを通してオイルを塗り付ける。
「あぁんっ……いい……いいよ……」
小春は輝男に背を向けたまま、恍惚とした声を上げる。
輝男は指腹を使って、肉の花弁に何度もオイルを塗り付ける。
「う、うぅん……気持ちいい……」
ウットリと歓喜の声を漏らす小春。
一通り小春の秘所にオイルを塗ると、輝男は裸の美尻を両手でつかむ。
「小春、行くぞ……」
感情を押し殺すような言い様で呼びかけると、
「うん、来て……」
小春は艶やかな声で返事をする。
全身をオイルにまぶされた剛直が、同じくオイルを塗り付けられた秘裂に差し込まれる。
「あっ、んんっ……!」
小春は壁に両手を付けたまま、声を上げてのけ反る。
サンオイルが文字通り潤滑油の役割を果たして、剛直を小春の中にすんなりと進ませる。
そして、そのまま輝男が勢い良く腰をぶつけると、
「あっ……あぁんっ!!」
外にまでハッキリと聞こえるくらいの叫びが、小春の口から発せられた。
小春の今の叫びを聞くと、輝男は初めから勢い良く前後運動を仕掛けて来た。
「あっ、あっ、あんっ、あんっ、んんっ、んっ、んあっ……!!」
小春の口から、艶やかな喘ぎが繰り返し発せられる。
小春の喘ぎとオイルのぬめりに、輝男の動きは否応なしに加速される。
(小春の中……オイルのせいかどうかわからんが……温かくぬめって……絡み付く……)
繰り返し腰をぶつけながら、輝男は内心、感嘆の声を上げる。
輝男の剛直は、小春のヴァギナが微熱とぬめりを帯びながら収縮していくのを直に感じ取る。
すると、
「て……輝ちゃんの……すごく固くて……大きくて……あぁんっ! こ、壊れちゃう……!」
小春は、うわ言のように歓喜と苦痛がない交ぜになった言葉を発する。
小春の方は、限界まで固く膨張した剛直が自分の中で強く擦り付け、激しく猛進を繰り返していると思っている。
いずれにせよ、わかっているのは、輝男と小春は女体の中で激しく摩擦し合っていることだけである。
「あぁ……あんっ、んんっ、うっ、う、うくっ、あっ、あぅっ……!」
恍惚の度合いを増す小春の喘ぎが、水音混じりの肉と肉の衝突音と重なって響く。
やがて、小春の秘裂からは、オイルと蜜が混ざり合った液が隙間からトロトロとこぼれて来ている。
「うっ、うぅん……いいよぉ……もっと……もっとぉ―――っ!!」
波打つ音をかき消すかのように、小春は艶やかな叫びを上げる。
小春の美貌は、恍惚の度合いを増しながら紅潮している。
みだらに耽り過ぎるせいか、その目は半ば霞がかっており、口元からはよだれまで垂れている。
そして、胸元から垂れる美巨乳はずっとブルブルと震え続けている。
留まるところを知らない収縮と絶えず発せられる艶やかな声、そして、二人の間に響く乾いた音は、輝男さえも否応なしに気分の昂揚に追い込む。
(ヤバい、このままじゃ病みつきになってしまう……! でも、体が止まらない……!)
内心、懸念めいたつぶやきを発するも、小春を犯す律動は途切れない。
さっき、腰を下ろしていた腰かけ程度の大きさの岩に、輝男は再び、腰を下ろす。
腰を下ろしている輝男の真ん前では、
「あんっ、んんっ、あっ、あぅっ、んぁっ……!」
小春が背を向けながら自ら腰を上下に動かしている。
小春の動きに合わせて、彼女のたわわ過ぎる肉の果実が大きく波を打つ。
すると、輝男は背後から小春の美巨乳をつかむ。
手のひらに収まり切れない大きな胸のふくらみを、何度も強く揉みしだく。
「あぁっ、いいよ……輝ちゃん……」
背後からの愛撫に、小春は呆けたかのように歓喜の声を上げる。
愛撫に応じるかのように、腰の動きを小刻みにさせる。
上下にぶつかる二つの腰の間から、肉と肉がぶつかり合う乾いた音が響く。
すると、輝男は真下から腰を勢いよく突き上げる。
「キャンッ!」
突然の突き上げに、小春は痙攣したかのように跳ねながら嬌声を上げる。
そのまま小春の上下運動を受け入れても、十分、刺激がもたらされる。
しかし、輝男は構わず、自ら腰の突き上げを繰り返す。
「うぅっ、いい、いいよ……もっと、もっとしてぇ……」
輝男の突き上げに、恍惚と歓喜に満ちた声を上げ、更なる懇願をする小春。
輝男は小春の艶やかな声を聞き入りながら、彼女の蜜壺を味わうと共に、柔らかく大きな美巨乳も存分に堪能する。
後背位から一転して、背面座位の体位で互いを貪り合う輝男と小春。
「小春のオッパイ……柔らかくて……大きくて……温かい……」
輝男は愛撫を続けながら、小春の美巨乳の肉感と内側から染み出る熱に感極まる。
「て、輝ちゃんのも……メッチャ固くて……おっきくなってるよ……
もう、これ以上、大きくなったらマジで破裂しちゃう……って感じ……」
小春は腰を振り続け、真下から来る輝男の腰と衝突を繰り返しながら、うわ言のように言葉を返す。
小春のヴァギナは、固く膨張しきった輝男自身の蹂躙をずっと受け続けている。
普通であれば、苦痛の極みにあってもおかしくないのに、逆に恍惚とした顔を赤らめ、呆けさせている。
強度を増す摩擦に、一切の神経が麻痺でもしたのだろうか……?
一方の輝男も、狭まる一方の小春のヴァギナを感じ取りながらも、難儀する代わりに腰の動きを激しくさせる。
照りつける太陽に輝男の体は沸騰し、飛び散るように汗が噴き出ている。
収まる気配のない熱気に煽られたのか、激しく小刻みに腰の突き上げを繰り返す。
パン、パン…という乾いた肉の音と、
「あんっ! イヤッ! あぁんっ、んっ、んぁっ!!」
けたたましい小春の喘ぎが、輝男の耳に重なって聞こえる。
「て、輝ちゃん……輝ちゃんの…オ〇ン〇ン……奥にメッチャ当たってる……!」
小春が輝男に歓喜の声をかけると、
「小春……君のオッパイもすっかり熱っぽくなってる……。先っぽも固くなって……」
輝男は熱に浮かされたかのように、小春に言葉を返す。
小春の言葉通り、輝男自身は窮屈な肉壁をぶち破るようにして、彼女の中、最深部に何度も突き当たる。
輝男の方も、小春の美巨乳――更に言えば全身が、熱を帯びてきているのを直に感じ取っている。
彼の指は、固く突っ立つ胸先の蕾を何度もこねくり回している。
そのまま、愛撫と腰と腰の衝突を続けていると、
「あぅっ……ヤ、ヤダ……イ、イく……イきそ……」
小春は一瞬の痙攣の後、震える声で自らの限界を告げて来る。
「ヤ、ヤバい……俺も……!」
輝男は汗をにじませ、歯を食いしばりながら、搾るような声で小春に言い返す。
輝男の股の辺りは、沸騰を通り越し、いつ暴発、噴火してもおかしくない状態にある。
共に限界にさいなまれながらも、なおも体を重ね合い、味を堪能する。
むしろ、ラストスパートに差し掛かっているからこそ、名残惜しむかのように互いに相手の体を貪ろうとする。
輝男は小春のGカップバストを強く揉みしだき、勢い良く腰を突き上げ、彼女の中の温かく、潤みを帯びた肉壁の窮屈な感触を、頭と体と心に刻み込ませようとする。
小春もまた、自分を強く愛撫する輝男の強い手と、自分の中を蹂躙し続ける固くて大きな男自身を限界ギリギリまで味わい、心に強く刻み込ませようとする。
「ハァ、ハァ、ハァ……小春……小春……!」
熱に浮かされたかのように相手の名を呼び続ける輝男の荒い息遣いと、
「て、輝ちゃん……輝ちゃん……来て……早く来て……!」
震える声で相手を求める小春の切ない言葉が重なる。
二人の弱々しい声が、波打つ音と肉と肉の衝突音にかき消されてしまう。
やがて、輝男が真下から勢いよく一突きを食らわすと、
「あぁんっ! イ、イくぅ――――――!!」
小春は体を大きくのけ反らぜ、腹の底から絶頂の叫びを上げた。
小春の今の悲鳴を聞くと、輝男はギュッと締まりきった蜜壺を濃厚な白濁で満たした。
「て、輝ちゃんの……温かくてドロッとしたの……アタシの中に……いっぱい……」
小春はうっすらと目元に涙を浮かばせながら、うつろな口調でそうつぶやく。
男の淫欲のしたたりが自分の中に浸透する様に、恍惚とした歓喜の念を漏らす。
これは初めてであるかのように、男に犯され、抱かれたことに対する満たされた思いを表立たせる……
輝男と桜月は、背面座位の体勢そのままに、前後に身を重ねながら背後に岩壁に身をもたれている。
熱気で汗の収まらない裸体をさらけ出しながら、心地よい疲労に言葉も出ない輝男。
一方、正面から輝男に寄り添う小春は、火照りの収まらない美貌を妖艶にほほ笑ませながら、輝男の方を振り向く。
「輝ちゃん……素敵……。とても激しくて、最高だったよ……」
「喜んでくれて何よりだよ……」
ウットリとささやく小春に、輝男は荒い吐息を繰り返しながら言い返す。
「小春……思いっきり、中に出しちゃったけど……大丈夫か……?」
輝男が心配そうにたずねると、
「全然、大丈夫。むしろ、今じゃないとマジでヤバかったから……
あと一日か二日ずれてたら、危険日でアウトだったかも」
安堵をうながす言葉をかけつつも、半ば不穏当な一言を冗談交じりに続ける。
小春の今の言葉に、輝男は呆れ顔でため息を付く。
「まったく……」
呆れながら言い返す輝男に、小春はクスッと笑みをこぼすと、
「ねぇ、輝ちゃん、もう一回シよ?」
輝男の胸先を指で弄りながら、軽い調子で懇願する。
「そんなこと言って、もう一回、もう一回言いながら、何度でもヤろうとするくせに」
「わかった? でも、輝ちゃん、それだけ素敵な相手だから」
呆れながら言う輝男に、小春は笑みをこぼしながら言い返す。
輝男は呆れたような態度を取りつつも、実際には、本当の意味で喜んで身を捧げてくれる小春に正直、満更でも無いといった様子である。
すると、
『お―――い、お義兄ちゃ―――ん!』
『輝男く―――ん、どこ―――?』
遠くから、輝男の名を呼ぶ少女二人の声が聞こえて来た。
(瑠奈、桜月……!)
輝男は遠くから聞こえる呼び声に、ハッと我に返ったかのような顔を見せる。
そのまま腰を上げ、陰茎が突き刺さったままの小春の体を自分のもとから引き離す。
そそくさと水着をはき直すと、
「ごめん、俺、皆のところに戻らなくちゃ」
小春に向かって申し訳無さそうに言う。
「え――? まさか、このアタシをヤリ捨てしちゃうってわけ?」
小春は不機嫌に頬を膨らませながら、輝男に向かって愚痴をこぼす。
「君とのひと時もよかったけど、瑠奈や桜月たちのこともあるから」
輝男はそう言葉を返すと、桜月に背を向け、岩場から抜け出ようとする。
去り行く刹那、
「小春、また、機会があったら……」
小春に背を向けたまま、一言、そう言葉を続ける。
自分のもとを去る輝男の後ろ姿を、小春は一人、ジッと見つめる。
まるで、一人、その場に取り残されたかのように、突っ立ったまま動こうとしない。
彼女の左右の太ももの隙間からは、ドロッとした白濁のかたまりが、一すじの流れとなってこぼれている……
◇ ◇ ◇
輝男と小春がいた岩場の近くの砂浜で、桜月と瑠奈は辺りを見渡している。
「もう、お義兄ちゃん、どこへ行ったの?」
瑠奈は困惑した面持ちで、深くため息を付く。
二人はいつの間にか姿が見えなくなっていた輝男を捜しに、ここまで来ていたのだ。
桜月が岩場の方を振り向くと、一人の少年がこちらに近付いて来るのを認めた。
「二人とも、ごめん」
輝男は桜月と瑠奈の前に着くなり、二人に詫びの言葉をかける。
「もう、アタシたち、ずっと心配してたんだから!」
姿を消していた義兄に、瑠奈は頬を膨らませて、怒りの声をかける。
一方、瑠奈の横にいる桜月は、輝男に向かって安堵の表情を見せる。
「でも、無事でよかったわ。…にしても、今まで、何、してたの?」
「そ、それは……」
桜月からの問いかけに輝男が答えようとすると、
「そりゃ、もちろん、アタシとずっとズッコンバッコンしてたに決まってんじゃん」
輝男の背後から、嬉しさ半分、挑発半分といった声が、輝男に代わって返答した。
輝男の背後に重なっていた人影が、ひょこッと顔を出した。
「ア、アンタ!!」
瑠奈は驚きながら、輝男の背後から顔を出す小春に声を上げる。
小春は瑠奈、桜月と向き合うなり、勝ち誇ったかのような不敵な笑みを見せる。
「ズ、ズッコンバッコン……って、どういうこと……?」
桜月が唖然としながら小春にたずねる。
桜月からの今の問いに、小春はニヤッと笑みを歪める。
「言った通りよ。
アタシと輝ちゃん、ついさっきまで、お互いクタクタになるまで、メッチャ激しくエッチしまくったんだから」
勝ち誇ったかのように言ってのける小春に、桜月と瑠奈、それに輝男まで愕然とする。
「お、おい、君、何、変なことを言うんだ!?」
輝男は顔を赤らめ、狼狽しきった形相で声を上げ、小春への反論を試みる。
輝男の狼狽を前にして、小春は平然とした態度を見せる。
「ヤダ、もう、輝ちゃんったら、ホントのことを言って、何が悪いの?」
「いや、確かに君とはさっきエッチしたけど、もう少し、言葉を…」
輝男はなおも狼狽しながら小春に言葉を返す。
すると、狼狽し、困惑した輝男の顔が苦痛に歪み出した。
何者かの足が、輝男の右足を強く踏み付けたのだ。
踏み付けられた右足を抑えながら、輝男は瑠奈をキッとにらむ。
「瑠奈、何をするんだ!?」
「お義兄ちゃんの裏切り者、ケダモノ!
女の子ならバカでもろくでなしでも全然OKだなんて、超最低!!」
瑠奈は怒りに顔を真っ赤にしながら、声を上げて最愛の義兄をののしる。
自分にとって最も忌々しい存在である小春と、再度、セックスに及んだことがどうしても許せないようだ。
「お、俺だって、別に好き好んでシたわけじゃ……!」
輝男は義妹の怒りを少しでも沈めようと自己弁明を試みようとする。
しかし、すぐに、まるで救いを求めるかのような当惑した顔で、桜月の方を振り向く。
すると、桜月は輝男から目をそらしたまま、重くうな垂れている。
「……信じられない……」
今まで見たことも無いような暗い表情で、淡々とつぶやく桜月。
怒りをあらわにする瑠奈と違い、悲嘆を通り越し、絶望にも似た気持ちをさらけ出してやまない。
桜月としても、輝男が二度も小春を抱いたことをどうしても許容できずにいるようだ。
瑠奈の憤怒と桜月の陰鬱に、輝男は愕然としたまま言葉を失う。
これ以上は無い最悪の雰囲気の中、元凶とも言うべき小春は一人、嬉々とした面持ちを見せ付ける。
小春は愕然としたままでいる輝男の腕にギュッと抱き付くと、
「さ、輝ちゃん、こんなヤツらほっといて、また一緒にヤりまくろう」
嬉しそうに再度のセックスをうながす小春のささやきが、輝男の耳元に流れる。
すると、
「てめぇっ!!」
傍から怒号が浴びせられると、次の瞬間、何者かの手が輝男につかみかかった。
輝男は何者かの乱入にすぐに気づくと、自分を攻撃しようとしたその手を寸前で受け止める。
桜月と瑠奈、そして、小春は、突然に起きた事態に、皆、愕然とした表情を見せる。
三人が見つめる先には、力強く取っ組み合う輝男と大富 豪の姿があった。
驚愕する輝男の目に、怒りに満ち満ちた豪の鬼の形相が映る。
「てめぇ、この野郎! よくも俺の可愛い妹をボロクズ以下の傷物にしやがったな!」
「何、言ってんだ! 俺は君の妹さんをボロクズなんかに……」
「うるせぇっ!!」
豪は怒号を上げながら輝男の言葉を中途でさえぎると、輝男目がけてストレートパンチを浴びせようとする。
しかし、輝男はすぐに、豪のパンチをよけながら、自らも力強く身構える。
「俺のナンパを邪魔したばかりか、俺の可愛い“こはるん”を嫁に行けない体にさせたことは、百万回、ぶっ殺したって絶対許せねぇぞ!!」
最愛の妹である小春を強く思うが故に、輝男が可愛い妹を強姦し、心身共に傷付けたものと思い込み、凄まじい怒りを輝男にぶつけようとする。
「勘違いするな! 俺は君の妹さんを無理矢理に犯したわけじゃない! 俺と妹さんは…」
「問答無用だ! 地獄へ落ちやがれ!!」
輝男の言い分を頭から無視すると、豪は再度、輝男に向かって強いパンチを食らわそうとする。
しかし、次の瞬間、前へ進み出た豪の右足を、何者かの足が力強く踏みしめた。
「あ゛――――――!!」
突然の強烈な踏み付けに、豪は声にならない悲鳴を上げる。
すると、間も無くして、今度は強烈な蹴りが豪の股間に命中した。
男にとって凄まじい苦痛をもたらす金的に、豪は激しく苦悶し、のたうち回る。
すると、豪の目の前に、一人の少女が、壁のように仁王立ちした。
「まったく……ふざけたマネをするんじゃないよ! このろくでなしのクソバカ兄貴が!!
地獄へ落ちるのはてめぇの方だろうって話だろうが!!」
小春は自分の兄を、汚物でも見るような目つきで見下ろしながら、鬼の形相で強烈な悪罵を浴びせる。
小春の悪罵と怒号に、輝男たちは愕然とし、唖然とする。
「で、でも、俺はお前を…」
「勘違いも大概にしろって言ってんだろ!
アタシと輝ちゃんは、兄貴が思ってるような関係とは全然、違うんだから!」
小春は怒号を上げ、声を張り上げながら、兄の思い違いを苦も無くはね付ける。
両腕を思いっきり組み、未だ苦痛の収まらない豪を険しくにらみ付けながら、小春は言葉を続ける。
「もし、また、同じようなことをしたら……今度こそ、ガチで殺す!!」
ドスの利いた口調で、実の兄に向かい凄まじい脅しの言葉をかける。
輝男たちは、目の前で繰り広げられる兄妹の物騒なやり取りに、ただ呆然とするばかりだ。
危機を回避された安堵よりも、目の前の少女の凄まじい怒りに対する衝撃の方が一同の心を大きく占めている。
すると、小春は輝男たちの方を振り向いた。
今しがたの憤怒の形相から一変して、屈託の無い快活な笑顔を輝男たちに見せる。
「輝ちゃん、また機会があったら、いっぱいエッチしまくろうね」
嬉々として言葉をかける小春に、輝男は唖然としたまま言葉を詰まらせる。
桜月も瑠奈も、さっきまでの小春に対する嫉妬の念が今や完全に失せている。
豪の怒りの乱入とそれに対する妹・小春の憤怒の前に、二人の嫉妬心はあえなくかき消されてしまう。
そんな輝男たちの耳に、いつの時代も変わらぬ波打つ音が静かに聞こえて来る。
◇ ◇ ◇
一台の軽自動車が、海沿いの車道を疾走する。
広がる海を背にし、徐々に遠のいていく。
「お義兄ちゃん、また、海に行こうね」
後部座席に座る瑠奈が、すぐ横にいる輝男に言葉をかける。
「あぁ、そうだな」
輝男は瑠奈に相槌を打つと、隣にいる桜月に顔を向ける。
桜月は輝男と顔を向き合わせると、
「また行こうね、海……今度は二人っきりで……」
ささやくように、輝男に向かって言葉をかける。
桜月の今の言葉に、輝男は優しい笑みを見せる。
すると、輝男がはいているジーンズのポケットから振動音が鳴り出した。
輝男はポケットからスマートフォンを取り出すと、すぐに電話に出る。
「もしもし……」
輝男が電話相手に向かって呼びかけると、
『あ、輝ちゃん。アタシよ、ア・タ・シ!』
電話の向こうから、快活とした少女の声が聞こえて来た。
(小春……!?)
電話相手の声に、輝男は一瞬、愕然とする。
「ど、どうして、俺の携帯の番号がわかったんだ?」
すぐに平素の表情に切り替えつつも、戸惑いを隠せない面持ちで電話相手――すなわち、小春に問いかける。
すると、
『そんなことより、輝ちゃん、明日、暇?』
返答の代わりに、予定をうかがう問いかけが返って来た。
「いや、明日は一日中、バイトだから」
『なぁんだ、ガッカリ―――。あ、でも、もし、都合が付いたら、また会おうよぉ』
「あぁ、都合が付いたらな」
『そしたらさ、昨日、今日よりもたくさん、思いっきりエッチしまくろうね』
電話の向こうから小春が嬉々として言うと、輝男は何も言い返さずそのまま通話を切る。
輝男が呆れ顔でスマートフォンをしまうと、
「お義兄ちゃん、今の電話、誰からの?」
瑠奈がすかさずたずねて来た。
瑠奈からの問いかけに、輝男はウンザリした面持ちで深くため息を付く。
「大富小春……。アイツ、何故か、俺の携帯番号を知ってて、今、電話をかけて来たんだ」
輝男が瑠奈にそう返答すると、
「あぁ、昨日の晩、小春さんが部屋にお邪魔しに来た時、輝男さんの番号を教えてあげたの」
ハンドルを握りながら運転している真純が、サラッとした口調で言葉を添えた。
今の真純の説明に、後部座席に座る瑠奈と桜月は一様に驚愕した。
「ママ! どうして、そんな余計なことをするの!?」
「事が余計、厄介になっちゃうじゃないですか!」
瑠奈と桜月が真純に向かって抗議の声を上げると、
「あらあら、二人とも、一番の強敵出現に心中、穏やかじゃないわね」
真純の横、助手席に座る理華が、からかうかのように後ろの二人に言葉をかける。
「他人事みたいに言うな!!」
瑠奈が怒りの声を返すも、理華はクスッと笑みをこぼし、瑠奈の怒りを軽くあしらう。
怒りの収まらない瑠奈の傍で、桜月が心配そうに輝男の方を振り向く。
最も厄介な相手に絡まれた輝男のことを深く案じているようだ。
「俺なら大丈夫だし、君に迷惑をかけるようなことはしないよ」
輝男は何とか笑顔を見せ、桜月の不安を払い除けようとするも、
(小春のヤツ……とんだ重荷にならなければいいんだが……)
新たに関係を結んだギャル系少女に対する憂慮を内心、払い除けられずにいる。
いずれにせよ、夏の海水浴を終えた輝男たちは、自分たちの住む街へと帰途を進める。